第六十話
AM9:00頃、米日中央都市内。
三島 剣は仕事で現場である解体途中であるビルに来ていた。今日はこのビルを完全に解体するのが仕事の内容だ。
三島 剣が表の仕事としてやっているのは建築、解体といた建造物に関する仕事全般である。
今の時代、建造物は強固な作りで再び建造といった事は都市外以外はあまりないため、稼ぎを多くするために解体作業も受け持っている会社が多い。三島 剣が務める会社もその一つの為、今日は解体工事に来ていた。
今日も一日、愛する妻のために頑張ろうとしたところで警報音が鳴り、地響きが起こる。
「!?」
「ん、なんだ、なんだ?」
「地震か?警報音だけでアナウンス無しか?」
剣の周りの職場の人達が騒ぎ始めた。
そして、作業員の一人が叫ぶ。
「あー!ちょ、ちょっと見て下さいよ!か、壁がぁ!」
剣より下っ端作業員が指を指して言った。
現場のみんなは釣られて見る。
剣も例がなく見る。
「!!」
驚いているのも束の間、次に都市内のスピーカー、ディスプレイテレビに黒い影の人物が写し出されて音を発する。
『やあ、都市に住む民達よ。すまないが今からこの都市はわが天下統一の土台作りとして外からの進入を防がせてもらった。都市内の君達は私の兵達の支持に従ってもらう。従うなら身の安全は保障しよう。では』
「…いきなりなんだ、あいつ?」
「さぁな、どっかのバカがハッキングしたんじゃねーか?そのうち、能警に捕まるだろう。それよりも俺達は仕事だ、仕事!今日中に終わらせるぞ!」
現場責任者がさほど大事な事ではなくイタズラぐらいだと思い、他の作業員に通常業務を促す。他の作業員も責任者の指示にしたがって解体作業をやり始めた。
だが、一人だけ事の重大さに危機したものがいた。
それは三島 剣である。
彼は他の作業員にバレないように物陰に隠れてある人物に連絡を取る。
PPP…
「俺だ。一体どうゆう事だ?」
剣は相手に対していきなり本題をぶつける。
その時、現場から怒声と発砲音が響く。
剣は物陰から隠れて様子を伺う。
そして、そこには武装した人が五人おり、現場の作業員達が脅されていた。
電話越しに返答が返ってくる。
『今、こちらでも状況の確認をしています。貴方にはすみませんが今すぐ気象庁の防護壁管理システムまで行って頂けますか?報酬の上乗せはさせていただきます』
電話越しの相手は剣の言っている事に対して意味を理解していたため剣に対して即座に返答をして次の行動を剣に促す。
「報酬の上乗せはいい。それよりも頼みがある」
剣はそう言って物陰から工事現場で集められている作業員達とそれをしている武装した人達を見る。
銃を持っているのが…三人、刀が二人か…。
「早く歩け!」
「チッわーぁったよ!てか、お前らあのハッキングやろうの手下か?」
ガッ!
武装して銃を持っていた一人が銃のグリップで侮辱した作業員の後頭部を殴る。
「いっ!」
「貴様!信長様に対してなんて無礼な!」
「おい、テメー!手越さんになんてこt」パッアン!!
「がっ」
武装した人がつっかかった作業員の足を銃で撃つ。
「痛ってぇぇぇ!クッソがぁ!」
「黙れ!指示に従わないなら次は殺す。早く移動しろ!」
そう言って武装した人達は作業員をどっかに連れて行こうとした。
剣は一通りの流れを見てから電話の相手に話を戻す。
「悪いが三島 真希という女性が旧犀川付近のコンビニにいる。その人を保護してほしい」
『わかりました。その方はこちらで保護さていただきます。ですので貴方は…』
「わかってる。それよりもこの都市にも結構の数の共犯者が混ざってるんじゃないか?見た感じ一般人に見えるが…何か知っているか?」
『わかっています。ですので決して殺さないで下さい』
「ん?、それはいったいどういう…」
剣はそれについて聞こうとしたが電話は切られた。
「…はぁまあいいか。とりあえず、まずは防護壁の解除だな」
そう言って剣はその場でジャンプして順々に高い物にジャンプしていってビルの上まで上がる。
そして、ビルの上から確認できたのは防護壁が展開されている都市内でところどころに煙と悲鳴が上がっている事だった。
「これは、本格的にマズイ状況だな」
そう言って剣は今度はビルからビルをジャンプして気象庁を目指した。
◆◆◆
AM9:50頃 国際海通線JAPAN中央都市、セントラル駅内。
駅内は壁が崩れ、照明はところどころ消えており、数人の遺体が転がっていた。
そして、多くの一般人が広場に拘束されて集められていた。
事は約40分前に戻る。
武装した約20人ぐらいの人物が駅にいた人たちを拘束しようとした。しかし、駅にいた人たちはそれに反発して超能力で対抗した。
だが、時間が経つにつれて反発した人達が押され始める。
決定的な理由は身につけている『O.V.R.S』のリミッターによる相手を制圧できるほどの力が出せないのが大きな理由だ。
逆に武装した人達は銃、刀、手榴弾などをさらには自身の超能力を使って対抗していた。手持ちの多芸では武装していた人達が勝っていた。
しかも、ここでさらに厄介なことが起きる。仲間だと思っていた人物がいきなり武装した人達に寝返ったのだ。それはどんどん増えていった。
最後には駅は完全に占拠されて現在に至る。
拘束されている人達の中には秋真達もおり、大人しく拘束されていた。
「チッ!JAPANに来た瞬間にこれか!」
アナンジュ・グスタークが自分の青み掛かったセミロングの髪の後頭部で両手を組んで座った状態で言う。
「ちょっと、それよりあの子達見つかってないわよね?」
アナンジュと同じ体勢でナーシャ・イユーリが秋真に返答を求める。
「ねぇ、聞いてるの、ボス?」
そう言ってナーシャは秋真がいるであろう方向に首を向ける。
だが、そこにいたのは全くこの状況とはマッチしていない、ウザい爽やかフェイスがあった。
「そこの貴方、怖がることはありません。彼らも下手に刺激しなければ、危害を加えないでしょう…ですが、貴方の怯え、恐怖はこの状況ではどうあって拭い去る事は出来ないでしょう。ならば、その恐怖、僕に預けて安らぎを得ませんか?(キラッ)」
秋真が違う意味で怯えている隣の女性に胸を張る。
それを見たアナンジュとナーシャの反応……
「……」(-_-)←ナーシャ
「……」囧←アナンジュ
「さぁ!お姉さぁん!僕の胸に!」
秋真が拘束されているのも忘れて大声を出す。
その瞬間に二つ事象が起きた。
一つは察しが付くと思うだろうが、武装した人が銃を一発、二発と天井に発砲して脅して黙らせに来きたこと。
そして、もう一つはアナンジュによる秋真の鼻をピンポイントに狙ったミラクルでスーパーな膝蹴りが秋真の鼻に決まっていたということ。
武装した人は気付いてはおらず辺りに怒鳴り散らしていた。
ちなみに秋真が鼻から血を出した事によって隣の女性は悲鳴を上げてしまい、軽く射殺された、武装した人は離れていった。
「全く。何、無駄に死人増やしてるんですか、アナンジュさん」(´Д` )←秋真(ウザ顏)
「(ブチッ)心臓抉るぞ?」()←アナンジュ(顔文字では表現出来ない歪な顏)
「(°_°)←秋真」
と、その時広場の下、駅のホーム付近で爆発音が響く。
「なんだ?!下か!」
それを聞いてナーシャは秋真と秋真を脅しているアナンジュに行動を促す。
「おふざけはそれぐらいにして、そろそろ動くわよ。どうやら、車両で隠れていたジャグとシファーナが動いたみたい」
「やっとか…」
そう言ってアナンジュは首を回しながら立ち上がる。
その行動に武装した人が警告する。
「貴様!誰の許しを」パッアン!
発砲音と似た音が響く。と、同人に武装した人がいきなり壁まで吹っ飛んだ。武装した人は壁を凹ませて気絶していた。体の真ん中には赤黒い拳の後が残っていた。
そして、武装した人がいた場所には何故か、アナンジュが拳を突き出した体制でいる。
拳の先には煙みたいもが上がっていた。
「長月流気功拳法…烈拳」
音が反響して武装した人達が集まってくる。
アナンジュはそれを見ると一度目を瞑って呼吸を整える。
「ふぅー」
武装した人達、主に銃を持った人、6人が行動を起こす
「撃ち殺せ!」
その言葉とともにアナンジュも目を開けて言葉と行動を同時に起こす。
「長月流気功拳法、速烈拳」
銃を持った人達が発砲しようとした瞬間、6人は同時に発砲する事なく後方に吹っ飛んだ。
刀を武装した人が隣を吹っ飛んでいた仲間を横目で見て足をガクガクさせながら言う。
「な、なんだお前はぁ!どんな超能力なんだよぉそれぇ!」
「超能力ではなく、ただの怪力ですよ」
「へっ?」ガツン!
ビビりの男は首に衝撃を受けてその場で気絶した。
「秋真、死にたいのか?」
アナンジュが秋真に拳を向ける。
それに対して秋真は先ほど気絶した人の横で否定を示す。
「冗談ですよ、冗談。仮にその拳法を馬鹿にしたら貴方の師範代に殺されてしまいます」
「フンッ!」
アナンジュは敵が近く中、眉間にシワを作った状態で目線を秋真から外す。
「後は貴様でも片付けられるだろう、任せた」
「お安い御用ですよ」
そう言って秋真は二本の短槍、刃を含めて全部が真っ黒な槍を武装した人達に突き付けた。
キャラクター紹介は今回は無しです。
また時間が出来次第やりたいと思います
申し訳ありませんm(_ _)m




