第30話
―3:40―
下水処理場地下
ここは先ほど『ネイティブ・ペヨーテ』が集会をしていてナーシャが天井に穴を開けた場所。
ついさっき、たまもとライゴウが天井の穴から落ちて来ているのを確認するとナーシャは秋真の場所を教えてそっちに行くよう指示していた。
そして現在、2対1で『超能力者』VS『超能力者』が戦っている。
「響さん、やめて。今ならまだ反抗勢力の一員にはならないわ。だから!」
ナーシャが『♢の''Q''』の水の湾曲刀を躱して後退していると『♢の''Q''』はより威力を増して襲い掛かった。
「うっせー!だまれ!!先生もあいつとグルだろうが!!なら敵だ!」
「くっ!どうして!?なぜ、貴方がそんな犯罪組織に入ったの!?教えて!」
「……」
無言。攻撃が一旦やむ。
そして『♢の''Q''』は未だ、放心状態の奏を見ていた。
それを見て何かに気がついたナーシャが口を開く。
「まさか…、あの男に奏をダシに揺さぶられたの!?」
「半分正解だ。だが、もう半分が足りない」
「もう、半分?それは…?!」
ガキィン!
ナーシャが話をつづけようとしていたところで横槍がはいる。相手はローブを頭から被っていた『♤の''Q''』だ。彼女は下の者が置いていった剣を拾い使っていた。今、彼女はその剣で横槍を入れたのだ。ナーシャは手に持っていた刀を鞘に収めた状態で防いだ。
「ちょっと、貴方!人が話しているのに現れないでくれる?お母さんに人が話している時に邪魔しちゃだめだよって教わらなかったの?!」
「……」
無言。
ブチッ
「全く、この物語、無言無言無言無言!無言多すぎなのよ!作者、もっと頭使いなさいよ!他に言い方ってもんがあるでしょうが!」
どこの誰とも知らない相手に罵倒を浴びせる、口うるさい淫乱巨乳酒好きアバズレ痴女。
ブチッ。
「作者…マジで殺してやる…。あんたのイ○○を切り落として、ケツの穴に突っ込んでやる!差し詰め、セルフア○ルフ○ッ○よ!見ものね!覚えてなさい」
………。
………。
「おい、先生…。やり過ぎだ。作者、完全にナレーション入れる気なくしてるっぽいぞ」
「……」
「ふん、知らないわよ!自己自得よ」
ブチっ。ブチッ。
「あ、作者、切れた」
「ふん、どうせ、物語には参加出来ないだから関係ないわ。頑張れば出れるかもね。でも、作者はヘタレで女性に多少、いろいろ言われただけで凹み、人見知りで引きこもりだもんね〜。この草食系男子より下のミジンコ系男子が!」
ブチブチブチッ。
「ちょっと、先生マジでやり過ぎ(汗)。このまま行くと…」
作者の都合により場面を変更させていただきます。申し訳ございませんm(_ _)m
「ほら、いじけて場面変えられる。先生の所為だかんな」
「な?!わ、私は…ってより、そこのフード被った奴がいきなり襲いかかってくるから…」
「…だって敵だし…」
「う…、た、確かに…ん…!!っていうか…」
「「喋れたの!?」」
◆◆◆
―3:49―
場所は変わって下水を制御する場所。
「あれ?いつのまにか、場面がイケメンの僕を写し出している」
「そのようですな。主、あちらにカンペが」
「ん〜何々、作者こと私が罵倒されてムカついたので強制的に場面を変えました。っか……ということは僕達をナレーションするまで時間があるということですか?」
「はっ。そのようですな」
「いや、違うじゃろぅ。明らかに物語を展開させろって事じゃろぅ」
「主。またカンペが」
「えっと次は…ご自由に…か……」
「適当じゃな!!」
たまもがツッコミを入れる。
「ならば!」
秋真が目を見開く。
そして、着ている服のボタンをはんぶまで開けて魅惑的な目を''こちら''に向けた。
様々なポーズを取る。
秋真がやっている事は簡単に言うと半ヌードモデルである。
「あ…ぁ…はぁ…この機会に最大限、僕のイケメンぷりを出しましょう。次は下からのアングルでお願いします」
「フォッフォッフォッ。楽しそうで何よりです。主」
「///主殿の胸板…///」
秋真が様々なポーズを取って次第にボタンは全部外された。上半身はおへそと割れた腹筋が見えていた。
たまもは頬を赤く染めてヨダレを垂らして見ている。
ライゴウは時々、秋真にアドバイスをしていた。
そんな、愉快なワンシーンをぶち壊す。叫びが広がった。
「ふざけるなぁぁぁぁ!!!!」
秋真が怪訝な顔で声がした方を向く。
「うるさいですねー。まだ時間じゃないんですから黙ってください」
「なんだあれは、なんだあれは、なんだあれは、なんなんだお前は!!あんな情報なかったぞぉ!何なんだあれは」
「これから死ぬ人に言うわけないじゃないですか。それに、まだ右腕しか切り落としてないのに騒ぎ過ぎですよ?」
「そうだ!私の右腕はどうした?どこにいった?マクスウェル家の血を宿した私の右腕はどこにやった?!」
『♢の''K''』は右肩から血を流しながら地べたを這い蹲り右腕を探した。ピエロの仮面は完全に消え失せていた。
「さっき、切り落とした際に適当に投げてしまったのでどこにいったかは、知りません」
秋真はそんな見にくい男を見下して言った。服装はいつの間にか、ボタンを閉めてしっかりしていた。
「私の右腕…私の右腕…がない。どこだ…。それよりも私のマクスウェル家の血がこんなに出てしまっている。集めなければ、身体に収めなければ…腕は集めた後に…」
『♢の''K''』は自我が多少、壊れて秋真の話を聞いていなかった。そして、その場で血を掻き集めようとしていた。しかし、血は液体だ。集まるはずがない。
それでも『♢の''K''』は集めて手に掬って飲んでいた。さらに手についた血を舐めたり、床に広がった血も舐めていた。
秋真はそんな男に感情のない一言を言う。
「そんな、重たいままじゃ集めづらいでしょう。もっと軽くしてあげますよ。まぁ〜その後、動けたら奇跡ですが」
「私の血…集めn…」
ゴロゴロ…コツン。
『♢の''K''』の頭は転がって壁にぶつかって止まった。
秋真は短槍についた血を払った。
橋の下にある排水路には赤い液体が橋に横たわっている胴体から流れていた。
「逆に、もっと血が出ちゃいましたね…。でもまぁ〜その頭を使って首ら出ている血ぐらいは塗ってあげますよ」
「主殿。今日は容赦なかったのぅ。ワシも昔を思い出す」
秋真が悲しく微笑む。その微笑えみの意味を知る妖怪達はただ秋真の言葉を待った。
「今回は特別です。これは弔いの殺しです。ジョエルもこれで納得してくれるなら幸いです」
秋真は天を見る。
ジョエル、こんな弔いは望んでないかもしれませんが僕自身が許せなかった。だから、今回は大目に見てくれるとありがたいです…。
秋真は前を向く。
「さて、じゃあ〜頭を持って、次はナーシャを助けてからぬま達の所に行きます…か……」
ドサッ。
いきなり、秋真が倒れる。
「!主殿!」
「主!」
たまも、ライゴウがかがんで秋真の顔を見る。
「ちょっと、''霊力''…使いすぎた…みたい…です…」
「主殿!」
「くっ!我ら妖怪を4人も出して尚且つ、あれを使って立っていた方が奇跡か…。たまも嬢、どうやらここは私が身を引いた方がよさそうですな」
「すまぬがたのむ」
「はっ了解しました。主は頼みましたぞ」
「わかっておる主殿は誰にも触らせん!」
「フッ。頼もしい限りです」
そういってライゴウは自身の姿を消し、陰へと後退した。
「主殿…すまぬ…また無理をさせてしまった」
たまもが秋真の頭を膝の上に置いて髪を掻き分けながら呟いた。
秋真は熟睡している。
「''あの時''は夏凜を止めるため、とはいえ、主殿には後遺症を残してしまった。我らの責任じゃ…本当にすまぬ」
たまもは涙を流しながら秋真の顔に自身の顔を近づけた。そして唇と唇が合わさる。
―3:55―
下水処理場地下。
『霊能力者』VS『超能力者』
WINNERー『霊能力者』。




