第22話
若干、グダグダです。すみませんm(_ _)m
ご意見、ご感想お待ちしてます。
―PM10:50―米日中央都市、コンビニの近くの雑貨ビル屋上。
如月 奏は赤い月が半分照らす中で夜に紛れるために黒いローブを羽織っていた。
すまない…東山。
奏は屋上から見えるコンビニを凝視していた。そこにはコンビニのガラス越しに見える、秋真がいた。見る限りだと女性と男性とで接客態度を変えているらしい。
あの馬鹿!明日、学園で…
奏は思っていることが途中で中断された。なぜなら明日には秋真は存在しない予定だからだ。
本当にすまない…。
奏はもう一度、秋真に届くことのない謝罪をした。頭では今日、この時のいきさつがフラッシュバックしていた。
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「如月先生」
本日の朝、都市と学園との境界線の駅の前でモノレールをホームで待っていた奏は不意に後ろから声を掛けられた。
相手はわかっている。しかし、相手は『如月先生』と呼んだ。ならばこちらの対応はいつもの彼にする対応ではなく、教師としての対応でなければならない。
そうして奏は後ろから声をかけた、ジョエル先生に笑顔でいつもの教師としての挨拶をした。
「おはようございます。ジョエル先生」
「おはようございます。如月先生」
ジョエルも笑顔で受け答えると奏の隣に立つとまた不意に話を始めた。
「『死神』から命令が下りました、『♧の"J"』」
「!!!………内容は?」
奏にとっては不意を通り越して唐突であった。しかし、もう一つの名前を聴いた奏は冷静に内容を聞き出した。すでに対応はもう一つの名前の物になっていた。
「東山 秋真の捕獲。話せるのであれば御体満足でなくてもいいそうです」
「日時は?」
「今日です。やり方は一任されていますので『♧の"J"』、貴方のやり方に任せます。何か質問は?」
「了解です。『♢の"K"』貴方は?」
奏は『♢の"K"』に彼のこの後の行動を聞いた。何故なら秋真捕獲任務は奏に与えらたものであり、彼には関与する必要はない。だが仮に、彼にも違う方向からの同じ任務なのであれば、多少でも情報が欲しかったのだ。
「私は私で別の任務を任されましたので、補助はできません。ですがかつて、一時とはいえ、『Sランク』だった貴方が負けるとは考えられませんね」
「………」
無言。
「まぁ、でもイレギュラーはどこで起きるか分かりません。注意しといて損はないでしょう。…検討を祈ってますよ、如月先生」
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奏はビルの下を忙しく走る車のクラクションの音で現実に戻された。どうやら下ではトラブルが起きたらしい。だが、そんなこと今の奏には関係ない。あるのは秋真を仕留める事のみ。
しばらく秋真を監視していると秋真が店の奥に入り見えなくなった。時刻を腕時計で確認する。
ーPM11:10ー。
上がる時間帯だ。秋真が帰宅準備を終えて出てくる前に奏は
心を、
感情を、
表情を、
厚く凍り付かせようとした。だがその前に届くはずの無い想いを秋真に贈る。
…すまない。そして、こんな私を尊敬してくれてありがとう。
想いは贈り終えた。
心が冷え始め、
感情が凍え始め、
表情が固まり始め、
すべてが厚く熱く氷みたいに冷えて固まった。
モチベーションは完璧。後は人通りが少ないところで捕獲。
そして、コンビニにから制服姿になった秋真が出て来た。秋真は徒歩で家路に向かう。
それを奏は見てしばらく距離を離してからビルから飛び下り、静かに風も立てることなくまるで薄い紙が地面に落ちた様に着地した。
周りに人はいない。
奏は黒いローブを頭から羽織りそのまま秋真から一定の距離を取り、付いていく。
そして人通りが無くなって奏がでるタイミングを測っていると秋真はいきなり180度回転して後ろを向いた。
奏は特に隠れることなく突っ立っていた。
なんせ、目的は尾行ではない。捕獲だ。
逃げようとするなら脚を切り落とせばいい。
刃向かうなら腕を切り落とせばいい。
別に臆することはない。
だから、隠れない。
それに相手も気付いているはずだ。
「隠れるつもり無しですか…」
「……」
奏は特に喋らなかった。なんせ相手は生徒では無く、霊能力者なのだから。
秋真は溜息を吐くと残念そうに話始めた。
「やれやれ…何故、僕の周りにはツンデレしかいないんですかね〜。というより目の前の方は殺意を向けて来ている限りだとヤンデレ?ですかね〜」
「………」
無言。
しかし、奏の身体は勝ってに動く。
刀型のO.V.R.S、奏専用のO.V.R.Sが鞘を抜く事によって能力が解放される。
刀身が赤い月によって輝く。いや違う。
この輝きは能力によるものだ。
奏の能力ー『紅帝炎殻』ー触れた物を溶かし、溶かした物は自由自在に操ることが出来る。更に溶かした物を固定の形に留める事もできる。能力者は能力の影響で髪が紅く染まり、体温も6000度まで上がる。しかし能力者は暑さは感じる事はない。それが奏の一時、Sランクに上がった『超能力』。
「ねぇ〜どうなんですか?」
「………」
無言。
そして、奏は刀を垂らしたまま秋真に近づく。だが、秋真の次の言葉に若干戸惑う。
「質問に答えてくださいよ、『裏切りの騎士』さん。というより『如月』先生」
「………くっ!…いつから気付いていた?」
奏は頭からローブを取り秋真に質問する。紅く染まった髪が赤い月と違って異色を放つ。
秋真は奏を見据えて話始める。
「尾行はずいぶん前に気付いていました。これはアルバイトを無断でやっている事について尾行されていると思っていました。ですが、こうも殺気を隠すことなく出されては振り向かざる得ませんでした。そして、最初に異変に思ったのが二年生に上がって初めての授業の時でした。あの時、リリス先生の授業が如月先生の授業になって僕を天上にブッ刺した時、先生はこう言いました」
〈あー、あと東山。いつまでそうやって支えられていられるか、知らんが抜けたら天井塞いでおくように。〉
〈いつまでそうやって支えられていられるか、〉
〈支えられていられるか〉
〈支えられて〉
「ここの一文、本来ならこう使うと僕は思います。〈支えられて〉ではなく、〈支えて〉と。なぜなら、〈支えられて〉は第二者がいて始めて使われる言葉だと思います。ですが僕はあの時、普通では一人でぶら下がっていた様に見えたはずです。なのに先生は第二者がいる事を想定した言葉を言いました。これが気が付いた切っ掛けです」
「……………フッ。………まさかそんなところで気付かれるとはな。お前でもちゃんと成長しているんだな」
奏は学園で見せる教師として人としての笑顔を秋真に向けた。
秋真も自然と微笑む。
「当たり前ですよ。誰の担任の生徒だと思っているんですか?」
「フフッ。そうだな。お前は馬鹿で変態でナルシストでダメな奴だが、私の生徒だ」
「ちょっと、言い過ぎな気がしますが?!」
奏はただ微笑んでいただけだが、刀を握る手は力が漲っていた。
「よし!東山!これが私の最後の補習だ」
「!!」
秋真は逆に無表情になり、確認を取る。
「本当にヤるんですね?」
「ああ。これが私の最後の教師としての教育指導だ!」




