第十三話
すみません。何か話が消えたので書き直させていただきました。
ご迷惑をおかけしました。
これからもご愛読よろしくお願いします。(≧∇≦)
「ところであんた誰だよ?」
響は怒りを治めると先ほど手を貸してくれた黒髪のショートヘアの女性に名を聞いた。ちなみにモーレツに動いていた尻は今は腐りきって生きているかすら怪しくなっていた。
それをたまもとテンが慌てながら引き抜こうとしている。
「人に名前を聞く前にまず自分から名乗りなさい。…って悪役みたいなセリフは言わないわ。だって、対外こんなセリフを言うカスはすぐにやられてしまうもの」
「さすが、お嬢‼」
冬花はそのモデルみたいな体系で優雅に威張りだした。それを本多は片膝をおり讃える様に拍手をしている。
響は肩を落とし質問を再度、投げかける。
「いいから、名前なんなだよ」
「ふん、いいわ。教えてあげましょう。私は『霊能力者』が一人、北川 T「口汚い冬花様ですよ、響さん」ニコッ
「ぬまさん…」
ぬまはここぞとばかりに割り込みを計る。
冬花は肩を震わせ、下を向いている。それを本多が慌ただしく宥めようとしていた。
しかし、ぬまはそんな冬花と本多を気にする事なく響と話始めた。
「それよりも、響さん?わたくしがあれほど言ったのに来てしまったのですか?わたくしはてっきり、響さんが自分の力量を理解して逃げてくれたと思っていましたのに」
「う…す、すみません…」
ぬまが呆れながら注意すると響は素直に謝罪をした。どうやら、年上の優しい姉みたいなぬまには頭が上がらないらしい。
反省をして小さくなった響を見てぬまは少し微笑み、許す事を前提にした感謝の言葉を言う。
「ですが、主様を助けようとここまで来てくれたのには感謝します。ありがとうございます」
ぬまはそう言うと静かに頭を下げた。
響もこれには驚いてしまい、反射的に否定しまう。自分の無力を。超能力を。ランクを。
「や、やめてくれ。結局、あたしは何もできなかったんだから。何が『十二人しかいないSSサイキッカー』だよ…。いざって時に戦えないんじゃ、無能力者と一緒じゃないか…」
「響さん…」
響は自分の拳を強く握る。口元は緩む事はなかった。そんな響にぬまは同情の眼差しを向ける。
「あれは仕方がありません。如月さんが気にする必要はありませんよ」
不意に後ろから声がする。響は振り返るとそこには先ほどまで埋まっていた秋真がいた。顔には土がところどころについており、惨めな顔になっていた。
だが、響にそんなことをツッコムよりももっと、大きい感情が渦巻いていた。それを秋真にぶつける。
「だけど、あいつは…あの『鬼』はあたしが原因で現れたんだろう?!あたしが変にケンカなんかしなけりゃ、こんなことにはならなかった‼」
「それは違います。あの『鬼』は僕の『霊力』に反応して現れたにすぎません。だから、僕と如月さんのケンカが原因ではありません。如月さんは気にする必要はないですよ」
「だ、だけど…」
響は秋真の顔を見る。そして、さらに自分自身が原因だと食って掛かろうとした。
だが、できなかった。なぜなら目の前の男の顔があまりにも頼り甲斐がある、笑顔が響の声を止めた。そして、響はケンカのことを思い出すと急に何故かわからないが秋真に信頼の感情が出ていた。
なぜ、あたしはこいつの笑顔を見たら安心できるのだろう?
……
わからない。
……
でも、悪くない。
秋真はやっと響の笑顔が見れたと思った。
だが、そんな二人を見ていた『妖怪』達は抗議に入る。
「主殿、頭を抜いてやったのに礼も無しとは随分と無礼者になったものじゃな!」
たまもは頬を膨らませそっぽを向いており、
「……ライバル、……増えた……」
テンは地面に人差し指でグルグルと意味もなく字を書いていたり、
「ひ、響さん。主様は大変、変態でありますので違う殿方をオススメしますよ。例えばあちらの『本多 忠勝』さんとか、『本多 忠勝』さんとか」
ぬまは目に力を入れて主である秋真から冬花にフルボッコされている本多へと座標を変える様に強く訴え掛けた。目では命令になっているが…。
そんな、『妖怪』達を置いといて秋真は一つ疑問に思っていたことを口にする。
「しかし、如月さんが妖怪を『認識』できるとは…」
「な、!主殿シカトか?!シカトなのじゃな!そんな事するんじゃったらワシはスネるのじゃ‼」
「……テンは一日中、口で主の口…塞ぐ…」
「わたくしは軟禁して…ふふふっふふふふふふっ」
秋真は額に汗を滲ませてツッコム。
「たまもは可愛いものですが、テンそれをやられると窒息してします。そしてぬま、あなたMじゃなかったんですか?!」
「両方行けることに今気づきました」
秋真は肩を落とし、自分が契約した『妖怪』達に褒美の話で話を戻す作戦にでた。
「はぁ〜わかりました。では、ご褒美として、一人ずつ抱いてあげます。どうですか?」
「「「‼‼‼」」」」
三人の『妖怪』は同時に秋真をこれまでにないくらいに真剣な眼差しで見た。
「おいっ‼18禁じゃねーよな?!」
響は反射的にツッコんでしまった。
三人の『妖怪』は頬を紅く染めて恥ずかしげに答える。
「///ま、まぁ主殿がどうしてもと言うなやってやらんどない。てか、約束じゃぞ‼///」
「///……コクンコクンコクン‼……///」
「///激しいのをお待ちしてます///」
秋真にベタ惚れな三人の『妖怪』は皆、一様に体をくねらせていた。
響は顔引きつりながら、呟く。
「この変態のどこに魅力されるんだよ…てか、マジ18禁じゃーねぇよな?
まぁどうでもいいが。てかさっきお前、あたしに『妖怪』が『見える』じゃなくて『認識』できるとかなんとか…言ってたよな?」
「ええ、いいました」
響の質問に秋真は肯定する。そして、そのまま話を続ける。
「如月さんは『妖怪』が見えてしまっているので一様、説明させていただきます。本来、『妖怪』とは見えるではなく認識…「お話の途中で悪いのだけれども、いいかしら?」
本多をフルボッコしていたはずの冬花がいつの間にか、秋真と響の会話に割って入ってきた。本多は元の顔がわからないぐらいに膨らんだ顔で"さすがお嬢のお兄様、た、助かった"と安堵のため息を吐いた。
「いいも、悪いも、割って入っておいて、そのセリフはおかしくないですか?」
秋真が苦笑いで当たり前のことを言うと冬花は秋真を睨むとそのセリフを切り捨てた。
「黙りなさい、糞ムシ。ここでは私が正論よ。意見があるなら、まずその足の間にある無意味な突起物を自分で切り落としてから言いなさい」
「すみません。でしゃばりました」
秋真は人の目に触れぬ早さで土下座をした。
「フン。今回は随分と潔ぎがいいじゃない。ムシの自覚がでてきたの?」
「……」
「フン。まぁいいわ。それよりさっき、お兄ちゃ…ンんん!…」
お兄ちゃ…?
響は疑問を抱いた。だが、冬花は話を進める。
「あ、兄から電話があって能警が騒ぎに気付いて包囲網を貼りつつあるわ」
「そうですか…では、ズラかりますか」
秋真がそう宣言すると周りも頷いた。一人を覗いて。
「別に大丈夫だろ」
皆、一斉に同意しなかった者を見た。どうやらこのSSの超能力者は自身の権限で何とかなると思っているらしい。さすが、世界で12人しかいない超能力者である。考えが楽観的である。そんな、肝が据わった超能力者に秋真と冬花が事の重大さを話す。
「いいですか、如月さん。今回、僕達は学園の演習場一つにクレーターを一つ。そしてビル一つを破壊。さらには公園の広場にクレーターをもう一つ。意味、わかりますか?」
「あぁん!?分かるに決まってんだろうが‼あたしをそこらのバカと一緒にすんじゃねー‼」
響はバカにされたと思い逆ギレ。そんな響を見て冬花が補足をする。
「いい、あなた?今回は超能力者同士が戦ったわけでわないのよ?それにO.V.R.Sのリミッターを外しているSSサイキッカーとEランクの能力者で戦ってできた損害はSSサイキッカーの暴走と、捉えられるわよ」
響の顔に汗が滲み出てきた。そして、さらに冬花は畳み掛ける。
「それにこのことが知られれば、あなた、確実に本土、アメリカの監獄島行きよ。それか、本土で実験体かしら?とりあえず、バレれば…」
響は完全に顔を青く染めていた。そして、秋真と冬花は口を揃えて事の終着点を口にする。
「生きてはいない(ジ・エンド)ですよ。(ね。)」
「じゃ、じゃあ早く逃げんぞ‼」
「じゃから、さっきからそう言っているじゃろうが‼このバカ者が」
「あぁん?うっせー‼」
「よいしょっと」
秋真はたまもと口ゲンカに夢中になっている響を抱き抱えた。
「って、///テメェーはまたドサクサにまぎれて抱っこしてんじゃねー///」
「フフッ。本当は嬉しいくせに」
「///黙れ‼///」
「グフッ!」
響は秋真に一発入れた。そして、秋真は殴られながらも、もう一人の『霊能力者』に声をかける。
「冬花はどうするんですか?」
「貴方、脳みそまでムシになってしまったの?どう見てもこの状況、誰かが偽造する必要があるでしょ?兄と話をつけて来なくちゃヤバイでしょうが」
「そうですか…わかりました、後は頼みます。そして、片付いたらいつでも僕の胸にwelcomeして来ていいですよ」二カッ。
「ええ、わかったわ。片付いたらすぐにそのwelcome状態の胸にナイフを持って殺しに行ってあげるわ。何度も何度も何度も、刺し殺してあげるわ」
「…(大汗)…で、では冬花、僕達はこれで…」
そう言って秋真は冬花に背中を向けた。
「お前案外、言葉攻めに弱いんだな…って///お尻触んな‼///バカ///」
「グヘッ」
殴られている秋真の背中を見て冬花は思いだした様に秋真に言った。
「そういえば、"あの人"が〈たまには会いに来てと伝えて〉って言われたから、ちゃんと伝えたわよ。……というより貴方、…『あれから』一度も会ってないの?」
冬花はどこか、寂しげな表情で問いかけた。しかし…
「……」
秋真は無言になる。
変に思い響が喋る。
「お、おい…」
響が喋った瞬間、秋真は冬花に向き直った。そして、笑っていない笑顔で話を流す。
「では冬花、僕達は行きます」
そう言って秋真はテンの風に支えられながら飛んで行った。
最後にぬまは去る前に冬花に爆弾を落として行った。
「あ、そうそう。冬花様、言いたい事が一つ」ニコニコ
「何かしら」ニコニコ
「いい加減、ブラコンは卒業した方がいいですよ。はっきり言ってキモイですよ。では」
ドッゴーーーン‼
爆弾は見事、冬花の心に爆発した。ぬまは言うだけ言って秋真の後をおった。
本多はまた宥めようとしたがアッパーをくらい、一発K.O。
冬花は本多に目もくれず去っていく蛇の妖怪に恨みを口にする。
「覚えてなさい。クソ蛇。絶対、消してやる。行くわよ、本多!いつまで寝てるの!」
「お、お嬢、ちょっと待って下さい…」
そういって冬花は秋真達とは逆方向に歩き出す。
しかし、冬花は一度足を止め、秋真達が去った方向を見る。本多もつられて見る。
「秋真殿、笑わなくなったでございますな」
「何を言っているの本多、笑っていたじゃない?」
「確かに表情は笑っていましたな。失礼しました。しかし、やはり秋真殿にとってあれは荷が重過ぎました。我らも手を貸していたら‼」
本多は悔しそうに唇を噛み締めた。そんな本多の気持ちを悟って、冬花は自分も同じ気持ちだからこそ自分と本多の為に決意を言葉にする。
「前を向きなさい、本多。過去は未来を見ながら取り戻していくものよ。私達が嘆いていては"あの人"に失礼よ」
「そう…ですな。名武将たるわたくしがこれでは…申し訳ございません」
そう、私達は前に進むことを決めた。"あの人"も前に進むことを決めてる。あとは秋真…、貴方が過去を取り戻して行くだけよ…
冬花は日が上り始めた、太陽を見ながら今は影も残らない過ちを起こされた『霊能力者』に言葉を残した。
そして、サイレンが次第に大きくなると止めた歩みを太陽をバックに歩きだした。
「行くわよ、本多」
「はっ‼」




