第2部
1つ目から6つ目まで回った俺たちは最後の七不思議に向かうことにした。
「うー、怖かったー。」
柚子はもう疲れ切ってしまっている。
「お前、さっきまで元気だったじゃねーか。」
「だってぇ。叫びすぎて疲れちゃったんだもん。」
それを聞いた紅葉が後ろで何かを準備している。
涼太も気づいていたが、面白そうなので放っておくことにした。
すると、
「如月、ちょっとこっち向いてみ?」
「ん?なーに?」
柚子が振り向くと絶叫して、涼太に抱きついてきた。
「お、おい。どうしたんだよ?うわ!」
涼太は驚いて振り向くと、そこには妖怪のマスクを被った紅葉が立っていた。
「あはは。どう?驚いた?」
「驚いたじゃないよー。心臓止まるかと思った…あ」
柚子は自分の状況に気がついた様で、すぐに俺から離れた。
「わ。ご、ごめん…」
「いや、別に構わねーよ。」
と言いながらも、俺は顔を真っ赤にしていた。
「うわー!涼太、如月に抱きつかれて顔真っ赤じゃん。羨ましい…」
と、追い打ちをかけるように隼人が呟く。
「ほらほら、そんなことしてないで早くいくよー!」
「そうそう、置いてっちゃいますからね。」
にこにこしながら、加那と林檎がこちらを見ていた。
また、明日何か言われるんだろうなー。
涼太はそう心の中で呟いた。
その瞬間。
(明日なんて君たちにはもうないよ。)
と何処からか聞こえてきた。
「…?」
「涼太どうしたの?」
「いや、なんでもない。」
何だったんだ。今のは。
少し歩くと、そこは2階の踊り場だった。
「えっと、ここが最後だよね?」
加那が問うと、
「はい、そうですね。」
と、林檎が返す。
「やっと着いたな。」
「なあ、ここの七不思議ってどんなんだったけ?」
と隼人に聞かれる。
「あ、俺も忘れたわ。」
と紅葉も話す。
「なあ、小鳥遊。ここってどんな七不思議だったけ?」と問うと、
「東くんたちもう忘れたの?これだから悪ガキ3人衆は…」
と呆れられる。
それに対して紅葉は、
「だ、だってあれだけ怖い思いすれば忘れるって!」
「しょうがないなー。しっかり聞いててよ?」
涼太たちはコクと頷く。
「あのね、ここの鏡には願いを叶える力があってね。心の中で願い事を3回唱えるとその願いが叶うんだって。」
「へぇ、すごいな。」
と涼太が感激すると、
「あー、東くん、やっぱり聞いてなかったんじゃない!」
そんなやり取りをしていると、
「そろそろやってみませんか?皆で一斉にやってみて、誰の願いが叶うかとか面白そうですし。」
「あ、それいいね。じゃあ早速やろうよ!」
柚子が皆に向かって言うと、一斉に頷いた。
「じゃあ、いくよ?はい!」
加那の合図で皆静かになった。
皆が終わったと思い、涼太が口を開くと、
「…!」
突然鏡が光りだし、俺たちを吸い込もうとしてきた。
「な、なんだよこれ!」
「わかんねーよ!」
という、紅葉と隼人と会話ももう聞こえないほど吸い込む力をあげてきた。
「も、もうだめ!」
「あ、もう吸い込まれます!」
柚子と林檎の声を境に涼太の意識は途絶えた。
第一章
完