第一部
夜の学校、それはとても不気味な雰囲気を持つだろう。
その夜の学校の中で俺は、うずくまっていた。
「あはは、涼太そんなに怖いのー?」
そんな声が遠くの方で聞こえる。
ああ、気失いそうだ俺。
「うるせぇな。別に怖くなんかねーよ…」
「えー?でも東くんすごく震えてたよ?」
全く、情けねぇ姿晒しまったな。
そんなことを思いながらゆっくりと立ち上がった。
この3-Aでは今日が卒業式の前日で、最後に何か皆でできることをやろうということになり、こうして集まっている。
「だからってなんで夜の学校なんだよ!」
そう叫んだのはこの俺、東涼太。
見た目はクールなのだが、実はとても怖がりで怪談話は特に苦手だ。
「だって、学校の七不思議全部回るって言ったじゃない。そうなるとやっぱり夜のほうがいいでしょ?」
このショートヘアの女子は如月柚子。
涼太とは幼馴染みで、ずっと同じクラスで隣の席という腐れ縁だ。
顔も良く明るい性格のため男子からも人気がある。
まあ、そのせいでいつも一緒の俺が被害にあうのだが。
「これで、この高校の七不思議の話は全て終わったね。」
そう呟いたのは、怪談好きの小鳥遊加那。
黒髪のロングヘアーで、クラスのリーダー役である。
「これから全部回るの?怖えー。」
こいつは南紅葉。
1年の時から全て同じクラスで、ある意味親友と呼べる奴だ。
一緒に馬鹿騒ぎしたりして、高校生活が楽しかったのはこいつのおかげかもしれない。
「とにかくさっさと回ってみようぜ。なにか起こるかもしんねーし。」
この早く回りたがってるやつは鉄隼人。
こいつと、俺と、紅葉でいつも一緒にいて、悪ガキ3人衆とか呼ばれてしまっている。
まあ、それはそれで楽しいのだが。
「じゃあ、早速回りましょうか。」
この敬語が特徴の女子は高橋林檎。
このクラスの委員長で、すごく真面目な性格だ。
比較的大人しいので、クラスでも目立つ様な人ではない。
「じゃ、なにから回るか。」
「なら、まずは定番の所からいかない?」
柚子の意見に皆が賛成し、一つ一つ回っていくことにした。