表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
幼年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/62

第8話: 天変地異の実況プレイ

「雷牙・天地崩壊流てんちほうかいりゅう!」


父が地面を踏み抜くと、大地が津波のように波打ち、地割れからマグマが噴き出した。

父の一撃は、もはや「パンチ」ではない。地形そのものを武器に変える地殻変動だ。


「無駄よ。——『断絶だんぜつ』」


母が指先で円を描くと、迫りくるマグマも、隆起した大地も、父の放った闘気も、すべてが「なかったこと」になって消滅した。

消えたエネルギーの余波が、次元の隙間から強烈な放電となって周囲に降り注ぐ。

バリバリバリバリッ!!


「(あぶぶぶ……っ! 痛い! 痛いって! 巻き添えの電気が高電圧すぎる!)」


俺は背中の青龍を全開にし、自分自身の周囲にバリアを張る。

だが、二人の喧嘩は加速する一方だ。

• 10秒経過: 庭の池が蒸発し、なぜか上空に「魚の雨」が降り始める。

• 30秒経過: 二人の闘気の衝突により、局所的な重力異常が発生。俺の体が宙に浮き、石や木材が螺旋を描いて空へ昇っていく。

• 1分経過: 空間の歪みに耐えきれず、遠くの禁足地で封印されていた古の魔王が「なんかヤバいのがいる!」と叫んで自ら再封印を施した気配がした。


「ガモンさん、動きが鈍いわ! それで猪を食わせるつもり!?」


「レン! お前の魔力こそ、今日はキレが足りんぞ! スープを煮込みすぎたか!」


(……あのさ。会話の内容が低次元なのに、やってることが神話の神々による終末戦争ラグナロクなんだよ。誰か止めてくれ。このままだと俺の家、更地どころか異次元に飛ばされるぞ!)


二人の喧嘩はいよいよクライマックス。

父は黄金の巨神の如きオーラを纏い、母は背後に漆黒の魔方陣を幾重にも展開した。

次の一撃が放たれれば、この大陸の地図が数センチ右にズレるのは確実だった。


「「これでおしまいよ(だ)!!」」


(……ああ、もう。やってられるか!)


俺は、自分の中に眠る青龍の核に触れた。

普段はサボりたい一心で抑えているが、この理不尽な両親を止めるには、毒を以て毒を制すしかない。


「——いい加減にしろ、この脳筋夫婦がぁぁぁ!!」


俺は地面を蹴り、二人の衝突地点へと飛び込んだ。

背中の紋章が、かつてないほどの蒼光を放つ。

青龍の権能——『慈雨じう』と『蒼雷そうらい』の強制介入。

俺を中心に、絶対的な「静止」の風が吹き荒れた。

二人の莫大なエネルギーが激突するその一点に、俺は青龍の雷を叩き込み、無理やりエネルギーを相殺・放電させた。

カッ!!

視界が真っ白に染まる。

……沈黙。

数秒後、俺が目を開けると、そこには「何もなかった」。

屋敷は跡形もなく消え、庭の木々も消滅し、ただ、綺麗な円形に削られたクレーターの底に、俺と、呆然とした両親が立っていた。


「……あ。やりすぎちゃった」


俺が呟くと、父と母は互いを見合い、そして、恥ずかしそうに視線を逸らした。


「……すまん、カイト。つい、熱くなってしまった」


「そうね……。カイトに屋根の修理をさせるわけにはいかないわね」


(……いや、家そのものが消えたんだけど。修理とかいうレベルじゃないんだけど)


結局、その日の晩飯は、父の持ってきた『火炎山猪』を、母が作った『薬膳スープ』で煮込むという、なんとも妥協案な「猪鍋」になった。

更地になったクレーターの真ん中で、焚き火を囲んで食べる夕食。


「うむ! 意外と合うな、これは!」


「ええ、猪の脂がスープにコクを出していますわ」


(……仲直りするの、早すぎだろ。さっきまで世界滅ぼそうとしてたの、誰だよ)


俺は、焦げたスプーンでスープを啜りながら、遠い目をして決意した。

「父さん。母さん」


「なんだ、カイト?」


「俺、明日、家を出るわ。ギルドに行く」


「ガッハッハ! 良い志だ! 修行の成果を試してこい!」


「そうね。今のあなたなら、大抵の災厄は『自分よりマシ』と思えるでしょうしね」


(……違う。あんたたちの「夫婦喧嘩」という名の災害から避難したいだけなんだよ。これ以上ここにいたら、俺の精神が持たないんだよ)


こうして、カイトは5歳にして(前世を含めると30代後半の精神で)、地獄のマイホームを旅立つ決意を固めたのである。

青龍の力を、もっと平和に、もっと「ホワイト」な仕事に使うために。

【ステータス確認】

• 名前: カイト

• 年齢: 5歳

• 称号: 災害調停者、家なき子、悟りの境地

• スキル: * 家族仲裁(物理): 両親の全力を相殺する、世界で唯一の技術。

• 現在の所持金: 0円(家と一緒に金庫も消えた)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ