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蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
青年期 前半

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79話:内なる龍


峡谷での乱戦をレオンとカナデに任せ、カイトは一人、滝の裏の岩場で結跏趺坐けっかふざを組んでいた。


「シズク、俺を隔離しろ。これより内面世界への『ダイブ』を行う」


「……了解よ。外部からのノイズ(干渉)は全部シャットダウンしてあげる。……死ぬんじゃないわよ、カイト」


シズクが展開した「玄武」の水鏡に包まれ、カイトの意識は急速に深層心理へと沈んでいった。

辿り着いたのは、音も光もない蒼い情報の海。

その中心に、山ほども巨大な、しかし実体のない「青龍」がとぐろを巻いていた。


『……また来たか、矮小なる人の子よ。我が力を盗み、我が器を壊す不届き者が』


「盗んだつもりはない。……共鳴しに来たんだ。俺とお前、どちらがこの『システム』の主導権(管理者権限)を握るべきか、白黒つけようぜ」


カイトは精神体でありながら、鋭い眼光で巨大な龍を見据えた。


『笑わせるな。我は天を司る雷の化身。貴様のような、憎しみに駆られた人間風情に御せるものではない……!』


青龍が咆哮し、精神世界に猛烈な雷撃が降り注ぐ。カイトの意識が削られ、消滅の危機に晒されるが、カイトは一歩も退かない。


「憎しみならもう卒業した。今の俺にあるのは、この世界を『正しく書き換える』という意志だけだ。お前の力は破壊のためにあるんじゃない。……俺という『演算装置』を通して、新たなことわりを刻むための熱源だ!」


カイトは雷撃の中に飛び込み、龍の眉間に手を当てた。


「俺に従え、青龍。お前の力、俺がすべて使いこなしてやる。……お前にとっても、俺の中で眠り続けるより、俺の目を通してこの世界を見るほうが面白いだろ?」


『…………クク、ハハハハ! 面白い……! ならば見せてみよ、貴様の描く新たな世界を!!』


龍の姿が弾け、膨大な情報量がカイトの魂へと直接書き込まれていく。

それは屈服、そして完璧なる合一。カイトは「青龍の力」を完全に手なずけ、自身の魂に組み込んだ。


「……っ!!」


現実世界の滝裏で、カイトが目を開いた。

その瞬間、周囲の空間が震え、滝の水が重力を無視して逆流を始める。


「カイト……!? 何、その姿……」


駆け寄ったシズクが息を呑む。

カイトの周囲には、炎のように揺らめく濃密な「青いオーラ」が帯びていた。

その姿は、暴走時の怪物のような形態ではない。

身体能力は極限まで高まり、皮膚にはうっすらと硬質な蒼い鱗の紋様が浮かぶ。髪は逆立ち、稲妻を帯びて青白く輝いている。

それは、聖獣の破壊力と人間の知性を高次元で両立させた、いわば**「聖獣化・人型ゾオン・ヒューマンモード」**。


「……待たせたな。ようやく、この力の『仕様』を理解した」


カイトが軽く拳を握るだけで、大気がバチバチと鳴り、青い雷火が火花を散らす。


「ハハッ! いいじゃねえか、最高に強そうだ!」


レオンが堪らず、その青いオーラへ向かって「挨拶代わり」の真空拳を叩き込む。

だが、カイトは動かなかった。

拳がカイトに触れる直前、纏った青いオーラが自動的に雷撃を放ち、レオンの衝撃波を完全に「相殺」したのだ。


「……レオン。悪いが、今の俺の処理速度スピードに、お前の風は追いつかない」


カイトが横に一歩踏み出した。

ただの歩法のはずが、周囲からは雷鳴が響き、カイトの残像が幾重にも重なって見える。


「……朱雀カナデの炎、玄武シズクの盾、白虎レオンの牙。そして、俺の雷。……これで、役者は揃ったな」


カイトは蒼いオーラを静かに鎮め、仲間たちを見渡した。

聖獣化を完璧に掌握した青龍。その圧倒的な存在感は、王都に巣食う魔物たちの本能に、初めて「死」の概念を植え付けようとしていた。

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