表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
青年期 前半

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/84

63話: ホワイトアウトと、動けない熊


船が進むにつれ、潮風は刃物のような鋭さを帯び始めた。

数日前まで「暑い」とボヤいていたのが嘘のように、甲板は薄く氷に覆われ、吐く息は真っ白な霧となって消えていく。


「……見えてきたわよ。あれが、四聖獣・玄武が眠る『氷獄の孤島』よ」


カナデが指差す先には、灰色の空と一体化したような、巨大な氷の塊が浮いていた。島というよりは、海に突き刺さった巨大な氷の牙。そこには緑の一片すらなく、ただ凍てつく沈黙だけが支配している。


「……ロジック抜きにしても、あんな場所に生き物が住めるとは思えないな」


カイトはイエティの毛皮のフードを深く被り、鼻先まで冷気に晒されないよう身を縮めた。


船が氷の岸壁に接岸した。

一行は意を決して雪の上に降り立ったが、そこで第一の犠牲者が発生する。


「し、師匠……! 足が、足が雪に埋まって……さらにこの熊の毛皮が水分を吸って……重さが、通常の三倍……っ!」


レナードは上陸して三歩で膝をついた。

砂漠であれほど頼もしかった騎士の面影はない。今の彼は、ただの「雪の中に放置された巨大なぬいぐるみ」である。


「レナード、しっかりしなさい! ほら、私が後ろから火で温めてあげるから!」


「やめてくださいカナデさん! 毛皮に火がついたら、俺は文字通り『焼き熊』になって死にます!!」


「……お前ら、声がデカい。雪崩が起きたらどうするんだ。……それより、あそこを見ろ」


カイトが青龍刀の先で示したのは、吹雪の合間に見える巨大なドーム状の山だった。山というにはあまりに規則正しく、表面には幾何学的な紋様が刻まれているように見える。


「……あれが、玄武の甲羅か?」


カイトたちがその「山」に向かって歩き出した瞬間、周囲の雪が不自然に盛り上がった。


「グルルル……」


地響きのような唸り声と共に現れたのは、全身が透明な氷の結晶で覆われた**【アイス・ウルフ】**の群れだった。その数は数十。寒冷地特有の、熱を奪う魔力オーラがカイトたちの肌を刺す。


「カイト、来るわよ! 私の火は、この寒さで威力が半分以下に落ちてるわ。無理は禁物よ!」


「……分かってる。レナード、お前はそこで……まあ、転がってろ。邪魔になるなよ」


「そんなっ!? 師匠、俺だって騎士として……あ、足が凍って動かない! 待ってください、今、自力で解凍を――!」


「……いいから寝てろって。……お前たちの相手は、俺がやる」


カイトは背中の**【青龍刀】**を引き抜いた。

極寒の空気の中でも、その刀身から放たれる蒼い稲妻は、一切の衰えを見せずにバチバチと火花を散らしている。


「……おい、氷の犬ども。……母さんの薬を取りに来たんだ。邪魔するなら、その自慢の氷の体、全部一瞬で蒸発させてやるぞ」


カイトの瞳に、極寒の空をも凌駕する、冷徹な闘志が宿った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ