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蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
幼年期

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第4話:禁断の「有給休暇」捏造計画

素振り(と追加の岩粉砕)をどうにか終えた俺は、次の「火山地帯での組手」から逃れるべく、最終手段に出た。

青龍の権能——それは雷と風を司る。

俺は自分の周囲の空気を振動させ、自分の『ホログラム』を作り出した。

それだけではない。電気刺激を大気に与え、あたかも俺がそこに存在し、熱気を放っているかのような「偽の気配」を捏造したのだ。


「(完璧だ。これが俺の考える『リモート修行』だ。本体は母さんのいる台所へ避難させてもらうぜ……)」


俺の本体は、床下に潜り込み、音もなく移動する。

母・レンは、見た目こそ穏やかな美女だが、怒ると素手で空間を引き裂くタイプの人種だ。


「あら、カイト。もう終わったの?」


「……休憩。親父が『火山がぬるいからマグマを素手でかき混ぜてこい』って無茶苦茶言っててさ。あの人、いつか人間をやめると思うよ」


「ふふ、ガモンさんも相変わらずね。はい、特製の雷鳥プリンよ」


(これだ。この甘みが、前世で失った俺の人間性を繋ぎ止めてくれる。これが真の福利厚生だ……!)


だが、幸せな時間は長くは続かなかった。

外から、山が噴火したような凄まじい轟音と、父の絶叫が聞こえてきた。


「カイトォ!! 貴様、この気配だけの分身……もしや『無我の境地』に至ったのか!? 殴っても手応えがないとは、ついに実体をも超越したか!!」


(……いや、ホログラムだから当たり前だろ! 超越してない、ただ投影してるだけだ!)


「素晴らしい! どこだ! カイトの本体はどこだ! さらに強い負荷を与えねば、お前の才能が腐ってしまう!」


(……親父の『才能を伸ばす』という言葉は、俺には『寿命を削る』と同義に聞こえるんだよ!!)


逃げ場を失った俺は、ついに父と対峙した。

場所は屋敷の庭。父の全身からは金色のオーラが立ち昇り、地面の石がその圧力だけで浮き上がっている。対する俺は、もうヤケクソで青龍の紋章を全開にしていた。


「親父、いい加減にしろ。俺はただ、静かに、誰にも邪魔されず、日がな一日寝転んでいたいだけなんだ!」


「ガッハッハ! 寝転ぶだと? 龍が地に伏すのは、獲物を狩る瞬間のみ! さあカイト、その牙で俺を喰らってみせろ!」


「……話が通じねええええ!!」


父が踏み込む。その一歩で、大地に巨大なクレーターができた。


「雷牙・千裂爆せんれつばく!」

空気が圧縮され、無数の不可視の拳が俺を襲う。

俺は無意識に、背中に宿る青龍の力を「防御」ではなく「反発」に変換した。


(もういい、全部吹き飛べ!!)


ドォォォォォン!!




俺を中心に、青い稲妻のドームが膨れ上がった。

父の拳と、俺の全出力の放電が衝突。その結果、豪華だったはずの屋敷の屋根と、周囲の森の一部が、原子レベルで霧散して消失した。

空は晴れ渡り、不自然なほど綺麗な夕焼けが見える。


「……あ。屋根、なくなった」


俺が冷めた目で空を見上げると、父は全身焦げだらけになりながらも、親指を立てて笑っていた。


「……合格だ、カイト。4歳にして……この家の敷地半分を更地にするとは。これこそが、青龍の『慈悲』だな!」


「どこが慈悲だよ!! ただの環境破壊だよ! これ直すの俺なんだろ!? 結局また労働が増えるだけじゃねえか!!」


夕暮れ時。

結局、俺は半泣きになりながら、巨大な木材を運び、屋根の修繕作業をさせられていた。


「重いものを持つのは、筋肉の細かい制御と精神の安定を養う修行だ」と母に言われれば、反論の余地はない。

「(……はぁ。異世界に転生したら、魔法で自動化とか、奴隷を買って内政とか、そういうのがセットじゃないのかよ)」


俺の手には金槌。背中には数トンの瓦。

前世のサービス残業より、こっちのほうがよっぽど身体的にキツイ。


「カイト、お疲れ様。明日はガモンさんと『嵐の海でサメと素手で格闘する』予定よ。楽しみね」


母がニコニコとお茶を差し出す。


「……母さん。この世界に、俺のこの溢れ出る『電気』を全部吸い取ってくれるような、ものすごく頑丈で、何をしてもビクともしない……巨大な『壁』みたいな人、いないかな?」


「そうねぇ。北の果てに、どんな衝撃も笑って受け止める【玄武】の宿主がいるって噂よ。いつか、あなたの『全力』を受け止めてくれる人が現れるといいわね」


(……アース(接地)だ。俺に必要なのは、愛じゃなくてアースなんだ……!)


俺は夕日に向かって、静かに涙を流した。

青龍を宿した転生者、カイト。

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