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蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
少年期

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第38:授業開始:【朱雀】対【雷速の指揮官】

カイトは、パニックに陥るクラスメイトたちを前に、深く溜息をついた。


「(……もうダメだ。このままだと、俺の『平穏な退職金(卒業資格)』が灰になる。……仕方ない。一ヶ月限定の臨時プロジェクトリーダーとして、このバグまみれの集団を最適化するしかないか……)」


「……みんな、落ち着いて。……あのお姉さんは本気だ。放っておくと、本当に学園の登記簿が消滅する」


カイトが静かに口を開くと、演習場の喧騒がピタリと止まった。

これが、五年かけて築き上げた「影の番長」のカリスマ性だった。

「レナード君。君は右翼の熱量を拡散。……ユリアさん、君は左翼の魔力干渉。……残りのメンバーは、俺が今から流す『座標データ』の通りに、魔力回路を短絡ショートさせて。……行くよ」


「行くわよ、ヒヨコちゃんたち! 焼き鳥になりなさい!」


カナデが両手を広げると、空が真っ赤に染まった。

数百の火炎鳥が、一斉に生徒たちへと降り注ぐ。


「……今だ。右から三番目、魔力核の接点を狙え。……放て!」


カイトの鋭い指示が飛ぶ。

レナードが剣を振るい、カイトが指定した「術式の弱点」を突く。

すると、巨大な火炎鳥が、まるで供給電力を断たれたマシンのように、音もなく霧散した。


「……え!? 消えた!? 先生の魔法を、私たちでも無力化できるの!?」


「(……できるよ。どんな強大なシステムにも、必ず一点、致命的な『論理的な欠陥』があるんだから)」


カイトは群衆の中に紛れながら、指先を指揮者のように動かしていた。

彼自身は攻撃しない。だが、生徒たちのバラバラな魔力を、一つの巨大な「防壁回路」として再構築し、カナデの放つ業火を次々と「アース(放電)」させていく。


「あら、面白いじゃない! 私の術を、集団での『回路破壊』で封じ込めるなんて! ……でも、これはどうかしら!」


カナデがさらに出力を上げる。演習場が白熱の渦に包まれる。


「(……マズい。お姉さん、楽しくなっちゃってる。これ、実習じゃなくて『本気の負荷テスト』の域に入ってるぞ……!)」


演習が終わる頃。

演習場は、カナデの炎とカイトの対抗策が激突したせいで、あちこちから煙が上がっていた。

生徒たちは全員、精根尽き果てて地面に倒れ伏している。

だが、学園の建物は無傷。カイトが全魔力を「建物の構造補強」に回したおかげだ。


「……ふふ、あははは! 楽しいわね、カイト! あなた、五年でずいぶん小賢しくなったじゃない!」


「……もう、勘弁してよ。一時間で終わるはずが、三時間も超過してるんだけど。……残業代、出るの?」


「代わりと言っちゃなんだけど、今夜は私の部屋で『追加講習』よ。……逃げようなんて思わないことね。あなたの寮の部屋、もう私の魔力でロックしちゃったから」


「(…………最悪だ。強制合宿。……俺の、アイスクリームを食べながら静かに石を磨く至福の時間が……っ!)」

カイト、11歳。

師匠カナデの乱入により、五年間の「背景生活」は完全に崩壊した。

「影の番長」としての実力を、雷速のクロックアップと集団指揮という形で証明してしまった彼は、ここから一ヶ月、朱雀の業火の中で「デスマーチ」を経験することになる。

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