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蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
幼年期

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第3話:概念の壁、物理の暴力

異世界の朝。それは「小鳥のさえずり」ではなく「家屋の崩壊音」と共にやってくる。

午前4時。まだ夜の帳が降りている時間帯だというのに、俺が寝ていた部屋の壁が、内側からの衝撃波で粉々に粉砕された。

舞い散る土煙の中から現れたのは、もはや人間というよりは「直立不動の暴走戦車」に近い父・ガモンだった。


「カイトォ!! 夜明けだ! 肺胞の一つ一つを青龍の雷で焼き、眠気を根絶やしにするのだ!」


枕元に立った父の全身からは、目を開けていられないほどの黄金色の闘気が噴き出している。その余波だけで、俺の布団が微かに発火し始めた。


「……無理。まだ寝る。あのさ、親父。そもそも『成長期には睡眠が必要』っていう生理現象を理解してくれ。休息は怠惰じゃなくて、筋肉の超回復を促すための合理的なプロセスなんだよ」


俺は枕を頭に押し付け、必死に抗議する。

だが、父は首を傾げ、豪快に笑い飛ばした。


「ガッハッハ! セイリ? プロセス? お前はまた聞いたこともない精霊の呪文を唱えおって! 案ずるなカイト、我が雷牙流に『休み』という概念など存在せん! 動かぬ肉体は死肉と同じよ!」


(……ダメだ。この男、『睡眠』を『死の前段階』か何かだと思ってやがる。前世のブラック企業の社長だって、もう少し生物学的な限界を理解してたぞ!)


父は俺を毛布ごとひっつかむと、まるで荷物でも運ぶかのように脇に抱えた。


「いいかカイト! お前には青龍が宿っている。龍が横たわって寝るなど、天への冒涜だ! さあ、裏山の溶岩地帯まで走るぞ!」


(龍だって寝るだろ!! むしろ伝説の龍は大体どっかの洞窟で数百年単位で寝てるのが定石テンプレだろうが!!)


道場、あるいはその残骸。

俺の前に置かれたのは、本日の一日の訓練内容が拳で刻まれた巨大な石板だった。

1. 素振り: 10万回(※一振りごとに真空波で庭の池を二つに割ること)。

2. 防御: 崖上から落とされる10トンの岩を、頭突きで粉砕し続ける。

3. 対人: 父の全力の正拳突きを、まばたきせずに見切る。


「……なぁ、親父。これ、効率が悪すぎないか? 10万回も振るより、一回の振りに全神経を集中させて、筋肉の繊維を精密にコントロールする方が……」


「ハッハッハッハ! コウリツ! お前の語彙は相変わらず風変わりで面白いな! 案ずるな、10万回振れば嫌でも体は覚える! 考える暇があるなら拳を突き出せ! さあ、始めろ!」


(……効率という概念が、このゴリラ親父の辞書には存在しない。『数』こそが『正義』。典型的な脳筋思考だ。せめて科学的なトレーニング理論を……いや、この親父に分子生物学を説くのは、壁に正拳突きを教えるより無駄だな)


俺は溜息をつき、どうにかしてこの「苦行」を「作業」に変える方法を模索した。

前世で培った「いかに手を抜いて給料をもらうか」という社畜の知恵を絞る時だ。


「わかったよ。やるよ……」

俺は道場の隅に立ち、背中の青龍の権能を少しだけ解放した。

一振りごとに、雷の残像を数十体発生させ、あたかも「同時に100回振っている」ように見せかける。

バリバリバリッ!

空気が裂ける音が連続し、視覚的には完璧な「超高速素振り」が完成した。

俺自身は、その中心で目を閉じて、前世で読んだライトノベルの展開を必死に思い出して暇をつぶす。


「(……よし、これで1時間は稼げる。その間に脳内シミュレーションで、もしヒロインと出会ったらどうツッコミを入れるか考えておこう……)」


「カイトォ!! 拳から『汗の匂い』がせんぞ! 残像で誤魔化すとは、お前は天才か、あるいは究極の怠け者か! 面白い、ならば岩を2倍に増やしてやろう!」


(……鼻が利きすぎるんだよ、このゴリラ!! 汗の匂いでサボりを判定するな!!)

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