第31話:【体育祭】盤上の支配者と、孤立無援の「強制出勤」
「……あ。俺の名前がある」
学園の掲示板。全学合同体育祭の出場者リストの最上段に、なぜか『特待生枠:カイト』の文字が刻まれていた。
「(……おかしい。俺は先週、確かに『持病の腰痛(前世の遺産)』を理由に見学届を出したはずだ。……まさか、受理されなかったのか?)」
「やあ、カイト君。腰痛かい? 五歳児にしては渋い悩みだね」
背後から声をかけてきたのは、学園長だった。彼は食えない笑みを浮かべ、カイトの肩をポンと叩く。
「入学試験の魔力測定器、君が触れた後に『バグ』で再起動が必要になったんだ。……そんな君が、ただの観客で終わるなんて損失は、この学園の『予算』が許さなくてね。……さあ、最高のパフォーマンスを期待しているよ」
「(……チッ。あの時の『トントン』、加減しきれてなかったか……! 組織のトップに目をつけられるなんて、社畜として最大の失策だ!)」
体育祭当日。カイトは「ほどほどに負けて、早期退社」を目論んでいた。
だが、隣のレーンには、あの日「廊下で正座」させられた屈辱を、文字通り一分一秒も忘れていない男、レナードが立っていた。
「……カイト! 貴様の化けの皮、この大衆の前で剥いでやる! 姑息な術など、俺の『本物の魔法』で焼き切ってくれるわ!」
「(……うわ、出たよ。一回の失敗を根に持って、会議のたびに揚げ足取ってくるタイプのエリートだ。……ねえ、レナード君。その熱量、もっと生産的なことに使いなよ)」
スタートの合図とともに、エリートたちが魔法で加速し、コース上の「泥沼」や「火炎放射」を突破していく。
カイトは、目立たないように「中集団」に紛れ込みながら、迫りくるトラップを処理していく。
「(……ここの火炎放射、センサーの精度が甘いな。……トントン)」
カイトが走りながら空中の魔力を弾くと、彼を狙った炎が**「そよ風」**に変わる。
「……なっ!? またか! 貴様、何をした!?」
「何って……ただの運だよ。お坊ちゃん、足元の岩に気をつけてね」
「(よし、順位は24位。平均的、実にかっこ悪い。……これでいい)」
そして舞台は最終戦騎馬戦に向かうのであった。




