表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼雷の征く果て〜青龍の力が強すぎて、俺の平穏が常に更地になる件〜  作者: セルライト
幼年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/62

第13話: ホワイトすぎる「お留守番」

ギルドに登録してから一週間。


五歳のカイトは、受付嬢リナが必死に用意した「超低負荷・高報酬」の依頼をこなす日々を送っていた。

今日の依頼内容はこうだ。


『ギルド裏庭のベンチに座り、三時間ほど日向ぼっこをしながら、飛んでくる鳥の数を数える(報酬:金貨三枚)』


「……リナさん。これ、本当に仕事なの? 詐欺じゃない? 前世の感覚だと、こんなの怪しすぎて逆に怖いんだけど」


カイトは、リナが差し出した依頼書を疑わしげに見つめる。

リナは額の汗を拭い、営業スマイルを限界まで引き攣らせて答えた。


「と、とんでもございません! これは『生態系調査』という立派な学術依頼ですわ! カイト様のような……その、圧倒的な『存在感(魔力圧)』を持つ方がそこに座っているだけで、凶暴な魔鳥が街に近づかなくなる……いえ、鳥たちが平和に歌うんです!」


(……本当は、あんたがそこに座っているだけで、半径五キロ以内の高位魔物が恐怖で失神して近寄ってこないから、防衛費用が浮きまくってるのよ! 結界を張るより安上がりなの!)


「ふーん。まぁ、座ってるだけなら楽でいいや。じゃ、定時まで寝てくるわ」


カイトは、裏庭のベンチに寝転んだ。

彼が目を閉じた瞬間、背中の【青龍】が微かに吐息をもらす。

その不可視の波動が「静寂」として街全体を包み込み、エルドラの街はかつてないほどの平和(という名の、全生物の硬直)に包まれた。


次の日の依頼は、ギルド地下にある『禁書庫の整理』だった。

「古い本を棚に並べるだけ」というリナの説明に、カイトは快諾した。


「(……お、これはいい。静かだし、前世の図書委員を思い出すな。適当に並べて、残りの時間は読書でもしてよう)」


だが、カイトが地下へ降りた瞬間、彼を待っていたのは「整理」ではなく「封印の崩壊」だった。

棚に並んでいるのは、触れるだけで精神を汚染する邪神の魔導書や、開けば一国を滅ぼす禁呪の数々。それらが、長年の管理不足で今にも暴走しようとしていた。


「……なんか、この本うるさいな。ブツブツ言ってるし、変な紫の煙が出てるぞ」


カイトは、ガタガタと震えながら黒い炎を上げている魔導書を一冊手に取った。

その瞬間、魔導書から「深淵の魔王」の意識が語りかけてくる。


『愚かな人間よ……我が封印を解いた報いを受け——』


「あー、うるさい。今、分類分けしてるんだから静かにして。……よし、『邪悪なやつ』は右の棚な」


カイトは【青龍】の雷を指先に少しだけ纏わせ、魔導書の表紙を「デコピン」した。

パチッ!


『ギェェェェェッ!? 封印が……概念ごと書き換えられて……!?』


魔導書に宿っていた魔王の魂は、カイトの「静電気(概念抹消)」によって一瞬で浄化され、ただの「ちょっと古臭い装丁の歴史本」へと成り下がった。

カイトはその後も、暴走しかけている禁書を一冊ずつ「パチッ」と叩き、大人しく棚に並べていった。

三時間後。

様子を見に来たリナは、地下室の光景を見て膝から崩れ落ちた。


「カ、カイト様……? あの、伝説の『終焉を綴る書』が……ただの『美味しいパンの焼き方』みたいなオーラに変わっているのですが……?」


「ああ、リナさん。これ、中身が愚痴っぽくて読みづらかったから、読みやすく『整理』しておいたよ。あと、湿気がひどかったから、雷で全部乾燥させといた」


(……人類の禁忌が、五歳児の乾燥作業で無力化された……。この子の『掃除』の概念、やっぱりおかしいわ!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ