表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

1/2 Half – And Then…

一章 終焉の始まり




1-1. レイ・カミシロ — 第7宇宙の漂泊者


真青な空の下、大地がゆっくりと揺らめいていた。

ひび割れた地面から、息苦しいほど眩しい光が溢れ出す。

その光は地表を這い、崩れかけた街の輪郭を白く縁取っていく。


熱を帯びた空気が肌を刺し、耳の奥で低い唸りが響く。

遠くの空には、雲を突き抜け地平線を覆う黒い壁が浮かんでいた。

ゆっくりと、しかし確実にこちらへ迫ってくる。


彼の名はレイ・カミシロ。

かつて宇宙を旅した技術者、今はただの漂泊者。

十数年前、仲間も、居場所も、帰る星も失った。

そして今、この世界さえも終わろうとしている。


腰のホルスターから古びた通信機を取り出すと、ノイズ混じりの中から声が届く。

『…レイ、聞こえるか?』

レイは口元にわずかな笑みを浮かべた。

『ああ、聞こえる。間に合ったな。』


背後から足音。仲間が声をかける。

『大丈夫か、レイ?……また鼓動がするのか?』

レイは遠くを見るような目で首を横に振り、自らに言い聞かせるように呟く。

「世界を救え。」


胸の奥に響くその鼓動は、本人にも説明がつかない。

しかし、同じ瞬間、はるか別の宇宙で、同じ鼓動が鳴り響いていた。



1-2. イブン・カミロス — 第8宇宙の勇者

赤錆びた都市の廃墟。

金属の足音が瓦礫を踏みしめる。

漆黒のバイオスーツを纏う人物が、敵影へと迷いなく歩を進める。

肩から背にかけて走る装甲は、戦闘用というより生命を守る殻のようだった。


両腕の装甲が展開し、蒼い光刃がほとばしる。

一瞬で敵は沈黙し、街は再び静寂に包まれた。

倒れた兵士のヘルメットが転がる。

イブンは足を止め、しゃがみ込み、少年の髪をそっと直す。

手袋越しに、わずかに指が震えた。


低くかすれた声で呟く。

『……行くぞ。』

その声には、戦士の冷静さの奥に、隠しきれない温もりがあった。




1-3. 運命の響き


この宇宙の崩壊は始まり、世界は恐怖と混乱に支配された。

秩序は失われ、人々は生き延びるために争いを始める。

そんな混沌のただ中、一瞬の静寂と共に、勇者は降臨した。


『我が名は…イブン・カミロス!

この宇宙の崩壊を留め、皆と共に世界を取り戻す者なり!

皆、我に付き従え!』


その声が響いた瞬間、群衆は歓喜の咆哮を上げた。

陽の光が雲間を裂き、廃墟を黄金に染める。

その背に、幾千万の命の重さと、運命を背負いながら。



---


1-4. 内なる声


群衆に囲まれながらも、イブンは静かに空を見上げる。

孤独な勇者の胸にも、あの鼓動が響いていた。


——貴方は何者?

問いかけは、いつも返ってこない。

ただ胸の鼓動と共に、遠いどこかから同じ言葉が届く。


「世界を救え。」


その響きは、時空を越えて二人を結びつけていた。

まだその運命を知らないままに…。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ