生尻より下着。下着は黄金聖衣なのか
バックレース、フロントレース大好きです。
色は紫の方がいいかも
毎日ほぼ同じ時間に交差点に向かう。そして歩道橋を見上げる日々が続いた。
居るはずがない。いや、居たとしてどうするのだ?
僕は何がしたい。また偶然にもその女性の裸が見たいから?
首を横に振り
「そんな事はない。ただ服を返してほしいんだ。そ、そうだ!あれは珍しく服に金をかけた物だからだ。」
そして一週間後、歩道橋を見上げると高欄から人の顔が見えた。誰かいる!
直ぐに目を逸らすが、今度は心臓の鼓動が高まる。破裂するのではないかと思うほどだ。右手が自然に左胸にあて、鼓動を抑えようとする。少し落ち着くと再度、歩道橋を見上げた。
歩道橋上にいる人物はこちらに向かって小さく手を振った。
「うっ・・・噓でしょ。」
また逢える?また逢いたい?仮にあの女性だとしてどうする?意識的に歩道橋を見て確認する事に女性はどう思うだろう。また会いたがっている思われる?それともまた裸を見たいスケベな男と思われる?
意識と無意識の行動が万一逢えたらという時にはどうするかと、考える思考を止めていた。いや、実際そのシミュレーションをしていてもその通りの行動は出来てないであろう。
あげると言った服を「返して」という?
実際返してもらいたいが、なんとなく器が小さいというか・・・まあ器は御猪口並みに小さいのは自覚しているが。
「先日は何かあったのですが?」
聞いていいことなのか?アラちゃんはああいったが、もし何かの事情で、裸で捨てられていた可能性もある。そうなるとあまり思い出したくないかもしれない。
逆に褒めるということで、
「裸キレイでした!」
馬鹿なのか!俺!!いや、全く無しだろう。
女性の傍に行く事に躊躇しその場に立ち尽くしたままだった
。
「あの~。」
背後から声をかけられて慌てて振り向いた。
淡色系の白っぽい服を着た女性。Iラインのシルエットのタイトスカート。スカートの前方に大きくスリットが入り時折みえる透明な白い肌。トップスは肩を隠す程度の同色のニット。ワンポイントに長めの細い金色のネックレスをし、胸元で小さなトップが光る。
腕を曲げてネックレストップの下に手首に同色のバングル。曲げた腕に白っぽいストールを無造作にかけていた。左肩にはブラウンの巾着型のバッグをかけている。
右手には紙袋を握る。その紙袋も何故かおしゃれに感じる。
奇麗な女性の服は、サポート役?と思っていた。
女性と顔を合わせる。その奇麗な出で立ちですら、女性の美しい顔の前には引き立て役になってしまう。
「先日、服を掛けて下さった方?ですよ・・・ね」
女性の大人っぽい服を見て安堵しながらも何故か少し残念な気持ちも残る。
「は・・・はあ」
女性の言葉にどう反応するのが正解か解らず出てきた言葉がこれだ。
頭の中の自分の心(分身)が『はあなんて、お間抜けな返事しやがって』と転がり後悔している。今この場から逃げたい気持ちが強くなる。しかし、ここで逃げたらこの人とはこれで終わる。会話を成立させるんだ。
「裸キレイでした。!」
真っ先に思い出した言葉を発してしまった。
頭の中の自分の心(分身)が『お馬鹿なの?ねえお馬鹿?』とポコポコと自身を殴ってくる。
女性は大きめな目をさらに一瞬だがさらに大きく開き徐々に、少しずつだが目を細めていく。その細めた目は嫌悪感というより、いたずらっ子の目だ。
いやらしい
女性が発した言葉ではない。でも女性の目がそう訴えかけている。
ああ、失敗だ。右足が自然と後ろに下がる。もう逃げ出すしかない。
「・・・では」と体を反転し少し速足で歩き出す。しかし女性は僕の左手を掴みその足を止めようとする。女性は両手で包み込むように僕の手を握る。冷たくそして柔らかい女性の手。
「ちょっ・・・ちょっと待って!」
女性は持っていた紙袋の紐を包み込んだ僕の左手の指にかけるようにのせ、さらに僕の指をゆっくりと優しく曲げて握るようにした。
少し見上げるように僕の顔を見る女性。女性は微笑み口を開く。
「ありがとう、服」
30分程経ったころだろうか。ここに着くまでの話は後日話すとして、
「お、お兄ちゃん!」
僕の妹が部屋に入るなり、膝が砕けるように倒れかけて、ドアノブを掴んで何とか立っている状態だ。
「お兄ちゃんがとんでもない美人と2人で・・・」
僕は何故か女性と2人で家のリビングにいた。
女性の名前は、早坂 詩乃。
なんとなくありふれた古風な響きだが、文字にすると今風な名前だ。
妹が大げさに驚くのも無理はない。
僕が家に女性を連れてくるなんて今までになかったし、ましてや美人を、炬燵を挟んで2人きりで話してる姿をみて想像もしていなかっただろう。
詩乃はそんな妹を見ると、炬燵から出て正座をし、三つ指ついて頭を下げた。
「妹さんですか?私、早坂 詩乃と申します。いつもお兄様のト金さんには大変お世話になっております。今後ともよろしくお願いいたします。」
いつもって、まだ会ったのは2回だし今後ともって・・・「次もあるの?!」
思わず声に出してしまった。詩乃は僕の方をチラリとみて笑みを浮かべた。
僕と詩乃のやり取りを妹は聞かずに
「わ、私は氏家 歩です~。もう、よしくですます。」
妹は頭を下げそのまま床に滑らせた。
「ご、五体投地~!何してんだ、ふ~。」
妹もまた、将棋の『歩』から名付けられた。その為、周りからは『ふ~ちゃん』『ふ~』などと呼ばれてる。歩自身も自分を『ふ~』と呼称する。
五体投地の恰好のまま、妹は
「寧ろ何してるのはお兄ちゃんだよ!お茶、お菓子も出さずに!」
ぴょんと元気よく起き出し
「今から急いで買ってくるんで彼女さん、少し待ってて下さい。」
バターン
勢いよくドアを閉める歩。詩乃を気遣うように買いにいくのはいいが、ドアの閉め方など所々残念のところもある。
「いい妹さんね。」
詩乃から発せられた言葉はお世辞かもしれない。それでも詩乃は目を少し細めて笑顔を見せる。どちらでも良いがその笑顔が見れただけでも何故か僕の心は気分が良くなる。
「それより、貴方の家ペット飼ってる?」
「ペット?いや、飼ってないけど?」
「・・・そう。先程から足の方が触られてる感じがするんだけど。炬燵の中に何かいるのかな?」
何か虫でも入ったのかと炬燵の中を覗き込む。ヒーターでオレンジ色に光る炬燵の中。対面に座る詩乃の足を見ると、大きく入ったスリットの上部が股間の位置まで上がって詩乃の下着が見えるか見えないかの微妙ラインだった。
詩乃が足を少し動かすとオレンジの光の影響か透き通るような肌というより、健康的な柔らかそうな太腿がチラリと見える。見てはいけないの思いつつ動かすたびに左右の太腿に目が奪われた。
「ねえ・・・」
詩乃の呼びかけの声が聞こえ潜った炬燵から体を出す。
「ん、何もいなかったよ。」
「そう?」
詩乃は納得しないという顔より悪戯っぽい顔をした。ああ、絶対に確信犯だよね。タイトスカートが知らない間にずり上がるなんてないよね。
「それより貴方の顔、真っ赤だよ。」
詩乃が先程よりさらに目を細めて悪戯な天使のような顔になる。
「スカートの中が・・・あっ炬燵の中が熱かったから。」
「フフ、念入りにチェックしてくれたもんね。」
何なんだ、この子は。露出狂?痴女?僕の目の前で僕の行動でクスリと笑う彼女に少し怒りが込み上げてくる。
「あ、あのね・・・」
少し文句を言おうとするが、
「ごめんなさい。お手洗い、お借りしてもよろしいかしら。」
「え、ああ・・・」
ほぼ同時に立ち上げる。すると、詩乃のタイトスカートがストンと落ちた。
「「あ」」
詩乃はスカートを上げる為、スカートのホックを外し、ファスナーを下ろしていたのを忘れていた。詩乃は顔を真っ赤にし、体を反転させて、手でショーツを隠すような仕草を見せた。
黒いバックレースのショーツ。
某グラップラーの漫画でボクサーのグローブを外すと凶器となる。と思っていたがグローブがあることが力いっぱい殴れる武器となる。・・・と。
彼女の奇麗なお尻を見た経験のある僕は、下着姿なんてと思ったが、目の前の彼女を見て間違いと気が付いた。
彼女の下着は美しい人がより美しくなる凶器だ。
慌ててタオルを渡そうと詩乃に近づくと、ドアが
バターン!
「「「あ」」」
このタイミングで妹が帰ってきた。
「お。お兄ちゃん・・・」
妹は膝が砕けて倒れてた。