ー第1話ー崩壊の序曲
遡ること約10年前の2012年3月27日火曜日の昼下がり。
自転車を止めて川のほとりに立った。
何もかもが嫌になった。
思い切り泣き叫びたかった。しかし、叫ぶことができなかった。
そうする気力も残ってなかったのか。
それとも、わずかに周囲が気になるからだろうか。
あるいはその両方か。
「こんな結果を求めて生きてきたんじゃない…!」
ただただ、悔しかった。
小さい頃からいじめや嫌なことばかり。
良い思い出なんてあっただろうか。
数えきれない、学校の人影いないところで一人泣いていた記憶。
そんな僕にとって読書は心の拠り所だった。
本は僕に『この世界をもっと知りなさい』と教えてくれた。
次第に僕にこんな感情が芽生えた。
『絶対に世の中で成功して、いじめたやつらを見返してやるんだ!』
そう思った日から必死に勉強した僕は
2009年3月、念願だった地元でも有名な進学校に合格した。
『地獄から解放された!』
そう思った矢先、僕をうつ病という病魔が襲ってきた。
さらに続くいじめ。
毎日眠れぬ夜を過ごし、胸におもりを乗せられているかのように息苦しく、
体が鉛のように重かった。
勉強が嫌になり、自分のことも嫌になり、思う人生を過ごすことができない
高校生活が終わろうとする頃、
追い打ちをかけるかのように不幸が襲ってきた。
卒業式前日の2012年3月2日、父の会社が倒産した。
約1億円の借金があったことはあとで知った。
卒業式の2日後、父はいなくなった。
母はそれを分かっていたのだろうか。
卒業式の1週間前に韓国へ行ってしまった。
僕に「長い旅行に行く。」とだけ言い残して。
僕に残されたものは何もなかった。
それを自覚した瞬間、心の中で唯一あったものまでもが
音を立てて崩れた。