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6月22日 この星空は誰のもの。

 爛れてるってレベルじゃ無いよね。

 もう半ば溶けてる。


「爛れるの次は溶ける?」

《融解の方ですかね。そんなに集中出来ませんでしたか?》


「いや、集中しまくったが。ソレはソレ」

《折衷案で、次の月経日に、一気に採卵まで行きましょうか》


「それ折衷案か?」

《今すぐで良いんですか?》


「決を採りたいんだが」

《ハーレム内でしたら、秒速で即時案の賛成多数で決着かと》


「そうなると、折衷案になるのか」

《中途半端とも言えますけどね》


「間があ」

《精子の良い状態を目指すなら4日で充分です》


「なら」

《妊娠期ですら、全く無いは無いんですよ?》


「それはだって」

《そこは良いんです、でもお互いに出来るのに我慢し合うって不毛だと思うんですよ。それと、懸念点も有るんです》


 今回は排卵日前に薬を使ったので、本来の排卵とは違った筈。

 もし通常通り排卵した場合は、受精の為に灯台効果が強くなるのではと。


「なるほど、確かに」

《こう、固定観念化させたく無かったんですが、心配なさってるので白状させて頂きました》


「しかも今回は土日の公務日で、もし急に灯台効果が強く出たら」

《重軽傷者の被害多数かと》


「しょぼーん」

《大丈夫ですよ、今回は確認されませんでしたし。複数人で事前に抑え込めるかも知れませんし》




 蜜仍君が帰って来る直前、桜木さんが帰って来た。

 そして採卵は次の月経直後にと、反対者無しで可決となった。


「ただいまー」

「おかえりー」


 その話も、多千花さんの事も、何も無かった様な日常の風景。

 アレクは変わらず浮島で生活し、エナさん達は旅行中、マティアスさんはリビングで執筆し。


 桜木さんは狼になった蜜仍君をもふもふしつつ、ゴロゴロゲーム。


「今日はマティアスさんの日ですよ、献立」

《あ、パン、麺、お米》


 麺とパンが僅差だったので、麺入りのお好み焼きか、生春巻きやベトナム風玉子焼きでとなった。


「そうなると、ベトナム海老チャーハンのシラチャーソース付きと一緒に食いたくなるんだが」


 桜木さんの意見に外野からもメールで賛成票が入り、満場一致となった。


 生春巻きはマティアスさん、玉子焼きは蜜仍君が、そして海老チャーハンは僕。


「桜木さんは、映画を選んでて下さいね」

《だね、悪阻中だと思って待ってて》

「ですね、僕らが如何に出来るか見てて貰わないとですし」


 数分で選び終わってしまったので、ゲームの裏技と箱庭のミニチュアの新作を教え、確認作業へ移行して貰った。


 それでも、手伝わない事へ罪悪感が有るらしい。


 何かしないと愛されない。

 負の学習の打ち消しの為、何もしない事に慣れて貰うしか無いのだが、口に出しては我慢させてしまう事になる。

 なので。


「ご褒美リストとプレゼント案、もう良いんですか?」

「ぅうっ、集中してきます」


 少しずつ、桜木さんの為に誘導する事になった。

 少しずつ、何もしなくても愛されるんだと、理解して貰う為に。




 人のメシは最高に旨い。


『はぁ、おいしかった』

「ですな、御馳走様でした」


 帰宅したエナさん達とのお夕飯の後は映画。

 おつまみは海老と木耳入りの揚げ春巻き、シラチャーソースで3倍旨い。

 それとフルーツビール、マティアスとショナと一緒に飲む。


《私、そろそろ運動しようかなぁ》

「そんな?」


《だってほら》

「そんな?」


《ショナ君が羨ましいし、まだ私若いんだからね?》

「そんな?」


《もー》


「嘘ウソ、全然気にならないけど、レーヴィ式やる?」

《ショナくぅん》

「もっと良い方法が有りますよ」


 そこでショナの凄いサディスティックな面を初めて見た。

 寝転がって足を押し返して貰うヤツ、優しいんだけども。


《もう、むり》

「マティアスさんならまだ出来ますよ、後1回」


《ぅう》

「はい、良く出来ましたね、じゃあもう1回出来ますよ、はい。はい、上げて下さい、足が上がるまで起き上がらせませんよ」

「鬼」


「マティアスさんのヤル気を信じてますので。はい、もう1回出来そうですね、今度は僕を信じて下さいね、はい」

《ぅう、レーヴィの方が優しかったぁ》


「何せ僕は真っ赤な他人ですから。でもマティアスさんを信じてますよ、はい、もう1回」

《うぅ》

「ショナ、その手腕は何処で」


「元教官です、召喚者様への指導にはどうすべきかと相談した時に、筋トレごと教えて頂きました」

「あぁ、あの人が鬼の首領か」

《ギブ、ハナ、代わって》


「紫苑でやってみて良い?」

「マティアスさんが最後の1回をちゃんと上げたらですね」

《おにがいるぅ》


 アルコールを分解し、着替えて紫苑へ。




 ショナ君、シオンには少し煽る感じにしてる。

 凄いな、全く同じ対応かと思ってた。


「もっとゆっくり、腹筋だけですよ」

「キッッツ」


「呼吸しないと効果半減ですからね」

「ぅう」


「上手ですよ、ゆっくり、少しずつ。止める」


 ちょっと、犬の躾みたいだなって思った。




 ちょっと犬の気持ちだったわ。

 マゾちゃうねんけど。


「ありがとうございました」

「いえいえ」

《ショナ君はどうしてるの?》


「マティアスさんの後ろでしてたりしますよ?」

《えー、呼吸乱れないんだねぇ》


「その訓練も兼ねてますし、激しい運動は中庭や浮島でしてますね」

「暫くその習慣加える?マティアスは川で泳げば良いじゃん」

《ハナの浮島だから、何か気が引けるんだよねぇ》


「公共施設って看板でも建てるか?」

《恩恵の恩恵じゃない?》


「あぁ、いつ結婚するか」

《え?そうなっちゃう?》


「家族なら遠慮しないだろう」

《急に男らしく。プロポーズならもうちょっと、雰囲気が良いちゃんとしたのが良い》


「君ら何でそこに拘るのかね」

《だって思い出になるから、良い思い出にしたいんだもの》


「分かった。で」

《使わせて頂きますぅ》

「なら競争が1番ですね」

「負けませんよー」

『わたしもー』


 プロポーズの為に、先ずはマティアスと浮島へ。




 満点の星空の浮島で。


 嬉しいけど、引っ掛かる。


《せいちゃんの事を考えてたでしょ》

「ごめん、ちょっと思い出した」


《ねぇ、本当に見に行こうって思わないの?》

「滅んでたら流石に自傷行為に走るよ?」


《じゃあ、私とせいちゃんを会わせたいって願ってよ》

「それだって、滅んでたらどう言うの」


《会えなかったって言う。だって嘘では無いでしょ?》

「そしたらマティアスが辛いじゃない」


《って言うか、私は滅んでるなんて欠片も思って無い。ワンコとせいちゃんにはラウラに似た子が居て、きっと大変だろうなって思ってる》

「ワンコ、そこまでするかな」


《ノアの元夫が変なんだよ。どの性別でも好きな人の子供は欲しいものだよ》

「ワシは鎹の役目で、失敗した子」


《それも異常、私の居た世界でも、ココでも。本当なら0でだって異常行動なのに、皆が面倒だからって黙認してるだけ。現にこんなに、可哀想な被害者が居るんだし》

「被害者と自覚して無かったから、被害者としては声を上げない。結果、居ないになる、はぁ」


《せいちゃんもワンコも、絶対にそんな事はしない。好きだから、愛してるからラウラの子を欲しがる。じゃなかったら殴る》

「急に暴力的な発言、そんなに自信が有るの?」


《だって映画館観たもの。ラウラが思う以上に客観的に観れるんだよ映画館って、でもそれをラウラが観るから、ラウラの視点になるだけ。私は私で観たから、大丈夫》

「繋がって、話せたら、好きになっちゃうかも知れない」


《ラウラの好きになっちゃうかもって、殆ど好きになってるよね。好きに深入りしたく無い》

「多分、うん」


《ならもう、蓬ちゃんもドクターも誑し込んでヤキモチ妬かせて、振り向かせよう》

「ビッチ」


《一部のビッチは寂しいからビッチするんじゃ無い?ラウラは寂しいの?》

「いや、全くもって忙しいが」


《じゃあ役回りをこなしてるだけだよ。それとも嫌なの?皆とするの》


「全員いっぺんには無理だな」

《だよね》


「ワンコ、本当に好きだったと思う?」

《うん、勿論。だから、ショナ君の気持ちが良く分かる、自分達の世界を救う為に、大事な恋心を蹴飛ばさせたって、今も凄い気にしてる。井縫さんとなら幸せになれたかもって、他から犬神の移動をさせれば食い合いが起きてた筈で、向こうならハーレムだって必要無かったかも知れないって》


「でも、どうしたって居られないでしょうよ」

《それはラウラが戻る事を前提にしてたから。もし、戻らないならそれなりに考えて動いて、何か成したかも知れない。けど、その選択肢をココが消した、ラウラが戻らなくても良かったなら、逆にそう言う事にもなるんだよ》


「向こうへ行って、好きだと言われたら、どうしたら良い?」

《時間は関係無いじゃない?だから義体やホムンクルスに入る、そうしてドリームランドと同じ様に、覚醒と入眠を繰り返す事で、行き来が可能になるかも知れない》


「でも、名前が」

《魔道具は向こうにも有るでしょ?鈴藤紫苑で良いじゃない》


『付いて行く』

「マーリン」


『マーリンは既に2人居る、俺かアイツが付いていく。アイツの知識は新しく出来た図書館と映画館に保存されてる、俺のも、だから消えても』

「問題有りだ、その為に一緒に居て貰ったんじゃ無いもの」


『2人の意思、役に立ちたい』

「いらん事を考えないでくれよ」


『心残りは心を歪める、歪んで欲しく無い、出来る事を我慢して欲しく無い』

「我慢して無い」


『知るのを我慢してる、知ればどうにかしたくなると知ってるから。繋がれば、本当に繋がったら、どうなるかも考えるのを止めてる。思考を止めるのは死と同じ、生きて無い、死なないだけで、生きてるとは言い切れない』

「白雨と同じ事を」


『俺は好きな相手が上書きされて良かった、ハナを知れて良かった。会えなくても話せなくても、残してくれたモノが沢山有るから。だから、寿命の有るハナには、死ぬ時に後悔して欲しく無い、あの時に決断してればって、後悔して欲しく無い』

「良く喋るマーリンだ」


『ロキとも、土蜘蛛とも話した。ハナの幸せの可能性を考えて、話し合って。ドリームランドで何かあっても、絶対に俺が何とかする、出来るからする。だからハナも、出来る事はした方が絶対に良い』


《よし、悩んだら休憩。まだ寒いし、中に入ろう?》

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