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5月20日 ロウヒへご挨拶と、日取り。




 本当に、ドリームランドからレーヴィが消えていた。

 何も、お墓も無い。


《海に撒いたし、お墓はウチのだから》

「そっか」


 そしてマティアスに促されマーリンに会いに行くと、このまま融合せずに遊郭に住み着くらしい。

 ウチのマーリンも了解し、不思議な共存が始まった。


《コレだと、いずれワンコも来ちゃうかもね》

「それは本当に、困る」


《困る、ね》




 朝起きると、嗅ぎ慣れない甘い菓子の匂い。


 そうだ、ココにはマティアスも居るからか。


『おはよう』

《おはよう、大丈夫そうだった?》


『あぁ、何も伝わっては来なかったが。そっちは大丈夫だったろうか』

《うん、何も伝わって来なかったから大丈夫》


 嘘か、どうか。

 分からないが無理は無さそうだ。


『なら、良かった』

《ありがとう、話し合いを勧めてくれて》


『不安が、少し伝わったから』

《ごめんね、ありがとう》


『いや、好きだからこそだと思う』

《こう共有出来るのは、不思議な感じだね》


『うん、思いの外、安定している』

《なのに、外野が煩いみたいだね》


『何処にも、一定数出てしまうらしい』

《だね。きっと、向こうならもっと、大事だったよ》


『マティアスの記憶を。社会的な面のみ、観たいんだが』

《うん、どうぞどうぞ》


 こう物腰が柔らかく、ハナが頼った優秀な存在。


 俺は、ただただ歳を重ねただけ。

 彼は濃縮し、圧縮された時間を過ごして来た。

 どう、歳を重ねるか、なんだろうか。


『どうしたら、そうなれるんだろうか』

《ヒントになるかは別だけど、一緒に作ってみない?》




 甘い匂いと白雨の声で、飛び起きた。


『ハナ、作った』

「なんだ、溢れたのかと思った」


『もう、溢れても問題無いと思うが』

「ワシにしたら君らは豹変やねんぞ、収拾つかんのが怖いねん」


『そう拒絶してる限り、受け入れないと同義なんじゃないだろうか』

「朝から本質を突く」


『うん、良くなって欲しいから』

「善処はします」


『沢山、甘い物が有った。遠野へ、朝食に戻ろう』

「おう」


 白雨から頬にキスを受け、リビングへ。

 本当に甘い物が沢山。


 そしてマティアスの体力に疑問が湧いたので、ドリアードに尋ねると。

 神々が勝手に、内緒で、最盛期に調整したらしい。


《有り難い。ありがとうございます》

《くふふふ、拝み、供物までくれるとは。誠に良い奴じゃの!》

『全く。すまんな、朝から騒がしい事に』

『いえ、我儘ですが。全く静かなのも、何処か違和感が有るので』

「一緒に居過ぎたか」


『いや。寧ろ、今の俺の限界数が、5人位までなんだと思う』

《慣れて無いと大人数の対応って難しいものね》

「あぁ、同居はどうする?」


『マティアスなら8人居ても問題無い』

「ふふ、騒がしいぞそれ」

《そうかな?》

《全てがハナに群がれば煩そうじゃな》

『ほれ、さっさと帰るぞ』


《ふふ、こんなに、本当に気軽なんだね》

「慣れておくれね。白雨にも」

『あぁ、宜しく頼む』


 甘い物を持って、遠野へ。

 牛乳とマドレーヌとホットサンド、つい、夢かと錯覚しそうになる。


《額縁の外だって顔してる》

「「えっ」」

「ふふ、ハモったー、良いなぁ」

『ショナもか』

『もう、悲嘆の顔に本当に嫉妬しそう』

《綺麗なお顔ですからね》


「ほいで、どっちに言ったのよ」

《最初はハナなんだけど、コレだと両方かな》

『集まるのは良くなさそうだ、ハナもショナも』

「いや、僕は慣れないだけかと」

『もう、観たら良いのに』

《ですね》


「コンちゃん、何の話」

《作品です、ご、ハナさんの》


「どれ」

《男性同士の》

『はーい、そこまでー』

「あー、僕も観たいヤツだー」

『蜜仍はダメだな』

《私も観たいー》


「君、そん、どうする気?」

《ショナ君が自信無いから、それで自信になるかなって。私は興味本位》


「おま、エロ本ぞ」

《良いじゃない、良いシーンが有ったら流用したいし、ね?》

「あっ、はい」


「正しく汚染やで」

《腐海の森を探索して、彼がショック受けると思う?》


「んー、ショナの好きなエロ本が有ればなぁ」

《正しく等価交換だね》


「ある?」


「いえ」

「お気に入りの何か」


「いや、その」

「蜜仍君は有る?」

「有りますけど、致せるまでは秘密ですからね?」


「蜜仍君ですら。もう、コレはマジで交渉事だぞ、量が量だし」

《じゃあ、先ずは話し合いかな?》

「是非、そうさせて下さい」


 蜜仍君を送り出し、白雨とマティアスは先生の家へ。


 中庭で、ショナと話し合いへ。


「朝からお(シモ)い話で済まないんだが。そも、何故そうなった」

「皆さんを見てて、昨日、額縁の外だと思ってる顔をしてた、とマティアスさんに言われて」


「あぁ、マティアスのピット器官か」

「あ、そこまで話されたんですね」


「おう」


「そう、自信が無い所へ。コンスタンティンが、作品を観れば好みだと安心出来るだろう、と」

「弊害」


「それでも、僕は、性的な部分は」

「いや、エロ本ってそんなガチじゃ無いのよ?ロマンスの中に致してるシーンが必ず入るってだけで、ネタっつうか、ギャグ物すら有るし」


「それでも、踏み入る感じがどうも」

「君のは踏み入る場が無いんだものなぁ」


「コレから作る場合は、交渉出来ませんか?」

「そんな不安?」


「実感が、欲しい感じです」


「あぁ、分かった。今回は、引いたら記憶を消すからな」

「はい」

『承ったぞぃ、昼寝でじゃな。またの』


「昼寝でかぁ」

「ありがとうございます」




 ネイハムとの面談に、先ずは白雨君から。

 私は執筆、もう少し大きいキーボードが欲しいかも。


《すっかり、じゃな》

《お陰様で。まだ実感が少し薄いんですが、楽しくやらせて貰っています》

『実に器用だな、話しながらとは』


《慣れですよ、ふふ》

『それでだ。寿命の事はどうするんだ』

《アレが心配性じゃろ、コレもなんじゃよ》


《卑怯だとは分かってるんですが、国民投票でお願いしたいんです。生殖も、生存も。今回は、遺言で生み出す事だけが特別に許可された形ですよね、だから、お願いしたいんです》

『話し合う気は』

《無いんじゃな》


《はい。ある意味での尊厳死、周りに迷惑を掛け無い為の自殺行為。ラウラにはもう、怒られても泣かれても、もう負担にはなりたく無いのと。未来の子供の為に、妥協したくは無いんです》


『アレが考えそうな事だ』

《じゃの、ジブリールや》

『承りました』




 先生の所から帰って来て早々に、マティアスが、とんでもない国民投票をさせたと分かった。

 ホムンクルス、又は亜人の生殖機能の賛否。

 それと、生存の賛否。


《ごめんね》

「いや、ワシが提案すべきだったな」


《委ねて、任せてくれたんでしょ?》

「君やレーヴィや何やで手一杯だったわ。やっぱり君は頭が良いな」


《そしてお菓子作りも上手》

「そうだね」


《もー、信じて無いの?》

「半々、恐れる自由は有るもの」


《正しく知れば、恐れる必要無いでしょ?》

「正しく知れる人間が、どれだけ居るかね」


《事件の直後だもんね、大丈夫?》

「君は、そう、信頼しての事なの?」


《少なくとも、ラウラの周りを見る限りはね》

「博打が過ぎる。最悪は召し上げだな」


《あ、ギアス、ココでもトール神が良いな》

「召し上げも?」


《ふふ、彼の名を言わないんだね》

「だって、喜んで来ちゃうもの」


《ヘル神とトール神に誓います、ラウラを、ハナを裏切ったら、激痛と痒みのままに寝たきりになります》

「地獄じゃん」


《医療も信頼してるからね、地獄が続くと思う》


《ふふふ、凄く、良い地獄の提案ね。お受けするわ》

《初めまして、マティアスです》

「度々すまんね、ありがとう」


《ドゥシャがね、甘い物が好きなんですって。どっちに、似たのかしらね》

《なら是非、ご賞味下さい》


《頂くわ、じゃあね、ふふ》


「もし、否決されたら」

《うん、召し上げも考えるけど。どの神様?》


「ロウヒとイルマリネンに会いに行こうか」


 皆を連れてフィンランドへ。

 そして、ロウヒの家へ。


《あらあら、初めましてで良いのかしらね?どうも、ロウヒです》

《勿論です、懐かしいなぁ》


 マティアスは感激屋さん。

 つられてロウヒまで。


 コレは、くるな。




 マティアスさんも、ロウヒ神まで。

 桜木さんは、すっかり顔を隠している。

 

『お邪魔しに来たよ』

「イルマリネン、ナイスタイミングだ」

《本当に、ヤキモチ妬きなの、ふふふ》

《みたいですね。初めまして、マティアスです》


『ふふ、君に加護を』

《私達からのプレゼントよ》

《ピアス?》

「魔道具やん」


《あ、その眼鏡も良いなぁ》

《ふふふ、ハナもコレだけ欲しがってくれたら楽なのに、ねぇ?》

『本当に、素直じゃないからね』

「さーせん」


《感覚を抑える魔道具よ》

『それと、眼鏡だね。はい』

《私、こんなに貰っても》


《アナタの能力を評価しての事よ》

『その能力を正しく使える様にする魔道具、補助、補佐。ココではもう何も無しで人は生きられない、防寒具や日除けは必需品だ。そうなれば、対価は必要無い、寧ろ当然の対応だと言えるだろうね』

「アナタ達も、ロキと関わってしまいましたか?」


『寧ろ、人間だね』

《特別な場合でも特別扱いはダメなんて、不合理でナンセンスよ。良い部分を伸ばせと言いながら、平等を押し付けるなんて、本当に酷い話だわ》

「珍しくプリプリしてる。マティアスのお菓子でも食べて収まっておくれ」


『君や君らの事だからね。功労者に報奨無しは有り得ない、0で世間が揉めていた事だろう?』

《それでは誰もそんな場所で発明しないわよ、他の会社や国に取られるなんて当たり前だわ》


『ましてや何が報奨となるのか、個人の価値観を認めると言うのなら。金品では代え難いモノで支払っても、問題は無いハズ、だろう?』

《この世界からのギフトと思って欲しいのよ、ね?》


「1周して、ワシを説得してる?」

《あら、バレちゃったわね。ふふ、お菓子美味しいわよ、マティアス》

《ありがとうございます》

『私達はもう家族、しかもココでは既に可決された。もし否決されたら、ウチにおいでね』


《ありがとうございます、良いよね?》

「だね、もう、国に縛られる必要性を感じないもの」


 コレも、中継されていたらしい。

 遠野へ帰るとタブレットに通知が来た。


 フィンランドで、生殖と生存の案が可決。

 ついで個人の連絡まで転送されていた、兄から。


 移籍の可能性を示唆する会話が流れたが、我々は見限られたんじゃ無いか、お前は大丈夫なのかと。


「桜木さん、少し家族と話して来ても良いでしょうか」

「良いけど、何か有った?」


「あの、まだ、桜木さんとの報告で」

「あぁ、楠にしとく?」

『うん、会いに行ったら良いよ』


「はい」


 交代要員は、元教官。

 桜木さんと気が合う数少ない女性。


「では、プライベートと仕事を分けているんだと胸を張って仰りたいなら、交代は23日の早朝。宜しいですね?」


「はい」




 ショナは23日まで、戻って来ないらしい。

 いや、たった3日だし、他にも居るんだし。


「ご心配なら、ご結婚されたら宜しいんです」

「へ?」


「特別な場合に限り、重婚は可能になりました。他国との調和も兼ねてのグローバル化です、ウチだけルーマニアを除外する事は出来ませんからね」

「あぁ、ご苦労をお掛けします」


「いえ。私は、アセクシャル、アロマンティックと分類される人間、大昔は異常者だとされていました。ですが私は許容と言うか、本当にどうでも良いんです。寧ろ、子孫繁栄に貢献して頂けるのだなと思う側で。何なら、私の苦労を代わって頂いているとすら、勝手に思っています」


「いや、うん、急なカムアウトにビックリしました」

「ご相談頂けないので、コチラからと。まぁ、恋愛関係は全くご相談には乗れないんですが、家庭や一般的な事や法的な事なら、相談に乗れますので」


「あの、嫌悪より無関心系?」

「はい、大変そうですね、お察しします。が、全てです」


「ご家族は?」

「夫もです、価値観を分かち合った瞬間、いきなり家族と出会えてホッとした感じで、そのまま直ぐに結婚しました。そして恋愛は社会的に必修科目なので子供には補佐が、互いの両親とグループに補って頂いております」


「真反対」

「それこそ異次元の世界の事と、何処か他人行儀な目線でした。ですが、子供がルーマニアの方と幸せになれるのなら、別に、良いかなと思ってはいます」


「愛情は感じられるのに、淡白」

「良く言われます」


「ショナ、教官そっくり」

「全然、違いますよ。本当に私に似ていたら、あんなに悩まなかったでしょう。私と言う見本が居るのに悩むなんて、客観性がまだまだですね」


「そう客観的になりたいんだが」

「トレースすべき見本は他に居られる筈ですので、私は後回しにして下さい。ジャンル違いです」


「はぁ」

「私は、アナタで良かったと思います。この国に来て下さった事も、残った事も、あの子の相手も」


「あの女性の事を聞きたぃ」

「少しなら。まぁ、合わないですよ、アナタとも津井儺君とも。ジェンダーに関して、ココが幾ら進化していると言っても個人差は大きい。でも向こうのアナタが女性と男性の垣根を取っ払った、それはあの子には出来ません。そして出来たアナタに津井儺君は惹かれた、もう純粋に、強い人間に惹かれる感じなんでしょう」


「まだそんなに垣根が?」

「男性同士では妊娠は不可能でしたので」


「あぁ、じゃあ、逆の、ワシみたいなのが悩む事が」

「はい、互いを軟禁状態化するだろうと。ですが、お子さんを作らない場合に限り、月1の個別面談だけで民事不介入。恋愛の仕方を不健全だ健全だと分類しては、良いお話はフィクションにすらも存在出来なくなりますので。お話は好きなんです、お話は」


「おぉ、何か読んで貰えましたか」

「比翼の妖精。恋愛が絡ま」


「待った、マティアスにも聞かせたい」

「宜しいんであれば、是非」


 こう、真面目なファンにマジレスして貰えると。

 ワシも泣いちゃう。


《なんかもう、凄く、幸せ》

「うん、アカンわ」

「本来なら市井でもお聞かせしたいのですが、未だに安全性に不安が有るので。コレは何も召喚者様だからでは無く、有名人たるもの熱心なファンは存在しますので、そう捉えて下さい」


《あの書き込みの子も、最初はきっとただのファンだったんじゃ無い?》

「仰る通りで。好きで有ればこそ、投影だの何だのとしてしまうそうですから」

「あの、ショナに心理作用は」


「アナタが本気を出せば可能でしょうが、そんな形跡も痕跡も気配も無い。と言うか、本物の恋と偽物の恋だのと分類するから逆に不具合が起きるんです。明らかな錯覚以外、全て本物の恋です」

《良い相談相手が居て良かったね》

「寧ろ」


「不快に感じる事が有るとするなら、浅慮。寧ろ私が不安です。不適格な場合が殆どでしょうし、一般的な事しか述べられませんし。ただ、家庭を持つ先輩では有りますので、ご相談頂ければとは思います」

「はい、ありがとうございます」

《うん、宜しくお願いしますね。早速なんだけど》




 3日。

 明確に3日後に帰れるのは良いのだけれど、3日も。


《お帰り、お夕飯はどうするの》

「ただいま帰りました。夕飯は」

「ピーマンの肉詰め、召喚者様のレシピなの、ふふ」


《SNSに載ってたのよ、焼き鳥丼も。その焼き鳥のタレで肉詰めだなんて、美味しいに決まってるじゃない》

「おつまみにも良いから、色々と真似してみようって、ふふ」


 それ全部、僕が載せたモノなんですよね。

 こう、自慢したいと言うか、何なんでしょうかね、この気持ち。


《美味しいに決まってるわよね?》

「もう食べた?」

「はい」


「ふふふ、モミジ探して来てくれない?」

「あの、鶏ガラでも良いと」


「トロトロになんないんだもの」

《何か伝手は無いの》

「あぁ、はい、探してみます」


 先ずは市場へ。

 もう僕が仕入れ担当だと思われているのか、ストックをと1つ売ってくれた。

 そして鮮魚屋でも、アサリが余りそうだから買ってくれと。


 そして八百屋では良いアスパラガスだ、最後のタラの芽だと。

 もうついでだと再び肉屋に引き返し、肉巻き用の肉も買った。


 そして省庁へ白雨さんを呼び出し、品物を渡した。


『休暇じゃ無かったんだろうか』

「家族に頼まれて買い物に行ったら、買わされたんです」


『あぁ、そう伝えておく、ふふ』


 そうしてやっと家へ。


《アンタ、凄いわね。今朝は予約分しか無いって断られたのよソコ》

「助かるー、もう試した人が居て、モミジ無いと違うって言うんだもの」

「そう、なんですね」


 こう、利益とは自然と享受させられてしまうのか。


《何よ、卑怯な手でも使ったの?》

「いえ、通常の買い出しと間違われて」


《なら、仕方無いじゃない》

「まぁ、はい」


《ハッキリ仰い、ダメだったならお父さんか》

「いえ、受け入れては頂けました」


《なら問題は、どちらか、よね》

『楠とで、と。エナからの指示だ』

「楠さんです」


《ご両親は》

『ロキとソロモンが請け負う。家は北海道の一軒家だ』

「北海道に、はい」


《ご挨拶は》

『済ませてある』

「済んではいます」


《そう、じゃあ。次はアンタがどうするかね》

『マティアスが結婚について説得中だ』

「そん」


《あら、まだ早い段階なのかしら?》

『まぁ、お前次第だ』

「それは」




 ラウラ、頑固。


《したく無いの?》

「良いイメージが、どうしても」

「重婚の方も、でしょうか」


「まぁ」

《でも、誰とも結婚しないのも、誰かとだけ結婚するのも。問題じゃない?》

「仰る通り」


「明記したら、序列や順番が」

《そこは、もう先生が考えてるんじゃ無い?》

「はい、コチラです」


 先ずはショナ君、ロキ神を挟んで、白雨君、ネイハム、私、シオンはルーネと。


《出会った順番と、年齢制限かな?》

「はい、仰る通り」

「あぁ、おう」


 追々で順調に行けばアレク君、ユラ君、エミール君、蜜仍君、エナ君。


《妥当だと思うよ?》

「こう見ると、こう、凄い数」

「その分だけ、ご苦労も有るかと」


「まぁ、多分」

「浅慮な選択の場合は、キレッキレで言わせて頂きますが。コレでも足りないのに遠慮なさっても、同じ対応をさせて頂きます」


「それは良いんだけど」

「津井儺君ですね」

《あ、その為の今日?》


「さぁ、どうなんでしょうね」


 白雨君とエナ君は先生の家に退避しちゃったし。

 うん、多分正解かな。


《もし、普通に結婚するなら。記念日で溢れちゃいそう》

「そこは誕生日にと、なんせ数が数ですし、表立ったイベントは皆さんでお祝いなさるかと」


《そうだね、ハナに何か渡したいな》

「あ、贈与と言うか、本来の持ち主に」

「その計算も済んでいますし、口座にも移し替え、税金処理も完了しています。ご確認を」


 うん、ちょっと舐めてた。

 全世界規模で、しかも大々的にだもんね。


《ちょっと、腰が引ける額だなぁ》

「だろ、かなりホッと、でも無いな」

「鉢植えや工芸茶の予約が発表されましたので、それです。宝くじの発行を致しますか?」


「《します》」

「了解しました。では話を戻しますが、結婚記念日はどうされますか」


《面倒を掛けるけど、其々に候補日を》

「既に数名から受理されているそうです」

「おふぅ」


《じゃあ私も提出しないとね》

「はい」




 なんてことに。


「あの、成婚パレードは」

「この国ではお1人で、エミール様の国では合同でお願いします。コレは決定事項です、経済をも回す事になるので」


「そうなると、結婚式は」

「津井儺君なら楠さんとして、ご家族と省庁の関係者数名です」


「です。決定事項か」

「はい。ご両親には、ロキ神とソロモン神がお出になるそうですが」

『はい、どちらをどちらにしましょうかね?』


「向こうの出方をだな」

「そうですね、結婚式は楽しい行事ですから、憂い無く考えるべきですね」

《あぁ、私もなんだけど。コレも順番通りの方が、いや、被ってもアレだし》


「皆様でご相談が良いかと」

《コレは、ご挨拶もしないとだし。そろそろロキ神ともお会いしたいなぁ》


「分かった」


『お邪魔しまーす』

「呼んでも無いのに」

「ご苦労様で御座います」

《初めまして、マティアスです》


『わぁ!蛇の匂い、亜人だ、凄い』

「良い絵ですね」

「あぁ、はい」

《あの、今日は?》


『魔道具貰ったんだけど、我慢してたんだよ?だけど何かピリピリするから、大丈夫かなって』

「あぁ、国民投票の事かな」

「ロキ神にだけ、開示致しましょうか」

《お願い》


 ロキ、黙読してる。

 つか食い付いて離さない感じだが、大丈夫なのか。


『ふふ、ピリピリの原因、コレかどうか分かんないや』

「分からんのかい」

《もし良ければ、結婚式の話をしませんか?》


『するー!』

「本当に、ご苦労様です」

「いえいえ」


 ルーネの方でも神々がご両親方式は使うそうなので、紫苑の方ではソロモンさんがお母さん。

 楠では、ロキがお母さんになる事に。


『2回も見れるんだし、俺は無しね。召し上げの時に、ちゃんとするから』

「万が一ね」

《でも、それっぽい事は有った方が良いんじゃない?》

「離婚率が下がりますし、逆に特別扱いになってしまいますからね」


『じゃあ、皆で浮島で、少しだけ』

「指輪はどうすんの」


『首に掛けるだけ』

《じゃあハナも準備しないとね》

「カタログを送信しました」

「早いぃ」


『待ってた方にしたら遅い位だよねぇ?』

《ノーコメントで》

「ぐぬぬ」

「指輪は統一される方が宜しいかと、差異が出ては面倒ですので。桜木様の方に個性を出させるべきかと」


『じゃあ、皆で相談だね☆』

「もう、君が来ると加速性能が凄い」

「有り難い限りかと」

《ノーコメント》


「ぐぬぬ」

「心労、お察し申し上げます。因みに、誤解が無い様にとお伝えしますが、私達はちゃんと相談しましたよ。結納も式もしっかりと、離婚率を下げる為、子供の為に」


「先ずは、先輩の話を聞きたい」

『だね、人間も情報は必要だし』

《うん、お願いします》




 祥那が、もう、結婚だと。


「いつの間にそこまで」

「いや、その」

《だって、真面目な方でお付き合いは結婚となるなら、そうじゃない》


「はっ、相手は」

「楠さん、です」

「だーかーら、お赤飯のお稲荷さん買って来てって言ったの」


「てっきり優子が食べたいのかと」

「それも有るけどね、ふふ」

《お父さんにも頼んだし、もう、配り歩こうかしら》

「それは本当に止めて下さい」


《あら、まだ決めかねてるの?》

「職業上、色々と見て来られた方なので」

「あぁ、ウチにも居るが。結局は支え合えるかどうかだぞ?」

「話し合えるかどうかよね」


「忙しい方で」

《それだけかしらねぇ》

「他に取られてしまう心配はしないのか?」


「それは、有りますけど」

「離婚が、心配か?」

《戸籍を汚したく無いとか言ったら小豆を袋で投げるわよ》

「私も、お塩で埋めるんだから」


「あの、正式な会食からでも」

《私は私の直感を信じてるの、あの子は絶対に良い子なんだから、ちょっとでも躊躇ったら直ぐに他に取られるわよ》

「私も推したいけど。でも、迷うなら良いのよ、初恋が実るなんて中々珍しいんだし。綺麗なままでって思うなら、もう、離れちゃえば良いのよ」

「優子も割に短気なんだよな、よしよし」


「もう、だって、本当に心配なんですもの。こう奥手なんだし、愛情表現がちゃんと出来てるのかどうか」

《本当に。あ、来週から犬と猫が来ますからね、祥那の部屋は完全に消滅します》

「分かれても左遷とか無いだろ、お互いの為に諦めるなら」

「それは絶対に無いです、けど」


《法的拘束力》

「おう、勝るものは無いぞ」

「一応、選んじゃおー」


《ちゃんと、愛情表現が出来てるなら良いのよ。ただ》

「それだけで満足するなら、俺は別れを勧める。お前と楠さんの為だ」


《そう躊躇う理由なのよ》

「男も子を成せる事になった、そして亜人も、人工人造人間も。だが加齢には逆らえない、生きてる以上はお互いに常に老いてる」


《大勢欲しがってた方々だって、遠慮して平均2人なのよ》

「家族が協力的でもだ。もし、お前が欲しく無いなら」


「僕は欲しいです、けど」

「何人だ」

《子供からすれば最低2人よ》


「出来たら、3人は」

《体質や体調を最悪の可能性で考えた場合、5年は掛かるわよ》

「後で欲しがっても、体力はどうにもならない、寿命もだ。だから、決断は生む側の為に早くさせるべきだ」


「僕が、生む場合でも、そうですよね」

《あら、アンタで観察出来るなんて最高じゃない。結納品を選びましょうかね》

「祥那、痛みはもう」


「はい、失神しました」

「そうか。俺は、正直ちょっと怖い」


「あ、僕のは、ご病気の方の場合だったので」

「そうか、良く出来たな?」


「結婚や出産に躊躇う理由を、ちゃんと理解したくて」

「そうか、急かして悪かった。どうだった?」


「動けませんでしたし、逆にもう、呼吸に意識を向けた方が楽ですね」

「すまんが、1回目は付き添ってくれないか?」


「ふふ、はい、良いですよ」


 母さんと優子結納の事を調べ初め、俺と祥那は痛みの逃がし方の訓練。

 そして父さんが帰って来て、風呂に入ってから夕飯。


 あんな投票が有ったが、ウチは穏やか。

 寧ろ、反対する理由が無い。


 あの大勢の神々が付き、後押しをしてやっと生まれた命なんだ。

 生存も、生殖も、取り上げるだなんてとんでもない。




 今回は直ぐに可決された、時間的にも早かったみたい。

 賛成票の中身の殆どは、命も生殖も取り上げるなんてもってのほかだって。

 半ば誘導だったのに、ごめんなさい、ありがとう。


「本当に、良く拝む様になったね」

《軽い挨拶から、お礼もお願いも、このポーズじゃない?逆に平等で良いなって》

『サクラちゃんも良く拝むよね』


「今それは余計な事なんだわ」

『尊いって』

《あぁ、うん、それも》


「ワシのは邪念入りも含むのよ」

『白雨とアレクとか?』

《ん?》


「もう帰ってくれぇ」

『あはは、もう遅いと思うよ?』

《あぁ!男同士のね、耽美なのも有ったし、元はプラトニックや試練を乗り越える良さでしょ?》


「好みが解体されていく」

《あ、ごめん》

『良いじゃない、良い理解者だと思うよ?』


「君らは、踏み入って欲しく無い部分が無いだろうけど」

『無いねぇ』

《もう全部見せちゃったしねぇ》


「うぐぐ」

『愛でる材料にしてるのが気に食わないのかな?』

《なるほどね》


「こう年上に弄ばれる恐怖」

『反骨精神が強いねぇ』

《反逆って言うか、そこは負けん気が強いよね》


『イチャイチャして無い時は特に、屈服して堪るかってね、凄く唆る』

《確かに》

「もう、ワシが移動します」


《蜜仍君が寂しがるよ?》

『拗ねちゃうかも?』

「マティアスの相性が悪いのってどんなのよ」


《無い、何でも呑み込んじゃう蛇だし》

『あはー、エロいねぇー』

「もう、誰か緩衝剤を」


『しょうがないなぁ』

「もふもふ」

《現金》


「マティアスは、狐かと思ってた」

《ふふ、そこももふもふなんだね》


「0だと触れない動物として有名だったから」

《寄生虫ね。あ》


「却下」

《まだ言って無いのに》


「却下」

《本当に?内容気にならない?


「安全第一」

《大丈夫だって、素養が無ければ出来無いんだし》


「案内しません」

《えー》


「ただいまー」

「おかえりー」

《里に案内してー》




 ミーシャも連れ、全員で里へ。

 マティアス、素質有るぅ。


《ほら、狐》

《記憶力で補って、だな。うん、ウチにどうだい?》


《拗ねられたから無理かも》

《おうおう、そう拗ねてるとマティアスを娶ってしまうよ?》


《ハナには効かないんだよねぇ》

《ほら拗ねないの、このおっぱいはお前のだよ》


「長は、どうしたら幸せになれる」


《先ずはお前からだよ、結婚式の話はどうなったんだい?》

「ショナ次第」

《ハナは生んで貰う側だからね》


《ソコか、ハーレム維持には仕方無いだろう》

「だから余計に、申し訳無いなと」

《私なんか、もう生みたくて仕方無いのにねぇ》

「亜人化したまま妊娠したら、赤ちゃんは亜人で生まれますか」


「ミーシャ」

「赤ちゃんは可愛いですが、もふもふが付いたら割り増しが凄いかと」


「だろうけども」

《亜人同士、異種でも同種でも、亜人が生まれる確率は常に3対1の割合。相手に亜人の素養が無ければ、更に確率は下って、5人でもどうかなって感じ》

「エルフや精霊とは違うんですね」


《妊娠する確率が違うからね、亜人は妊娠し難いし、させ難い》

「何で可決しちゃったんだろ、バランス変わるかもなのに」

《健康でも妊娠は難しい事だからね、出産ともなれば余計にだよ》

「妊娠は良い事、喜ぶべき事ですよ」


「うぐ」

《凄く羨ましかったもの》

「分かります、羨ましい」


「ミーシャとまで打ち解け合いやがって」

「私は桜木様の味方です、嫌なら仲良くしません」


「いや、そうじゃ無いんだが」


「なら同志です、栄養管理をお願いします」

《任せて☆》

「メスなのに、オスみたいだ」

《蛇も蜘蛛も、オスを食べてしまうから丁度良いだろう》


「長も食べちゃうのか」

《勿論だよ》


「じゃあお相手が大変でしょうに」

《そうだね》




 安全だとは思うけれど、ラウラの為、ピアスを外して確認してしまった。

 長さんは、亜人に近い、そして言ってる事も本当。


 本当に、食べてしまう側。


《具材も多いし、手伝いに行こうか?》

「おう」

《執筆家は執筆家らしく、だ、ハナはコンちゃんと行きなさい》


「おう」


《話が有るのだろう》

《バレちゃいましたか》

「でしたら私は」


《居てくれ、大事な話だからこそだ》

「分かりました」


《本当に、私は食べてしまう。そしてハナに惹かれてもいる》

「それは灯台だからですか」


《少し違う。有能だったり力の有る者に、単純に純粋に、惹かれる血筋なんだよ》

《子孫繁栄の為に》


《そう、その本能が人間は弱い。ドリームランドを見てからは特に、その本能がココの者は弱いのだと思うよ》

《元々人間は、フェロモンの関連器官が衰退してますから》


《そしてエルフや精霊の血筋には、魂の部分に残渣が有るが。そう強くは出ない》

《先祖返りや血が強くなければ》


《そこで惹かれているのを否定するのは難しい、だからハナにはまだ言って無いんだ。この事も、食べてしまう事も》

「まるで、私じゃない、私の本能が欲してるだけ。それは私も認めたく無いです」


《でも、それが元来の召喚者の加護なんだよ》

《ならエミール君も》


《アレは未成年だ、恋心の開花も後発。でもハナは、ハナも小野坂も、成熟と開花後の転移だからね》

「おタケには既にお相手が向こうに、だからですか」


《そうだね。根付いて貰いたい下心と、馴染んで欲しい親心だろう。コレまでに世界は沢山の失敗を見て来てるからね》

《その加護は》


《存在に根付いているから、死ぬか召し上げかだよ》

《それが灯台?》


《いや、それに加えての灯台、だね》

《なら、フェロモンは》


《あの子の最初の願い、ドリアードに請うていただろう。そして治癒能力も相まって、身体が変化しただけだよ》

《でも、もう本人は嫌がってるのに》


《無意識の不安の現れだろうね》

《それもハーレムが必要な要因》


《それと柱、牽制やコントロールする者、守る者。ただ愛するだけでは、召喚者には足りなくなってしまうからね》

《エミール君が居るから退役は、でも、私の》


《エミールごと辞める覚悟が何処かに有ったのかも知れないし、そこまで考えていたのかは本人に聞く事だろう》


「肝心な事が聞けてません」

《食べたくは無いから、食べられたい。長なんてモノも、もう終わらせたい》

《それじゃあハナが》


《私も願っていたんだよ、ハナを支えてくれる誰かを。アレでも足りるか不安でね、柱は多い方が良いだろう?》

《多過ぎても》


《少なければ危ないが、君らは仲良く出来る。多過ぎて困ることは避けられるだろう、なんせ妊娠する者が出てくるんだから》

《でも》


《君が本能に抗えなかったのと同じ、替えなんて存在しない。どちらが生きるか死ぬか、あの灯台になら焼かれても許してくれるだろう》

《ラウラが許さない》


《所詮は私も歯車、良い効果を齎せる様にするさ》


《ココまで来たからこそ、止める権利は無いけど、でも》

《勿論、選ばれ無ければただそれだけ、次の誰かに殺して貰うよ》


《優しい世界になればなる程、難しいですよ》

《そこへも期待は有る。ただ、少し時間が掛かるだけだ》

「桜木様に全部話したら、同情になってしまう」


《そう、同情では無く愛が欲しい。私達は、その区別が付いてしまうんだ》

《私が、気付いてしまったから》


《助かったよ、誰にも何も言えないまま、ただ離れて朽ちるだけでは、悲しいから》

《私には、何が出来ますか》


《見守り、支えてやって欲しい》

「私も、ですか。黙ってたと私はバラしますよ」


《構わんよ、きっと自分を責めるだろうから。頼むよ》


「分かりました」

《そう直ぐに良い時は来ないだろうから、すまないけれど頼むよ》


《分かりました》


 ラウラは、きっと受け入れる。

 そして自分を責めて、私やミーシャを恨まない。

 どんな言葉も必要無い。

 ただ納得する為の時間が必要になる、それは多分、身体が戻った時。

 その直前に、きっとタイミングが来てしまう、長とラウラの為に。


「できたー」

《あぁ、良い匂いだね、頂こう》




 タラの芽の天ぷら、アスパラの肉巻き、アサリの味噌汁。

 この豪華な食事をマティアスはまだ食べられない、まだお粥、ちゃんとしたのは明朝から。


「とっといてるから、また今度ね」

《うん、ショナ君のも?》


「そらね、流れとはいえショナの功績なので」

《ふふ、じゃあ3日後に、一緒に食べようかな》

《仲良き事は、だ。ハナは何処かに食べにでも行ったら良いさね》


「おぉ、おう、そうする。何を食べようか」

「ふふ、旬はアオリイカとか、お寿司ですかね?」

《えー、そっちも食べたいー》


「ですよねぇ」

「じゃあ、喫茶店巡りしましょ」


「お、良さが分かってくれたかね」

「勿論ですよ、大正浪漫お好きですもんね」


「ちょ」

「大丈夫ですよ、年齢制限は守ってますから、ふふふ」


「あぁ、もう、観られてしまったんだろうか」

『まだじゃが、告知はしてやらんからの』


「くそぉ」

《ほらほら、美味しく食べておくれ》


 夕飯後は蜜仍君を寝かし付け、今日も北海道の一軒家へ。

 今日は白雨、マティアスは短期睡眠なんよなぁ。

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