5月14日 旅行の準備と鉢とルーネと。★
先ずはカヤノヒメさんとドリアードと、昨日買った鉢のご相談。
カヤノヒメさんもドリアードも、鉢と何かを話している。
《コッチは自由が良いんじゃと》
《垂れてみたいそうだ。それとこの子は、綺麗に見えるなら何でも良いらしぞ、ふふふ》
「痛いとか無いの?」
《根や葉が痛めば言うじゃろ》
《そう傷付けぬだろうて、何でも心配しては碌に世話も出来ぬぞ?》
「へい」
仰る通り。
そして太極拳をして、蜜仍君が目覚めた頃に朝食。
それからタブレットで鉢を選び、そのまま非公式でお買い物へ。
ショナとエナさんとお買い物、白雨は檸檬の仕込み。
鉢や支柱を買い、次はエナさんのお買い物。
白雨用の大きなスーツケースを1つ、エナさんとコンちゃん用のボストンバックが2つ。
「ストレージは使われないんですか?」
『旅行だよ?古き良き旅行には大きな荷物が付きモノだから』
「あぁ、旅情とか風情とかか」
『便利は悪い事じゃ無いけど、必要な負荷は必要。不便あってこそ、利便性を理解出来ると思う。重いとか疲れたとか、体が有るから、元気だから、疲労を感じても苦痛じゃ無い』
「わかる、乗り物での移動も旅行のウチやものね」
『うん、夜行列車乗るんだ』
「めがっさ羨ましいやんけ」
そして白雨もコンちゃんも呼んで、歩き易い靴や服を買い揃え、家に帰り鞄に詰める。
『もう、ココから旅行が始まってる』
「ですよね、あ、お菓子は?」
『あ、買う』
「詰め終わったらね」
サンダル、下着、寝間着。
其々の鞄には少し余裕が有るけれど、それはもう個人が入れたい物を入れる場所なんだそうで、エナさんはお菓子を入れるんだと。
『お菓子は蜜仍が帰って来たら一緒に買いに行く』
「おう、良いね」
それから鉢の植え替え、軽石を詰めて土を入れて、植え替え、支柱を立てる。
それはもうモリモリと、ワカメみたい。
開花は満月、運が良ければ年に2回咲くらしい。
夏と秋、数時間だけ、夜の間に咲くらしい。
そして昼食のお時間、今日は盛り合わせをささっと食べ、旅行の計画。
『明日は蜜仍が帰って来るまで、次は日帰り、次は1泊かな』
「帰って来る為の旅行ね、その発想は無かったわ」
『ハナは逃げる為の旅行だったもんね』
「仰る通り」
『ハナにお土産を渡す為の旅行でもある、人が帰って来る安心感と、喜びを感じて貰う』
「ワシの為でもあるのね」
『うん、それと皆の為、良い事尽くし』
「だね」
そしてお腹もこなれたのでお昼寝。
シオンが来るまで後少し、食事も済ませたし部屋も清掃に入って貰った。
後は、何をしたら良いんだろうか。
花は、花を喜ばないかは別だし。
花を買っておこう、香りが強いのは嫌いだと言っていたし、いつも着てるのはモノトーンか青。
あぁ、召喚者様の新種が出ているんだった、予約しておけば良かった。
次に会える時の為に予約しておこう、他に何か、良い花は無いだろうか。
ルーネの部屋を訪ねると、青い花束を貰った。
『中々、良いのが見付からなくて、気に入って貰えるかどうか』
「あぁ、花束を貰ったのは、初めてだ」
紫苑では初めて、花子では、レーヴィ。
あの時も青い花束だった。
『男性には何だろうかと思ったんだけど、花を喜ばないとは限らないなって、思ったんですが』
「おう、ありがとう。良い花瓶が有るのよね」
『綺麗な薄緑色ですね』
「蛍光硝子なんだって」
青色も有るそうで、2色が混ざったビーズも有るとか。
アクセサリーも有ると、良い色合い。
『専門店を知ってるので、今度、見に行きませんか?』
「お、デートか」
『あ、嫌ならお付きの方も』
「不慣れな感じ、女の人とはどうだったの?」
『それは、喧嘩はしたく無いんですけど』
「じゃあもう帰る」
『もー、怒らないで下さいね?』
「はいはい」
0と、そう変わらない普通のデート内容、普通のお付き合い。
別れた理由も普通。
買い付け等で海外にも出掛ける事が多いから、浮気を心配されたり、お互いに忙しくて自然消滅したり。
『そんな、感じです』
「遠慮が伝わったとかは?」
『今思うとそうなんですけど、当時は完璧にこなせてた、誤魔化せてたって思ってたんですよね。悪い事をしたなとは、思います』
「気付けないもんよね、願望も含んでるんだし。今後はどうしていきたい?」
『家族に紹介したいのは、重いですかね?早過ぎますか?』
「そのタイミングって難しそうやね、任せるよ」
『もう飽きてますか?』
「いや、なんで?」
『追い掛ける側って、凄く、不安になるんですよ。同じ熱量に感じられないと、自分の方が好きなんじゃないか、アナタは、実はそんなに好きじゃないんだろうかって』
「ほう、追い掛けるのは初めてですか」
『…はい』
「ムカつくな、クソモテ野郎じゃん」
『シオンもそうじゃないですか』
「ワシは最近、ハナも最近。それまでは道端の石ころだったの」
『でも、凄く余裕そうなのが、不安なんです』
「ルーネが年上のクセにウブいから、赤面も可愛らしいと思いますよ、ウブくて可愛い」
『もう』
「つい誂っちゃうな、ごめんね」
『これでモテない国って、何処なんですか?』
「空に浮かんでるじゃん、欠けたり満ちたりする場所」
『じゃあ、引き留めないと、少しずつ離れてるそうですから』
「良い距離を探してるだけだよ、じゃないと直ぐにぶつかって、お互いが壊れちゃうもの」
長い髪をした紫苑さんが、お夕飯の少し前に帰って来た。
既に浮島の温泉に入って来たらしく、もう寝間着。
「お帰りなさい」
「おう、ずっと待ってたとか言わないでおくれよ?」
「してませんよ、僕も湯上りに涼んでただけなので」
「浮島の温泉に行けば良いのに」
「鉢合わせたら嫌かなと」
「あぁ、ささっと入ってるだけだから大丈夫、ほれ、何も無いでしょ」
「普通なら安心するんですよね」
「治せちゃうものねぇ、君が付ける人だとは思わんかったわ」
「もー、すみませんでした、次は気を付けます」
「いや、遠慮せず存分にどうぞ」
「もー」
自分でも、そう言う人間だとは思わなかった。
所有の証しと言うより、つい、反応につられて付けてしまっただけで。
「ふふ、夕飯はなんじゃろか、ただいまー」
抑制魔法が有ったからこそ、これだけの反応で済んでいるけれど、確かに反動が怖い。
紫苑ではもう誂われる前提で居て貰おう。
どうしても、楽しくなってしまうから。
お夕飯は塩焼きそばとソース焼きそば、それとネギ焼き。
軽く済ませて晩酌しつつ、映画とお菓子でファッティに。
やっぱり、後宮モノは面白いな、そろそろ行こうかな。




