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5月12日 怒涛よな。

 目を覚ますと、白雨はベッドには居なかった。

 そして下に降りると、普通にショナと話していた。


「おはようございます」

『おはよう』

「寝れたのね」


『いや、寝てる間に潜り込んで、寝てる間に起きた』

「あら、気付かんかったわ」

「紫苑さん、その事なんですが、少し良いですか?」


「へい」


 無自覚に、そして本当にワンコに何もされて無かったかの確認が発生した。

 ですよね。


《被害は有りません》

「ですよね、すみません。もし有ったなら、紫苑さんが後で知った方がショックが大きいかと思ったんです」

「あぁ、そっちね」

『信用はしている、けれど周りは別だから』


「ぉおう」

「朝ご飯は蜜仍君も一緒にと思ってたんですが」


「おう、そうしましょう」


 花子に戻り、一軒家へ。

 蜜仍君1人、これは何か嫌だな、ワシの望む状態じゃ無い。


「おはようございます桜木様」

「おはよう、今後について少し話そうか」




 桜木さんは蜜仍君を1人にさせたくは無い、だが白雨さんのフォローもしたいと。

 ではどうすべきかと、そう話していると。


《そろそろじゃろうな》

『あぁ、だな』


 ドリアードとクエビコ神の不穏な言葉に、桜木さんが窓の外を見ると、コンスタンティンの姿が。

 泣いている。


「コンちゃん」


 どうやら人の世界でも、生活の難しさに悩んでいると。


《神獣は種族内の数だけ知識が蓄えられてるんじゃよ》

『竜種や狼は母数が多いだろう、その中から最適な知識を引き出せるんだそうだ』

「あぁ、まして同族が居ないんだものな」


《歴代で見ても少ないんじゃよ》

『しかも人化しての生活の経験は、歴代には無いそうだ』

「ごめんな、全く考えが至らなかった。申し訳無い」

《いえ、神々や精霊に教えて頂いてましたし。生活には困らないんです、ただ、人の機微が分からなくて》


『この見た目だろう、何とか里の者の補助で遠ざけてはいたんだがな』

《ざっと言うとお主と同じ状況じゃ、なんせ稀有じゃし》

「でもだ、ごめんよ、配慮出来なかった」

《いえ、僕がお願いしたんです。ご主人様の手を煩わせない様に、出来るだけ自分で頑張りたいって》


「でもだ。すまん、八つ当たりさせてくれ」

「はい、すみませんでした」

『そう謝るな、情報は開示させなかったんだ、許してやって欲しい』


「じゃあ、エナさんに八つ当たりか」

《時が来るまでと、ネイハムにすら開示しなかったんじゃよな》

『お前の優しさはコヤツには毒となると、ネイハムもそれを呑んで、聞かぬを通した』


「でも、泣いてるやん」

《コヤツも、好きを理解したんじゃよ》

『作品を観ての、今さっきの事だ』


「でもだ、ごめんな?」

《いえ、ちゃんと理解したとお伝えしたくて、なのに、すみません》

《我々も苦しかったんじゃよ?だがな、成長に期待し、頑張りに任せたんじゃ》

『お前は甘い毒だと、少しは理解して欲しいんだ。周りに自制心の有る優秀な人間が居るからこそ、お前の嫌う毒親と言う存在にならぬ様に、配慮出来るのだと。そう少しは納得してはくれないだろうか』


「親になる不安のせいで、コンちゃんが辛いのは違うのでは」

「桜木様、僕は桜木様が気にしてくれる事が嬉しいです、でも過剰に手伝われたら嫌になります。それとコレは、同じ事だと思いますよ?」


『お前の勘違いは他にも有る、親だけが子を育てると思っている事だ』

《何の為の親戚じゃ?兄弟なんじゃ?何の為の祖母や祖父じゃろうか》

「それと、地域、グループでの補佐や補助も。最近は特に色々有りましたし、嚥下する時間も無いとは思いますけど、ココはそうなんですよ」

「だから、例えコンちゃんが辛くて苦しくても、桜木様だけの責任じゃ無いんですからね?」

『放置していた自覚と罪悪感、でもそれはコンスタンティンや周りが望んだ事だ。ハナの責任じゃ無い』


「すまん。ダメだ、どうしたら良いか分からない、思考停止した」

「先生をお呼びしましょう」

《おうおう、泉を開通させたでな、そろそろじゃろ》




 マジでダメだ、家族の事になると脳味噌が完全に混線してしまう。


《まぁ、今回はそう意図されての事ですし、仕方無いかと》

「は?」


《ご自分の欠点を自覚し、良く理解出来たのでは?》

「あぁ、まぁ」


《いずれ起きた事を、我先にと解決させたい神々のご配慮ですので、どうか甘んじでお受け下さい。それか》

「自分で解決していくか」


《はい、ですがお仕事も御座いますし。私やハーレム要員が補佐しますので》

「その為でもあるのか」


《はい、その為のハーレムでも有るので》

「欠陥だらけのポンコツに、良くもまぁ手間暇を」


《白雨さんも、優しさについて、同じ事を仰ってたそうで》

「ぐぅ、キノコ神」


《ホイホイホイホイと、何なん!?しかも女の状態で良くもまぁいけしゃあしゃあと呼んで、何やねんな。おおぉん?!》

「あぁ、すまん」


《で、なんやねんな》

「ポンコツと罵ってくれ」


《おう、クソポンコツまぬけドあほぅが、この毒婦!あんぽんたん!カス!スカタン!くそビッチメンヘラ馬鹿女がぁ!》

「まだまだぁ!」


《はん!いけ好かんクソ女が!イライラするねんな、うじうじナメクジみたいにズルズルクソみたいな過去を引きずりくさって、ドぐされクソ女が!そもそもや、お前が言うてるみたいに周りにちゃんと相談せいやボケ!見本見せんかい!出来ひんか、そないに信用出来ひん言うならホンマに引き籠るか召し上げられて、後々になって後悔したらええねん!》


「ワシ、こう言える優しさが無いのよな」

《流石にそれは真似されなくても良いかと》

《こう甘言しか言うて貰えへん環境をお前が築いたも同然ちゃうの?それが嫌やったら向き合うしか無いんやけど、それともアレか、お前は構ってちゃんか、メンヘラか、治す意志すら無いクソメンヘラやったんか。せやったら流石のワイもホンマにマジで呆れるで、シオンちゃんにすら嫌悪感、マジドン引きやで》


「反論したいが、仕事に逃げて向き合わない様には見えるもんな」

《つか自分ソレやろ、恋愛に逃げるか仕事に逃げるかの違いしかあらへんやん。それや、浮気か恋愛かの違いやで、クソ親そっくりやんな、それとも真似してはるん?つかもし無自覚とか、ホンマにダサいやん、かっこ悪ぅ》


「観たのか、ごめんな、ありがとう」

《そない言わはってもワイは、ワイだけは、いや、ワイだけや無いけども。絶対に絆されへんからな、絶対に優しく言うてあげへんからな》


「どう両立すれば良い?」

《ホンマにアホやんな、頼ったらええねん。もっと頼られたいから、かまちょされるねんな。大昔の魔王の事を聞いてたやろ、アレ以上に父性だ母性だ溢れてんねん。それを我慢してのコレやねんぞ、頼り頼って繋がってたいねん、それを叶えるんも役目ちゃうの》


《神々には負けますね。人間にも、我々にも頼って欲しいのは本当です》

《アレやぞ、ただ甘えろ言うてんのとちゃうからな。まぁ、そこもアホやから甘えると頼るも区別付かんやろけど、それこそ相談したらええがな。それともアホには相談する脳味噌も無いんか?そないやったら治して貰ったらええし、それか口を、有るやん。せやな、ようけ喋れんのやったら増設でもして貰ろたらええんやないの》


「よう口が回る、さぞお疲れになったでしょうから、どうか、お納め下さいませ」

《ふん!今日はこの位にしたるわ!》


 嫌いだって言うけど、優しいのよな。




 ノームが酒を受け取る瞬間、私は確かに喜んでいる瞬間を見ました。

 好きと嫌いは一心同体、好き嫌いの反対は無関心、生存に影響を及ぼす現象。


 そして神々や精霊が最も恐れる事、無関心、存在を否定されるも同義だと。


「こう言ってくれる存在が居なかったのって、良くない事よね。似たのは有ったけど、うん、全然違うもの」

《正直、私やココの平凡な人種にしてみたら、かなり過激な発言なんですが。罵詈雑言の中で育った方にしてみたら、コレ位キツイ方が丁度良いんでしょうかね》


「いいや、少しはキツく感じるよ。でも嫌い嫌い言うても、愛は有るだろうって。何でそう思えるんだろうか?」

《信頼かと。周りは勿論、ご本人様への信頼。それと、直観でしょうね、君の直観はかなり正しく作動してますので》


「いや、あぁ、自分への信頼感が異常に低いのな」

《はい。君にそう言えば多少は考えてくれるかも知れませんが、実感が伴わなければ、善処しますで終わりでしょうから》


「おう、手間を掛ける」

《被虐児、虐待被害児童には妥当な対応ですよ。父親からのネグレクト、暴言による心理的虐待、母親からの過干渉に兄弟達からも嘘を教え込まれた。双子達や蜜仍君がもしそうだったとしたら、君は大した事が無いと言えますか?》


「他人なら大事に思えるのに、自分に当て嵌めると大した事じゃ無いと思ってしまう。認知の歪みとか不協和とかか」

《はい。子供へ関心を向けない事は、そう思わせるのは立派な虐待です。もしココでそうなれば、行政に頼るのが正常な大人の判断。ですがコンスタンティンは成人男性と同等の意志と思考力を持っている、そして周りも君もそう考え自由にさせた。ですが君は今回、過剰に反応した、逆説的に考えるなら君はネグレクトの自覚は有る。それなのに認めきれてはいない、その要因の1つは、自分に非が有ると思い込み、父親を過剰に擁護している》


「あぁ、擁護してる事になるのか」

《君に非が無いのに、逃げ場のない家庭内で無関心であったり暴言を吐いたりは、虐待では?》


「そうれはそうなのよな、良い事じゃ無い」

《頼るのを恐れるのも、間違った条件付けを学習しているから。頼っても甘えるなと間違った対応をされたから、それは薬では治せないとは分かりますよね》


「行動療法、再固定化」

《はい、それと条件付けを打ち消す、消去も。ですが実践するには1人だけでは負担を強いる事になります》


「あぁ、それでもハーレムなのかぁ」

《それもそうなんですが、向こうでの、0での加護かも知れませんよ。それなりにお祖母様も熱心な方でしたし、君も全くの無神論者でも有りませんし。だからこそ、選ばれたのかも知れませんよ》


「それは否定したいな、本当に偶々で。誰にでもココには来て欲しいもの」

《ご自分の様に苦しむ方に、ですね》


「おう、だって最高の逃げ場だもの」

《その割には困ってらっしゃいますよね》


「それなー、こう、後代にはこうした苦労が無い様に願いたい」

《でしたら、是非にも優良なサンプルになって頂かないといけませんよね》


「見本なぁ」




 こう言うタイミングで、つい巫山戯たくなる。

 紫苑に変身し、再度キノコ神を呼び出す。


《お前、ワイの事を好き過ぎやんな?》

「いやぁ、足りないなと思い直しまして。選んで貰おうかなって」


《おぉ、ツマミやん!咲ちゃん!どれがエエ?》

《交互に選ぼう》

「ウーちゃんもどうぞ」

『ありがとう』

《こう、無意識かも知れませんが、緊張のコントロールは上手ですよ》


「あぁ、何でも笑顔で対応してたら怒られたのを思い出したわ」

《ソレはアレやろ、防御反応やんな》

《はい。本当に対応が違いますね》

《メリハリだね》

『そうなの?』


《そうですね、好みがハッキリしてると言う事は、境目がしっかりしている事ですから》

《ウーちゃんの様に穏やかなグラデーションも素晴らしい事だよ》

《無形のエエとこやね》

「キノコ神、1人で複数の家族の役割やんな、さっきのはお爺ちゃんみたいや、居らんけど」


《ワシがじーじやとめっちゃ、せやな、あんな感じで良う口煩いわな》

《それか雷親父だね、ふふふ》

《北風と太陽はどうなるんでしょうね?》

「どっちもお母さんやろな」

『そうなんだね、ふふふ』


「子種母と代理母とか」

《いきなり具体化されましたね》


「ワシは、コンちゃんの保護者であれと思ってた。まだどこかでカールラもクーロンも、でも、もう成人男性なのよね」

《経験以外は。ですので、彼も少し年齢を下げようかと》


「おう、どの位」

《蜜仍君より下、最年少になりますね》


「あぁ、本人が良いなら、コンちゃん」


 すっかり泣き止んではいるが、目の周りも真っ赤。

 可愛いな。


《ご主人様?大丈夫ですか?》

「いや、アカン、嗜虐心だか加虐心がエグい事になっとる」

《エエやん、喜ぶんやったら》

《少し場所を移動しましょうかね》




 紫苑さんの姿から、再び桜木さんの姿になり、部屋に戻って来た。

 そして先生が話し始めた事は、神獣のコンスタンティンも、桜木さんに惹かれていると。


「ホンマでっか」

《ですので、最年少は流石にどうかと》


「そらな、でも自覚したのは」

《名付けて頂いた時からです》


「ぅうん、カールラとクーロンも呼ぶわ」


 そして直ぐに、泉からカールラとクーロンが。

 神獣仲間として、今回は浮島で待機していたらしい。


《私は母性からの、保護者としての気持ちです》

『僕は父性から、本来なら人間は人間と番うべきだと思っていますので』

「じゃあ、何でコンちゃんは?」


《本来の主が違いますので》

『なので親子の認識からは外れますし、彼に名付けた故も有るかと。個性がハッキリする瞬間は名付けですので』

《はい、最初に意識がハッキリした時、ご主人様が目の前にいました》

「マジの刷り込みじゃんよー」


『そう言われない為にもと、色々と経験はさせたので、ちゃんとお話を聞いてあげて下さいね』

《そうですよ、先入観は良くないんですよね?》

「ふぇい」


 桜木さんと小野坂さんの両方と心が繋がっていた、正確に言うと一方通行で感じ取っていた。

 もう、そこからして惹かれたそうで、真に守るべきはどちらなのかと悩んでいた。


 だからこそ、実戦に一切出る事もないままで、逆にホッとした。

 目の前でどちらかを選べば、どちらかを傷付けてしまうから。


《本来の主にご帰還頂いて、僕はとっても心が落ち着いて、安心しました。それからは、僕は本当なら守るべき存在だったのに、守られるだけのままだった。なら、コレから守れる様になりたいと思って、皆さんに協力して頂いてたんです》

「あぁ、嫌いだから言うんじゃ無いけど。キメラもう1体作ろう」

《残念じゃが、番わんのじゃよキメラは》

『例の植物と同じでな、突発的に生まれ、繁殖力は無い』


《ですがご安心を、人として生きるとなった時点で、魔道具の使用が可能になりましたので》

『女性体なら、繁殖が可能だそうですよ』

《そこなんじゃよなぁ、この状態じゃとある種の無性じゃからか、良う人を惹き付けるんじゃよ》

『似たのが居たぞ、良かったな』

「素直に喜べないわな、大変だったでしょうに」

《いえ、学べる機会を頂けたので、でも》


《致せぬのは悲しいんじゃと》

『ドリアード、お前が候補者では無いと漏らしたからだろう』

《知識や思考は成人男性並ですが》

『経験が皆無なので、候補には入れられ無かったんです』

「もしかして、カールラもクーロンも候補者選びに関わってる?」


《勿論です、ご主人様は我々の子供であり保護者》

『親であり子なんです。ですが勿論、可愛がられるのも嬉しいですよ』

《彼らの言う親子の概念は半分、神話的に捉えて下さい。召し上げに近いモノです》

「あぁ、うん、ですよね」

《でも、僕は違います。親や子への愛情では無く、肉欲を含んだ情愛です》


「蜜仍君が居なくて良かったわ。メールして大丈夫かね、大丈夫ですぞって」

『あぁ、エナがもう送ったそうだ』


「便利過ぎ」

「そこですよ桜木さん、お忙しいんですから。過ぎる事は無いと思うんですが」

《そうじゃよ、何なら手足の様にこき使って欲しいのすら居るんじゃし》

『ロキやエナが良い見本だろう、あまり耐え忍ばせ過ぎれば増えるぞ、アレが』


「クエビコさんも中々にコツを掴んで来てるよな」

『まぁ、エナの恩恵も有る』

《くふふふ、寂しがっておるぞ》


「いや、普通に来れば良いじゃんよ」


 こうして神々に直ぐにも囲まれてしまう。

 コンスタンティンが言う様に、小野坂さんには帰還頂けてホッとしている。

 もしまだ小野坂さんが残っていたら、この情景を見たら、再び嫉妬心が生まれ兼ねない景色だから。




『だって、頼って欲しいんだもの、願い請うて欲しいんだもん』


「先生、コレはSっぽく聞こえるが」

《Mに見せかけたSかと》

「成程、そうなんですね」

『ショナには虐めるの定義からか』


「いや、教えんでも」

「どうしてそう拒絶の体制なんでしょうか」

『ハナはMだから』

《寧ろどちらもですね》

《じゃからじゃよねぇ》

『ワシは何も言わんぞ』

《小さくなるの》

『なの』

《僕が、もふもふを捨てなければ、直ぐに飛び付いて貰えたんでしょうか?》


「あぁ、問題が山積みだ」

「直近は、蜜仍君とコンスタンティンかと」

《ココで過ごさせたいんですが。最年少ともなると、君は直ぐ甘やかしてベタベタするでしょう、でもコンスタンティンには成人男性として振る舞っては頂きたいんですよね》


「ココなら成人で互いに弁える、と」

《はい、それには祥那君の同意が必要かと》

「はい、監督させて頂きます」

《はい、お願いします》

『私も、ネイハム飽きた』


「飽きたて」

『景色が変わらないんだもん、ココはくるくる景色が変わる。それに、ハナはかなり安定したから、悩まないで済むと思う。ハナが』

《それと、私が長く人と居られるのかのご心配をして下さってたんですよ》


「ありがとう」

『んー、我慢大変』

《くふふふ、クエビコにも我慢の波動が伝わるんじゃと》

『お前はどこまでも余計な事を言う』


「すまんね。あぁ、誰かに鍵を持たせて、エナさんの旅行に同行させるのはどうだろうか」

《それなんじゃが、コンスタンティンにその役目をと思ってたんじゃがな》

『子供が2人になるだけなんでな、出来たら白雨にとの案が有る』


「白雨、良い案じゃね?」

『受けたいが、ハナに会う場合はどうなるんだろうか』

《常にお部屋を2つ取って頂ければ、気兼ねなくして頂けるかと》

『うん、2人部屋の母数は多いし』

《それまで、もっと成長出来る様に頑張りますね》


「そうなると蜜仍君問題が」

『ココに帰って来る事がメインだから、ハナが忙しい時は居る。暇になったら遠出したりする、最初は慣れる為に日帰りから、様子を見て日数を伸ばしてく』


「ドライブ、免許はどうすんの」

『お金の力で解決、ハナのお金を使う』


「あぁ、なら、まぁ、良いか」

『じゃあお仕事行って』




 エナさんに家を追い出され、研究所へお仕事に。


 そして既にご用意されていた鉢の中身を成長させるだけ、だけでも大変なのは知っているが、自分にはただそれだけ。

 そして花粉が出そうになるまで成長させ、花粉が出てしまう子はショナへ。


 合間に様々な植物を成長させては、ショナか研究員の手の中へ。


 飽き性なのかな、何か虚しいわ。




 一段落した頃、桜木さんがもっと他に何か出来無いのかと言い出した。

 それに対し研究員の方々が、成長だけなら、白い魔法使いに任せてはと言い出した。


 青い花を作り出すだけで無く、他にも工芸茶として有効活用出来る案を持って来てくれた、だからこそ他の研究者や全ての人間の利益になる事をお願いしたいと。

 立ち上げて頂けただけでも充分なのだから、他の分野へも協力すべく、成長は他に任せて欲しいと。


 勿論、花粉の出る子に関しては変わらず見守って欲しいし、時間が有るなら協力して欲しい。

 だけれど労働時間に制限が有る以上、独占状態は良い事では無いので、いつ言い出そうか迷っていたと。


「桜木さん、お仕事を任せるのも上役の役目ですよ」

「外の子は時間外にしてくれる?いつでも来て良い?」


 そうして研究所との合意を経て、新しい魔法使いを入れる事が決定された。

 それに伴い、先ずは研究所の一般公開と見学、桜木さんが務めている限りは出来無い事だと言われ、やっと納得してくれた。


「良い将来へ繋がる、良い事ですよ」

「鵜呑みにして良い?」


「それは見学が始まってから、鵜呑みにしなくても納得出来る筈ですよ」

「ぉお、うん、待つか」




 このクローン達の成長が終わったら、研究所では非常勤になる。

 そう思うと寂しいな、我儘やんな。


「寂しいですか?」

「まぁ、な、手元から無くなるとなれば惜しく感じるものでしょう」


「寧ろ、成長して手放す寂しさなのかと」

「勝手に急に育ってんだもの、実感が湧かないわ」


「ウチの親も同じ事を言ってますよ、隣の方も」

「君は結構、手塩にかけられた感じがするけど」


「大事な時には見守っててはくれますけど、母親の方は特に短気なので、手伝いたくなるので、分からなくなったり迷ったら呼べって感じですよ」

「あぁ、父ちゃんがノンビリ系なのかね」


「そのせいで、言わなさ過ぎだって言い合ったりはしてましたね」

「極端、なのに一緒に居て、仲も良いのな」


「恋愛面での相性占いは良いそうなので」

「あぁ、仕事じゃ衝突するんか」


「らしいです」

「あ、あの子は出ちゃう子だわ」


「どう分かる感じなんですか?」

「それこそ観てみたら?手応えとか感覚付きで」


「じゃあ、後で観てみますね」

「おう、感想よろしこ」




 とうとう、召喚者様が、まだ何かしたいと。

 我々研究員としては、結構、かなり我儘なお願いを聞き届けて下さった感覚すら有るのに、まだ、何かしたいと。


 お願いしたい事は有るんですが、それこそ我々下っ端の人間がする事や、そもそもの研究者の数を増やすと言う無茶しか無く。

 結果として、他の分野へ行って頂くしか出来ずで。


 こう、従者との初々しいくも仲睦まじいお姿を見れなくなる事も有り、研究所ではこの進言には反対者が多く、常に意見が割れていたのですが。


 宝くじ案が快諾された事で、我々だけの手元に置くべきでは無いと。

 そう判断しての事だったんですが、外での活動を偶に見れるだけでも充分では有るのですが。

 こう、常勤では無くなると言うだけで、もう既に寂しいと思うのは甘えや我儘なんでしょうかね。




 初回分のクローン製造が終わり、浮島にも植え終わると。

 今日で常勤から非常勤へ、所長から改めご挨拶をと、やっぱり寂しいな。


『大変、お世話になりました』

「いえいえ、何のお構いもせんで」


『ふふ、コレは私語なのですが。寂しくなります』

「ワシもです」

「なら、偶には遊びに来ないとですね」


「いやいや、遊び場じゃ無いべさ」

「そう言う気持ちで、偶に見学に来ましょう。名目は、気を引き締めて頂く為の視察や査察、警備や安全面での視察でも良いんですし」

『是非是非、偶の刺激は最高の活力剤になりますので、どうか遠慮無さらずに、じゃんじゃん顔を出して下さい』


「なら、出来たら最高のタイミングで来たいので、調整をお願いしますね」

「はい」

『畏まりました』


 そうよな、自分は緊張される側なんだものな。

 うん、コレで良いのよな。


『また、誤解が有りそうですね』

「え?」

「何よソロモンさん」


『あの私語に嘘は無かったですよね?』

「まぁ」

「僕のも、反応は無かったですよ」


『ネガティブな事に関する魔道具ばかりですし、バランスを取るべきだと、従者としては思いますよね』

「また」

「はい、バランスは大事ですから、もし何かご助力頂けるので有ればとは思っています」


「またそう」

『でしたら、ソレを少し改良する案は如何でしょう。良い反応に、良い反応を示す魔道具』

「是非、お願いさせて下さい」


「ちょ、対価は」

『この子の魔道具もワンセットでの改良と、君からの詳しい感想をお願いしますね』

「はい」


 こう、いきなり物事が手元から離れ、坂を転がり落ち加速して、変異してから帰って来る。


 魔道具の改良の詳しい概要は不明、他人には影響しないから大丈夫だと、本当にただそれだけ。

 最近はもう、そう言ってそそくさと逃げられてしまうのよね。




 凄く、試してみたい。

 けれども今日はルーネさんの合否に関わる日、もしかしたら、今日の相手はルーネさんかも知れない。

 だから我慢、明日か、明後日か、それまでの我慢。


「すまんね、幾ら覚悟してたとは言え、こう関わらせるのは酷よな」 


「いえ、僕だからこそ、出来ると思いませんか?」

「あぁ、うん。ご苦労様で御座います」


「いえいえ。さ、行きましょう楠さん」


 今日は祥那のまま、桜木さんは楠花子さんとして会場に入り、ミーシャさんが後発で召喚者様の桜木花子で来店する。


 先ずはそのまま最深部の会場へ、ルーネさんに引き合わせると、2人は準備室へ。




 ハナってココでは本当に凄い方なのに、自信無さ過ぎなのよね。

 ルーネちゃんだったから良いものを、きっとリュカちゃんなら身を崩してたかもだわね。


《はぁ、凄いのに謙虚って、もう凄いギャップよね》

「もう、一応コッチのハナにも配慮しなさいよ」

「大丈夫です、凄い方なのは良く知ってますので」


「ふふ、微妙に似てるけど違うのよねぇ」

「今回はそれで充分かと」

《あらあら、うふふ》


「あの、どの様に感知出来るのでしょうか」

《例えば、誰か1人に意識を集中させると、感じた情欲や感覚がそのままリアルに感じ取れるの》 

「厄介な筈なのに、喜んじゃうのがもう変態よねぇ」


「虚栄心は、嫌ですか」

「嫌ね、だからこそ無性なんですもの」

《この子の呪いだから気にしなくても大丈夫、自分で掛けた呪いなの》

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