5月9日 工芸茶からの、まさかが起きた。
描写には気を付けたんですが、どうなんでしょうか。
今日も朝から先生とエナさんと合流、先ずは紫苑になり全員で温泉へ。
それから朝ご飯を食べ、リズちゃん達も呼んで感想会へ。
エミールと蜜仍君とパトリックは近所の公園へ、野球しに行ってしまった。
「お前、あんな感じが良いのか?」
「紫苑だけならね、他にもワラワラ来られると、逆に警戒心とハードルが上がるんだと思う」
「そうよね、徒党を組まれるって怖い事だし」
「女でゲームすると打算感が凄いのよね、どんな演出が有っても、結局は計算の上で愛されてんだろうなってなっちゃう」
「穿った見方なんだよなぁ」
「でも、後宮モノ見ちゃうとねぇ」
《計算や合理性よりも、情での繋がりの方が強いですからね。コレも、生来の性別からの防衛機制かと》
「あぁ、俺、まだ実感湧かないな」
「まぁ、女は初心者だものね」
「でも紫苑の方だと演出と立場とね、情で一緒に居ようとするのとかが分かるけど。でもコレ、何か捨ててまで来てくれないと満足出来ない性癖か?」
《捨てると言うから語弊が有りますけど、環境を変えても問題無いと思ってくれる事を喜ぶのは、そう問題では無いかと。実際にお付き合いとなれば、環境はガラリと変わるんですし》
「まぁ、そこは同意だな、家族が増える事も環境の変化に繋がるし」
「関係にも変化は有るんだし、けど、でも?」
「どの理想も結局は一般の場合で、ワシは流石に立場が違うのも理解はしてんのよ。でもこう、オススメが多いのも仕方無いとは思える位にはなった、けどもだ」
「ショナ君、よね?」
「だろうよ」
「結局は外野だから平気なんだろうけど、それでも、ワシが荒ぶったら幻滅されそう」
「難しい事な筈だものね」
「ましてやウブだから、余計に心配なんだよな」
「それもだが、距離を取られても寂しいから。もう、このまま休み休みにして貰おうかな」
「それでもよ、再度、ちゃんと確認して、話し合ったら?」
「だな、誤解や勘違いが出ない様に、配慮はしてやっても良いだろ」
「ですよね、頑張ってはみます」
「よし、藤の花見だな」
「そうね」
そうして中庭で藤の花を見ていると、蜜仍君とエミールが帰って来た。
ドリアードに呼ばれたらしく、一緒にアヴァロンへ。
ココにも藤の花、少し離れた場所に植えられた白と紫の2本が真ん中で寄り合い、綺麗に咲いている。
そうしてまったりしてから、スーちゃんとリズちゃんと先生、蜜仍君にエミールまでもが省庁へ、用事が有るとの事なので送り届け。
なんか眠いし、お昼寝。
桜木花子の入眠をシバッカル神経由で確認後、蜜仍君とエミール君は別の精神科医による定期検診。
コチラは作戦会議へ。
「なぁ、先生、この案をマジやんのか?」
《はい》
「ぬいぐるみとかゴーレムとかカエルとか、本当に大丈夫なの?」
《はい、確認は神々により行われましたし。後はもう、度胸かと》
「そんな博打みたいな事をさぁ」
「そうよ、もう少し穏便に。タイミングだって」
《もう、普通に出歩く事すら躊躇っているので、タイミングも何も無いかと》
「そうだけどぉ」
「失敗したら、離れ離れになるんだぞ?」
《良く話し合えれば、大丈夫ですよ》
お昼時に目が覚めるとエミールに蜜仍君、先生も居た。
昨日に引き続き、先生が気に入った花茶や茶菓子を頂く。
花茶、自作出来ないだろうか。
外に出て一服しつつご相談。
「女媧さん、花茶、工芸茶を」
女媧さん、もう既に移民達に技術を仕込んでくれてるらしい。
マジか、流石。
《オリジナルが作りたいんでしょう、来なさい》
いずれ頼むつもりだったと、オリジナルブレンドを作成する事に。
少し早いがミーシャも連れ、皆で中つ国へ。
桜木さんは昨夜の攻略後、ゲームの画面が切れたまま。
なので暫くは自分自身への学習時間だと思い込み、ずっと避けていた房中術を勉強。
基礎学習で恥ずかしくなってしまい、他に何か学ぶべき事が無いか、仕事用の携帯を触っていると省庁から呼び出しが。
何時でも良いとの事なので、早速向かう事に。
今後の為に虚栄心さんと面談をと言われ、先ずは泉から一軒家へ。
誰も居ないのか暗いまま、戸締まりがされている、そして少し待っているとアレクが来た。
「おう。誰も居ない家って、寂しいよな」
「ですね」
それから虚栄心さんの店に送って貰い、面談する事に。
「アンタ、覚悟は良い?」
花咲く花茶、又は工芸茶と呼ばれるモノは時代が浅いんだそう。
しかも、コレも転生者が持ち込んだ知識らしい。
作り方はタコ糸で結ぶのは共通しているが、茶葉に香りを移す方法が様々。
そもそも花と茶葉を重ねて匂いを移すか、既に工芸茶の状態になっているモノを花に埋めたりだとか。
そしてお湯に入れた後の見た目、花が舞ったり、徐々に開花したり、水中花の様に漂ったり。
花の色は暖色系ばかり、そして青いのは無い。
うん、青が欲しいよね。
中つ国の青い花の研究員に話を聞くと、是非にとなった。
「あの、何の事でしょうか虚栄心さん」
「あの子を、人間だって理解してるわよね?」
「はい」
「肉欲だって有る筈なのも、理解してる?」
ごめんなさいね、ゴーレム暴走化現象が出るかのチェックさせて貰うわね。
「はい、前回、はい」
「なら、繊細なのも納得よね?」
「はい」
そう、コレは先生が立案した極秘作戦。
奥手同士をどうにかする作戦。
作戦って言うかもう、コレしか無い感じなのよ。
そして転生者達も絡んでる案件だから、更に最終確認をと。
人間を人間と思わない人間って、結構居るんだけれど、自覚が無いのよね。
でもショナ君は大丈夫そう。
「コレはチャンスなの、コレ以上の介入は出来無いの。背中を押したり進めたりは、出来無いの、何でか分かる?」
「桜木さんが、望まないからですよね」
「誰かに後押しされた様な好意は、ね」
「言いたいんです、でも」
「関係を壊したくない」
「それに、どうしてもタイミングが、何か、欲しくて」
「やっと、言ったわね」
研究員も加わっての青い花の工芸茶は、想像以上に良い感じ。
蝶豆の花から出る成分で青い色の液体の中に、小さな星の様な白いペンタスの花が漂う、そして甘茶とクチナシのお陰でほんのり甘い味と香り。
渋み無し、もう、好き。
「最高だと思うんじゃが」
「ですねー、同じ製品も無いですし」
『特許取れそうですよね?』
《では、申請に行きましょうか》
省庁へ行くと、虚栄心が呼んでいると言われた。
取り敢えずはエミールに蜜仍君や先生を任せ、虚栄心の店へ。
ショナの女体化バージョン、祥子ちゃん、何してんの。
「どうしてそんな事に?」
「新しい事を思い付いたの、レストラン。試してくれない?紫苑と祥子ちゃんで」
ハナの頭を全て覗いた先生の案なのよね、コレ。
レストランに入って直ぐには気付かないだろうけれど、準備が整うと、真っ暗になるのよ。
そのままお食事開始、先ずは素手で、目の前の食事を手探りで食べる。
次には給仕係りからお互いの手を使って食べさせ合ったり、果てはお膝の上でも食べさせ合うヤツ、料理は美食と女媧様監修の特別メニュー。
給仕係りや補佐はカールラとクーロン。
0でハナが見た映像作品の案からのチョイス、アンタ達がグズグズしてるからイケナイのよ。
《あら、あらあら、ふふふ》
「計画通りね」
色欲と共に暗視ゴーグルで監視し、ゴーサイン。
そして座席がせり上がり、そのまま上のベッドルームへ。
もう、半ばドッキリよね、コレ。
《はぁ、自分のテリトリーじゃ無いと、何も察知出来無いのよねぇ》
「野暮ねぇ、もうコレでダメなら、ショナ君をぶん殴るわ」
つい、ショナ子ちゃんから、好きって言われてつい。
性別逆なのに、つい、好きと言われて。
「マジで、すみませんでした」
「え、もう嫌になっちゃったんですか?」
「いや、そも性別が逆だし。雰囲気に流されたと言うか、半ば冷静じゃ無かった気も、しなくも無くは無いと言うか。そっちも、もしかしたらそうだったら、悪いなと思って」
「何だか、ロキ神みたいですね」
「あ、こう言う感じなのね、解したわ」
「僕は凄く嬉しいんですけど、緊張してます?今更」
「してます、色々有ったのも話さないとだしです」
「何か有ったんですか?」
「何も無いんだが、こう、ね」
「大丈夫ですよ、もう覚悟は出来てますし。それで、何が有ったんですか」
「某国で、フェロモンの実験をね……」
紫苑さんの姿の桜木さんに、お風呂に入れて貰い、お水を飲ませて貰ったり。
そう甘やかされながら、少しずつ話を聞いた。
ルーマニアまで行き、先生主導の元でフェロモンの実験をした。
結果としては同種の方とは居られない、ルーマニアにも長くは留まれないと。
そして僅かに滲み出ているので、毎日一緒には居ない方が良いかも知れないとも。
そもそも先生が同行していたし、実際に何も無いのだし。
別に、紫苑さんは悪く無いのに、申し訳無さそうなのが可愛いらしいけど。
「問題無いのでは?」
「ゲームでもさ、気付きが有りまして。振り返ってみると、遠ざけたり戻したりって、駆け引きみたいになっちゃったし」
「それも、ちゃんと理由が有ったじゃないですか。僕の為にって」
「まぁ、ハーレム化の際に、近くに居られて嫌われたく無い面も有った」
「あ、なら、それでその、僕の為に退役しないとかって」
「エミールの事も有るし、まぁ、少しは思った」
嘘の音色、この感じだと少しどころでは無さそう。
そしてこの魔道具の事も、僕から言わないと。
「桜木さん、コレ、何だか分かりますか?」
「ピアス、魔道具?」
「はい、桜木さんのと同じです」
「あぁ、防ぐの付けて無いから、そうか」
「寂しいですよね、無いと」
「いや、あ、はい、少し」
「今度、買いに行きましょう」
「いや、でも、本当に良いの?ユラ君の事は完全に迂闊だったんだし」
「どう、迂闊だと思うんですか?」
「3日通うのを警戒してたんなら、徹頭徹尾警戒をだね」
「相手が狼だったので、ハードルが下がったのかと。寧ろ、結果的にも良い事だと思うんですけど」
「どれが?」
「ユラ君の呪いを解いた事です。何故人が怖いか、どうして嫌いなのか、もう分らなかったんですよね?」
「らしいけども」
「僕が記憶を無くして、そうなってたなら、そう救って貰えたら嬉しいと思うんですが」
「救いかどうかがねぇ、無垢がハーレムを甘んじるのはどうなのよ」
「僕は、僕も別に。寧ろ紫苑さん、全然平気そうですよね、今でも余裕そうですし」
「そりゃ逆だし」
「通常だと?」
「もう、言葉では表せないわな」
「楽しみにしてますね」
「マジでハーレムぞ?」
「付き合って3ヶ月はしない方が良いみたいなんで、通常の方はそうしましょうね」
「何で受け入れちゃうのよ」
「好きなので」
紫苑さんが真っ赤、初めて見るかも知れない。
僕もつられると思ったのに、嬉しいが勝ったのかも。
「でもだ、1番は誰とか気になるかもじゃない」
「全員が同列1位じゃ無いなら怒りますけど。大丈夫ですよ、ちゃんと調和を保つ努力はしますから」
「あ、アレクとかどうすんの、元魔王に、元大罪の悲嘆も居るんだぞ?」
「あんな表情を見て心が動かない桜木さんは、有り得ないと思うんですけど」
「うん?どっちの意味で?」
「両方ですね、面食いなんですし。だからこそ、そう好みを抑える方がどうかしてるかと」
「それよ、好み無いんでしょ君。心理学的に操作されてるんじゃって心配されてたべ」
「ご自分なら、多少駆使された程度で落ちますか?あのゲーム内でかなり使われてましたよ?」
「あぁ、そう言われれば使われてたか、でもだ」
「する前に言いましたよね?解除師や医師に何度も確認したって、それに、その程度で僕が揺さぶられると思ってます?」
「いや」
「そこは即答するんですね」
「ワシがワシを信じられん」
「あ、だからこそ、魔法は何でも出来るから、漏れ出ちゃうんじゃないんですか?」
「あぁ、そうかも、はい。ワシより理解してらっしゃるか」
「それでも、分からない時も有りますよ?僕の事を何とも思って無いだろうって、ずっと思ってましたから」
「いつからとか聞いて良いのかね?」
「桜木さんはいつなんですか?」
「顔を見た瞬間」
「本当ですか?」
「だからこそ病院出た後も、妄想か夢か天国かと、疑いは継続したんだが」
「僕は、大演習の後です」
「ほう」
「居て当たり前じゃ無くなるのが嫌で、それは何でだろうって。本当にあの時ですか?」
「仙薬の後よ、あの一瞬じゃ見えなかったし」
「じゃあ、僕の顔。祥那と祥子、どっちが良いですか?」
「そう言う問いが来るのかぁ」
自分の事で困って悩んでくれるのが、嬉しい事なんだと、初めて実感出来た。
コレは、女性の体だからなんだろうか。
虚栄心から感想を聞かせなさい、と連絡が入り、急いで支度をし、虚栄心の店へ。
気まずい、そして恥ずかし死しそう。
「シオン、美味しかった?」
「っぅあ、はぃ」
「照れないでよ、コッチまで照れるじゃない」
「すまん、それでこの、服はどうしたら?」
「祥子ちゃんとシオン用よ、何もちゃんとしたの無いでしょう?」
「あぁ、でも使う機会が」
「祥那の僕と遊びに行かないんですか?」
急に、凄い強気なんよなショナ。
もう、ワシが一方的に照れてる気がする。
「アンタ、良い性格してるわねぇ」
「最近良く言われます」
「大丈夫か?歪んじゃったか?」
「そんなつもりも、検査でも出て無いんですが」
「そうね、大丈夫よコレ、元からね」
「あぁ、なら良いんだが。そうか」
「あら、納得が早いって事は、アンタいつ気付いたの?」
「帰って来てからかな、あのウブ感とは違うし」
「そう。それで、もう大丈夫そう?」
「いやぁ」
「本気で、僕が許容しないとでも思ってるんですか?」
「何か、正妻感が凄いわね。そう無理しても長続きしないわよ?」
「寧ろ独占したら、それこそ罰が当たるかと。それに、流石に僕でも女性の体では保たないので」
「何か、ショナ、本当に人格変わって無い?」
「そう、ですね。今思うと、一瞬捩じ切れそうになった瞬間が有るんですよ。でもそれで、強くなったのかも知れませんね」
「何かごめんな、どれだ?」
「僕だけ、何度も振り払おうとしてるなって気付いた時ですかね。嫌われてるのかと、そう捩じ切れそうになったので」
「ごめんな、守りたかったのよマジで」
「ウブ故よね、でも、何か有ったら言いなさいよ。他愛も無い助言なら、出来るかも知れないから」
「はい、ありがとうございます」
「ご苦労おかけします、すまん」
「親友じゃないの。それよりアンタ、騙したなって怒って無いし、こうなってるって事は?」
真っ赤な自覚は有ります。
そのまま虚栄心に誂われ、花子になり着替えて、そして遠野の一軒家へ。
中庭に現れた桜木花子は真っ赤で、祥那君はご機嫌。
もうコレ、聞かずとも作戦は成功してますよね。
《祥那君、桜木さんをお借りしますね》
「はい」
紫苑さんではココまでの反応では無かったらしいんですが、桜木花子の姿になってからは、この赤面のまま。
一服させると落ち着いたのか、何とか話し始めた。
「お手数おかけしました」
《いえ》
「あの正妻みが、凄いんですけど、問題は?」
《私はお局ですが、問題無いかと》
「あぁ、はい」
《あの、詳細が全く分からないんですが》
「性別逆で、しました」
《何回程でしょう》
「回数も?!」
《両方から聞き取りはします、公平性の為にも》
「あぁ、マジっすか」
《本当は中身も知りたいんですけどね》
「マジっすか?」
《研究者なんですよ?》
「あー、マジっすかー」
《それで良く出来ましたね》
「ねー、雰囲気って凄いっすわ」
《じゃあ、私も同じプランを体験してみますね》
「おー、がんばれー」
《君もですよ?》
「何が?」
《1人じゃ出来ませんし》
「ん?」
《私と君と、同じ状態で》
「マジっすか」
《はい》
「マジっすか?」
《はい、研究の為でもありますし。他の話も有るので、中へ移動しましょう》
「マジっすかー」
マジで、先生もハーレム候補者だったんか。
てっきり、蛙化現象の調整してくれてるだけかとばかり。
《ではコチラでルーティンを組みますが、空いた日は自由に、誰に会いに行っても問題無いです。ただ、お会いになるべき候補はお伝えします》
「へい」
改めて伝えられた基本のメンツは。
ショナ、白雨、ロキ神、先生。
次点でアレクやユラ君、他の未成年も相応の対応でと。
先生、マジでマジっすか。
《問題でも?》
「ショナさんや?」
「はい?」
「問題は?」
「無いですよ?」
「マジで頭大丈夫?」
「流石に目の前でイチャイチャされたら心が痛むかと、でも御希望なら耐える訓練はしますよ?」
「その御希望は皆無なんだが、大丈夫か?」
「僕は桜木さんの方が心配なんですが?主に、女性体での対応に関して」
《そこはお相手の方に加減して頂きましょう》
「おふ、ギブ、タイム」
桜木花子は抑制魔法にでも掛かった様に、スッと冷静になり。
自分で言ったにも関わらず真っ赤なままの祥那君には触れず、庭へ行き一服。
祥那君とくっつける事で、ハーレム案を呑んで貰う作戦は成功したものの、まだ複雑な呪いが掛かったまま。
そして、その事にやっと祥那君も気付いた様子。
「あの、桜木さんはまだ、呪いが掛かったままでは?」
《でしょうね、今度はコレ以上好きにならない様に、無意識に認識を回避しているんでしょう。君の赤面に飛び付かない所を見るに、認識阻害的な呪いが残ったままかも知れませんね》
「この調子なら、桜木さんが認識していない範囲で被害が出てそうなんですが」
《でしょうね、某国の従者も落ちたそうですし。どんな気分ですか?自分に似た人間に取られそうになったご感想は》
「嬉しいのと怖いのと、同じ位で、凄く複雑です」
《でも、離れる気は》
「無いですね」
《普通ならセオリーが手近に有りますけど、コレは少し違いますから。移民達や紫禁城から導き出した方が、早いかも知れませんね》
「確かに、そうですね、ありがとうございます」
《おうおう、すっかり変わりおって》
『追加情報だ』
《何か有りましたか》
《ショナ坊は少し向こうへ行っておれ》
「はい」
《不穏ですね》
『この国へ、ルーネが来るらしい、仕事半分だそうだが。どうする気だ』
エミールに、何と説明しようか。
困るなコレ。
《桜木さん》
「へい」
《戻らないんですか?》
「エミールに何と言うべきか、と」
《誤解が解けた、今はそれで十分かと》
「おう」
それからはもう、普通に過ごせた。
何も変わらない感じで、普通、通常、日常。
お夕飯の相談をして、エミールリクエストの手巻き寿司を準備。
そうして皆で食べて、皆でお片付け。
エミールがショナへ工芸茶の話をして、アクアリウムの話になり、水槽を業者に頼むかどうかにまで至った。
もし海水魚ならどこかで捕まえるかとなり、果ては南の方にも一軒家をと。
「桜木様、折角なら端っこにしましょうよ」
「いや、君が行くなら高校が。コレだと石垣じゃない?」
散々探した末、石垣の上の方に海沿いの良い土地を地図上で発見。
とうとう、家からか。
「この花ブロック、デザイン凄い有りますよー」
「木造の伝統工法なら、支援金も出ますよ」
「推すなぁ」
「もし桜木さんが使わないんであれば、従者の研修所や療養所になりますし、無駄にはならないので」
なら伝統的な建物の方が良いだろうと調べてみると、特徴がかなりある。
赤瓦、縁側より更に突き出した雨端。
トイレはタイル貼りで丸洗いしたり、それこそ花ブロックや石灰岩で防風と冷却をしたり、防風林には福木やガジュマルを植えたりと。
玄関前には魔除けと目隠しの「ひんぷん」と言われる壁、と言うか古い建物だと玄関の概念が無いらしく、縁側から出入りするらしい。
そして必須なのが水のタンク、トイレは基本的に雨水なので、その設備も設置の義務化がされている。
そしてまた家屋の話に戻る。
通気性の為に底上げされる床下、琉球畳、縁側どころかウッドデッキにしちゃおうだとか。
果ては3棟が連結した様なモデルハウスが出てきて大盛り上がり、いや、真ん中にウッドデッキ有って中庭風で良いんだけども。
「桜木様、何処が嫌ですか?」
「床の軋みは、フローリングを張り替えれば10年は持つそうですよ」
『へー、あ、ロフトってココだと暑いんですかね?』
《気密性の高い棟も作れば良いかと》
そうして出来上がったのは、3連棟の2階建ての一軒家、真ん中のウッドデッキが全棟と連結している。
全ての建物の外側には雨端、ロフト付き、そして赤煉瓦。
海沿いには石垣と生垣、ひんぷんも。
1棟は間口の広い伝統的な家は、離れにと。
トイレ別、シャワーだけ、簡易なミニキッチン付き。
もう1棟は現代建築、気密性の高い鉄筋コンクリート。
バスタブ付き、ガラス戸越しに物干し場と直結している、キッチンは普通サイズ。
そしてもう1棟は両方を組み合わせた、漆喰壁も有る木造家屋。
トイレは勿論、露天風呂にもなる大きい窓が付いたお風呂、カウンター付きの大型キッチン。
それでも快諾しないでいると、ウッドデッキの真ん中に木を植えるだとか、ハンモックを付けるだとか言い出して。
もう、本当に欲張りセット。
「欲張りセットやん」
桜木さんの賛成を頂けたので、そのまま現地の建築会社に見積り依頼。
名義は従者庁、名目は研修や保養。
「楽しみですねー」
「私、ココが良いかも知れません」
「ミーシャ、マジ?」
予定地は近所と距離が有り、そもそも人通りすらも少ない国道の裏道。
普通に暮らすには病院や学校も有るので充分、人間嫌いのミーシャさんには最適だが、ココと同じ様に車が有る前提での生活方法。
「送迎サービスを頼みます」
高齢者や未成年用の、バスとは違う公共の送迎サービス、乗り合いになる事も有るが、子供が居ればそれも無いだろうと。
ミーシャさんの本気度合いに、桜木さんがビックリしている。
「それは、お子が出来る前提よな?」
「はい」
「マジ?」
「はい、私が育てれば、どんな子も良い子になります」
傍目には無責任な暴論にも思えるけれど、バックにアヴァロンが付いてるとなると、説得力が凄い。
実際にも、桜木さんが納得しかけている。
「そこは疑う要素が無いにしても、保留で」
「はい」
《では、私はそろそろ》
「あぁ、送ります」
先生を送ると、帰り際に頬へ頂いてしまった、一軒家に帰り中庭で一服。
何とか平常心へ。
もう、本当に心臓を増やして貰うべきか。
いや、増えたら増えたで動悸が凄そう、つか血管が破裂すんべな。
《くふふふ》
『出歯亀と言うんだぞドリアード』
『ハーレム案を呑んで頂けるまで、かなり掛かりましたねぇ』
「お手数とご心配をお掛けしました」
『本当に、魔法無しは大変ですね』
「ホンマに無しだったんか」
『はい、意に反する事は出来ませんから』
「そうか、ヤキモキしたでしょう」
『それが良いんじゃないですか』
「創作物なら、結ばれて、ココで終わるのにな」
『問題も人生も、まだまだ有りますから。これからも楽しみにしてますよ』
「ですよね」
それからは部屋に戻り、狼の蜜仍君をもふもふ。
もふもふしながら、エミールと水槽シミュレーターで遊ぶ。
淡水か海水かを選び、そして魚のチョイスへ。
あぁ、人魚問題も有るのか。
「今度、水族館の見学に行かれては?」
「僕も行きたいー」
『僕が調べておきますね』
そうして今日はこれまで、就寝。




