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5月9日 工芸茶からの、まさかが起きた。

描写には気を付けたんですが、どうなんでしょうか。

 今日も朝から先生とエナさんと合流、先ずは紫苑になり全員で温泉へ。


 それから朝ご飯を食べ、リズちゃん達も呼んで感想会へ。

 エミールと蜜仍君とパトリックは近所の公園へ、野球しに行ってしまった。


「お前、あんな感じが良いのか?」

「紫苑だけならね、他にもワラワラ来られると、逆に警戒心とハードルが上がるんだと思う」

「そうよね、徒党を組まれるって怖い事だし」


「女でゲームすると打算感が凄いのよね、どんな演出が有っても、結局は計算の上で愛されてんだろうなってなっちゃう」

「穿った見方なんだよなぁ」

「でも、後宮モノ見ちゃうとねぇ」

《計算や合理性よりも、情での繋がりの方が強いですからね。コレも、生来の性別からの防衛機制かと》


「あぁ、俺、まだ実感湧かないな」

「まぁ、女は初心者だものね」

「でも紫苑の方だと演出と立場とね、情で一緒に居ようとするのとかが分かるけど。でもコレ、何か捨ててまで来てくれないと満足出来ない性癖か?」


《捨てると言うから語弊が有りますけど、環境を変えても問題無いと思ってくれる事を喜ぶのは、そう問題では無いかと。実際にお付き合いとなれば、環境はガラリと変わるんですし》


「まぁ、そこは同意だな、家族が増える事も環境の変化に繋がるし」

「関係にも変化は有るんだし、けど、でも?」


「どの理想も結局は一般の場合で、ワシは流石に立場が違うのも理解はしてんのよ。でもこう、オススメが多いのも仕方無いとは思える位にはなった、けどもだ」

「ショナ君、よね?」

「だろうよ」


「結局は外野だから平気なんだろうけど、それでも、ワシが荒ぶったら幻滅されそう」

「難しい事な筈だものね」

「ましてやウブだから、余計に心配なんだよな」


「それもだが、距離を取られても寂しいから。もう、このまま休み休みにして貰おうかな」

「それでもよ、再度、ちゃんと確認して、話し合ったら?」

「だな、誤解や勘違いが出ない様に、配慮はしてやっても良いだろ」


「ですよね、頑張ってはみます」

「よし、藤の花見だな」

「そうね」


 そうして中庭で藤の花を見ていると、蜜仍君とエミールが帰って来た。

 ドリアードに呼ばれたらしく、一緒にアヴァロンへ。

 ココにも藤の花、少し離れた場所に植えられた白と紫の2本が真ん中で寄り合い、綺麗に咲いている。


 そうしてまったりしてから、スーちゃんとリズちゃんと先生、蜜仍君にエミールまでもが省庁へ、用事が有るとの事なので送り届け。

 なんか眠いし、お昼寝。




 桜木花子の入眠をシバッカル神経由で確認後、蜜仍君とエミール君は別の精神科医による定期検診。


 コチラは作戦会議へ。


「なぁ、先生、この案をマジやんのか?」

《はい》

「ぬいぐるみとかゴーレムとかカエルとか、本当に大丈夫なの?」


《はい、確認は神々により行われましたし。後はもう、度胸かと》

「そんな博打みたいな事をさぁ」

「そうよ、もう少し穏便に。タイミングだって」


《もう、普通に出歩く事すら躊躇っているので、タイミングも何も無いかと》

「そうだけどぉ」

「失敗したら、離れ離れになるんだぞ?」


《良く話し合えれば、大丈夫ですよ》




 お昼時に目が覚めるとエミールに蜜仍君、先生も居た。


 昨日に引き続き、先生が気に入った花茶や茶菓子を頂く。

 花茶、自作出来ないだろうか。


 外に出て一服しつつご相談。


「女媧さん、花茶、工芸茶を」


 女媧さん、もう既に移民達に技術を仕込んでくれてるらしい。

 マジか、流石。


《オリジナルが作りたいんでしょう、来なさい》


 いずれ頼むつもりだったと、オリジナルブレンドを作成する事に。

 少し早いがミーシャも連れ、皆で中つ国へ。




 桜木さんは昨夜の攻略後、ゲームの画面が切れたまま。

 なので暫くは自分自身への学習時間だと思い込み、ずっと避けていた房中術を勉強。


 基礎学習で恥ずかしくなってしまい、他に何か学ぶべき事が無いか、仕事用の携帯を触っていると省庁から呼び出しが。

 何時でも良いとの事なので、早速向かう事に。


 今後の為に虚栄心さんと面談をと言われ、先ずは泉から一軒家へ。


 誰も居ないのか暗いまま、戸締まりがされている、そして少し待っているとアレクが来た。


「おう。誰も居ない家って、寂しいよな」

「ですね」


 それから虚栄心さんの店に送って貰い、面談する事に。


「アンタ、覚悟は良い?」




 花咲く花茶、又は工芸茶と呼ばれるモノは時代が浅いんだそう。

 しかも、コレも転生者が持ち込んだ知識らしい。


 作り方はタコ糸で結ぶのは共通しているが、茶葉に香りを移す方法が様々。

 そもそも花と茶葉を重ねて匂いを移すか、既に工芸茶の状態になっているモノを花に埋めたりだとか。


 そしてお湯に入れた後の見た目、花が舞ったり、徐々に開花したり、水中花の様に漂ったり。


 花の色は暖色系ばかり、そして青いのは無い。

 うん、青が欲しいよね。


 中つ国の青い花の研究員に話を聞くと、是非にとなった。




「あの、何の事でしょうか虚栄心さん」

「あの子を、人間だって理解してるわよね?」


「はい」

「肉欲だって有る筈なのも、理解してる?」


 ごめんなさいね、ゴーレム暴走化現象が出るかのチェックさせて貰うわね。


「はい、前回、はい」

「なら、繊細なのも納得よね?」


「はい」


 そう、コレは先生が立案した極秘作戦。

 奥手同士をどうにかする作戦。

 作戦って言うかもう、コレしか無い感じなのよ。


 そして転生者達も絡んでる案件だから、更に最終確認をと。

 人間を人間と思わない人間って、結構居るんだけれど、自覚が無いのよね。

 でもショナ君は大丈夫そう。


「コレはチャンスなの、コレ以上の介入は出来無いの。背中を押したり進めたりは、出来無いの、何でか分かる?」


「桜木さんが、望まないからですよね」

「誰かに後押しされた様な好意は、ね」


「言いたいんです、でも」

「関係を壊したくない」


「それに、どうしてもタイミングが、何か、欲しくて」

「やっと、言ったわね」




 研究員も加わっての青い花の工芸茶は、想像以上に良い感じ。

 蝶豆の花から出る成分で青い色の液体の中に、小さな星の様な白いペンタスの花が漂う、そして甘茶とクチナシのお陰でほんのり甘い味と香り。

 渋み無し、もう、好き。


「最高だと思うんじゃが」

「ですねー、同じ製品も無いですし」

『特許取れそうですよね?』

《では、申請に行きましょうか》


 省庁へ行くと、虚栄心が呼んでいると言われた。

 取り敢えずはエミールに蜜仍君や先生を任せ、虚栄心の店へ。


 ショナの女体化バージョン、祥子(しょうこ)ちゃん、何してんの。


「どうしてそんな事に?」

「新しい事を思い付いたの、レストラン。試してくれない?紫苑と祥子(しょうこ)ちゃんで」




 ハナの頭を全て覗いた先生の案なのよね、コレ。

 レストランに入って直ぐには気付かないだろうけれど、準備が整うと、真っ暗になるのよ。


 そのままお食事開始、先ずは素手で、目の前の食事を手探りで食べる。

 次には給仕係りからお互いの手を使って食べさせ合ったり、果てはお膝の上でも食べさせ合うヤツ、料理は美食と女媧様監修の特別メニュー。

 給仕係りや補佐はカールラとクーロン。


 0でハナが見た映像作品の案からのチョイス、アンタ達がグズグズしてるからイケナイのよ。


《あら、あらあら、ふふふ》

「計画通りね」


 色欲と共に暗視ゴーグルで監視し、ゴーサイン。

 そして座席がせり上がり、そのまま上のベッドルームへ。

 もう、半ばドッキリよね、コレ。


《はぁ、自分のテリトリーじゃ無いと、何も察知出来無いのよねぇ》

「野暮ねぇ、もうコレでダメなら、ショナ君をぶん殴るわ」






 つい、ショナ子ちゃんから、好きって言われてつい。


 性別逆なのに、つい、好きと言われて。


「マジで、すみませんでした」

「え、もう嫌になっちゃったんですか?」


「いや、そも性別が逆だし。雰囲気に流されたと言うか、半ば冷静じゃ無かった気も、しなくも無くは無いと言うか。そっちも、もしかしたらそうだったら、悪いなと思って」


「何だか、ロキ神みたいですね」

「あ、こう言う感じなのね、解したわ」


「僕は凄く嬉しいんですけど、緊張してます?今更」

「してます、色々有ったのも話さないとだしです」


「何か有ったんですか?」

「何も無いんだが、こう、ね」


「大丈夫ですよ、もう覚悟は出来てますし。それで、何が有ったんですか」


「某国で、フェロモンの実験をね……」




 紫苑さんの姿の桜木さんに、お風呂に入れて貰い、お水を飲ませて貰ったり。

 そう甘やかされながら、少しずつ話を聞いた。


 ルーマニアまで行き、先生主導の元でフェロモンの実験をした。

 結果としては同種の方とは居られない、ルーマニアにも長くは留まれないと。


 そして僅かに滲み出ているので、毎日一緒には居ない方が良いかも知れないとも。


 そもそも先生が同行していたし、実際に何も無いのだし。

 別に、紫苑さんは悪く無いのに、申し訳無さそうなのが可愛いらしいけど。


「問題無いのでは?」


「ゲームでもさ、気付きが有りまして。振り返ってみると、遠ざけたり戻したりって、駆け引きみたいになっちゃったし」

「それも、ちゃんと理由が有ったじゃないですか。僕の為にって」


「まぁ、ハーレム化の際に、近くに居られて嫌われたく無い面も有った」


「あ、なら、それでその、僕の為に退役しないとかって」

「エミールの事も有るし、まぁ、少しは思った」


 嘘の音色、この感じだと少しどころでは無さそう。


 そしてこの魔道具の事も、僕から言わないと。


「桜木さん、コレ、何だか分かりますか?」

「ピアス、魔道具?」


「はい、桜木さんのと同じです」

「あぁ、防ぐの付けて無いから、そうか」


「寂しいですよね、無いと」


「いや、あ、はい、少し」

「今度、買いに行きましょう」


「いや、でも、本当に良いの?ユラ君の事は完全に迂闊だったんだし」

「どう、迂闊だと思うんですか?」


「3日通うのを警戒してたんなら、徹頭徹尾警戒をだね」

「相手が狼だったので、ハードルが下がったのかと。寧ろ、結果的にも良い事だと思うんですけど」


「どれが?」

「ユラ君の呪いを解いた事です。何故人が怖いか、どうして嫌いなのか、もう分らなかったんですよね?」


「らしいけども」

「僕が記憶を無くして、そうなってたなら、そう救って貰えたら嬉しいと思うんですが」


「救いかどうかがねぇ、無垢がハーレムを甘んじるのはどうなのよ」

「僕は、僕も別に。寧ろ紫苑さん、全然平気そうですよね、今でも余裕そうですし」


「そりゃ逆だし」

「通常だと?」


「もう、言葉では表せないわな」

「楽しみにしてますね」


「マジでハーレムぞ?」

「付き合って3ヶ月はしない方が良いみたいなんで、通常の方はそうしましょうね」


「何で受け入れちゃうのよ」

「好きなので」


 紫苑さんが真っ赤、初めて見るかも知れない。

 僕もつられると思ったのに、嬉しいが勝ったのかも。


「でもだ、1番は誰とか気になるかもじゃない」

「全員が同列1位じゃ無いなら怒りますけど。大丈夫ですよ、ちゃんと調和を保つ努力はしますから」


「あ、アレクとかどうすんの、元魔王に、元大罪の悲嘆も居るんだぞ?」

「あんな表情を見て心が動かない桜木さんは、有り得ないと思うんですけど」


「うん?どっちの意味で?」

「両方ですね、面食いなんですし。だからこそ、そう好みを抑える方がどうかしてるかと」


「それよ、好み無いんでしょ君。心理学的に操作されてるんじゃって心配されてたべ」

「ご自分なら、多少駆使された程度で落ちますか?あのゲーム内でかなり使われてましたよ?」


「あぁ、そう言われれば使われてたか、でもだ」

「する前に言いましたよね?解除師や医師に何度も確認したって、それに、その程度で僕が揺さぶられると思ってます?」


「いや」

「そこは即答するんですね」


「ワシがワシを信じられん」

「あ、だからこそ、魔法は何でも出来るから、漏れ出ちゃうんじゃないんですか?」


「あぁ、そうかも、はい。ワシより理解してらっしゃるか」

「それでも、分からない時も有りますよ?僕の事を何とも思って無いだろうって、ずっと思ってましたから」


「いつからとか聞いて良いのかね?」

「桜木さんはいつなんですか?」


「顔を見た瞬間」

「本当ですか?」


「だからこそ病院出た後も、妄想か夢か天国かと、疑いは継続したんだが」


「僕は、大演習の後です」

「ほう」


「居て当たり前じゃ無くなるのが嫌で、それは何でだろうって。本当にあの時ですか?」

「仙薬の後よ、あの一瞬じゃ見えなかったし」


「じゃあ、僕の顔。祥那と祥子、どっちが良いですか?」

「そう言う問いが来るのかぁ」


 自分の事で困って悩んでくれるのが、嬉しい事なんだと、初めて実感出来た。

 コレは、女性の体だからなんだろうか。




 虚栄心から感想を聞かせなさい、と連絡が入り、急いで支度をし、虚栄心の店へ。

 気まずい、そして恥ずかし死しそう。


「シオン、美味しかった?」

「っぅあ、はぃ」


「照れないでよ、コッチまで照れるじゃない」

「すまん、それでこの、服はどうしたら?」


「祥子ちゃんとシオン用よ、何もちゃんとしたの無いでしょう?」

「あぁ、でも使う機会が」

「祥那の僕と遊びに行かないんですか?」


 急に、凄い強気なんよなショナ。

 もう、ワシが一方的に照れてる気がする。


「アンタ、良い性格してるわねぇ」

「最近良く言われます」

「大丈夫か?歪んじゃったか?」


「そんなつもりも、検査でも出て無いんですが」

「そうね、大丈夫よコレ、元からね」

「あぁ、なら良いんだが。そうか」


「あら、納得が早いって事は、アンタいつ気付いたの?」

「帰って来てからかな、あのウブ感とは違うし」


「そう。それで、もう大丈夫そう?」

「いやぁ」

「本気で、僕が許容しないとでも思ってるんですか?」


「何か、正妻感が凄いわね。そう無理しても長続きしないわよ?」

「寧ろ独占したら、それこそ罰が当たるかと。それに、流石に僕でも女性の体では保たないので」

「何か、ショナ、本当に人格変わって無い?」


「そう、ですね。今思うと、一瞬捩じ切れそうになった瞬間が有るんですよ。でもそれで、強くなったのかも知れませんね」

「何かごめんな、どれだ?」


「僕だけ、何度も振り払おうとしてるなって気付いた時ですかね。嫌われてるのかと、そう捩じ切れそうになったので」

「ごめんな、守りたかったのよマジで」

「ウブ故よね、でも、何か有ったら言いなさいよ。他愛も無い助言なら、出来るかも知れないから」


「はい、ありがとうございます」

「ご苦労おかけします、すまん」

「親友じゃないの。それよりアンタ、騙したなって怒って無いし、こうなってるって事は?」


 真っ赤な自覚は有ります。

 そのまま虚栄心に誂われ、花子になり着替えて、そして遠野の一軒家へ。




 中庭に現れた桜木花子は真っ赤で、祥那君はご機嫌。

 もうコレ、聞かずとも作戦は成功してますよね。


《祥那君、桜木さんをお借りしますね》

「はい」


 紫苑さんではココまでの反応では無かったらしいんですが、桜木花子の姿になってからは、この赤面のまま。


 一服させると落ち着いたのか、何とか話し始めた。


「お手数おかけしました」

《いえ》


「あの正妻みが、凄いんですけど、問題は?」

《私はお局ですが、問題無いかと》


「あぁ、はい」

《あの、詳細が全く分からないんですが》


「性別逆で、しました」

《何回程でしょう》


「回数も?!」

《両方から聞き取りはします、公平性の為にも》


「あぁ、マジっすか」

《本当は中身も知りたいんですけどね》


「マジっすか?」

《研究者なんですよ?》


「あー、マジっすかー」

《それで良く出来ましたね》


「ねー、雰囲気って凄いっすわ」

《じゃあ、私も同じプランを体験してみますね》


「おー、がんばれー」

《君もですよ?》


「何が?」

《1人じゃ出来ませんし》


「ん?」

《私と君と、同じ状態で》


「マジっすか」

《はい》


「マジっすか?」

《はい、研究の為でもありますし。他の話も有るので、中へ移動しましょう》


「マジっすかー」




 マジで、先生もハーレム候補者だったんか。

 てっきり、蛙化現象の調整してくれてるだけかとばかり。


《ではコチラでルーティンを組みますが、空いた日は自由に、誰に会いに行っても問題無いです。ただ、お会いになるべき候補はお伝えします》


「へい」


 改めて伝えられた基本のメンツは。

 ショナ、白雨、ロキ神、先生。


 次点でアレクやユラ君、他の未成年も相応の対応でと。


 先生、マジでマジっすか。


《問題でも?》

「ショナさんや?」

「はい?」


「問題は?」

「無いですよ?」


「マジで頭大丈夫?」

「流石に目の前でイチャイチャされたら心が痛むかと、でも御希望なら耐える訓練はしますよ?」


「その御希望は皆無なんだが、大丈夫か?」

「僕は桜木さんの方が心配なんですが?主に、女性体での対応に関して」

《そこはお相手の方に加減して頂きましょう》


「おふ、ギブ、タイム」




 桜木花子は抑制魔法にでも掛かった様に、スッと冷静になり。

 自分で言ったにも関わらず真っ赤なままの祥那君には触れず、庭へ行き一服。


 祥那君とくっつける事で、ハーレム案を呑んで貰う作戦は成功したものの、まだ複雑な呪いが掛かったまま。

 そして、その事にやっと祥那君も気付いた様子。


「あの、桜木さんはまだ、呪いが掛かったままでは?」

《でしょうね、今度はコレ以上好きにならない様に、無意識に認識を回避しているんでしょう。君の赤面に飛び付かない所を見るに、認識阻害的な呪いが残ったままかも知れませんね》


「この調子なら、桜木さんが認識していない範囲で被害が出てそうなんですが」

《でしょうね、某国の従者も落ちたそうですし。どんな気分ですか?自分に似た人間に取られそうになったご感想は》


「嬉しいのと怖いのと、同じ位で、凄く複雑です」

《でも、離れる気は》


「無いですね」

《普通ならセオリーが手近に有りますけど、コレは少し違いますから。移民達や紫禁城から導き出した方が、早いかも知れませんね》


「確かに、そうですね、ありがとうございます」

《おうおう、すっかり変わりおって》

『追加情報だ』

《何か有りましたか》


《ショナ坊は少し向こうへ行っておれ》

「はい」

《不穏ですね》

『この国へ、ルーネが来るらしい、仕事半分だそうだが。どうする気だ』




 エミールに、何と説明しようか。

 困るなコレ。


《桜木さん》

「へい」


《戻らないんですか?》

「エミールに何と言うべきか、と」


《誤解が解けた、今はそれで十分かと》


「おう」


 それからはもう、普通に過ごせた。

 何も変わらない感じで、普通、通常、日常。


 お夕飯の相談をして、エミールリクエストの手巻き寿司を準備。

 そうして皆で食べて、皆でお片付け。


 エミールがショナへ工芸茶の話をして、アクアリウムの話になり、水槽を業者に頼むかどうかにまで至った。

 もし海水魚ならどこかで捕まえるかとなり、果ては南の方にも一軒家をと。


「桜木様、折角なら端っこにしましょうよ」

「いや、君が行くなら高校が。コレだと石垣じゃない?」


 散々探した末、石垣の上の方に海沿いの良い土地を地図上で発見。

 とうとう、家からか。


「この花ブロック、デザイン凄い有りますよー」

「木造の伝統工法なら、支援金も出ますよ」

「推すなぁ」


「もし桜木さんが使わないんであれば、従者の研修所や療養所になりますし、無駄にはならないので」


 なら伝統的な建物の方が良いだろうと調べてみると、特徴がかなりある。

 赤瓦、縁側より更に突き出した雨端。

 トイレはタイル貼りで丸洗いしたり、それこそ花ブロックや石灰岩で防風と冷却をしたり、防風林には福木やガジュマルを植えたりと。


 玄関前には魔除けと目隠しの「ひんぷん」と言われる壁、と言うか古い建物だと玄関の概念が無いらしく、縁側から出入りするらしい。

 そして必須なのが水のタンク、トイレは基本的に雨水なので、その設備も設置の義務化がされている。


 そしてまた家屋の話に戻る。

 通気性の為に底上げされる床下、琉球畳、縁側どころかウッドデッキにしちゃおうだとか。

 果ては3棟が連結した様なモデルハウスが出てきて大盛り上がり、いや、真ん中にウッドデッキ有って中庭風で良いんだけども。


「桜木様、何処が嫌ですか?」

「床の軋みは、フローリングを張り替えれば10年は持つそうですよ」

『へー、あ、ロフトってココだと暑いんですかね?』

《気密性の高い棟も作れば良いかと》


 そうして出来上がったのは、3連棟の2階建ての一軒家、真ん中のウッドデッキが全棟と連結している。

 全ての建物の外側には雨端、ロフト付き、そして赤煉瓦。


 海沿いには石垣と生垣、ひんぷんも。


 1棟は間口の広い伝統的な家は、離れにと。

 トイレ別、シャワーだけ、簡易なミニキッチン付き。


 もう1棟は現代建築、気密性の高い鉄筋コンクリート。

 バスタブ付き、ガラス戸越しに物干し場と直結している、キッチンは普通サイズ。


 そしてもう1棟は両方を組み合わせた、漆喰壁も有る木造家屋。

 トイレは勿論、露天風呂にもなる大きい窓が付いたお風呂、カウンター付きの大型キッチン。


 それでも快諾しないでいると、ウッドデッキの真ん中に木を植えるだとか、ハンモックを付けるだとか言い出して。

 もう、本当に欲張りセット。


「欲張りセットやん」




 桜木さんの賛成を頂けたので、そのまま現地の建築会社に見積り依頼。

 名義は従者庁、名目は研修や保養。


「楽しみですねー」

「私、ココが良いかも知れません」

「ミーシャ、マジ?」


 予定地は近所と距離が有り、そもそも人通りすらも少ない国道の裏道。

 普通に暮らすには病院や学校も有るので充分、人間嫌いのミーシャさんには最適だが、ココと同じ様に車が有る前提での生活方法。


「送迎サービスを頼みます」


 高齢者や未成年用の、バスとは違う公共の送迎サービス、乗り合いになる事も有るが、子供が居ればそれも無いだろうと。

 ミーシャさんの本気度合いに、桜木さんがビックリしている。


「それは、お子が出来る前提よな?」

「はい」


「マジ?」

「はい、私が育てれば、どんな子も良い子になります」


 傍目には無責任な暴論にも思えるけれど、バックにアヴァロンが付いてるとなると、説得力が凄い。

 実際にも、桜木さんが納得しかけている。


「そこは疑う要素が無いにしても、保留で」

「はい」


《では、私はそろそろ》

「あぁ、送ります」




 先生を送ると、帰り際に頬へ頂いてしまった、一軒家に帰り中庭で一服。


 何とか平常心へ。

 もう、本当に心臓を増やして貰うべきか。

 いや、増えたら増えたで動悸が凄そう、つか血管が破裂すんべな。


《くふふふ》

『出歯亀と言うんだぞドリアード』

『ハーレム案を呑んで頂けるまで、かなり掛かりましたねぇ』

「お手数とご心配をお掛けしました」


『本当に、魔法無しは大変ですね』

「ホンマに無しだったんか」


『はい、意に反する事は出来ませんから』

「そうか、ヤキモキしたでしょう」


『それが良いんじゃないですか』

「創作物なら、結ばれて、ココで終わるのにな」


『問題も人生も、まだまだ有りますから。これからも楽しみにしてますよ』

「ですよね」


 それからは部屋に戻り、狼の蜜仍君をもふもふ。

 もふもふしながら、エミールと水槽シミュレーターで遊ぶ。

 淡水か海水かを選び、そして魚のチョイスへ。


 あぁ、人魚問題も有るのか。


「今度、水族館の見学に行かれては?」

「僕も行きたいー」

『僕が調べておきますね』


 そうして今日はこれまで、就寝。

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