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5月7日 精神的な事からの、悪役令嬢モノ。【マイルドなの?】

もうわかんない

 早朝から桜木花子が中庭に。

 祥那君の事なのか、何のご相談かは不明。


《おはようございます》

「おはようございます、いつ夏物を買うべきか、どこまで増量すれば?」


《0では55㎏以上。そしてココでも向こうでも共通するのは、多少の肥満より少しでも痩せてる方が死亡率が高い事。ココでは、月経が安定する体重まで増やして貰います》

「あの、BMIって」


《数値としては35以上で死亡率は上がりますが、流石にそこまでは推し進めませんし。それにその神話はココには存在してませんよ、元はただの統計データ、しかも後継の論文は商業に悪用された抜けの多いモノだそうで。そもそも、精密に計算するには大雑把過ぎでは?》

「あぁ、はい」


《骨や筋肉量、人種によっては脂肪の付き方まで違います。君には君の適正体重が有るんですから、それを探りながら、ゆっくりで良いんですよ》


「あぁ、太る事も怖いのに、整形なんて無理よな」

《例のコンタクト、私に試しては如何ですか》

《そうじゃな、体重も変身に加味されるんじゃろうし》


「便利グッズが過ぎるんじゃが」

《それが神々の魔道具かと、さ、出して下さい》


 肉感的。

 夏場は祥那君にも刺激が強そうですね。


「何か言ってくれ」

《灯台効果が増すかと》


「あぁ、理屈は揃ってるのに、覚悟しきれない」

《真面目な証拠ですね》


「うぐっ」

《そして天邪鬼、反骨精神は有るので助かります》


「先生、出来ますか」

《私の方より、君が。ホルモンバランス的に、まだ無理なのかも知れませんね》


「え、安定して無いの?」

《自然にとの事でしたので、自動修復されない様に言わないつもりだったんですが。どうしますか?》


「あぁ、流れに身を任せます」

《その発言は迂闊かと》


「もー」

《嫌悪感はどうでしょうか》


「無い、コレは照れです」

《なら良かったです、もし嫌になりそうな時は、確認作業だとでも思っておいて下さい》


「あぁ、ありがとう。お辛い立場でらっしゃる」

《君よりマシですし。君が、観上さんに自然と行っていた事と変わり無いかと》


「あぁ、意図して無い、そんな頭も。こうお気楽なのに、馬鹿だから呑み込めない?」

《数的にも、許容量を拡張させるんですから、慣らすには時間が掛かるかと》


「あぁ、クソー、一服しますー」

《どうぞ》


 祥那君にも誂える気概が有れば良いんですが。




 自分で言って少し照れてしまったので、一服。

 ビタミンCの神話も、BMIに至っては神話すら形成されて無いらしい。


 タブレットで調べてみても、低体重への弊害はわんさか出るが、過体重についてはそんなに。そもそも0の標準を、ダブルスコアで越える体重の人が出て来ない。


「先生、凄い体重の人が出て来ないんだが」

《過食や拒食は病気です、治療法が確立されてるので殆ど居ないんですよ。そしてココで現れたとなれば大問題です、そして低体重も》


「ほう」

《では先ず、低体重の方からですが……》


 海外の先代達が死力を尽くした結果だそうで、不妊、死亡率、傷病率が上がるのと、未病の観点から公衆衛生として幅広く世界中に広められる事になった。

 そして虐待の発見にも繋がる重要な事として、各国に教育が徹底されたらしい。


 そして虐待発見の過程で過食も問題に上がり、より精神的な虐待への問題が重視され、feeder(フィーダー)と呼ばれる過食を促す虐待者へも、治療が行われる事になった。


 その流れで、拒食やダイエットをさせる者、促す者をdampenist(ダンペンスト)と呼び、加害が無ければfeeder(フィーダー)と同じく変態性癖の分類なんだとか。

 元はdampen、鈍らせる、弱らせるの意味からの造語だそう。

 feederは、供給者。


 怖いわ。


「怖いわ」

《君の母親も、供給者(フィーダー)かと》


「マジか」

《肥満が良くないとされる世界で、思春期に標準体重へも痩せさせる手伝いをしないのは供給者(フィーダー)ですよ。依存させる手段、隔離や囲う手段なんです。減弱者(ダンペンスト)も似た思想で、どちらも相手をコントロールする手段に、外見と食事への過度な干渉や、逆に放置をするんです》


「闇が深いな母ちゃん」

《ですね、次は断食についてです》


 不妊や死亡率だけで無く、栄養失調からの思考力低下を招く事から、断食はかなり厳格なルールで正式な監督下で無いと行えない。

 極論としては、洗脳の足掛かりにされてしまうからと。


「あの子は?」

《残念ですが虐待認定が付きました、現在は治療施設で断食と宗教と心身の健康について学んでいます》


「学ぶ事が多くて大変そう」

《親の因果が子に報いた結果です、生まれは選べませんから。ですが育つ環境は、もう選べますのでご安心を》


「ワシも再教育されるべきでは」

《情報の取捨選択は可能でしょう。ご心配なら、ネットの免許試験受けられますか?》


「おう」




 桜木花子のネット免許取得は問題無く完了し、一般人と同じ情報が入る事に。


 そうしてこう、なりますよね。


《意外でしょうか》

「そもそも、寛容過ぎでは?」


《君の存在や行動が自分達の不利益に繋がるかどうか、この次元の方はキチンと認識出来ますし。権利を侵害されると考える方は、他の次元へ書き込みしてらっしゃいますから。ほら》

「匿名だけど、立場コレで、この発言したら嘘っぽいってバレちゃ……この立場、マジなの?エナさん」

『うん、マジ、もっと別の次元はコレ』


「あぁ、完全匿名ね、落ち着くわ、便所の落書き」

《酷い環境下で育つと、本当にそうなるんですね》

『0は、上辺だけが過剰に機能した世界だって評価』


「そう言われるとそうかもだが」

『口喧嘩は礼節を極めてこそ』


「なんだそれ」

『悪役令嬢モノの宣伝文句、ゲームして欲しいんだけど』

《オススメは一市民からだそうですよ》


「あぁ、する」

《では、向こうでお花見をしながらにしましょうか》


「先生、そんなに気に入ったならココに植えるのに」

《風情の無い方ですね、だから良い雰囲気になれないんですよ》

『実利主義で男勝り』


「あぁ、その事も聞きたい」

《らしさ、ですか》

『向こうで話そう』




 エナさんと先生と一軒家へ移動し、エミールも起きたので、お花見しながら遅い朝ご飯。


 そしてエミールにはゲームをして貰い、先生とエナさんから中庭で話を聞く事に。

 らしさとは、かく有るべきでは無く、表面的なカテゴライズに過ぎ無いので差別では無い。

 それを差別とするなら、そも性差の判断を一切排除しなくてはいけなくなるから。


 そしてそれを理想とした集団が過去に実践した事が有るものの、直ぐに崩壊し、事件が起きた。

 その過程で関係者に精神鑑定が入り、認知の問題が発展したらしい。


《ですので、らしさへの過剰反応も治療対象ですよ》

「それは流石に過激では?」


《生活に支障の有る過剰反応が、そもそも治療対象です》

「あぁ、そう聞くと納得だけど」


《差別繋がりで性癖にも言及しますが、認知が世間と合致してこそ性癖と認められます。もし歪みや認知の錯誤、錯覚だとなれば治療対象です。誰にも選択を誤らせない、後悔をさせない為ですから》

「そう強気なのは、過去に問題が起きたから?」


《仰る通り》


 資料はもう、筆舌に尽くし難い内容、人死がかなり出ている。

 そしてそれを御したのは、他国の先代、魔王を無力化させた召喚者。


「お墓参りは可能か?」

《はい、参りましょうか》


 コレにはエミールとアレクも連れ、お墓参りへ行く事に、エナさんは一軒家で待機。

 先生は同行する事に。


 そして久し振りのセバスに、リサルカも。

 場所はイギリス、一般人と同様に普通のお墓なんだそう。


『お久し振りですね』

「「こんにちはー」」

「はいこんにちは、お久し振りです」

『僕は始めましてですね、エミールです』


「「よろしくね、エミールお兄ちゃん」」

『良くご挨拶出来ましたね。アレク、場所は覚えてますか?』

「うっすら」


 召喚者は女性だった、名はメアリー・シェリー。

 向こうのフランケンシュタインを書いた人と同じ名前、でも人種は違うそうなので別人だろうと。


 セバスやアレクの話を聞きながら少し歩いた場所は、少しだけ眺めの良い所に墓石が1つ、名も1つ。


『勝ち気で、頭の良い方でした』

「今思うと、ちょっと遠慮してたのかも、そう言う世界から来たって言ってたし」


『ですね。それを私は、良い意味でも悪い意味でも、気にしなかった』

「まぁ、だから一緒に居られたんだと思う」


 功績はかなりのモノなのに、ひたすら表舞台に立つ事は無く、ひっそりと生き、ひっそりと魔王に看取られ1人で亡くなった。


 多分、魔王を愛してたんだと思う、でも魔王がされて来た事を知ってるから、それは望まれて無いからと、望まなかったのかも知れない。

 もしくは、本当にただ友人として側に居ただけかも知れない。


 真意は知れても、知るべきじゃ無いだろう。

 プライバシー、個人の領域に踏み込む事になるんだし。


「私達の」

「お祖母ちゃん?」

『残念ですが、少し私に血は入ってますが、リサルカには入ってませんね』


「桜木なんとかして」

「何でも出来るでしょ」

「大概の事は出来るけど。血はね、本当は後から選べないのよ。大事で大切だけど、全てじゃ無い。好きな人の血でも、良い面も悪い面も有るから」

《リサさん、ルカ君。桜木花子はお祖母様の事を、もっと良く知ってから選ぶべきだと言っているんですよ。結婚の様に、血が混ざり合う事ですからね》


「そっかー」

「パパ、もっと教えて」

『そうですね、好き嫌いから教えましょうかね』


 赤ワインが大好きだけど、1日1杯グラス半分だけ。

 お酒は難しいモノだと知っているから、パーティーの時でも5杯まで、毎日パーティーなら3杯までと決めていた。


 ケーキも大好きで、夕食と寝る前の間に小さいケーキを1つ。

 嫌な事が有っても、元気が出るお薬の代わりにと。


 味の無い野菜が嫌いで、いつも塩は持ち歩いていた。

 臭いチーズも苦手、安い普通のチーズが大好き。


 花は白い薔薇が大好きで、誰かの家で見掛けては声を掛け、1輪貰い、匂いや形を記録し、押し花にしていた。


 そして男性にも女性にも、言い寄って来たモノ全てに、何故男性が好きなのか、女性が好きなのかと質問し、納得出来る人とだけ過ごした。

 彼女は、不妊だったらしい、しかも後天的な理由で。


「天使さん、何で治してやんなかったの」

『拒否されました、1度欲すれば次へ次へと欲してしまう、と』

『今なら、私も説得していたでしょうけれど』

「そう興味無かったもんな」


『それともう1つ。後代へ残すのが、不安だとも』

『なんせ私が居ましたし』

《今と比べれば情勢も不安定でしたから》

「流石に今なら作ったんじゃない?」

「作るのを躊躇うワシは、贅沢よな」


『はなちゃん、私はそうは思いませんよ。子供は、忙しくて大変ですもんね?』

「お勉強、尽きない」

「一生、お勉強のままかも」

「そうだね。沢山、覚えた方が良い事も有るし、年齢が足りないと学べないもんね」


「家族と、結婚のお勉強を少しした」

「アレクお兄ちゃんが結婚出来る年齢とかだけ、まだ少し」

『内縁関係も学ばせましたよ』

「何故」


「本当のお父さんじゃ無いのに一緒だった」

「前と、向こう」

「あぁ、血縁じゃ無かったのね」


「うん、野生なら死んでた」

「動物なら殺されても仕方無いんだって」

「んー、人間も動物だけど、人間と動物の境目は理性と法、かね?」

《はい、本能100%で害を成せば、動物扱いで問題無いかと》


「半分野生の猿と一緒だったの」

「外見は人間の、半分野生の猿」

「半ば、例えなのは理解してるのよね?」


「もちろん」

「考える練習沢山してるもん」

「素晴らしいです、程々に頑張って下さい」


「それ、ほどほどが難しい」

「遊んでても、時間忘れちゃう」

「忘れちゃう事を覚えておく練習なのでは?」

『そうですね、程々は、いずれ覚えていく事ですね』

《半分、半々、程々》


「書き取りしないと」

「今日の事も書かないと」

『そうですね』


 双子はココでお勉強を始めるそうで、アレクを置いて一軒家へ戻った。

 そしてエミールも少しお勉強するとの事なので、朝寝へ、先生も一緒に寝てみるらしい。




 私は短期睡眠で、既に睡眠は充分に取っていた筈。

 なんですが、こう心地良いのはやはり何か、溢れるか、滲み出ているからでしょうか。


「先生、ちゃんと寝てる?」

《はい、ですので今日の睡眠時間は確実に崩れるでしょうね》


「すまん。シバッカルさんや、今日は寝かせてあげてくれんかね」

『鍵を任せれば良かろうよ』

《そうですね、拝命頂ければ管理させて頂きます》


「えー、忙しくなるじゃん」

《だからですよ、嫉妬心や独占欲は普通に有るので。切り替えにも活用させて頂きたいんです》


「くわしく」


《それは追々で、実験の安全装置としても鍵を頂きたいんです》

「ほう」


《君の体質に似た方も、こうした寝心地なのか。そして万が一にも流されてしまう時は、ドリームランドへ助けて頂けるのか》

「あぁ、マジの学術的興味か」


《はい、ヘル神に誓って学術的興味だけです》

「そこまでせんでも、いや、ワシも興味は有るけども」


《では、一緒に試してみましょうか》

「おぉ」


 ルーマニア代表は睡眠中、ですが代理の方に許可を頂き。

 今夜、日本時間の22時過ぎ、1名の男性と共に3人で過ごす事に。


 それまでに、同衾者をエミール君とも一緒に選ぶ事に。


『ハナさん、この方は?』

「とうとうエミールにまで把握され始めたか」

《分かり易いですよね》


「コレも、実は歪められた」

《それは確認されませんでしたので、大丈夫ですよ。ファザコンも何も、何なら真っ直ぐ育った方かと》


「自分としては、歪んでると思うんだが」


《植物に例えますが、品種も歪みの基準も其々に違いますよね。君は少なくとも竹では無いですが、盆栽でも無いかと》

『盆栽って、不快じゃ無いんですかね?』

《手塩にかけて貰うんじゃ、いきなり切り倒される方が不快じゃよな》

《そうね、ふふっ》

「カヤノヒメさんまでミニサイズに、悪影響では」


《悪用すれば悪用なれど、こう便利は。そうさな、悪者には悪影響と映るやも知れぬな》

《そうじゃそうじゃ、悪影響を心配するは悪用者じゃ》


「また造語を」

《良かろうよ、悪用者、ふふふ》

《くふふふ》




 昼食後、先生や皆と同衾者を決めた後は、ゲーム。

 悪役令嬢モノとは、如何なるモノか。


「ワシがなるのか何なのか」

『モノは試し、早く早く』

『ふふふ、楽しみですね』


 大画面でのゲームは癖になる、そして椅子や机もマジで選ぶべきだと思った。

 そうなると、やっぱりパソコンの設置はイスタンブールの家かな。




 リズちゃんと家族の皆さんと水族館へ、赤ちゃん用のペンギンの服を全サイズ購入していると、携帯に連絡が。

 不安になりながら開くと、ハナがゲームを始めた通知だった、しかも悪役令嬢モノ。


「リズちゃん、来たわ」

「あぁ、始まったな」


 一介の平民から貴族へ、そして悪役令嬢になるか、悪役令嬢にイビられるか。

 階級制度や差別の教材にもなるからって、公的資金が導入される事になったのだけれど、良くない事を、楽しく学べて良いのかしら。


「良いなら良いんだけど、良いのかなぁ」

「全く楽しくも無いと学びすらしないだろ」


 イビりの強弱は設定出来るけど、ハナのはもう殆どがランダムだし。

 イジメられる間も無く不登校だって言ってたけど、大丈夫かなぁ。


「心配」

《ネイハムが一緒じゃよ》

「なら安心だな」




 桜木さんがゲームを始めたと、仕事用携帯に通知が来た。

 しかも、よりによって賢人君と小雪さん、吹雪さんと一緒に居るタイミングで。


「おしごとか」

「いえ、通知だけでした」

《何か有ったのなら、こう、直ぐに何でも知られちゃうの?》

「まぁ、半分位っすかね」


《曖昧だなぁ、仕事の事だから良いけど》

「小雪はハッキリきっぱりが好き」

「そうですね」

「俺、結構ちゃんとしてますよね?」


「踏ん切りや勢いはコチラが心配になるレベルで良いです」

「まーだ投げた事を気にしてるんすか?喜んでたのに」

「吹雪も高い高いは好き」

《安全面よね、キャッチミスったら大怪我なのよ?》


「兄ちゃん達はミスしない」

「信頼が厚いっすねぇ」

「評価は職業に依存してますけどね」

《もう大人気よね、従者》


「とうぶん現れないのに、今なるのはちがう」

「冷静っすねぇ」

《そうよね、立て続けに来られてもだし》

「でも、直ぐにはなれないんですし、丁度良いかと」


「あ、そっか、ぬけてた」

「まだ歳を重ねる概念が希薄っすもんね」

《そのまま、ありのままが良いんだけどなぁ》

「どんどん成長してますからね」


「ショナ兄を越えるか迷ってる」

「どの意味でもなら、確実に大物っすね」

《そうなの、ふふふっ》

「この平和な感じが、届くと良いんですけどね」


「まーたそうやって、別にきっと、世論が落ち着くまでの一時的な処置っすよ?」

「そんなにダメかショナ兄は」

《ダメダメね、弱点が発露したのよ》

「発露って、まだ習って無いのでは」


「自然にあらわれる、でてくる」

「おぉ、正解っすよ」

《赤ちゃんのお勉強したのよね、優子さんの赤ちゃんの為にもって》

「あぁ、そうなんですね」


「吹雪も、うめる様になるんだって、男の子と体そんな違わないのに、不思議」

《そうよねー》




 一市民、平民がどうやって貴族にと思ったが。

 ひょんな事から次元の穴に入り込み、年齢も性別も強制的に変更され、異世界へ排出される。


「なんでこんなんなん?」

『ハナも良く言うでしょ、時空が捩じれて玉を置いて来たとか、若返ったとか』


「そうだけど、ココの人に突拍子も無いとか思われないかね」

『受け入れて貰う。続けて』


 虚栄心モデルの現地民に保護された、以前の学園ルートと同じ世界線だそうで、今回は虚栄心を巣に動き回るらしい。


 虚栄心が保護してくれた理由は、その時に着ていた服。

 新しいインスピレーションと、転移者保護の為。


 クリア特典として、クリア後の良い状態になった世界線でのシナリオ。

 とは言え、一貴族の虚栄心は王族にバリバリ警戒中。

 うん、リアル感が良い感じ。


 そして先ずは服を着替える所から、肉感。

 顔は無いけど肉感が凄い、一人称視点がおっぱいでいっぱい。


「あの、コレは」

『理想体重でのモデリング』


 服の好みはある程度融通が利くので、ターコイズブルーのお仕着せと、同じくターコイズブルーのドレスを仕立てて貰う事に。

 洋服とドレスの入り交じる世界線、そう改めて見ると良い時代なのよね。


 ただ、西洋版なのか、と少し思ってしまう。


「和風は無いのかね」


『その発想が無かった、続けてて』


 ゲーム再開。

 先ずはサイズ直しをして貰ったお仕着せを着て、お手伝い。


 こう見ると街のベースがベガスなのね、そして前とは違い、かなり自由に動ける。

 頼まれた買い出しを済ませ、一緒に昼食、タコス。


「あー、タコス食いてぇ」

『僕、良いお店を探してあるんですけど?』


 エミールとパトリック、そしてイギリスのフィラストさんに買い出しを任せ、ゲーム続行へ。

 ダメ人間な大人に見えるのではと心配すると、コレも半ばお仕事だとエナさんに言われ、キャラを動かす。


 ミニゲームで縫い物を手伝い、合間にココの事を教えて貰う。

 何か、召喚者体験ゲームやんな。


「縫い物の手際はどう設定されてんの?」

『リアルの反映。一般は選択制、カスタムは2周目から』


 ココでもリアルが反映されるとは。

 そうしてお手伝いがスムーズに済むとボーナス、虚栄心の事が知れるタイミングが発生。

 どの性別も好みだとか、ちょっと大人な内容な気が。


「コレ、どの層だ」

『性行為特別可能年齢、16才以上』


「エミール」

『お勉強しときますね』


「つかコレ、大丈夫かよ」

『購入に年齢確認入る』


 そして自己紹介カードの事を思い出し、購入へ。

 先ずは虚栄心へ渡すと、虚栄心からも自己紹介カードが貰えた、前と少し違うのね。


 マジでリアルと同じ文量を書くと、好感度が上がった。

 そうよね、お互いに知らない者同士なんだし。


 そして夜、知り合いの宿屋かココに泊まるか聞かれた。

 成人用と聞いたので、宿屋へ。


 宿屋の主人、ベガスの支配人のおじちゃんそっくりやん、後でお礼を言わないと。


 そして一夜明け、再び虚栄心の元へ。




 小雪さん達との昼食を終え、解散の筈が、賢人君を寮に招き入れる事になった。

 桜木さんのゲーム画面を見るなら、酒盛りをして一緒にどうかと、合間に助言を貰えるとの甘言に、つい乗ってしまった。


「チョロいっすねぇ」

「それは僕の事ですよね」


 ライブ配信と同じく、再生時間を操作出来るので、最初から倍速再生。

 桜木さんは虚栄心さんをモデルにしたキャラに靡く事も無く、仕事を手伝い情報収集し、寝て起きて。


「コレ、恋愛ゲームなんすよね」

「ですね」


 そして前作のキャラクター、アキト君が明るく接触してきたかと思うと、新キャラが。

 世界線的には主人公以外が解決した世界線、その解決してくれたキャラも攻略対象らしいが。


 どう見ても紫苑さん。


「どうなるんすかねぇ」

「攻略する可能性は、高いかと」


 そして本当に攻略対象に設定した。

 こう、逆の方面に行く感じは何なのだろうか。


「桜木様って、少し反逆の相が、こう出るんすかね」

「有るんですか?」


「ほんの少しなんで、中つ国がそれで警戒してたらしいんすよ」

「あぁ、それでなんですね」


 そして前作の要領でハイスピードに進め、紫苑さんルートへとアッサリ辿り着いてしまった。


「まさに猪突猛進っすね」

「本来は、こうなのかも知れませんね」


「つか、よく直視出来ますね」

「まぁ、絵ですし」




 ルーマニアに行く前に、紫苑(ワシ)を攻略してしまった。

 しかも、悪役令嬢出て来ず、良いのかコレ。


「エナさん、令嬢が出て来なかったんだが」

『だって、紫苑ルートは平民だし、平民だと成立しないんだもん』


「あぁ、紫苑が貴族編もしたいんだが」

『そう?なら作るけど』


「でも、ある意味ナルシストなのかな」

『対応が性別で違うんだから、別物でしょ』


「まぁ、そうだけど」


「ただいま帰りましたー」

「おう、お帰り蜜仍君」


「あれ、どうして大画面じゃ無いんですか?」

「16禁」


「あ、そうなんですねー、なるほどー」


 蜜仍君はそう言って洗面所へ。

 この単語が通じるって、不思議。


 それから蜜仍君も一緒にオヤツ、そして夕飯の相談。


 今日のエミール料理はコテージパイと、パスティ。

 先ずはジャガイモを蒸す間、パスティの生地作り。

 パトリックがレシピを読み上げるので、3人で計量、3人で混ぜる、そして生地を冷やしつつ寝かせる。

 蒸された芋も冷ましている間、野菜を刻む。


 ココに無い野菜のルタバガは既に買ってあったので、それもみじん切りに。

 そして玉ねぎのみじん切りを練習、コテージパイ用には小さめ、パスティ用の玉ねぎは少し大きめに。 


 そして牛の赤身もみじん切りに、生地は薄い方が美味しいそうで、皆で集中。


 丸く薄く広げると、具材を炒めずに生で入れる驚きよ。

 しかも重ねる順番が大切だそうで、必ずみじん切りのジャガイモを下にするらしい、それから少しのバターとニンニクも入れるんだとか。


「エミール、ちゃんと覚えてるじゃん」

『ですね、ふふふ』


 先ずは3つ、オーブンへ。

 それからコテージパイ用に、既にひき肉にされた物を使って炒め合わせるだけ。


「パスティの方が大変やね」

『でも、全部、一瞬なんですよね』

「お料理は精神修行も兼ねてるって、土蜘蛛様が言ってましたよ」


「諸行無常、虚無、虚空、南無三」

《桜木さんは、お祖母様は仏門でらっしゃいますか?》


「いや、母ちゃんが何でも信じる派、祖母ちゃんは……便利な部分のチョイスが上手い。でも、全体的に信心深い方かな」

《成程、お祖母様には恵まれたんですね》


「それなー、無いよりマシでも当たり少な過ぎやんな」

「じゃあ今は大当たりですかね?」

『宝くじみたい』

《そんなモノですよ》

「レシピを再開させますよ」


 謎調味料が出て来た。

 向こうのウスターソース、コレはエミールが味見してほぼ同じモノだと確認が取れてるが。

 トマトピューレは未確認らしく、味見させるともう少し酸味が少ないらしい、そしてトマトピューレ試食会に。


『こんなに味が違うんですね』

「ケチャップすらね、コッチ酸味が強いべ」

「桜木様、本当に酸味に敏感ですよね」


 そしてエミールが納得するトマトピューレがご用意され、ナツメグを少しと小麦粉。

 からのスープストックよ、コレも種類が有るので試食。


『コレだと思うんですけど、こうして直接味見した事が無いんですよね』

「ならもう、全種類使って作れば宜しい」

「ですね」


 今回は有名なメーカーのスープストックを使い、材料を混ぜ合わせ軽く煮込む。


 それからジャガイモへ、皮を剥いて潰して、バターを少し。

 容器に入れたらチーズをたっぷりと、コレも試食済み、後は先程のパイをチェック。


『もう焼けてそうですけど』

「そこよな、今回はレシピ通り、アルミ敷くべ」


 レシピ通り加熱してから、入れ違いにコテージパイを入れる。

 片付けを済ませ、少し冷ましてから先生も巻き込んでの試食。


《コレも、貴重な体験ですね》

『塩加減、難しいですね』

「ワシのはいけたかも」

「僕のもどうぞ」


 そうして次はコテージパイ、熱々よりも少し冷ましたのが好きらしい。

 分かる。


 コレはかなり成功したらしく、熱心にメモを取ってらっしゃる。


「マメ」

「桜木様のは僕やショナさんが勝手に記録しちゃってますからね」


「わお」


 それからまたパスティの練習、エミールは先ずは塩加減。

 ワシと蜜仍君は生地の良い厚さを探る、次は加熱時間と。


 試食しながらの夕飯は中々楽しかった。


《では、少し早いですが、ご準備を》


 温泉に入り、先生と共にルーマニアへ。


 今回は別荘を使わせて貰う事に、そして同衾者は優しそうな男性。

 警護や護衛にはロシア自治区から、竜人の系譜の方を貸し出して貰ったんだそうで、抑制や制御を任せる事が可能なんだそう。


 そうして、寝床へ。

 円形に落ち窪んだ場所に、クッションや布団が置いてある。

 こう、囲まれた感じ、何か落ち着くな。


「お洒落よな、落ち着くし、ウチにも欲しいわ」

《暑い場所には不向きかと、どの家に配置しますか?》


「先生の家」

《考えておきますね》


 外はまだ明るいのに、眠れるものですな。

本当に微々たる所

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