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5月6日 流石に休みだった。

 快眠、ドリームランドは少し怖くて行けないけれど、安眠。


『何故来ぬのじゃ』

「本当に、今繋がられたらちょっと」

「桜木様、おはようございます」


「おはよう蜜仍君、さぁ、今日は何しようか」


 エミールはまだ安眠中、少しは元の睡眠時間に引き摺られてくれてる。


 そして蜜仍君は、出掛けられ無くても不満は無いと。

 確かに里を出られなかった環境にしてみたら、もう全然良いとはなるだろうけどもだ。


「時に子供は我儘を言うべきでは?」

「じゃあ、エミール様が起きるまで。お散歩で!」


 子供を犬とし、お散歩するて。

 字面がもう犯罪だけど、安全管理と修行の為だとの大義名分を得て、実行へ。


 川辺まで行きブラッシング。

 日光浴、かなり暖かくなってきた、マジで夏物を買うべきか。


《くふふふ、エミールが起きそうじゃと》


 家に引き返し、先ずは朝食。

 本来は平日なので盛り合わせ。


 後はもう、ボーっと藤を眺める。


 白い藤も、何処かに植えたいな。


 ショナに許可を貰い、白い藤を浮島に植える。

 低い藤棚を神様達に作って貰い、その下で宴会、エミールは野菜ジュース。


 そのままごろ寝。




 桜木さんは少しお酒を飲むと、もう寝てしまった。

 浮島は高度が高いので、晴天。

 水色の空と白い藤。


 エミール君と蜜仍君はスケッチを、僕はただただ眺めるだけ。


『ショナ坊、答えはどうなった』

「幸せになって欲しいです、でも僕が加わって良いのかと。桜木さんが言う様に、額縁の中に入るみたいで気が引けるんです。場違い感が凄くて、僕で良いのかと」

《度胸の問題では無いんじゃろうかね》


「白雨さんも、アレクにも経験値が有るのに。僕は未経験で無手で、未知の領域だからこそ、何か失敗したらと思うと。そうですね、度胸の問題かも知れません」

《身柱も、こんなんだったんじゃろうなぁ》

『それか、お前も召し上げられるかだ。エイルかトールにでも頼めば、御使いの侍従としての召し上げを、承知してくれるかも知れんぞ』


「そうですね、それも良いのかも知れません」




 寝て起きると神様達は居らず、狼の蜜仍君をエミールと共にもふもふしていた。

 もふもふ尻尾、もふもふ。


 ショナは遠くでお仕事中。


 亜人相手なら、ワシはこんなに悩まなかったかも知れない。

 あの素直な尻尾と耳に、秒で絆されたかも知れない。


 こう、原因も何もかもが分かっている筈なのに、どうしたら良いか分からない。


 一般の方なら、どう思うんだろうか、どう言うんだろうか。


 小雪さんなら、どう言うんだろうか。




 桜木さんが起き上がると、真っ直ぐにコチラへ向かって来た。

 何かを思い付いたのか、何か疑問が出たのか。


「小雪さんなら、ワシの状態とかどう思うんだろうか?」


「どうでしょう、最初は羨ましがるかも知れませんけれど。いざ前提を話すと、悩まれるかと」

「忌避無き意見を聞きたいが、巻き込むのはなぁ」


《守ると言ったろうに》

『信じて無い?』

「咲ちゃんもウーちゃんも信じてるけどもよ」

『行くのか、行かんのか』

《決めるなら今じゃよ》




 お昼過ぎに一般人との交流、と言うかメインはお引き合わせらしい。

 賢人君と小雪さんとスーちゃんを、ショナと楠として護衛。

 後方支援にカールラとクーロン、今回は連携を取る形になる。


 それと、セミロングのカツラよ、楽。


「良いのかね、半ば私用じゃんよ」

「鈴木さんの為でも有りますし、馴染んで頂く為の公務と思って頂ければ良いかと」


「スーちゃんには馴染んで欲しいが、必要有るかね、SNSの活用の仕方がエグいぞ」

「逆に楠さんがしなさ過ぎって評価ですよ、若いのにって」


「実は時空の捻れで若返ってんねん」

「良かったですね、じゃあ行きましょうか」


 流された。


 そして順調に引き合わせと交流が進むと、賢人君に手招きされた。

 合流させられた。


「護衛されるのって、何かむず痒いっすね」

《しかも身内だもんねー、分かるぅー》

「ですな、新鮮どす」

「アポロ君、何か粗々は有りましたか?」

「大丈夫、気軽で気さくで助かります」


 スーちゃんと賢人君は初対面ムーブらしい、念入り。


《そうよねー、皆がショナみたいかと思ってたから、本当に新鮮》

「激レア種ですよ彼は」

「そうっすかね?」

「そうですね。女性も居ますし、既婚者も居ますから」


《それ、異性同性の揉め事とか、大丈夫?アポロ君》

「それは大丈夫だけれど、逆に楠さんが心配、不安。ショナ君みたいに仕事ばっかりだから」


《あー、真面目さんか、それかショナみたいに従者マニア?》

「いやー、気は抜いてる方なんですがね。つか君はその公式をそろそろ覆すべきでは?」

「ですね、引退して農家にでもなりますよ」

「あ、小雪さんが染め物に興味有るらしいんすよね」


《ふふ、コレからのイベントって言ったら、やっぱり浴衣系じゃない?移民さんの染めた浴衣とか着物とか、小物なら下駄の鼻緒にどうかなって》

「私も、被服類は先取って企画するって言うから、良いなと思って、相談しようって呼んだの」

「楠さん、そう言うの好きっすよね?」

「見るのは、まぁ」


《えー、髪も綺麗だし、肩の形も良いし似合いそうなのにー》

「良く言われますー、うなじも祖母の自慢ですんで」


《どれどれ》

「ムダ毛は無視して下さいね」


《うん、ナイスうなじ、伸ばして上げたら良いのに》

「フェロモン出ちゃうんで抑えてるんですよ」


《ふふっ、モテそう》

「小雪さんの方がモテそうー」


《好みじゃ無い人にはモテる、しっかりガッチリした人が良いんだけど、優し過ぎる文系が来ちゃうの》

「それなら是非賢人君を、彼は頭が良いし気も良いので」


《楠さんは興味無いの?》

「好みの真逆、もうほぼ兄弟ですな」

「楠さん男らしいんすよね、結構」

「性別を怪しまれたり、果ては年齢を怪しまれたりしますからね」


「実は全部変身魔法で、本来はお爺さんなんですよ」

《えー、真の姿、誰か見た?》

「狼なんすよね?」

「この前はお婆さんよね?」

「その前は青年でしたね」


《ミステリアスぅ、益々興味湧いちゃうかも》

「2人の子持ちで、実はバツ3」

「それだけモテるって証拠っすよねぇ」

「お子さんは1人だけでは?」


《ふふふっ、全部本当だったら凄いなぁ、大先輩だもの》

「実は高校生」

「本当に補導されかけてますしね」


《えー、ちゃんと送ってあげなきゃダメよ?ねぇ?》

「偶々っすよね、先輩の居ない隙に夜中に出歩いて」

「買い物中、生活安全課から連絡が来てビックリしましたね」

「すみませんね、話を戻しましょうや?」


 そして浴衣案が形を成し、次は映画館へ。

 ちゃんと映画館に行くの、凄い久し振りやな。




 ハナや皆で観たのは、ドロドロの後宮モノ。

 映像は綺麗なんだけど、中身はもう本当に、ドロドロ。


《はぁ、衣装最高じゃない?》

「そこはうん、良いと思うんだけれど」

「でもクッソドロドロやん、ハーレム怖い」

「悪い見本っすよね」

「綺麗な悪い見本ですね」


《でも考えてもみてよ?奪い合いとか諍いとか、劇的な事が無いとね、お花見も花見大会も無い世界って、何も進展しないと思わない?》

「それはどそうだけれど、平穏も無いとだし」

「真逆は、デストピアっすね、全部が平坦でフラットで、平らな感じ」

「ショナ君みたいにかぁ」

「かも知れませんね」


《もー、ショナはデストピアってるのが本当に心配》

「マジでフラットっすもんね」

「鉄仮面よね」

「良いんだか悪いんだか」

「すみません、コントロールしようとは思ってるんですけど、難しいですね」


《頑張ってよ、さ、公園にでも行きましょ》


 小雪さんと共に外へ向かって歩いていると、ハナが珍しく携帯を見た。

 続いてショナ君、賢人君まで。


 従者関連なのかな、賢人君がビックリしてる。


「ショナさん、コレ」

「あ、楠さん」

「大丈夫だべ、コレも作戦かもだし」


 召喚者様のハーレム案が漏洩。

 きっと神様達のせいだろうけど、何も今ココで。


《どうしたの?》

「コレ、どう思います?」


《ハーレム、タイムリー》

「コレ、もしかしたら民意を聞く為のリークかもなので、何かお話聞けますか?」


《あぁ、大変そうよね、召し上げの事もそうだし、選ぶって大変だと思うのよ。アポロ君の所もそうでしょ。私は1人すら選ぶのが大変なのに、ちゃんと審査して欲しいな、お相手さん》


「実はご本人様、好かれ易い体質らしく。従者は大丈夫なんですが、まぁ、ホイホイおモテになってしまって、ビビってらっしゃるんですよ」

《そうよねぇ、異国でモテモテってパッと聞きは楽しそうだけど、好みじゃ無い人にワラワラ来られても。あ、アポロ君は好みだし、好きよ》

「ふふ、ありがとうございます」


《あぁ、幾らでも背中は押せるけれど、ご相談に乗れないから。私の分まで、お願いしますね》

「そうしたいんですが、ココの恋愛の価値観を共有しようとはしてるんですけど、何せ祥那君がですね」


《あぁ、フラットだものねぇ。しかも好きになった人が好みだから、今は好みは無いって。あ、昔の自己紹介カード見せたいぃい、家に有るの》

「良いっすね、アポロ君を送ったら行きましょうよ」

「楠さん、後で詳しくお願いしますね」

「御意」




 実に卑怯な手口で、生の民意を聞いてしまった。

 そして更に、追加が聞ける事に。


 検閲は入るものの、移民や転生者や召喚者への質問サイトが立ち上がり、そこで交流する事が可能となった。

 案が停滞しているからこそなのかも、ただコレが良い様に働くのかどうか。


《交流者の、ココに記入するのね》

「はい、私からも質問する事が有るかも知れませんが、宜しくお願いしますね」


《はい、宜しくお願いします》


 そうして少し早めにスーちゃんを省庁まで送り、今度は小雪さんを送る事に。


 そしてマジでショナ家へ、小雪さん、ちょっと帰ったら直ぐにショナ家へ直行って。




 桜木さんと共に、自分の実家へ。


《同僚さんは、初めてね》

「楠です」

「賢人です、お世話になってます」

《優子さーん、コレ、見た事は?》

「無い無い、可愛いねぇ」


 桜木さんが完全に気圧されている。

 こう見るとウチは女系にも見えるし、今の桜木さんにはキツいのかも。


「あの、ツマラナイモノですが」

《ご丁寧にどうも》

《イスタンブールのお菓子だぁ》

「頂きまーす」


「あの、お兄さんは?」

《この子のツワリで別居中なの》

「そうなんだけど、コレで呼ばないと怒られちゃうわね、呼んであげないと」

『良いのかね、アレは何でも反対派だから、波風が立つかも知れないよ』

《あー、反対派なんだ、やっぱり赤ちゃんが居ると変わっちゃうのかなぁ》


《寧ろ、やっと実感が湧いたんでしょうよ。今までが理想主義過ぎたのよ》

「堅実派なのは良いんだけどね」

《昔はショナより従者マニアだったのになぁ》

『人間の良い面と悪い面を見れば、綺麗事だけでは済まないんだろうね』


「ご本人様は貴重なご意見として、伺いたがるかと」

「そうですね」

《あら、良い方ね、呼びましょう》

「祥那君が帰って来たってだけにしますねー」

《ねぇねぇ、隠れよう、靴も隠して》

「良いっすね」


 悪巧みには直ぐに乗る桜木さん、靴は中庭へ。

 そうして賢人君と桜木さんは、台所で待つ事に。




 祥那が帰って来たし、今日は体調が良いからと嫁から連絡が。

 早速家に入り、見知らぬ茶菓子に目をやると、黒百合姫が現れた。


「おぉ!黒百合姫」

「兄さん」

《あら、知ってるのね》

「はい、以前、駐車場で」


「それと、審査も。落ちましたよ兄さん」

「まぁ、突っ込み過ぎた、仕方無い」

「いや、良いご意見でした。お聞かせしたら有意義だと、ぶっちゃけもっと聞きたがってたんですが、彼が却下したも同然で」

「ショナさんって結構意地悪っすねー」


「だろう、本当に困ったヤツだ」

《アンタもよ、反対派だからココに呼ばれただけよ》

「ご意見を、是非」


「もう、賛成派の場合は帰るべきなんだろうか?」

「いえ、反対の理由、賛成した理由を。本当はご本人様にお聞かせしたいんですが」

《悪意無き不意の発言も、時には鋭い棘になりますから。クッションを挟んで頂いて構わないでしょう、祥那もそれなりに率直ですし、ご配慮でしょうからご心配無く》


「はい、では」

「先ずは反対した理由か」


 自分の子供が正体不明な人物と婚姻するとなれば、反対。

 そして情報開示後、遺伝子配列は人間と断定されたが、どんな人間か、常識の摺り合わせが難しいだろうからと反対なまま。


 そして式典で、召喚者様は人間だ、なら移民も亜人も人間。

 それはつまり、ココの人間とそう変わらない筈。


 それでも受け入れるのが難しい理由は何か、子供が絡むと何もかもを変えたく無い思考になる、時代が変わったんだと分かっていても。


 なら、誰として置き換えて考えるか。

 小雪や吹雪を見本に妹を考え出したが、それに説得されて賛成派になった。


 そう、思考実験の結果、大人の妹に負けた。


「お疲れ様です、ご苦労様で御座います」

「いやいや、それよりあのリークが俺は心配だ。ココはいつも一緒に居る人間が側に居て、支えるべきだと思うんだが」

《そうね、どんな意見でも鵜呑みにしない様にして頂かないと》

「それもコレも選ばないとなんて、ストレスよねきっと」

《こう、パーッと遊んで下さっても良いのにね。少なくとも私達は、全然遊んでくれて良い派なんだし》

『逆を考えれば、それだけ上が締め付けてるのかも知れない。若しくは、萎縮してしまっているか、それ以外か』


「詳しくは言えないんすけど、まぁ、色々っすね」

「そうなんだ。もっと、こう、何か出来無いのかな?」

《アレに応援メッセージは、ダメか、用途別だから弾かれちゃうかもだし》

「箱庭とかどうっすかね、応援メッセージを込めてとか」

《あら良いわね、見て貰えなくても、表現した満足感は得られるものね》

『そして見て貰えた誰かが、実はそうかも知れない。そう思えば例え隣人だったとしても、有意義な事には変わらないと思うよ』




 ショナの家族は温和で理知的、寛容で思慮深い。

 うん、ショナはやっぱり、良い人と結婚すべきやな。


 解散後、先ずは浮島へ。

 嫉妬ドリルを受けながら、一服、美味いな。


「ありがとうショナ、もう巻き込まないから大丈夫。ハーレムの噂に巻き込まれない様に、暫く休暇を与えます、どうか息災で」


「はい」


 ショナを省庁へ送り、一軒家へ。

 エミールと蜜仍君と再びお昼寝、少し寂しいけど仕方無い。

 ショナとショナの家族の為、仕方無い。




 祥那が仕事に戻った筈が、また家に来た。

 ハーレムの事で悪い噂が出ない様に、召喚者様が配慮してくれたらしいが。


 泣きそうな顔で、あの上司さんと喧嘩でもしたのか?


「祥那、大丈夫か?」

「兄さんは、どうして告白出来たんですか?」


「あぁ、そこか。優子には離れるかも知れないとなってから、告白した。それで最初は断られた、タイミングが無ければ告白しなかったなら、大して好きじゃ無いのではって。タイミングを見計らっただろう、打算が明け透けだって怒られて。それで改めて告白した、明日死ぬと思って愛するから、暫く見守ってくれって」


「いきなり愛ですか?」

「俺の場合、ただ見てるだけで満足なら好き、何かしたいなら愛だと思ってるが。お前は、そこまで姫が好きじゃ無いのか?」


「例えば、実はお金持ちで、良い家の方で、雲の上の存在で。だから僕じゃ不釣り合いで不相応で、しかもメンクイだから、僕は眼中に無い感じで。それで失敗したら本当に、離れる事になるかも知れないんです」


「なぁ、それこそ例えば、向こうもそう思っていたら、永遠にそのままなんじゃ無いか?」

「え?」


「何をそう驚いて、あぁ、ウブなのは仕方無いが、思考の基礎だろう。相手になりきる、身近な誰かに当て嵌めたり、作り出したり。そう多角的に考えるのは基本中の基本だろうに」


「すみません、こう、余裕が無くて」

「そら暇を出されるワケだ、姫にはそれが見透かされたのかも知れん。そう初めてで戸惑うのは分かるが、何にでも余裕は大切だぞ?」


「僕、プライドが高いんでしょうか?」

「一部の側面的にはそうかも知れないが、それだけ大切、それだけビビり、それだけ離れ難いんだろう。ただ、肉欲だけなら俺が怒るが?」


「肉欲って」

「真面目にだ、肉欲が湧かないなら、所詮はただの憧れ。それなら幸せを願うべきだ」


「少しでも、触れる先が、もう」

「分かった、悪かった。お前のは充分愛だと思うから、顔を冷ませ」




 お昼寝し過ぎた、けどまぁ休みだし、良いか。


 お夕飯はエミールの料理、皆でエミールの調理の補助やお手伝い。

 でも手際の心配は皆無、ストレージって料理の段取りが関係無くなるからマジ便利。


 ホットサンドにはツナとたっぷりレタス、パスタはカルボナーラ。


「うん、うまい」

『良かった』

「ふふ、大丈夫ですよ、塩味がちゃんと有りますから」

「その塩梅が難しい」


「しょっぱくなったらパスタを足せば宜しい、茹で置きしといたらええよ」

『はい、そうしときますね、ふふふ』


 明日は平日、エミールはお休み。

 なのに、ハーレムを受け入れないと、連休なのに遊びにも行けない。


 最大級に引き籠る不便を受け入れたとしても、不意の公務で接すると被害者が出るかもだし。


 こう、理屈は揃ってるのに。




 兄さんに助言され、小雪さんも交えて恋愛の相談を家族にする事に。

 もう復帰出来無いにしても、せめて、桜木さんの為に声は拾わないと。


《例えば、召喚者様のハーレムに加わる場合、ね》

《楠さんは良いの?》

「まぁまぁ、最初は召喚者様なら、だ」

「周りは好みの方なのよね?」

『まぁ、真面目でらっしゃるなら、一夫一妻制の世界から来られたのだし、葛藤は大きい可能性は高いだろうね』


「はい、お付き合いとは結婚だ、と」

《真面目ね、さぞ困惑してらっしゃるでしょうに》

《しかも優しいし、従者全員とは言え、疑いが掛からない様に遠ざけてくれたんでしょう?》

「あぁ、この情報もリークされたら良いのにね」

「どれも難しいだろうな」

『前提を、再確認して良いかな祥那。前の案が有ったろう、お相手が男性だけとは限らないかどうかだ』


《あぁ!だからショナは自信無いのね、成程》

《まして女性同士なら、コツも心得易い。そうね、かなり後手だものね》

「生々しいけど、そうよね、ハーレムなんだし」

「あぁ、だが祥那。最低限の御法度の心得、それと技術は一緒に磨くべきだぞ」

『それと、周囲との調和、だろうね』


「あの、そもそも僕は、相応しく無いと思いませんか?」

《それをアンタが決めるのは個人への越権行為、個人への侵害じゃないかしら》

「そうよ、誰かに何か言われたの?」

《もしかして女性従者に?》

「横恋慕する人間の言葉は半分以下にしろよ、客観的で中立的な意見だと確実に思える言葉だけを拾え」

『そもそも召喚者様は、相応しい、相応だ、そう思う方なんだろうかね』


「いえ、寧ろ、逆だと仮定して下さい」

《なら、まるでアンタの様に思って》

《えー、じゃあ何かイベント無いと無理じゃなーい》

「そうね、祥那君からいかないと難しそうよね」

「だろうな。慮って下さる方なら、上司としても、思いを言う事は無いだろう」

『表に出してはくれないなら、他の者から見た場合は、どうなんだろうね』


《んー、分かり易いって聞いたわよ?》

《それなのに表に出さないで下さるなら、周りを信じられないのかしら?》

「いえ、でも、神々は悪ノリする傾向が有るらしく」

「ほう、悪ノリするのか」

『善意の悪ノリかどうかで、随分と印象が違うけれどもだ』


「良い、方々だと」

《お願いしたら良いのに》

《そうね、聞き入れられなければ諦めなさい》

「ふふ、どんな事が起きるのかしらね」

「だが任せきりもいかんしな、こう、恋に発展する様な」

『花見はもう終わってしまうし、遊園地や水族館への視察のタイミングはどうだろう』


「もう、行われた仮定でお願いします」

《2人だけの前提よ》

《お仕事でもよ?》


「はい」

《アンタ、意気地が無さ過ぎよ》

《あれ、本当に楠さんじゃ》

「ふふ、そう思った方が早いかも」

「にしたって難しいだろう。これからは、そう2人きりにも成れないだろうし」

『ハーレムなら、2人きりの必要は逆に無いかも知れないよ。応援して貰えないなら、結局は受け入れて貰えないと同義だろうからね』


「邪魔は、無いですけど」

《あ、蛙化現象ってどっちなのかしら》

《あぁ、それね、もうどっちもとしましょう》

「難しいわね」

「コレ、面と向かってストレートに言わなければ良いだけなんじゃ無いのか?」

『蜘蛛の糸の様な過敏さが有るから、蛙さんは怯えるんだろう』


「あぁ、糸を出す蜘蛛蛙さんね」

「今回の例えは俺には無理だ」

《可愛いのに》

《小さくて可愛い蜘蛛蛙さんに近付くには、ね》

『どうしたら良いと思うんだい、祥那は』


「害が無いと、どう証明すれば?」

『簡単な方法は、同じ種だと理解して貰う事だろうかね』

《やっぱり、犬か猫を引き取りましょう》

「両方にしません?」

《お散歩させて!》

「両方をか?」


『そうだね、両方、様子見だろうね』

「それでその、蜘蛛蛙さんに近付くには」

《餌で釣って優秀だと知らしめなさい》

《それと少しは着飾らないと》

「あ、性別は?」

「あぁ、成程な」


《そうね、同じ性別として、腹を割って話しなさいよ》

「ふふ、答えを言っちゃって、お義母さん短気」

「こう見ると、祥那は父さん似だな」

《でも切り替えがまだまだだー》

『そう早くても困るよ、恋愛の事なんだから、悩んで当然。そして相手も、悩んで当然』


「はい、ありがとうございました」

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