4月20日 狼が通う様になった。
夕暮れだ。
日本は夜中の12時過ぎ、アカン、もう昼夜逆転か。
取り敢えずは計測。
中域。
ケバブ屋に向かい、ありったけ出して貰い、ストックまで出来た。
ハマムに行きたかったが、言う事を聞いて今日は家へ。
フラフラと歩いて帰ると、目の前には狼ちゃん。
「凄いな、家を見付けたのか」
ワフンと鳴くとドアを前脚でカリカリと。
何ぞ不審者でも居るのかしら。
「どうぞ」
家へ入り一通り匂いを嗅ぐと、さっきまで寝ていた場所に伏せた。
狼にまでモテるのか、コレは、まぁ良いか。
「ワシ、一服してくるし、お家に帰りなさいな」
ドアを開けると部屋を出た。
そして付いて来た。
そして屋上まで付いて来たので、少し離れて貰いベンチで一服。
雲多め、良く流れて偶に月や星が見える。
「ユラちゃん、お家の人が心配して無いかね」
ワフン。
どっちのワフンか分からん。
吸い終わり、階段を降りると付いて来る。
そして扉の前まで。
そしてドアを開けると入る。
「泊まる気?」
ワフン。
ワフンじゃ分からん。
「お風呂に入らないと泊められ無いよ」
理解したのか風呂場へ行き、お座り。
「天才か、じゃあ石鹸を選んでくれ」
最高級のオリーブ石鹸。
見る目が有りますな。
そのままお湯を出し、良いお湯になったと言うとバスタブに入って来た。
初めて洗うので良く流す。
そしてシャワーカーテンを閉め足を拭いていると、身震いし、鼻先でシャワーカーテンを開けた。
「どこまでも頭が良い」
ソラちゃんに乾かして貰い、寝室で待って貰う事に。
そして自分も洗ってお布団へ。
ココの時間帯的には正常だな。
あ、カールラ達にヤキモチを妬かれそう。
でもなぁ、ならせめてちゃんと考えないとな。
「将来、何になるか悩んでますのん」
日本語で話し掛けたせいか、耳がピクピクするだけ。
「何を仕事として生きるか悩んでるのよ、伴侶の事も。独りで良いと思ってたのに、いざ声を掛けられると容易く蹌踉めいてしまう。でも、許されないと思うの、仕事が最初でしょう、そう自立してからじゃ無いと、ダメだって散々言われたから」
日本語でも聞いてくれてる風に、コチラをジッと見ているユラちゃん。
靑色の目が綺麗。
「ココではダメとは言われて無いけど、仕事の事を考えたいのに次から次で。ヤれるけど好きと思った事が無い相手に、真剣に好きと言われて、そんな事は無かったから戸惑ってるのよ。好きか嫌いかなら好きだけど、ヤれるけど、そう考えると他も好きってなっちゃうのよ」
ワフン。
このワフンは分からないワフンなのかしら。
「せいちゃんなんかもう、年上だけど全然ヤれるけど、好きと思おうと思えば。もうビッチよな、でもな、好きと言うか気に入ってるから救いたい気持ちは有った、それだけ頑張れた、我慢も出来た。考えないが出来る様になった弊害よな、自分の気持ちを無視出来るもの。なんならもう、誰でも好きになれそうだわ」
ユラちゃんは撫でられて気持ち良さそう。
懐っこいなぁ。
「誰でも良いっちゃ良いのかと、そりゃ選びたいけど、じゃあ選べる立場なのかと。だとしても、最適解を選ぶべきなんじゃ無いかと、じゃあそれは何かって事になる。お見合いか、なるほどね、先生起きてるかね」
《はい》
「どう確認したのか気になるが、繋いでおくれ」
【はい】
「夜分にどうも。お見合いすべき?」
【すべき事は、幸せになる事位ですよ】
「お仕事の事を考えたいのに、ハーレムの事が気掛かりなんよ」
【まだ独立を諦めて無いんですね】
「だって公務と言う名のお遊びなんだもの」
【繊細さに自覚が有るなら、過保護にも慣れて貰えますかね】
「不安になる」
【では、プランをお送りします】
「おう」
そのまま回線を繋ぎつつ、プランのチェック。
意外と無難。
【どれか気になるモノは有りましたか】
「ハーレムプラン、実質無職じゃん」
【いつヤッていつ働く気ですか、流石に体が保たないのでは】
「え、想定人数は」
【10未満、理想は7人ですかね】
「日替わり定食かよ」
【お食事は何を食べました?】
「ケバブ、お店に行って食べた」
【お魚は食べましたか】
「トマト煮、やっぱ凄い美味いの」
【今度、私の分もお願いしますね】
「来れば良いのに」
【影響は心配なさらないんですか】
「影響が消えたかもって時によ」
【影響していなかったら、消える時が無いのでは】
「そこは先生のと、ワシの納得が合意に至ればね」
【君が加害者なら、被害者が増える前に。だからこその、逃げ道のハーレム案なんですが】
「元は堅牢な城の持ち主だったら」
【男爵から一気に領主にクラスアップですね】
「いや、土地ならまだしも」
【領民はどうしたって付いてきますし、高望みでも無いんですよ】
「そこの納得よね。先生と話せてもふもふが有れば、別に良いのに」
【口説いてます?】
「もうそれで良いです」
【誰に、ハーレムを許して欲しいんでしょうね】
「ショナ」
【やっと言いましたね】
「でも、軸だから」
【大変な役目ですし、向こうの気持ちも大事ですからね】
「そうそう、過負担が過ぎる、重い。卑怯なんだよ、もしショナがダメなら、じゃあ次は誰ってなるのは嫌だし。そう仮定するだけで、もう、グチャグチャになる」
【そう急に何もかもは整理出来無いかと】
「マティアスも、せいちゃんも、ショナも軸なのよ、大事だから。手を出すとか、好き嫌いじゃ無いのよ」
【他にも居るかと】
「アレクや白雨もよ、大事だけじゃダメかね」
【ココには、ショナ君は居ますから】
「そも、そう求められて無いし」
【露骨に表に出す人ですかね】
「いや、まぁ、出さなそうだけど、無ければ出ないし。この顔面だし、性格も」
ココで、どうしてもカエルになってしまう。
以前は大事だと泣いていたのに、今はこうして冷静になって、カエルになって。
《凄く、強い呪いを、皆さん解いて欲しいと願ってるんです。例えどうなっても支えますから、どうか解かれてくれませんか?》
【メリットは】
《アナタは絶対に幸せになれます》
【そんなに幸せになりたく無い場合は】
《それも呪いの影響なので、解いてから再考して下さい》
【根源は、ワシか】
《と言うより、その呪いに認識阻害や隠匿の魔法が掛かっていて、在り処はアナタしか知らない。そして解き方も、アナタは絶対に理解出来る、だからアナタが頼りなんです》
【程々じゃアカンのか】
《下手に火傷して失敗しては、広がり他にまで波及するかも知れません。呪いが残っている限り、いつか制御が効かなくなるか、誰かを傷付ける可能性は高い》
【先生が呪いに形を付けてる】
《はい、心苦しいので早急に何とかして貰えませんか?》
【死なないでしょ】
《極端だと理解している筈ですよね》
【おう】
《ショナさんに許して貰えたら、少しは気が変わりますか》
【そこも悩んでる、許して欲しいと思えて無い】
《勝手に許されたら、嫌いになりますか?》
【軽薄だと、思うかも知れない】
《自罰的過ぎると気付いてますよね》
【納得が得られないねんもん】
《いつまで、苦しむ予定でしょうか》
【耐えられなくなるまで】
《マティアスさんは喜ばないでしょうね》
【せいちゃんも、きっと望まない、コッチが遠慮しちゃうって言う、かも】
《井縫さんなら》
【気にせず抱きそう】
《ふっ、でしょうね》
【ほらね、そこがダメなのよアレは】
《アレク君も、白雨さんも》
【おう、あの何でも受け入れそうなのはアカン】
《ドMですよね》
【違う筈なんだけどなぁ、痛いの嫌いだもの】
《ストイックが過ぎると強制ドM判定です》
【鞭は振るう方が好きです】
《無限ループしてるの気付いてます?》
【ですよね、すみません、ショナに何か聞く度胸が無いんです】
《許さないと言われたら》
【もう自粛生活まっしぐらだし、でもその責は追わせたく無い】
《妙な所で我儘ですよね》
【ねー、困っちゃう】
「我儘」こんな言葉にすら過敏に反応する。
吸血鬼問題は無色国家のお陰でややこしくなっていただけにせよ、卑屈の言葉がまだ引っ掛かっている。
この繊細さで、正直外界とは接して欲しく無いんですが、依存にも気を配らないとですし。
《無理に、私と面談しなくても良いですよ、メールでも構いませんが》
【顔は見たい、心の栄養剤】
《剥製にして贈りましょうか》
【声も良い】
《口説いてますよね》
【いや、今のは、そう仕向けたでしょうよ今のは】
《ホイホイ言うので》
【こんなブスに言われて楽しいかね】
《今はお顔、見えて無いじゃないですか》
【声もブスだからせめてね】
《卑下し過ぎると私に大嫌いになられるかもですよ》
【こまる】
《ロキ神と逆ですね、本当に困ると単語だけになる》
【アレは顔面と声が良いから面白い】
《声も、足してきましたね》
【タケちゃんも賢人君もダメなのは、声だな、好みの声じゃ無い】
《コンスタンティン》
【ハスキーなのに可愛い声】
《虚栄心》
【エロい。何で笑う、分からんか】
《いえ、急にどストレートなので》
【ショナは落ち着くし、綺麗だし、高過ぎでも低過ぎでも無いし。あれ、完璧だな】
《声フェチ?》
【女の声の殆どって耳に刺さらない?まさしくつんざく感じ】
《だから意識してるんですね》
【気を抜いたり笑うと出ちゃうのよな、ひゃっひゃーって】
《歌声などは》
【むり】
《そこを何とか》
【ワシと分からない状態なら良い】
《録音しといて貰えますか?》
【ワシって分かるやんけ】
《誕生日プレゼントに下さい》
【却下】
《音痴でしたか》
【そうそう、残念、封印されてますねん】
《カラオケ大会の優勝賞品、自由》
【あー、頑張るかも】
《成程。良い案を思い付きました》
【不穏なので却下】
《参加はご自由に、では》
【ちょ】
《ふむ、良い案とはなんじゃ?》
《簡単ですよ》
初めて向こうから切られた、しかも凄い不安。
「不安だぁ」
ワフン。
大丈夫だと言ったと思い込みたいけど、不安。
「あ、出たくなったら起こしてね、きっとガッツリ寝ちゃうから」
ワフンと返事をすると布団の上でグルグル周り、また座り直し、腕の上に顎を乗せた。
今だけ、起きたら本当に独りになるから、今だけ。
狼の鼻息で起きた。
フンスフンスして可愛い。
「おはよう」
玄関前に行くのかと思ったが台所、水か。
「すまんね、気が付きませんで」
ボウルで水を飲み、ようやっと玄関へ。
「ありがとうね、じゃあね」
独り。
昨夜の不安はどこかへ行き、非常に平穏。
珈琲を淹れてカフェオレにし、ソファーでボーッとする。
それからトイレ、朝ごはん。
それからまたボーッとする。
ワシは何がしたいんだろう。
出来る事なら、何もしたく無い。
アレか、燃え尽き症候群か鬱状態か。
まぁ、良いか。
桜木さんと離れて2日目の昼。
全く様子を伺い知る事も出来無い。
何かしないと、桜木さんに何か言われると分かっているのに、何もする気にならない。
桜木さんも、こんな感じなんだろうか。
それとも、浮島に行ってもう何かしているんだろうか。
それか。
携帯が、着信は賢人君。
「はい」
【どもー、何してます?】
「何もしてませんけど」
【ぅわぁ、重症っすねぇ。それだと桜木様に】
「怒られますよね、分かってはいるんですけど」
【依存じゃ無いっすか、それじゃあ立派に胸張って好きって言えないんじゃ無いっすかね】
「ご尤も」
【遊びに行きましょうよ、桜木様用の下調べに】
「行きます」
思いっ切り騙されたって顔、露骨過ぎ。
女の子4人と俺と友達2人とショナさんで遊園地デート、絶対に楽しい筈なのになぁ。
「ショナさん、顔、失礼過ぎっすよ」
「すみません、帰りたいんですが」
「下調べっすよ、大人数での挙動って大事じゃ無いっすか」
「そうですけど」
「ヤキモチ妬かれたら言えるチャンスかもだし、それ嬉しくないっすか?」
「ノーコメントで」
ほら、乗り気になった。
ただ、予想外だったのは、女子全員を桜木様と思って扱う所。
天然でモテる感じがムカつくなぁ。
「ちょ、ちょっと良いっすか」
「はい」
「何で全員、桜木様の扱いなんすか」
「下調べなのでは」
いや、ワザとかこの人。
あぁ、ワザとだ、好意が無いからって無双とか。
「結構、良い性格してるんすね。桜木様に言っちゃおうかなぁ」
ちょっとフリーズして持ち直した、そして凄いカウンターが。
「じゃあ賢人君を気に入ってる人に、ありとあらゆる事を吹き込んでおきますね」
「すんませんでしたぁ」
「その性格の悪さ、桜木様は知ってるんすかね」
「褒めてくれましたよ」
今日イチの笑顔じゃーん、マジで良い性格してる。
うん、舐めてました、ごめんなさい。
結局は良いムーブをしてくれて、友達からの評判も上々。
何で、桜木様には出来無いんすかね。
「何で、桜木様には上手くやらないんすか」
「時々、凄く勘が鋭い時が有るじゃ無いですか。本当は、実は神様なんじゃ無いかって思ったりもしたんですよ、だから策を巡らせるのが怖いのと、下心って勘付かれ易いって叩き込まれたので」
「教官っすか?」
「それもですけど、親兄弟に」
「あー、恵まれてるなぁ」
「賢人君は、頼りにされてるじゃ無いですか」
「まぁ、お兄ちゃんなんでね、ガツンと言ってやりましたよ」
「また何かしたんですか」
「幸せになってくれってお願いしたんすけど、手応え無い感じっすね」
「どうして、なろうと思わないんでしょうか」
「罪人だと思ってるんじゃ無いっすかね、まだ、沢山見殺しにしたって思ってるっぽいっす」
「僕らも同じなのに」
「俺は、親父と話して許して貰って、やっと救われたんすよ。ショナさんは?」
「自己完結させました、どうしたって限界は有るって。ただ、それだけです」
「桜木様に夢中っすもんね、でも桜木様は違う。誰かと一緒になる事すら、許されないかもって思ってるっぽいんすよ」
「だから」
「だからアレクさん達を引き離したんだろうなって、許されちゃいそうだから。だからショナさんとも、話し合いました?」
「あくまで、意見程度ですけど」
「軸なんすから、許したら良いんじゃ無いっすか?」
「求められて無いんですよ?しかもソレを望んでるかどうかも分からない。許せても、薄情で軽薄だって、思われたく無いんです」
「男らしさが足らないっすよね、俺が全部背負うって言えないんすか?」
「言えませね、経験も無いんですし、こんなに嫌われたく無いと思った事が、無いので」
「なら経験積んどきます?」
「無理ですね、何でも桜木さんが良いので」
「あれ、俺、ノロケ聞かされてる?」
「あぁ、凄く良い妹さんですよね、優しくて。そもそも優しさの」
案の相談にと、アレク君にお願いし、一軒家へお邪魔させて頂いたんですが。
神々の気が散る要件が有るのか、気もそぞろ。
《くふふふ、聞かせてやりたいのぅ》
『言うなよ、ワシだって我慢はしてるんだ』
『ね、大変だね』
《聞き流しますけど、どうでしょうか》
『うん、面白いから良いと思う』
《じゃの》
『ならワシは反対しておこう』
《ズルいぞぃ?》
『ハナは喜ばんし、参加するとも思えん』
『だから、継続プランが有る』
『でもだ、それが上手くいかん場合』
《あの坊と決別かのぅ》
『役割なんだし、仕方無い』
《賛成多数で宜しいですかね》
『いや、あのリズにも意見を聞け』
『反対者を増やそうとしてる』
《なら、スーもじゃな》
《分かりました》
概要を送り、転生者の方々と通話開始。
鈴木さん、リズさん共に賛成となった。
【但し、相手は先生だ】
《は》
【それならもう、大賛成よ】
《ふむ、良いぞ》
『うん、面白いから良いと思う』
『その手が有るなら、賛成だな』
《もしかして、私をハメました?》
《どうじゃろうなぁ》
『申請して』
「無理、俺は反対」
アレク君、もう本当に手が掛かると言うか。
《お主の意見は聞いておらんがのぅ、何故じゃ》
「取られたく無い、勝てない」
《勝ち負けの問題じゃ無いのは分かってますよね?》
《独占したいか小僧は》
「そうじゃ無い、振り向いて貰えなくなるのが嫌だ」
《時間は掛かりますが、そう》
「報告書見た?良いのが居ても急に無関心になって、凄く怖い」
《まだ無関心じゃ無い筈ですから、もう少し耐えて下さい。そうしたらきっと、普通に会える様になりますから》
「アンタの事も、信じ切れ無い」
《別に良いですよ、ただそう思い続けた先で、桜木花子がどう思うか考えて下さい》
《まーた泣いて、泣き虫毛虫、弱虫じゃあ》
【可愛いなぁ、きっとハナは大好きだから大丈夫よ】
【その観点が怖いわ】
【観て無いの?】
【は?どれだよ】
【マティアスさんの涙、キラキラ綺麗に観えてたじゃない】
【あぁ、あー、サドだなアイツ】
《と言うか、本当にイケメンに弱いんですよね》
「でも、俺は排除された」
《だからこそ、排除したんですよ》
【ねー、年上は苦手で怖いんだもの】
【同年代もだろ、だからワンコも無視してたんだろうし】
《かと言って、年下は合わないでしょうし》
【そうなのよね、ガキにはキレちゃうし】
【アレはルーカスが悪い】
「俺も、だから嫌われたのかもって」
【無い無い、好きの反対は無関心よ】
【どうしたらお前を今更嫌うんだよ、目が曇り過ぎだバカ】
「元、魔王だし」
《そもそも魔王を、桜木花子は嫌ってたんでしょうかね》
【無いでしょうね、寧ろショナ君か魔王か板挟みで…】
【あ、書く気だろ】
【今決意したわ】
【はーっ。おい、タコスケ、誤解はダメだけど、ちゃんと悲しむのは正しい。寂しいとか、会いたいとか思って苦しいなら、手紙にでも書け】
《そうですね、是非手紙を選ぶ所から始めて下さい。白雨さんも連れて》
「分かった」
『私、ネイハムの家に泊まる』
《騒がしいのは困るんですが》
《静かに出来るもん!》
『あぁ、もう黙る』
サクラへの手紙。
ピンク色は、身に付けるのは好きじゃ無いけど、でも。
「白雨、ピンクはダメかな」
『難しいが、コレなら大丈夫だろう』
「白は何か嫌」
『なら白と緑の配色はどうなる』
「ぽいけど、何か違う」
『もういっそ、カスタムでもしたら良いんじゃ無いのか』
「あぁ、有るかな」
『良いのか、時間が掛かるかも知れないんだぞ』
そんな事も無かったし、カスタムは結構楽しかった。
だからサクラもカスタム好きなのかも。
「特別が好きなのかな」
『そう思っては無さそうだけどな』
「だよね、普通が良いって言ってたし」
『寧ろ、自分だけ、が欲しい』
「あぁ、それだ。良いな白雨は、知識の欠損無しで」
『お前の記憶の欠けが羨ましい、この体でも、まだ穢れてると思うから』
「魂を綺麗にして貰ったのに」
『本質が変わるワケじゃ無い、まして欲求が有るのが、辛い』
「ご愁傷様です、俺まだかもだし」
『その割に執着が凄い』
「白雨はムッツリだよね」
『変態どスケベ糞野郎』
「罵り上手」
『ハナなら言うな、と』
「良いなぁ、聞こえるのが羨ましい」
『少しだけで、殆ど聞けて無いが』
「ほら、致す時とか便利そうじゃん」
『もし下手なら』
「あー、萎えちゃいそう」
『その知識は有るんだな』
「うっすら」
『共有出来る事は出来るだけ共有する、だから無理に思い出すな』
「白雨も、サクラは穢れてるとか多分思わないから大丈夫。それと、自分でも勉強するし、あんまり思い出さなくて良いから」
『分かった』
「じゃあ、帰ろうか」
お夕飯を食べまったりしていると、ドアがカリカリされた。
ユラちゃん、また来たのね。
「いつか捕まるんじゃ無いのかい、凄い心配なんだけど」
クンクン言われましても、しかも強引に入ってくるし。
台所で待たれるし。
「あ、お水ですね、はい」
そしてお風呂、それから暫くソファーでまったり。
「結局はね、何でも屋さんになりたいかもってなったのよ。でも人の粗が見えると嫌だから、結局は振り出し。じゃあ一生贖罪を続けるのかって話しなんだけど、そんな気力も無い、と言うかマティアスの影響よな。アレが知ったら泣きながら怒るよなって」
もう、顔を思い出すだけで泣けるのは何でだろうか。
何で泣いてるんだか。
「大事だけど、好きの種類が違うと思ってたんだけど、コレは好きな反応よな。マティアスって、神様のプレゼントって意味らしいのよ、そんなの穢せないじゃない」
そしてユラちゃんの名前も調べた、松明、しかも特別な夢の中の松明。
良い名前。
「皆、良い名前だよね。せいちゃんは1番清いって、本当にそうで、皆、羨ましい」
ラウラの名前は好き。
紫苑も好き。
「名前が悪いんじゃ無いのよな、結局は自分が悪い。どっち付かずでフラフラしてて、自信を付ける事もしないで、ビビりで、本質がこうだから、知られたらきっと嫌われる、だから誰にも知られなくて良いのに。どうして、知ろうとしてくるんだろな」
どうして、表面で済ませてくれ無いのか。
何で、知りたがるのか。
好意や興味が有るから。
じゃあ知り尽くしたら捨てられる?
良いか、それで良いか。
「ユラちゃん、ちょっと出掛けてくる」
今日は機嫌が悪いのか微動だにせず。
「一服したい」
どこまでも賢い、服の端を噛んで離さない。
動物の勘、凄いな。
「理解はされたいけど、理解の果てを知らないから怖い。だって全部知れたら興味が無くなるかもだし、身近な人の無関心が1番怖い」
ショナに無関心になられるのが怖い。
嫌われるのも。
「もう、何でも怖いのかも」
元魔王(仮)なのにな。
へなちょこなのにな。
いかんな、夜はいかん。
「もう寝るか」
やっと離してくれた。
そしてベッドへ。
潜り込んで来ない優しさよ。




