4月18日 決めるのって大変なワケで。
目を覚ましたのは人力車の中、人員の再配置、皇女様交代の知らせを聞いた。
流石に反省してくれたのか、第2皇女にはスーちゃんが選抜された。
「ひぇ、何で私なの」
《だって、万が一にも何か有ったら、神様達がハナちゃんに滅殺されちゃうんだもの》
「そこまでは、しないとは言い切れないが。スーちゃんに何か有ってもそうなると思う」
《スーちゃんはちゃんと理解してるものね?》
「え、マジでお褥有りなんですよね?」
《うん、でも大丈夫。慣らしたりも好みの子がしてくれるから》
「ちょ、マジでスキップ機能無いんかい」
《無いわよ?だってお勉強の一貫だもの》
「でも、体が」
《女の子よ?》
「あ、本当だぁ」
「スーちゃん、断るなら」
「ヤダ、断らない」
「なんぜ」
「知識とか、経験欲しいんだもん」
「もん。いや、ウブが好きなのもだな」
「私が嫌なの、前がウブなのにココでもウブだって知られちゃったら」
「いや、ワシは全然」
「良くしたいの!知らなかったらやられっぱなしなんだし」
「色々な意味でっ、痛いでござるょぅ」
「全部知ってくれて、対等が良いの」
「なんでよ。ウブウブ誂ってるけど、処女膜が可愛いねって誂ってるレベルなんよ?」
「それも知ってるけど。失敗したく無いの」
「その失敗を上手にフォローしてくれる人とじゃないと、お母さん許しませんよ」
「でもだって、ハナはしてくれ無いじゃない」
「結婚はしないとは言ったが、そんな?この顔ぞ?」
「全然、好きだし」
「他所のも含め、今日だけで凄い告白数なんだが」
「失礼かもだけど、整い過ぎてると遠い存在に感じて、不安になるの」
「鏡見てもか?」
「それは流石に、もう慣れたけど、向こうで凄い不安だった。皆それなりで、しかも短命なんだもの」
《不安が直列しちゃったのね》
「それだけじゃ無いの、0でも。ちょいブスって言われるのとか、残念顔が好きで。ごめんね」
「うーん、ハッキリ言われるの久し振り、新鮮。ありがとう」
「でも、私にしたら全然可愛いの。もう明らかにアレな感じもダメなんだけど、同じが良いの、同じって思えて、同じ感じの人が良いの」
「モテモテやんな、自分」
「うん。でもだからってハーレム推しじゃ無いのよ?!基本的には1人だけの方が良いとは思うけど、灯台の事とか。性豪の事は初めて聞いたけど、選ぶ悩みは無い方が良いし、ずっと幸せで居て欲しいし」
「外堀を埋められてる」
《そうね、ふふふ》
「ごめんね、正直に話すと傷付けちゃうから、中々、余計に言えなくて」
「先生が、顔が好きってストレートに言われた方が良いって感想、理解してしまったかも」
「え、ズルい!先生なんて勝ち目無いじゃない」
「コレで良いよりコレが良い、なのよね?」
「うん、偶に凄いきつい顔するけど、フニャッて笑うと可愛いの。ご飯食べてる時とか、もう無限に食べさせたくなっちゃう」
「そうしてデブが生まれるのです」
「理想を言うとぽっちゃり、女の子はふあふあが良いの」
「男なら?」
「そこが悩みなの、紫苑でギリギリなのよ」
「ショナ」
「薄過ぎ」
「えー」
「賢人君は直ぐに覚えられたけど、ショナ君覚えるの大変だったのよ、マジで」
「あー、うん、従者とか忍者には適任よな」
「正直、魔王とか悲嘆の居る中で、何でコレって感じ」
「ワシの高望み出来る範囲でアレよ、上位全部鑑賞対象」
「低ぃいい!低過ぎなのよ。じゃあ身柱さんも」
「ぜーんぶ、鑑賞対象。拝むモノ」
「なんでよ」
「触れたら濁りそうな感じ、ショナもそう」
「穢れて無いのに」
「綺麗な仏像に手垢を付けたく無い感じ」
「尊び過ぎ」
「あぁ、だから紫苑で穢したい的な?」
「背徳感に全振りね、マジで?」
「極端だから可能性は否定出来無い」
「マジで紫苑でアレクを?」
「え?出来無い?か」
「あぁ、男なら、まぁ」
「あぁ、アポロなら男もいけるんかい」
「女の子はほら、繊細だから守らないとだし」
「吹雪ちゃんは図太いやろ」
「子供だからよ」
「つか、男の子だってケツ」
《さ、着きましたよ、ふふふ》
瞬きをすると、宮殿の庭で寝転がっていた。
体を起こすと目の前にはショナ。
自分の恰好を確認するに、女官。
人員の再配置は自分も含まれていたらしい。
「もしかして、ココで寝てたんですか?」
「らしい」
「何もさ、医局に付き添いましょうか?」
「それは大丈夫です、ありがとうございます」
「なら行きますよ、今日は国婿様と皇女様方と兵部で鷹狩りに行くんですから」
「うい」
遠乗りからの鷹狩り。
平和なので兵部の人間の為の行事でも有るし、皇女様方が品定めをする場でもある。
女官も何人かで馬車に乗り、門の外へ。
どうやらワシもこの遠乗りで見初められた人間の子供らしい、そしてそのまま前第3皇女の噂話へ。
1ヶ月、誰にも粉をかけなかったので、見せしめの為に何処かの女官に格下げされたらしいとか。
引き籠りなので座敷童扱いなのか、見つけ出せば幸せになれるだとか、かこつけて男からの声掛けも増えるだとか、女官でも上の方々が笑い話にしていた。
紛れ込んでるとお互いに思って、女官同士仲良くとか、女官を大切にって話だろう。
あぁ、いわば戦意高揚ですな、張り切って下さい、頑張れ女従者ズ。
《はいお疲れ様でした、着きましたよ、ふふふ》
色欲さんの手を借り、馬車から降りると素晴らしい秋色の森に着いた。
西の森、常秋の森にはキノコまで有る。
「キノコ」
『そうですよ、暫くはココに滞在しますから。沢山採って下さいね』
美食さん似合うな、イケオジ。
採って良いかどうかは何となく分かるので、ホイホイと採っていく。
時には栗も拾ったり、銀杏は諦めてまたキノコを採ったり。
籠がいっぱいになったので戻り、銀杏の場所を伝えて今度は魚釣り。
少なくともウチの馬車組は真面目に仕事をしているが、他は結構粉を掛け合ってる感じ。
皇女も例外では無さそうで、御簾越しに追い返したり受け取ったりと忙しそう。
そして魚釣りが飽きたので薪集めとキノコ狩り、無限ループ出来そう。
イカンな、そら格下げされますわ。
「無防備な割に真面目ですね」
「どうも、巡回ですか」
「はい、賢人君と見回りです」
「うっす」
ショナと賢人君、賢人君は役回りが色々有って大変やね。
ご苦労様です。
「ご苦労様です」
「あまり遠くに行かないで下さいね、一応猪とかも出るので」
「鹿は向こうから逃げてくれるんすけどね、猪はヤバいんで。万が一には木登りして叫んで下さい」
「はい、どうも」
ココらが警備の境界線らしい、警備とは反対方向に向かいつつ収穫。
ダメだ、多分普通ならお喋りして一緒に帰るんだろう、セオリーに添えない。
もう諦めて魔道具チェック。
羽衣と靴と剣は出せる、使用も可能。
このまま飛んで逃げたら、凄い怒られるかしら。
でも、誰に怒られるんだろうか。
剣はしまって収穫を継続、本陣に帰ると暗くなり始めた。
お夕飯の時間、毒見係のエナさんはパクパクキノコを食べて皇女様へとお膳を渡した。
そして何事も無く時は過ぎると、歌垣と呼ばれるモノが始まった。
和歌や万葉集からの引用に、創作も織り混ざっての詩の交換。
有り難い事に何となく分かる気がする、月読さんに送られた歌も聞こえて来た。
未婚の男女がキャッキャと歌を送り合い、微笑ましい風景だこと。
《ふふふ、感想がまるでお婆さんね》
「老女にされるのはちょっと困るかも」
《そこまでは流石にしないわよ》
《ふふふ》
《お手本帳が有るから、加わったら良いのに》
「マジでシャイなので勘弁して下さい」
川辺に逃げて釣り糸を垂らす。
ビビりでシャイで奥手で引っ込み思案、目立ちたく無いのはガチのマジ。
なのに踊りは好きなのよね。
見せるのが好きじゃ無くて、踊れたら良かっただけなのに。
《もう、なら教えてあげるからやんなさい、ココなら人も居ないんだし》
《そうそう、練習の練習ね》
「ではお言葉に甘えまして」
采薇舞、羽衣と靴のお陰なのか、ホイホイと楽しく踊れる。
羽衣で代用しているが、本来は長い袖で柳を表すんだそうで、腰の動きがちょっとエロいなと思いました。
《これ、集中しなさい》
「してますしてます」
《上手上手、ふふふ》
次は日舞の松竹梅の梅の部分。
ストレッチしといて良かったわ。
《どう》
「楽しかったです、ヒラヒラとキラキラに弱いんでしょうな」
《それとモフモフも、ふふ》
「はい、ありがとうございました」
就寝時間になったので、ゲルで就寝。
そしてあっと言う間に朝になった。
そして朝釣り、何巡目かの温泉組に組み込まれ露天風呂へ。
交互に男女が入るらしく、次の番にはショナと賢人君達の組が待っていた。
「濡れたままじゃ風邪を引きますよ」
「どうも」
面倒見が良い。
髪を乾かして貰い、本陣へ戻る。
危惧していた踊りを見られるイベントも無く、平和。
釣り場に向かい無人の釣竿を眺める、脳味噌が蕩けそう。
ボーっとしていると立て掛けられていた釣り竿が反応したので、そのまま釣り上げる。
大物、取り敢えずは籠に入れ餌を付け糸を流す。
何も無いと、マジで強硬手段に出られそうだが。
一体どんな強硬手段が。
「あ、釣れてましたか」
「あぁ、はい。持って行きますので失礼します」
「昨夜、ココで誰か」
「他人様かと、失礼します」
「ちょ」
ココかぁ。
もう踊るの止めた、無し、恥ずかし死するわ。
「なんでしょう」
「すみません、覗き見るつもりは無くて」
「ワシじゃ無いです、他の人です」
「なら誰なんでしょう、耳飾りが落ちてたんですが」
前のワシの。
なんでやねん。
「ぐっ、ワシの、預かりモノどす」
「やっぱり、でもどうして?」
「前の第3皇女様のを代わりに預かってます、内密に、良い人間が居たらお渡ししろと」
「そうなんですね、お元気でらっしゃいますか?」
「はい、ノンビリ暮らしてらっしゃいます」
「そうでしたか」
「繋ぎを付けますか」
「いえ、心配だっただけなので大丈夫です」
「そうですか。では何もかも、記憶から消し去っといて下さい」
「分かりました、では」
フラグを回避する方法しか分からないみたいになってるじゃんよ。
どうしましょうかね、ある意味詰んでますぞ。
調理場の人間に魚を渡すと、今度はロキ発見。
そうだよな、男で落としても良いのよな。
ただな、ショナはなぁ。
なんかなぁ。
まして着替えるアテも無いし、白雨もアレクもココには居ないし。
うん、何もしないが正解やんね。
そうボーッとしているとロキと目が合ってしまい、そのまま駆け寄って来た。
何、面倒は嫌なんだが。
『どうしたの、半分目が死んでるけど』
「あぁ、いや、上手く行く気がせん」
『まぁまぁ、悲観は禁物。じゃあね』
そうして以降は0と同様に誰かに声を掛けられるでも無く、炊事だ薪拾いだとこなし夜に。
そしてまた、夜から朝に。
そうしてまた森へ行くと、今度は野盗イベント。
剣を出したたっ斬って、天狗が退治してくれたと報告し、釣りへと向かう。
そしてまた夜、お酒を飲ませるので天狗の話をと請われ、どの順番でどう切って行ったかご説明。
そして真っ白な天狗で、目は赤かったと適当にぶっちらけて終了。
そして帰還の日。
もう、何をどうショナに知って貰えれば良いのだろうか、サッパリ分からん。
悶々としながらお土産用にとキノコ狩りをしていると、またショナと賢人君。
置いて行かれない様にと軽口を言われた。
だが、本当に置いて行かれるとは思わないじゃんよ。
しかもこう、コレが強制イベントか。
「だから言ったじゃないですか。相乗りで良ければどうぞ」
「申し訳無い」
最後の見回りをしていたそうで、今回は後ろに乗せて頂いた。
片手にキノコの入った籠、片手にはショナの腰。
死んでしまう。
早く追い付いてくれ。
その願いも虚しく、雨に降られた。
もう、絶対に面白がっているんだろうよ、特にソロモンさんが。
「大変申し訳無いんですが、ココに泊まらせて頂きましょう」
「実は、天狗の子孫なので飛んで帰れますんで。先に帰っておきます」
「いや、それが本当だとしても雨なんですよ?暫く止みそうも有りませんし」
「ココの方にキノコを進呈して、籠を被って帰ります」
「それでも濡れてしまうかと、ココには女性も居ますし、大丈夫ですよ」
「どの道お世話になるので、キノコはお渡しします」
家の娘さんは器量良し、その気が有るのかキラキラしたり、お酒の準備。
楽しそうだし、風邪位は別に良いべ。
「まだ帰ろうと」
「お邪魔でしょうから、ではまた兵部で」
本当に飛んで行ってしまった。
空になった平たい籠を傘にし、羽衣を使い、本当に飛んで行ってしまった。
しかも、どうやら気を使われての事、僕にその気は無いのに、この家の女性の視線に気付いたのだろう。
お酒を1杯だけ頂き、雨脚が弱まったので家を後にした。
紫禁城に近付く毎に雨脚は弱まり、着いた頃にはすっかり止んでいた。
先ずは馬を預け湯殿に向かう、序でに医局で風邪予防の漢方を頂きに行くと、さっきの女官が案の定寝込んでいた。
「どうしてそう、無茶をするんでしょうか」
「いえ、風邪位は良くなるので」
《昔は体が弱かったそうで、元気な身体に慣れてらっしゃらないんでしょうね》
「それでもです、僕に気を使わなくても良いんですよ。お相手は二の次三の次なんですから」
「そんな事を言ってると、行き遅れて寂しくなりますよ。居ないよりは居た方が良いですよ、伴侶」
《さ、寝て下さい。アナタも、身体を良く温めて下さいね》
居ないよりは居た方が良いのは分かるけれど、ピンと来た事が無い。
幼馴染や兄が言う様な気持ちも、芽生えた事が無い。
「部屋に戻った方が良いですよ、移るかも」
《コレは移らないですよ》
「氷を頂きに行ってきましょうか」
《ありがとうございます》
罪滅ぼしでは無いけれど、自分のせいでも有るし。
と言うか、身体が弱かったなら、いくら健康になったとしても気を付けて欲しい。
「どうぞ」
《ありがとうございます。もう大丈夫ですよ、一時的な事なので》
「でも、辛そうで」
《大丈夫ですよ、慣れてるそうですから》
そう言うと先生は他の人間の治療に行ってしまった。
他にも人間は居るのだが、忙しそうに調薬や漢方の煮出しに忙しくしている。
暑いらしく両腕をすっかり布団から出してしまって、顔も真っ赤にしている。
思わず頬に触れると、とても暖かかった。
《まだ居たんですか、アナタが身体を壊しますよ》
気が付くと、一緒に寝てしまったらしく暗くなった医局で目が覚めた。
まだ女官の熱は下がらないらしく、頬は熱いまま。
「僕に気を使って無理をしたんです、雨宿りした家の娘さんに僕が言い寄られそうになって。それで飛び出してこんな事に」
《それか、よっぽどアナタを嫌いか》
「嫌われる程、接して無いんですが」
《そうなんですか?じゃあ逆に、お好きになったのかも知れませんね》
「だからって雨の中を逃げ出しますかね」
《自分よりよっぽど器量の良い娘さんだったなら、逃げ出したくもなるでしょう。見せ付けるられるよりはマシですから》
「そんな風に見えますか?」
《人は見かけによりませんし、お相手によって人は変わりますから》
「そうですか、怖いですね恋愛って」
《もしかしたらこの方も、だから逃げ出したのかも知れませんね。さ、漢方を煎れますから飲んでいって下さい》
「はい」
何とも言えない独特の風味を飲み干し、医局を後にした。
明朝には、少しは良くなっているだろうか。
熱が下がらないまま、医局で朝を迎えてしまった。
ハロー、病弱なワシよ。
《脳味噌は明るそうで何よりです》
「病弱ハイですな、慣れ親しんだ感覚、あぁ気怠さよ」
《祥那さんが遅くまで付き添ってたんですよ、心配掛けない方法は無かったんですか?》
「あの場に居て、おっ始められても困る」
「僕が、そんな風に見えてるんですかね」
タイミングよ。
「いいえ、でも体験談から出た言葉なのでご容赦下さい」
「しちゃったんですか」
「違います、巻き込まれた側です。つかそう見えますか」
「正直、良く分からないですね」
「それな、見た目で分かれば苦労しませんよね。ご心配お掛けしました、直ぐ治るんでお気になさらず」
「治りそうも無いですけど」
「直ぐに治る予定なのでご心配無く、どうぞお気になさらず兵部にお戻り下さい」
「何か欲しいモノは有りませんか?」
「神経過敏で逃げ出しただけでアナタに責任は無いので、お時間を無駄にするよりもちゃんとしたお相手を探すべきかと」
「そうですね、探しておきます。では」
《塩対応には塩対応ですか》
「そんな塩かね」
《お砂糖では無いですね》
「なら水だな、甘露甘露」
次に瞬きをした瞬間には、もうお昼。
すっかり体は治っていた、先生にお礼を言って先ずは湯処へ。
入った筈が既に入った事にされ、湯処から出ていた。
何を言ってるか分からないと思。
《ハナちゃん、お仕事よ》
「おう」
色欲さんから伝えられたのは、正式な配属、雑務係。
今日は司書局への配属、本の虫干しの手伝い。
白雨に来る女官や士官達の目の前まで行き、無言の圧力で何回か追い返していると、向こうから話し掛けて来た。
助かる、と。
好かれると言うより、役に立つ方が良いかも。
コレは気が楽。
そして夜。
兵部のショナの部屋へ。
「異動したそうですね、ビックリしましたよ。医局にもお部屋にも居なかったので」
「すみません、急に異動になったのと。元気になったのでご挨拶に参りました」
「次は何処なんですか?」
「司書局です、白雨さんのお守りと虫干しです」
「凄い美形の方だそうですね」
「なので毎回本を読むのを邪魔されて、キレそうになってました。なので兵部の方にも居たら言っておいて頂けませんかね、せめて読んでる時は邪魔をしない方が良いと」
「そんなに、凄いんですね」
「見に来られてはどうですか、直視すると目が潰れますけど」
「そうですか、じゃあ明日にでも」
「はい、では」
そして振り向き瞬きすると、司書局の目の前だった。
スキップの仕方が凄い。
『おはよう』
「おはようございます。兵部の知り合いの男性が白雨さんを見に来ますが、お気になさらず。味方にすれば少しは静かに本が読めるかもなので、睨まないであげて下さい」
『分かった』
虫干しする本を並べ終えた頃、白雨に視線を戻すと、また群がられていた。
うん、今なら分かる気がするよ白雨。
白雨に迫る人間に何も言わず、割って入り、ただジッと見つめるだけなのだが。
今日はとうとう白雨がワシを盾にし始めた、どうぞどうぞ。
「ふふ、物言わぬ盾は凄い効き目ですね」
「見られたか、盾にされたのは初めて」
『どうも』
「祭事の直後にご挨拶した兵部のショナです」
『あぁ、覚えてる、どうも』
「こんな感じに無害なので、守ってあげて貰えませんかね」
「見掛けたら注意しておきますね」
『頼む』
「宜しくどうぞ」
お昼は食堂なのだが、コレもスキップ機能で司書局に戻され。
虫干しが終わったら本の修繕、そうしているとあっと言う間に時間が過ぎて、閉館時間の日の入りに。
そして自室に戻り、また朝に。
そして司書局へ、修繕オモロ。
「真面目ですよね」
「そうでも無いです、飽きたら不真面目になります」
『だから庶務か』
「かもですね」
ショナは兵法だか何かを読みに、白雨は白雨で偶にショナにオススメの本を差し出す。
非常に平和で静かな1日だった。
そしてまた、ハナ女官が異動になった。
偶々僕が来たので蜘蛛の子は散ったけれども、白雨さんは非常に不機嫌そう。
「次はどちらに?」
『知らないんだが、アテは有る』
お昼過ぎに内教坊に行くと確かに居た。
今度はニコニコと楽器を磨いている、今度もお守りを兼任しているのかと思ったが、接点は無さそう。
「あぁ、ショナさん、また異動になりました」
「忙しい方ですね、白雨さんが大変に不機嫌そうでしたよ」
「知らんがな。誰かの耳飾りを受け取れと助言すべきでは?」
「僕も受け取るつもりは無いので難しいですね」
「リズ皇女のでもですか?」
「そうですね、寧ろ余計に受け取りたく無いと言うか」
「なんでやねん」
「仕事の実力だけで上に行きたいので」
「あぁ、でも既婚者の方が大役を任される理屈は理解してるでしょうに」
「そうですね、白雨さんと相談してみます」
「がんばれ」
それから何日か様子を見に通ってみたが、特に同期生と接する場面には出会わずで。
寧ろ、白雨さんからのプレッシャーだけが酷くなっていった。
『呼び戻せないだろうか』
「誰かの耳飾りを受け取られては?」
『君はどうなんだろうか』
「少なくとも、皇女様のは要らないですね」
『なら、あの女官のはどうだろうか』
「彼女が苛められたりしませんかね?」
『心配なら君も受け取れば良いだろうに』
「嫌われてる疑惑も有るので、ちょっと難しいかと」
『そうか』
「はい、興味が無いだけなら良いんですが」
『それはどうだか。俺も、内教坊に行ってみたいんだが、頼めるだろうか』
「良いですよ、じゃあ終い際に来ますね」
そして兵部での鍛錬を終えて司書局へ、そこから内教坊へ向かうと同期生と遭遇した。
したと言うか、待ち構えられていたらしい。
「なに」
「ハナ女官にと思いまして」
『あぁ、君に興味は無い』
「なんだ、同期生にまで狙われてんのかと思った」
「そう言うのはちょっと興味が無いので」
『それで、ハナ女官は?』
「もう食事場だと思うけど、何、狙ってんの?」
『人避けに耳飾りを貰えるかどうか聞こうかと』
「アレって、大丈夫そうなの?」
「鷹狩りの時も真面目でしたし」
『俺の時は無言で人よけの盾にもなってくれた』
「へー、じゃあ遠目から観察してみよ」
食事場へ向かうと、ハナ女官が食事を持って隅っこへ行くのが見えた。
またニコニコと、美味しそうに食べている。
「1人みたいですね」
「何で1人なんだろ」
『気が楽だからだろう、俺も食事は1人でしているし』
「んー、バラけて情報収集してみよう。良いヤツなら俺も貰うわ、耳飾り」
元々は第3皇女の側仕えだったのが、皇女の見せしめ降格に伴って庶務へと回されたらしい。
そして誰に粉をかけるでも無く、仕事はこなしているが、どうやら迂闊な方らしい。
ココの作法を知ってか知らずか、落とし物を拾っては言い寄られ逃げ回り。
時にドン引きし、ただ、そんな程度の事しか知る事が出来無かった。
『俺もだ』
「マジかぁ、全然何も分かんないのな」
「もういっそ、聞きに行ってみましょうか」
内教坊にある女官の部屋へと向かうと、誰かと押し問答をしていた。
僕らの姿を見かけると、男性は何処かヘ行ってしまったが。
「鉢は、どうしたら良いですかね」
「お相手にご興味は?」
「無いっす」
「お断りしたいんでしたら…他の方法、お花の場合、分かりますか?」
「いいえ」
「お花なら花びらを千切って送り返して下さい」
「勿体無い」
「それか既に想い人が居ると、2本にして送り返して下さい」
「取っとくと勘違いされる?」
「はい」
「えー、他に方法は?」
「そもそも、受け取らない」
「だって、戸口に有って邪魔で、どかそうとしたら来られて」
「そうでしたか、でもです」
恋文は勿論、扇子に恋文を書き付けて贈られたり、花や果物を贈られる事も有る。
特にハンカチ等の落とし物には気を付けたり、同じ時間に戸口へ訪れられたら気を付けろと説明していると、成程と言った表情を浮かべた。
「へー」
「へーって、何しにココに来てるんですか」
「コッチは単なる社会科見学やお仕事の為ですが、ならショナさんはお相手探しですか、なるほど。エロいですねショナさん」
「なっ」
「そっかぁ、エロいんだぁ」
『成程な』
「ちょっと、そうじゃ無いんですってば」
「つか、同期生で仲良くなれましたか、良かったですな」
『あぁ。それで、お互いの人避け用に耳飾りが欲しい』
「なら、リズ皇女ので良いですかね」
「あれ、他のも」
「へー、他にも持ってるんだ?」
「チッ、第3皇女のも、はい」
「信用されてるんですね」
「いや、女官に代理を任せる事は良く有るので」
「で、アンタのは?」
「無いですが」
『なら作らせておいてくれ、受け取る』
「もうちょっと上を目指すべきでは?」
『嫌なら構わないが』
「嫌と言うか」
「あぁ、いきなりだと偽装だって怪しまれるかもだし、暫く贈り物でもしたら?」
『じゃあそうする』
「いや、だから他にも」
「鉢、返してきてあげるよ」
「それはありがたいんですが」
『花は、何が良い?』
「何でも良いなら1番高価で派手なのにするけど」
「香りの強いのと、百合と菊以外なら」
『分かった』
「じゃ」
「ちょっと、ショナさん」
「はい、何でしょう」
「どうして、こうなりますかね」
「無害そうだからでは?」
「人は見かけによりませんが」
「なら相を見て貰いましょうか」
「当たりますか」
「じゃなきゃココに雇われませんよ」
術師の居る場所へ行き、人相占いをして貰う事に。
おデコが小さい。
「おデコ小さいですね」
「心が狭いんだそうですよ」
『残念、それ嘘だよ?』
総合的に、直感的で情に厚く、真面目で努力家。
1人遊びが好きな内向的性格で、凝り性。
「悪い所も、ちゃんと悪く言って貰えますかね」
『しょうがないなぁ』
行き当たりばったりが多く、直情的、玉石混淆に人を引き寄せ問題が起き易い。
繊細で傷つきやすく、騙され絆され易く、嘘もそれなりに上手い。
「ほら、宜しく無い」
『長所短所は表裏一体だし。君も占おうか』
「お願いします」
『勤勉で真面目、理性的で落ち着いてて、争いは好まない方だね』
「適当に言ってない?」
『額だけでコレなの、ほら、ココ』
「見せちゃって良いの?あんちょこ」
『統計学だし、混ざってたり組み合わせの何処を抽出するかは占い師の仕事だからねぇ』
「ほう、で、コレだけ?」
『眉だと、何事も穏便に済ます薄眉で、どちらかと言えば太い方だから信念とか意思が強い。後半は君もね』
「はいはい」
『への字と下り眉の混合かな、温厚で温和で努力家。長さも有るから、ココでも実直で努力家が出てる。眉と目が近いからリアリスト、眉と眉の幅が丁度良いから懐は広い方。君は狭いから、ココにも神経質なのが出てる、毛が長いのは生命力と幸運が有る。短いと家族関係が希薄』
「眉に情報が濃縮している」
「ですね」
『だからお化粧でもなんでも、眉毛大事なんじゃない?』
「なるほどね、見せたい顔にすんのね」
『そうそう、口は大きいと性的に』
「出ましょうショナさん」
『待って待って、口角は正反対。下がってるからいつも不満げそうに見えて周りを不安にさせちゃう。反対に君は上がってるから安心感が有るし、世話好き。因みに俺も、与える方が好きでストーカー気質』
「最後は特に当たってますな」
『でしょ』
「お知り合いなんですね」
『まぁね、この子は下唇の方が厚いから、のめり込み易くて性的にも溺れ易いのに、言いたい事は我慢しちゃう。キュッと締まってるから、貞操観念は強い、君もね』
「半分誂ってるんでしょう、ワシはもう出ますからね」
「あっ、待って下さい」
また飛び出して、夜は1人歩きはダメなのに。
追い掛けようとすると術師に腕を捕まれ。
『他にも鼻の下の、人中にも性的に強い相が出てるから、性豪かも☆ま、頑張ってねー』
誰にでも言っているのか何なのか。
僕には縁が無い事だと思い、真偽を確かめる前に追い掛けた。
「良かった、居たんですね」
「流石に1人では出歩け無いので」
「ですね。一途だそうで」
「くっつけようと良い事だけを言ったのでしょう」
「整合性は有ると思いますよ?」
「モテるのに一途ですか」
「モテても一途って良い事だと思いますけど」
「女帝様はどうなんでしょうね、お相手が複数になるんですし」
「余所見はせず、其々の方に一途なのでは」
「なら1人に絞るべきでは」
「返って諍いが起こるかと」
「例えば」
「お相手さえ居なくなれば自分のモノになる、奪って奪っての繰り返しになると思いませんか?」
「あぁ、じゃあ2人なら良いんですか」
「控えている母数によるかと。それにそもそも、1人のお相手だけでは魅力や御威光を防げないからこその、ハーレムなんですし」
「そこ、納得してるんですか」
「神々も精霊も妖精も居るんですから、そんな人間が居ても可笑しくは無いかと」
「そう納得しますか。じゃあ、ご自分がその立場でも呑めますかね」
「それはちょっと、想定自体が難しいですね。そこまで好きになった事が無いので」
「ヤりたいとも思った事が無いんですか」
「まぁ、はい」
「ウブウブ、ウブ過ぎも嫌われるかもですよ。じゃ、ありがとうございました、失礼します」
何もしていないのに、嫌われているのかも知れない。
何でだろう。
異動に異動を重ね、尚服局に左遷させられた。
まぁ、刺繍は好きだから良いのだが。
《もう、本当にどうしてあぁなるのかしら》
「本当の事を言っただけですし」
「本当、ウケるわぁ。好き避けし過ぎよ、可愛いわねぇ」
「女帝様や、ココで何してらっしゃいますか」
「お勉強だけど、何か?」
《勉強家ですもんね大罪は、ふふふ》
「あぁ、でも白雨にそんな感じは無いけど」
「本や書、知識、哲学家系なのよ」
「あぁ、だから司書局ですか」
《ふふふ、お声掛けが有ったみたいね》
「人避けにですがね」
「あら、噂をすれば、抜け出してまで来ちゃったのね」
『花を渡しに来た』
「ならしょうがないわね、許してあげる」
《ふふふ、花瓶を持って来るわね》
「人目を引く事を」
『人避けには最適かと』
「まぁ、でしょうけど」
「この子の人相学のお話、聞いたのかしら?」
『一途で情に厚く真面目』
「それショナさんの評価やろ」
『君もそうだと聞いた』
「伝聞を信用しますか」
『いや、直接改めて聞きに行った。言うなと諌めないのも珍しいらしい』
「そうね、中身バレバレになっちゃうものね」
「そこまで頭がまわ、良い評価だけならそうしてました」
『それも相に、真面目なのは当たってる』
「もうそこら辺の捕まえて」
『もう行った、顎が引っ込んいでたり割れてるのは、性に合わないと』
「それ除外しても候補は沢山居るでしょう」
『声を掛けてくるのは居たが、盾になって貰えたのは初めてだった。だから君が良い』
「お前もか、ブルータス」
「あら、裏切っては無いわよねぇ。それとも、この顔が嫌なのかしら?」
「嫌では無いですが」
『女帝、この子の元に通うので、暫く異動は控えさせて貰えますか』
「しょうがないわねぇ、良いわよ」
「女帝様ぁ」
「ほら手を動かす」
《はい、花瓶よ》
『どうも、では』
「ふふふっ」
「もー」
それからはもう、騒がしい事の何の。
どんな女官が白雨の相手なんだと品定めに、士官に仕官に学徒迄もが尚服局の刺繍殿に観察に来やがって。
しかもアレクまで来るし。
内教坊では接点無かったのに、何でよ。
「おう、今度は刺繍なんだ」
「どうも、忙しいので手短にお願いします」
「聞いたぞ、白雨と相の事。性豪ちゃん」
「以上でしょうか」
(いなくなった皇女様も同じ相だって聞いたんだけど)
「なっ」
(まだ俺しか知らないから大丈夫)
「で」
「戻る気無いの?」
「無い、今の所は無い」
「着飾って仕事しないで済むのに?」
「それが全てじゃ無いでしょ」
「じゃ、俺も粉をかけちゃお、じゃあまたね」
チャラい。
しかもこのせいで更に人が押し掛けて来て、目立ちたく無いと言うのに。
「残念ねぇ、嘘でも戻るって言っておけば良かったんじゃ無いの?」
「えー、どうせ皇女並の暮らしをさせるから諦めろとか言いそうじゃんよ」
《そうかも知れないわね、ふふ》
「ほらぁー」
「はいはい」
《ふふっ》
『お疲れ様、そろそろ耳飾りを作りましょうねぇ』
「ぐぬぬ、ベリサマまで」
『はいはい、食いしばらない食いしばらない』
ベリサマに促され女官用の耳飾り案を出させられた、時間が掛かる様にシルバーと青緑色の特殊な木目金の地金を土台に、アズロマラカイトにも彫をお願いしした。
しかもピアスとの連結タイプ、ピアス部分には桜を、イヤーカフ部分には木蓮と雲をと。
ただ、ココの職人の仕事は早いので、そんなに時間稼ぎにもならないかも知れないとは思ったが。
仕方無い、もう発注しちゃったし。
「あ、お金って」
「後継者だの支援者からのお金で足りるわよ」
『そうそう、珍しい地金だから職人達も楽しんでるし、大丈夫よ』
「本当に信頼が厚いんですね」
「あぁ、次は君か」
「白雨さん、もう来てたんですね」
「アレクもな、相の事で誂われたわ」
「すみません、大事な事なので少し漏らしました」
「ワシが口止めしなかったのが悪いんでしょうよ」
「そうですね、珍しいなとは思いましたけど。今日にも口止めしに行きますか?」
「いや、もう良い、あんだけ注目浴びてしまったし。隠す方が変な事になりそう」
「そうかも知れませんね」
「それで、ご用事は」
「あ、医局に行った時に先生から呼び出す様にと言われまして」
「あら、なら行ってらっしゃいな。こう注目を浴びてる事だし、送ってあげて貰えるかしら?」
「はい」
平和で平穏で何も無い時は、逆に裏がめちゃめちゃ動いてるんじゃ無いかと思い始めた。
自意識過剰だとしてもだ、下準備が過ぎる。
《まぁ、否めませんね》
「はぁ、自分のビビりと意気地の無さに。神々が、いい加減イライラしてのコレでしょうか」
『いえいえ、そのモヤモヤが良いんじゃないですか。いじらしくて、もどかしくて、可愛いですよ』
「ソロモンさん、役職は」
『雑ですねぇ、医局と呪術局から選任された房中術指導員ですよ』
「房中術?」
《それと、カーマスートラ》
「あぁ、そうですか、さようなら」
『冷たいですねぇ、エロだけじゃ無くて立派な養生術なんですよ?』
《健康、長生きの仕方だそうで》
「先生」
《昔に、腹上死の実態をと、目を通しはしました》
『精を出さないで、逆に吸い上げる練習とかも載ってますよ』
「ほう、それは純粋に興味が有るかも」
《民間では長持ちさせる為に、強いアルコールに浸けて麻痺させたりとか》
『良く無いですねぇ、そう長持ちさせるのとは別ですから』
「何だ、正しい性教育ってか」
《そうですね》
『はい、耳飾りが発注されましたので。先ずは発注側から教える決まりなんです』
「決まりかよ」
月経過多にはこの体位で、18擦り、1日2回15日連続で致せば宜しいと。
マジか。
《まぁ、数を数えていたら普通は無理でしょうね》
『慣れですよ慣れ、体で覚える事ですし』
「だからプロも居るってか」
『そうですね、花街も直ぐ近くに有りますし、呼べもしますよ?』
「何故呼べる」
『選択の自由ですよ』
《それと、過度に失敗を恐れたり、緊張も障害になる程には、男性も繊細ですから》
「いや、先生止めてくれよ」
《私も天邪鬼な方だそうで、そう言われると放置したくなるらしいんですよ》
「人相学と統計学に流されんでくれよ」
《致すかどうかは別にとして、社会科見学には宜しいんじゃないですか》
「巻き込むぞこのヤロウ」
《良いですよ、性的に流され易いそうですし。外出には監視は必要ですから》
『でしたらもう1人居ないといけませんねぇ、探しに行ってきますねー』
「先生は楽しい?」
《少し罪悪感は有りますね、若干追い詰めてる節は有るので》
「若干どころでは無いかと」
《何人かにココを試して頂いてますが、賢人君の様にこなせる人は非常に稀なんですよ。どうしてもバランスを欠いてしまったり、身持ちを崩して落ちたりと。なので不器用な君用に、この介入数なんですよ》
「大変ですね」
《一応、補佐も有るので問題有りませんし。大変有意義な研究をさせて貰っていますよ、本来は失われた習俗や風習なんですから》
「そうなのか、お話の題材には良いのに」
《だからですよ、一般の方が気軽に真似して、問題が多過ぎたんです》
「あぁ、でも一夫多妻は有るでしょう」
《厳格な法整備によって一部の国で許可されてはいますが、それを各国に当て嵌めるのは難しく、かと言ってその為だけに国籍をホイホイと移すワケにもいきませんからね。下手をすれば一極集中してしまいますし》
「ココでだとどうなるの」
《正妻と籍を入れ、後は妾で子供は認知でしょうかね》
「そう聞くとドン引きだわ」
《不公平や偏りが有るから問題なんです。全員で全員の子供を一緒に育てる民族も居ます、場所によっては母親も父親も分からない状態も。逆に言えばそれだけ平等に、問題無く育ってもいるんです》
「うーん、子供なぁ」
《親は無くとも子は育つ、既にココでは立証されてるんですよ》
「じゃあ、何で向こうは個別の家族制なのよ」
《何某かに所属していてくれれば、政治的にも宗教的にもコントロールが効くからですよ、国としても村としても。母親や父親が大事だからこそ、人質にしがいが有りますからね、そうして個人から家族と支配し易くし、次は村単位で制御、そのままいけば次はもっと大きな単位で動かせる。親不孝者はコントロールが難しい、そして親不孝者を出した家庭は制御し辛いと切り捨て、制御し易い者達だけを残せば、国も何もかもが御し易い》
「こわっ」
《無法では争いが起き、酷ければ滅亡すらしますから。その為に宗教で基礎を作り、纏め上げ、動かす。宗教は法の基礎でも有り最初の枷でも有ると、私は思っています》
「頭良いなぁ、凄い、なるほど」
《ついでですし、独裁国家のお勉強も一応しましょうか。大概は宗教を廃するか改変するか、法律を大幅に変更して、自分の言う通りに動く人間を作るんですよ》
「ほうほう、例えば?」
《眼鏡は頭が良い象徴なのでインテリ層として処刑、左利きも頭が良いのが多いので処刑、そうして大人も処刑》
「あぁ、何か聞いた事があるけど」
《0のポルポトが行った実際の出来事です。コチラでは超原始主義者と呼ばれてますね、格差も階級も無しに、原始の農村生活で人々は生きるべきだと。転生者の本が有りますよ、子供の事が心配なら読んでみて下さい》
※
親から引き離され、少年団に入れられ、食べる為に殺した。
頭を空っぽにして、ただただ悪いヤツらを殺した、女でも子供でもただ撃って殺した。
気を失ったり泣き出したのも居たけど、楽しくも悲しくも無かった。
殺せと言われたから、殺した。
それからもずっとジャングルで、森で、村で、10年位戦った。
嬉しい事も勿論あった、ちゃんとした服を貰った時。
それで久しぶりに街へ行ったら、凄く綺麗になってた。
それで娼館に連れてかれて。
選べと言われて選んだ子が水浴びに行って、自分は素っ裸でベッドの上で両腕を胸に抱えて震えて待ってた。
水浴びを終えた女の子は「大丈夫、アナタも水浴びをして」と、笑顔で言ってくれた。
腰まで有る黒髪に明るい肌。
恋をした、愛することは教えて貰わなかったけど、天にも登る気持ちで、朝まで愛し合って、笑いながら水浴びをして、またキスをして、愛し合った。
そうしてまた森に戻ると、娼館に居た女達は敵なんだと教えられた。
結婚したかったけれど、もう2度と行かなかかった。
今でもまだ忘れられない。
それから戦争も終わって、20年ぶりに村に帰ると母さんは生きてた。
泣いてたけれど、泣かなかった。
父さんは死んだと、寂しいなと思った。
優しくて、抱き締めてくれて、頑張って食べ物を探して来てくれたヒーローだから。
0では特別法廷だ取材だなんだって忙しかったけど、嫌な事も有ったけど、楽しい事も有った。
森で歌うと、声に木が反響して。
「桜木様、大丈夫ですか」
「ダメだ、こう言う話に弱いんだよ」
右手に有った筈の本を見ると、8センチのCDがケースに入っているものに変わっていた。
顔を洗っている間にミーシャに中身を確認して貰うと、語っていた人が見てきた映像だった。
「映写機の誤作動だそうです、多分コレは」
「0世界の記憶、出来るだけ誰にも見られない様にして。せめて、綺麗な思い出のは」
「桜木様も、無理に観せる必要は無いんですよ」
「ワシは大丈夫、こんな良い思い出は無いもの」
「有ります、いっぱい有ります。これからもいっぱい作るんです、だからホイホイ観せないで下さい」
「分かった」
「まだ早いですから、もう少し寝ましょう」
夕飯も終わり、アレクに誘われハナ女官の部屋に向かうと。
本で顔を隠しながら、目を真っ赤にしたハナさんが出て来た。
「何か有ったんですか?」
「いや、本に感化されただけですんで、ご心配無く」
「それ全部読んだ?」
「読みましたが」
「じゃあ俺も読む、はい交換」
「っ、どうも」
「じゃあね」
「失礼します」
相当手慣れているのか、何種類か持っていた物の中からお香を焚いたハンカチを手渡し、本と交換していた。
本当に、凄く手慣れている。
そして白雨さんの部屋の前で回し読み、本の中身は少年兵の回想記だった。
殺して、恋をして、戦争が終わり故郷へ帰り、戦犯として証言台に立った、転生者の話。
「俺でもちょっとグッときたわ、ヤバいなコレ」
「そうですね。こう言うのが、切ないって言うんでしょうかね」
「な、相でも感性豊かだって言われてたし、そらあんだけ泣くよな」
「真っ赤でしたもんね」
『騒がしいのは何でだろうか』
「コレ、ご存知ですか?」
『あぁ、読んだ。医局に貸し出した筈だが』
「ハナ女官からお借りしました」
「また具合悪いの?」
『どうだろう、房中術の本と一緒に貸し出したんだが』
「それがどうしてコレなんだよ」
「房中術って何ですか?」
『性の手解き書』
「ウブは知らないかぁ、よしよし」
「お2人も誂いますか」
「も、って、他に誰よ」
「ハナ女官です。ウブ過ぎると嫌われる事もあるかも知れないって」
『まぁ、違う穴に突っ込んだらそれは嫌われるだろう』
「あぁ、近いもんな場所。どうだった?」
「してませんてば、相を見て貰った時に言われただけですし」
『心配なら君も読めば良いだろうに』
「それか実践するかだな」
「いや、別に僕は」
『良い忠言だと思うが』
「なー、痛くしたり、傷付けたりしたら百年の恋も覚めるんじゃないの」
『いや、敢えて痛くする場合も』
「それはそれな。良いの?一生独身は親不孝なんじゃ無い?」
「兄には子供も居ますし、そんな前時代的な事は」
「にしてもさ、覚えるなら今のウチだと思うけどなぁ」
『さして好きでも無いなら、加減を覚えるのも早いだろう』
「加減ってそんな」
「それこそ一晩中なんてザラなんだし」
『逆に言えば下手だなんだでフラれる事も有ると聞く、最低限のマナーは知っていた方が良いと思うが』
「ね、しないでも良いから、明日にでも良いんじゃ無いかな」
『だな、俺らが耳飾りを受け取れば付き添いは出来なくなるんだし』
「いや、でも」
「まぁまぁ、じゃ、明日」
『だな、明日に』
「そんな勝手に」
問題が有っても直ぐに対処出来る様に、門の外へ行くには最低3人以上で行動しないといけない。
でもだからって、何も妓楼に。
明日にはちゃんと断ろう、誰か代わりを探さないと。
明日には。
本を読んでいた筈が、映像として観ていたらしく。
その効果は絶大で、まだ引き摺っている。
そしてその本よ。
アレクがちゃんと医局か司書局に返したのか、気になるので先ずは司書局へ。
相変わらず群がられてるが、前よりは控え目。
兵部のお陰か。
『目が赤い』
「本に感化されました。本、返って来てますか」
『あぁ、アレクとショナが持って来たからもう返却した』
「それは良かったです、では」
『君が相手をしてくれ無いので、今夜は妓楼に行く』
「良かったですね」
『嘘だ、付き添いで行くだけだ』
「良かったですね」
『ココに居る時はもう少し、優しかったと思うんだが』
「アナタに粉をかけられたせいで、見物人がワラワラ来る弊害が無かったのでね、嫌なら他に行かれてはどうでしょうかね。良い女も男も山程居ますよ」
『どうしてそう嫌がるんだろうか』
「自分には勿体無いので、釣り合う方に行って欲しいだけです」
『釣り合わないと誰かに言われたのか?』
「ワシの目から見るにです、それと外見の、貧富の差。落差が激しくて、周りが見たら気圧差で死にます」
『死なせておけば良い』
「博愛主義者で見捨てておけませんので、無理ですね」
『なら見慣れて貰おう』
「上手いなぁ、お仕事有るので失礼します。では」
危ないわ、アレクかショナか誰か居ないとコチラが死んでしまう。
もう単独で会うのは止めよう。
本は返ったは返ったので安心し、刺繍殿へ。
ひたすら薄絹に雲を縫っていると、先生とソロモンさんが出向いて来た、嫌な予感。
《当たりです、気分転換に妓楼へ行きましょう》
『しっかり学びましょうね。では』
もう、絶句。
周りに助けを求めようにも、微笑ましくも送り出すスタンスだし。
いやね、綺麗な人は好きですけども。
ならせめて、紫苑で行ってみたい願望すら有るには有るが。
ボーッとアホな事を考えていたせいか、瞬きした瞬間に一気に日暮れに飛ばされた。
早い、早いよ神様。
《しょうがないわね、紫苑でも良いわ》
「しょうがないって、女媧さん、コレはマッチポンプって言うんですよ」
《細かい部分を気にするわね。紫苑の衣装、要らないの》
「くだちゃい」
人が途切れた尚服局の試着室で変身、紫苑の衣装にお着替え。
何や知らんけど孔明みたいな簡易の服で楽、やっぱ良いなぁ。
着替えて出ると先生にソロモンさんが既に待っていた。
うん、これなら正視出来るわい、合掌。
『好きですね本当』
《じゃあ、行きましょうか》
「あいよ!」
お夕飯は向こうだそうで、妓楼と言うか遊郭と言うか。
まぁ、花街は花街よね。
綺羅びやかで色んな匂いと音、呼び売りの声がする。
小気味の良い山査子飴売り、酢梅湯売りに豆乳売り、研ぎ屋はシャラシャラと薄い金属の音をさせ。
金魚売りに金魚鉢売り、花売りと、何と媚薬売りまで居る。
多分、何でも有るなコレ。
つい楽しくてホイホイと買って貰っていると、売り子達が妓女の好きなモノ、好きな花を教えてくれた。
匂いの少ない豪奢な花が大人気、珍しいチョコレートが大好きだとか。
先生達にお願いし、ピンクチョコレート屋まで遠征。
お花も買ってホクホクしながら妓楼へ、大きくて赤くてカラフル。
中は吹き抜けの3階建て、天窓に赤い提灯。
お酒の匂いにお香の匂い、そして人の匂い。
下の広間でお酒を頂きワクワクしていると、ショナズが現れた。
あらまぁ。
《これはこれは、一途な方達ばかりだと思っていたんですがね》
「先生もじゃん」
『付き添いだ、コレの』
「違うんですって、連れて来られただけで」
『あぁ、お勉強ですか』
「え、誰」
『房中師とでも言いましょうかね、医局と呪術局の兼任なんですよ』
《この方のご指導にと》
「どうも、紫苑です」
「あぁ、どうも」
『一緒に講義は如何ですか?』
「講義だけなら是非お願いします」
《勿論、講義だけですよ》
「いやいやいや、何しに来たのよ」
「勉強です、実技は望んでませんので」
『では、皆さんで上に行きましょうかね』
講師は、タケちゃんがお世話になった神様達だった。
額が割れる程に叩頭し、先程買った全ての品を献上、まぁまぁとソロモンさんに窘められ、講義が始まった。
紙媒体、しかも白黒の絵で問題無いのだが。
ショナ、ウケる。
講師様が定期的に休憩を差し込んでくれて、ショナが真っ赤になりながら溜息をついたり、小声で質問している。
本当に、大丈夫かね。
「そんなんで、どうして学びに?」
「万が一にもと。傷付けたり、痛くしては不味いだろうとあの2人に」
「あぁ、真面目。別に、耳飾り貰ってからでも良いんじゃない?」
「あの2人が貰い受ける予定なので、今しか案内出来無いぞって。しかも誰も代わってくれずで」
「逃げ損ねたんかい」
「はい、そんな感じです」
『さ、再開しますよ』
お誘いする方法、前戯に体位、後処理まで。
分からないであろう場所は妓女と男娼が楽しそうに取っ組み合い、それを見ながら赤くなったり小首を傾げたり、実に可愛かった。
「俺、付き添いのつもりで、正直爪の手入れ程度で充分とか思ってたけど、凄かったな」
『あぁ、文字や絵だけじゃ分からない部分も有ったから、勉強になった』
《どうでした、祥那君》
「はい、凄かったです」
「ありがとうございました」
『では、下で反省会ですね』
苛められるショナを観察するのは流石に可哀想なので、少し外に出て呼び売りの子と戯れる。
花売りも傘売りも皆がお洒落、見てるだけでも普通に楽しい。
見知らぬお隣さんに一服貰い、店内へ。
まだ誂われてる。
「だからもう分かりましたってば」
「まーだ揉めてんの」
「だって女帝様はどっちにも成れるんだろ、だから処理方法の復習」
「あぁ、浣腸はなぁ、発泡剤なら良いけど」
「使った事あんの?」
「そら、まぁ、病気の時に少々」
「あー、便秘で熱出るって言うもんな、俺は無いけど」
「健康自慢かね」
「まぁね」
『自分でするのが恥ずかしいだなんだと』
「そりゃそうですよ」
「あぁ、ショナ君は入れて貰いたいのね」
「2つの意味でか」
『なるほど』
「もー、なるほどじゃないですよ」
「じゃあ入れる方か」
「普通は、何回位で良くなるんだろ?」
《平均4〜5回だそうですよ、プロの手解きで》
「へー、どんな感じなんやろか」
《ご存知の通りココには色々いらっしゃいますし、試してみたらどうですか》
「良いの?」
《嫉妬させたいならどうぞ》
「あれ?先生はハナ女官だけじゃ無いの?」
《彼は彼女でハナ女官ですよ》
「へ」
「え」
「早いよ先生」
『冗談を』
《本当です、皇女候補者は全員可能なんですよ、性転換》
「ほれ、2種の耳飾りぞ」
「本当っぽいですけど」
「なんか、人格違くない?」
「実は、コッチが本来で」
《まぁ、もうどっちでも良いんですけどね》
「そう?」
《コチラの方が格段に楽しそうですし、良いんじゃ無いんですか。妊娠の心配は無いんですし》
「あー、そっか、だからあの本か」
《はい、子供は環境と周りの大人によって、殺人犯にも聖人にもなりますから》
「また号泣しちゃうぞ☆」
「本当、なんですね」
「おう、この服装楽よな、髪も楽だし」
「どうして皇女に戻らないんですか?」
「世界や政治を動かしたいとは微塵も思って無いし、連れて来られただけだし」
「僕らを誂ってたんですか?」
「いや、逃げ回ってはいた。選べとか決めろとか言われてたから」
「なら、どうして選ばないんでしょう」
「恥ずかしがり屋だから、最初は選ばれたいんですよ。そこから選びたい、酷だけど、紫苑も愛して欲しいし」
「余裕でしょ、勉強もしたんだし」
『だな』
「僕はちょっと、帰っても良いですかね」
「すまんて、嘘も騙しもワシはしてないぞ」
「違うんです、何か凄く眠くて」
「あぁ、ちょっと目を閉じてみ?」
目を覚ますと、隣の部屋の布団には桜木さんは居らず。
庭に目をやると既に起きていたらしく、一服していた。
「桜木さん、熱は大丈夫ですか?」
「おう、あぁ、平熱やで?」
「全部、今、思い出しました、ドリームランドの事」
「勉強、面白かったねぇ」
「もー、すみませんでした。塩対応したり、もう本当に、すみませんでした」
「新鮮でした、問題無し」
思い出せた切っ掛けは、知りたかった事が知れたから。
選ばれたくて、紫苑でも受け入れて欲しいんだと知ったから。
でも、あの勉強会の後だからか。
何かを話すのも、顔を見るのすら恥ずかしい。
「うー、すみません、本当に」
「真っ赤だなぁ、昼寝が楽しみですなぁ」
上機嫌に部屋へ戻って行ってくれた。
もう、こうして飄々として貰わないと、恥ずかしさやら何やらで、居ても立っても居られない。
でも、飄々としてるのも僕の為かも知れないと思うと、今度は情けなく思ったりもしてしまう。
『恋って怖いですねぇ』
「これソロモンさん、ちょっかい出さない」
『はいはい、今日もゲームですかね』
誂う標的を得たソロモンさんを諌め、家のシャワーを浴びてからゲーム開始。
なんと、新ルート開放。
ついに真相が明かされそうになった頃、蜜仍君が起きて来たので朝食。
そして今日は土曜日なので、お昼からエミールと合流する事になった。
もうそんなに経ったのね。
「桜木様、曜日感覚って?」
「無いねぇ、色んな意味で」
毎週何処かに出掛けても良いのだが、マキちゃんやスーちゃんからピクニックを提案されたのでピクニックに決定された。
なのでそれまではゲーム、実に不健康である。
桜木さんのゲームを横目で見ながら、今日のお昼の準備。
アレクには買い出しに行って貰い、唐揚げや玉子焼きを大量に作っていく。
そしてお昼前に新ルート限定の教会長タクトさんを攻略し、満足している様子。
「コンプリート間近ですね」
「ズルいよなぁ、ある程度攻略しないと開放されないの、絶対やっちゃうじゃん。何か手伝いましょうか」
「おにぎりお願いしますね」
小さい手で小さいおにぎりを何個も作っていく、少しだけ固めに握ったおにぎり。
巫山戯ないと死んでしまうらしく、物凄い圧縮したおにぎりを数個作って目印を付けていた。
多分、自分でも食べる為。
つまみ食いをするどころか、つまみ食いが見付かったら負けとか遊び始めてしまうし。
紫苑さんになってピクニックに行ってもそう、雨宮さんの前でアレクと並んで感想を言わせたり、買い食いは止まらないし、相変わらず人には声を掛けられてしまうし。
自分の顔が嫌いなだけで、紫苑さんでもどちらでも行動原理は変わらない。
そして遠慮がない分、紫苑さんの方が楽しそうなだけで。
ドリームランドでもどの世界でも、桜木さんは桜木さんのまま。
そう思うと、紫苑さんにすら気持ちが揺れ動いてしまいそうになる。
しかもアレクも記憶が有るのか、かなり雰囲気が変わった。
それなら多分、白雨さんもそう。
凄く、コレは問題だと思う。
《険しい顔じゃのぅ、くふふふ》
「多分、白雨さんもアレクも、記憶有りますよね」
「うん、紫苑も好き」
「「キャー!」」
「もー、何が有ったんですか?」
『いろいろ』
※元記事
https://www.47news.jp/1496000.html
愛を知ったのは処刑に駆り立てられる日々の後だった
著 舟越 美夏
出版社 河出書房新社
より、引用、参考。




