4月13日 ゲームする事になった、デバッカーなのに文句を言われた。
見慣れぬ狼に驚いたが、蜜仍君の変化した姿だったのを思い出し、もふもふ。
しかもとうとう自主練も無し、ダラダラ寝間着でゲームが公務。
バカじゃねぇのか。
『お仕事、お仕事』
「どこがよ」
『デバッカー』
「物は言いよう」
『考えよう。ほら、雨だし』
雨ですけども。
先ずは悪役令嬢ルート、幼なじみか転校生かモブと言われる立場を選択。
「貴族の概念有るのか」
《大昔に少し流行ったんじゃよ、ただカースト制度厳禁じゃて、直ぐに排されたわぃ》
『最近は実社会での信用スコア分類のみ、階級制度は無し。令嬢は概念のみの存在』
「その分類も階級制度に近いのでは」
《似て非なるものじゃよ》
『犯罪歴、社会貢献度。職業、年齢、学歴。支払い状況、資産。ボランティア活動、献血等の内容。子供は当然信用スコアが低いから何かしらの契約は出来ない、借金や税金の滞納者はローンが組めない、犯罪者は内容によっては特定の職業にはつけない』
「ショナ高そう」
「家族構成も多少は関係しますし、その国への滞在歴も関係しますので。関係者の中ではリズさんの方が高いですよ」
「ワシ低いんだろうなぁ」
『家族は、あくまでも国を裏切る際の度合いや目安。大事なのはこの国に執着してるかどうか、ココに家を持ったし、ココのモノを好きなら自然に上がる』
「ただ、他国が好きだからと言って減る事は無いのでご心配無く。なんせ保証人や保護者や後見人は神々や精霊ですから」
「学歴が不安なんですが、ココ基準だと高卒認定すら怪しいと思うが」
「そこの担保はリズさんが担ってます、経験値的にも高卒程度で問題無いそうです」
『転生者や召喚者は勉学だけの評価だけじゃ無い、勉学だけしか有用しないワケじゃ無い。祖母の介護、双子を人間に保護させた能力で評価は底上げされてる』
「エミールさんをあの現場から遠ざけた事も、教会地区で戦わずに耐えた事も、ちゃんと評価に入ってるんですよ」
『もっと褒めようか?』
「ゲームに集中します」
桜木さんは少し気まずそうに僅かに赤くなってから、やっとゲームを始めてくれたが。
名前が。
「なぜ、名前が」
「マンガから、お兄ちゃんの友達にゴリ子って言われた、血液型もBだし」
「流石にちょっと」
「最初はメガネっ子だった流れで、メガネ外れたらゴリ子になって、お兄ちゃんの友達の弟が学年一緒で、流布されて、最終的にゴリゴリになった」
「嫌じゃ無いんですか?」
「最初はムカついたけど、オランウータンは森の賢者だし、ゴリラ聖人だし。後、イケメンが吹かずにゴリちゃんとか言ったらオモロイやん、そこでどんな奴か分るし」
「笑わない方は」
「ニヤけるの我慢したり、本名だと思ってたのは居た。どんな名字やねんな」
『居るよ、五里守』
「カッコイイやんけ、良いなぁ、五里守の名字を知ってたら使ってたわ」
『朔晦、変わったのは四月朔日』
「つぼみはちょっと、カッコイイなゴリ。朔晦、使いたいけど」
「どれも希少名字なので、難しいかと」
「カッコイイから増えたら良いのに」
それからやっと本編へ。
桜木さんが設定したのは平凡な在学生。
イケメンにゴリさんと言われて普通にニヤニヤしているが、諌める人は居なかったのだろうか。
「諌める人って」
「居なかったねぇ」
基本的にはゲームにも現実同様にテキストは無し、イベントが起こっていても近付かないと話しすら聞けない、ある意味関わらない選択肢も有る。
「一応、近付くんですね」
「野次馬根性」
『百聞は一見にしかず』
転校生が少し失礼な事をして、附属から居た風紀委員が少しキツい物言いをする。
どっちもどっちと言うか。
「どっちもどっちやんな」
「ですよね」
「あー、諌めないアイツが悪いな、苦言を呈す」
「一応、桜木さんにもその概念は有るんですね」
「諌めなかった人間は空気を読んでるつもりなんでしょ。けど後からフォローする奴の方がキモい、ビックリしたなら分かるけど、敢えてならただの八方美人じゃん」
「あの、一応、彼も攻略キャラみたいですけど」
「バカは嫌い」
イケメンでもダメなラインが有って安心だけれど、早速孤立無援状態に。
諌めない男子生徒を諌め、2人の女生徒を諌めていると教師がやって来たのだが。
有耶無耶のままに今度は2人が仲良くなり、ゴリさんはお昼を独りで食べる事に。
階級制度が有るからか、少し優しく無い世界。
「ちょっと言ってこうなりますかね」
「悪目立ちと言いますな、ワシ悪く無いから問題無し」
昼食を独りで食べ図書室へ、ココでまさかのクイズが始まった。
料理の本を選べば料理の基礎が、花の図鑑を選べば花の名前が問題として出る。
リアルに15分の間、早く答え、当たっていれば能力値が上がる。
「細かく設定されてるんですね」
「芸が細かい、芸細」
『もっとリアルにしたいけど、個人情報が絡むから難しい』
そして学校が終わり、寮でどう過ごすかの選択に。
宿題を選ぶと、その学年相応の問題が出て来たのだが。
「むり」
『ズルっこして良いよ、ショナ』
「はい」
「いや」
『君は既存の生徒でしょ、なら出来てる筈だから良いの』
「じゃあ、答えちゃいますね」
「ょろしく」
宿題をこなすと、桜木さんのリアルスペックを元にした能力値が上がる。
なのだが、全く解せない様子。
『ぅーん、リアル過ぎても良く無いね。勉強は飛ばそう』
「そうですね。因数分解、覚え直します?」
「年下の方が良い、エミールに教えて貰うから良い」
『良いね、そのイベントを入れよう。ちょっと休憩してて』
「じゃあ、朝食の準備をしましょうか」
「おう?」
ハイカロリー朝食セット。
バターたっぷりの厚焼きトースト、白身魚のマヨチーズ焼き、タマゴマカロニサラダ、厚切りフライドポテト。
桜木さんはハイカロリー、ハイファッティーと呟きつつも、僕や蜜仍君が平らげたのを見て完食した。
ゲームはリアルタイムで更新しているのか、桜木さんがゲームに復帰すると修正がなされていた。
ナビゲーターに妖精が付き、新しい選択肢として将来は何になるかを選ぶ。
そうして行動へのアドバイスが入る事になるのだが、凄く悩んでいる。
「悩んでますね」
「アホみたいに選択肢が欲しい、自由過ぎても困る」
『わかった』
そして、桜木さんがトイレから戻ると修正がなされていた。
図書室へ向かう選択肢が増え、そこで選択肢がテキストとして表示される。
従者は勿論、王族の妃や教師、医師等様々。
「冒険者的なのは無いのか」
『やっぱり欲しい?』
冒険者モノは別企画なんだそうだが、少し待って欲しいと。
エナさんがボーッと誰かと対話したかと思うと、場面がリセットされ、新しい選択肢が増えた。
基本的にはこの学園モノルートが導入となり、DLCの購入と有効化で分岐する仕組みに改変したらしい。
異世界ルートを購入し有効化させると、王妃ルートでも突然飛ばされ異世界ルートへ強制突入。
異世界でも冒険者モノか学園モノか、購入と有効化でランダム展開になるらしい。
手が混んでいる。
「手が混んでるなぁ。でもさ、有効化もランダムに出来無い?」
『じゃあそうする』
「基本のコレの価格は?」
『ひゃくえん』
「DLCは」
『一律5,000円』
「高い、エグ過ぎる。そもそもどう売る気なのさ」
ゲームは中断され、現実の話に戻ってしまい、話し合いへ。
基本はココの架空の学園から始まる事に、それは既存のモノを改良するだけなので0円。
ただし、初日で数々のルートをお試し出来る仕様へと変更された。
そして有料DLCへ。
学園モノは2つ、ココベースの架空の学園と、0の学園。
学園モノには最初から悪役や社長令嬢、モブや王妃ルートを含む事に。
学園だけを極めても良し、飽きたら異世界パックを買い、ランダム設定にすれば、いきなり異世界や、異世界の学園へ行く事も出来る。
↗0学園
⇅
学園 →異世界 →冒険者 ⇅ →再び学園へ
⇅
↘異世界学園
全てのパックを購入し有効化すれば、ある意味で桜木さんを疑似追体験が出来る。
『スーが、ココのが心折れないかって心配してる』
「ランダムのオン・オフと、セーブも複数出来る様にして、帰還もするかどうか選択肢出せば良いんじゃね」
そして刺激が足りなければと、不幸パックと言う高難易度のDLCが立案された。
そして成人用ルートなるモノまで提案された。
「リズちゃんもか」
『うん、この事は内密。クエビコが意見を聞いてる』
「なら百合ルートと薔薇ルート別売りだな、それもキャラにランダム発動」
「え、凄い難易度上がりません?」
「リアルを追求するには仕方無い」
『仕方無い』
任意でオン・オフ、ランダム発動が仕様に組み込まれた。
デバッカーと言うより、コンサルや開発者側に近い気もするのだが。
桜木さんが公務時間を気にした場合に言おう。
話が逸れに逸れたが、不幸パック入りの無料ゲームからする事に。
先ずは自キャラと攻略キャラのキャラメイク、フルカスタム、セミカスタム、ランダムオートの3段階。
ココから既に不幸パックの影響が出るらしいが、ランダムオートなので実感は無し、何なら実際のスペックより上だし全然オッケー。
ココをベースにした学園モノは、小・中・高から選べるが、普通にこなせば最終的な能力値の変更は無いらしいが、初期値から頑張れば変えられるらしい。
そして大きな違いはキャラとの親密度、大きな変更が加わる。
好感度次第で知り合い、友達、幼馴染、恋人、婚約者になれる。
そしてリズちゃんが絡んでいるので、ハーレム化した際には爆弾システムが実装されているらしいが。
「一応聞くが、ハーレム化って何を指してる」
『リアルガチな方、らしい』
「あぁ」
先ずは小学校1年生から。
不幸パックの演出なのか早速イベントが、仕事で父親が入学式に来ない事態が発生。
ただ、同じグループで同じクラスの攻略キャラがフォローしてくれるイベントが発生。
その子への返答を自由に記入し、評価の選択肢と自身の気分を表す言葉とエフェクトを選ぶ。
そこで初めてステータスが表示されたのだが、表示項目減ってないか。
「表示項目、減ってませんか?」
『ネイハムが、スキルが無いと表示されないのでは。って』
「あぁ、まして小学1年やもんな」
『うん、小さいウチは自覚出来そうな範囲だけ』
表示されているのはザックリとした数字無しのゲージ、体力とスタミナと気分だけ。
そして入学式が終わり帰宅、母親は仕事へ行くので服を着替え昼食、いつもと同じなので気分ゲージはフラットを表示。
そしてグループの家へ行く準備。
先ずは持ち物を選択、荷物の重量も影響するのでタブレット1つと、お菓子を選んで先程の少年の家へ。
タブレットで地図を読むイベント発生。
特に問題無く少年の家へ。
女の子も男の子も居るし、その兄弟や姉妹も一緒。
先ずはその家のルールを教えられ、外遊びか家で遊ぶかの選択肢へ。
空気読みイベント、皆でどうするかを話し合う。
そしてコチラが選択肢を選ばず悩んでいると、キャラクターが話し掛けてきた。
少年の母親、まだ桜が咲いているからお外はどうかと。
満場一致で公園へ。
ココでは選択肢と自由記入の2つが提示された、先ずは選択肢の色鬼。
大人が居るので桜色やピンク色で揉めず、スムーズに遊べた。
そうして一通り遊び、水分補給へ。
少年母、なんとストレージバッグを持っている。
「ショナ、ストレージバッグって」
「国から配られてまして、役回りと共に一緒に所持する事になってるんです。グループの面倒を見る際に必要なモノや、子供の持ち物も入ってますね」
「あぁ、タブレットどうしてたのか気になってたんだわ」
「ココでは当たり前ですからね、何か気になったら聞いて下さい」
『ショナも、違和感が有ったら直ぐに言って』
そしてオヤツの時間。
皆で分けて食べ、そのまま今度はお勉強の時間。
秘密や内緒と言われた時点で片っ端から相談する様に、と。
少年母、大きな役割やんな。
「コレ、信用スコア高くないと出来なさそう」
「ですね」
そのまま色のお話しや、色盲の話に。
嘗ては居たらしく、今はもう判明した時点で遺伝子治療がされるらしい。
そして色盲の画家の話へ。
「教師さんか何かなんやろか」
「一応、グループの世話係も試験みたいな事をしますし、研修も有るので基本かと」
「じゃあ、ココの人の当たり前は飛ばせる様にしよう、聞き飛ばすとか読み飛ばし」
『そうする』
そして明日の学校の予習。
先ずは将来は何になりたいかの話から、お姉さんお兄さんの自己紹介を聞き、自分自身の自己紹介文の記入へ。
「従者、メジャー?」
「まぁ、この年位なら大体はそうかと」
『20数年前の幼児のランキングはコレ』
男女共に従者が1位、次に花屋やパティシエ、看護師に警察官。
「コレ全部重労働なんよなぁ」
「そうなんですよね、それなりに」
「まぁ、従者は桁違いでしょう」
「なるまでが少し大変なだけですよ」
「楽ですか」
「はい」
そして今回の将来の夢は選択制、いつでも変えられるとの注釈ありだが。
楽な仕事って無いのかな。
「健康と仮定すると、治験で生きていきたいなぁ」
『後の選択肢に出る様にはするけど、今はココから選んで』
「あぁ、子供の知識量やもんな」
「何でも屋に近いのは、公務員かと」
『だね』
選択肢はランキングに載っているモノか、パック売りされている悪役令嬢等のDLCのタイトル。
取り敢えず公務員になるのを選択し、補佐されるルートへ。
そして少年の家に戻り夕飯を済ませると、家へ帰るか泊まるかの選択肢が出た。
そこへ心情描写が。
家には兄や姉が居るが、相手はしてくれ無い。
両親も帰りが遅い、どうするか。
と、当然いつもどおりなので帰宅を選び、家で何をして過ごすか選択し、1日が終わった。
「召喚者には良いお勉強になりました」
「少し休憩しましょうか、アレクも起きて来る頃ですし」
トイレに行き時間の確認。
まだ9時半。
アレクが起床、朝食セットを食べてお買い物へ行ってしまった。
もふもふが。
そしてゲーム再開。
学校へ行き授業を受け、少年の家へ直行。
ココでは先ず宿題を終わらせないと遊べないルールなのだが、遊ぶかオヤツを食べる選択肢が出る。
普通に宿題を選び、皆と行動するかの選択肢も多数に阿り、帰宅するかを選ぶ。
「イベントが起きるまでスキップ出来無いかね」
『りょうかい』
週末。
お泊りイベント、好感度に関わるので注意との注釈が。
「忘れてたわ、コレ恋愛シミュレーションゲームか」
『うん』
取り敢えず幼馴染ルートが気になるのでお泊り、好感度が上がったかどうかのエフェクトが一切無いまま、選択肢を選び終え、また月曜日の日常パートが始まった。
「好感度が上がったエフェクトは」
『子供だから、追々』
「ですよねぇ。大体、どの位から出るかね」
『平均は中高生』
難易度を下げるか能力値を上げるかスキルを得れば、エフェクトが出るそうで、取得すればエフェクトのオン・オフとランダムが選べるらしい。
「最初からはシンドイな」
『仕方無い、イベントの選択肢次第で好感度が左右されるし』
「中高生でもイベント有るし、挽回は出来るんでしょう」
『うん、でも幼馴染としての行動は変わるよ』
「シビアと言うかリアルと言うか、せめてセーブデータから好感度を中高生モードに予測移行出来無いかね」
『うん、りょうかい』
「すみませんね細かくて」
『いえいえ』
そしてイベントまでのスキップを使い、何とか3年が過ぎた。
まだ3年、エフェクトが出るまで大体3年。
そう思っていると不幸パックが発動、父親の浮気相手と遭遇。
「コレ」
『嫌なら改修させる』
「いや、コレで良い」
同じ行動や思考を選択すべきか迷ったが、お祖母ちゃん以外にもグループと言う逃げ場が有る事が決定的に違う。
1番しっかりしている少年母の家に、走って逃げた。
『他にもパターンは有るけど、不幸パックの特殊イベント。物凄く珍しい事でも無いから入れた』
「おう」
「もうお昼になりますけど」
「もう少し」
「はい」
直ぐにお祖母ちゃんが呼ばれ、そのまま家でお世話になる事に。
あれ。
「これ」
『ううん、賢人の家。ショナは隣のグループ』
「マジか、母ちゃんしっかりしてたんだな」
『グループはランダムだから最初の家がココなのは運だけど、誰の家でも同じ、他のグループでも同じ。同じイベントが起こっても、同じ結果になる。なるように人間が頑張った』
「研修と試験は勿論、マニュアルも有るので」
「ベースが底上げされてるのね」
『うん』
先ずは行政の人間が来て説明を始めた、学校の寮か、お祖母ちゃんの家に行くか。
そしてこの家の賢人君や賢人君兄も隣に居てくれて、この家でと言う選択肢も増えた。
そして他の人の意見を聞く選択肢も増え、お隣りの子や、そのご両親の意見も聞けた。
一応女の子なので、グループ内の女子の居る家を泊まり歩く事に。
そして別グループ、お祖母ちゃんの居る地域のグループへ週末に行く事になった。
「ココはそうなるのね」
『うん』
その日はお隣りさんの家で、お祖母ちゃんや賢人君と共にお泊り。
イベントが起こったのは金曜日、心配してくれた賢人君とお兄さん、お隣りの女の子と共にお祖母ちゃんの地域のグループへ会いに行く。
3年生、難しいお年頃。
どうしても何か有ったのか聞かれるので、素直に答えていると、ショナが異議を唱えた。
「流石にこんな物言いは」
『世界中の3年生が話す事を耳にした事が有るの?』
「強いなぁ。つかコレそんな酷いか?この程度は良く有る好奇心だと思うが」
「それがどう言う結果にな」
「子供ぞ?ココの子供はそんな大人びてるんか」
『ピンキリ、差は有る』
「所詮ゲーム、もっと酷い言葉を大人に言われてるから大丈夫だし。多分、ワシが逆の立場でもこうよ」
桜木さんはそのままゲームを続けると、言っていた通りの反応だった。
最初の質問攻めや当たりの強い言葉は、どこまで立ち入って良いのかという、子供なりに気を使っての言葉。
「良かった、そうですよね。大人じゃ無いんですもんね」
「コレよりガキだとイラっとするけど。よし、昼飯にしようか」
お昼はパスタ、精神的に揺さぶられる事が有ったので心配したが、カルボナーラ5人前を完食しゲームを再開。
吐き戻しを心配したが、休暇後に歯磨きをし、再びゲームへ。
ある程度消化されたであろう時間に、僅かにトイレへ行っただけで、歯磨きする気配は無し。
そして幾つかのイベントをこなすと、突然エフェクトが発生した。
「え」
『スキル欄見て』
「はぁー、こうエフェクトスキルゲットかい」
『色々とあった時期と合うでしょ?』
「あぁ、そうね」
『コレで自由度が高くなるから、イベントじゃんじゃん出る』
「え、中学生までは平和で居たいんじゃが」
『だってコレ、ココのだもん』
「もんて」
《膜の特化性能の起点はココじゃと考えておるんじゃよ。お主の察し良さも、膜の性質じゃろうとの分析でな》
『だから不幸パックが無ければ、スキル獲得は中高生と平均。他の性質だった可能性も有る、お楽しみに』
「ワシをゲームにハマらせてどうする」
『公務公務』
《それと双子じゃよ、将来的にはあの子らにも追体験させるつもりなんじゃ》
「なぜ」
《もっと酷いからじゃ、客観的に追体験し、本来大人がすべき正解を学び、悲劇を繰り返すのを防ぐ為じゃ》
「対処療法は」
『限界は有るし、都度医師に掛かるのは依存にも繋がる』
《気持ちを理解するのはまだ先じゃ、先ずは正解を知り、不正解な公式を知るだけじゃよ》
『知らないでも生きられるけれど、それは子供の為にはならない』
《じゃからお主は、精密なシミュレーションの実験体じゃな》
『うん、どんどん細かくても良いから色々と言って』
「APP弄って無いかコレ」
専門用語で外見、APPearanceの事らしく、話しはそのままTRPGの数値の話へ。
『ハナは信用度が逆に高いの、傷付けられてるから傷付け無いだろうって』
「逆に、傷付ける技能持ちって事よね」
『それを行使して無いし、問題無いから』
「今はね、問題起きたら倍で跳ねるべ」
『ぅう、ショナ、苛める』
「誤魔化すな。3〜6じゃ無いだろう」
『7〜10』
「普通」
『うん』
「良い様に言って6が限界値じゃ」
「印象が薄くは無いかと」
「中身は置いといて」
「自覚は有るんですね」
『外見が特徴的なのは数値じゃなく技能とか魅了の分類、顔が普通でも口元にホクロが有ると魅力的でしょ』
「なんも無いが」
『例え話』
「僕が女になった方が化粧で化けましたし、お化粧をした顔からして、僕よりは地味では無いかと」
《じゃの!》
『ほらぁ、他からも聞く?』
「いい、やめとく」
僕よりは派手なのは自覚が有るらしく、大人しく引き下がりゲームを再開してくれた。
中学生のイベントは恋愛に重きが置かれていき、中には普通に付き合ってると公言するカップルまで現れた。
そらAPP高いもんね。
《これこれ、数値が高いと諦めるで無いよ》
「なまじリアルな弊害よ、かと言って高いと乖離が出ちゃうし」
『難儀』
「すんませんね」
それなのに告白イベント。
イカンな、猜疑心出ちゃう。
『やっぱりダメかぁ』
「まぁ、家庭は上手くいかなかったんだし。解決はして無いし、そこからちょっとしか経って無いんだもの」
《今もじゃろぅ》
「それな、解決ってなんだろな」
『全部、上をいって勝つ事だと思う』
《じゃの、地位も何もかも上に立ち凌駕する。良い意味で正しかったと証明し、同時に間違っていたと思わせ、お主もそう思う事じゃろう》
「上、目から鱗が出たらボロボロ出てるわ、凄いな」
《年の功じゃょぅ》
『もう既に両親も兄弟も追い付けない位に、ハナは上。勿論シミュレートしての答えだからね、もっと正確なのが欲しかったら』
「エルヒムか」
『うん』
《じゃの、データベースが豊富じゃしな》
『エルヒムが言ったら信じる?』
「どうかなぁ、自分に都合の良い事を言う人間全部を詐欺師だと思ってるから」
「もしかして、今もですか?」
「少し」
「少しの割に指同士の幅が結構大きいんですが」
「体は正直」
《それこそ表立って非難されんでも、自身を否定される様な事が起きたばかりなんじゃ、仕方あるまいよ》
「そうそう、仕方無い仕方無い」
「嘘を見抜く魔道具を付けられては?」
「裏で進行してる何かを知りたく無い。良くも悪くも知れば確実に動くと思われてるし、それをどっちにしたって裏切りたく無いので」
「すみません、ありがとうございます」
「あ、紫苑の誕生日会とかならキレるからな」
「キレられない様に頑張ります」
イベントは少し増えたが無事に高校生になると、完全に恋愛シミュレーションゲームの本領を発揮し始めた。
高校生編に入って暫く経った頃、鈴木さんから様子を伺うメールが入ったので報告。
先ずは桜木さんがドン引きしたシリーズ。
壁ドンには恐怖と嫌悪を示し。
面白い女だな、といった発言には舌打ち。
流したシリーズは。
お前、俺が恐ろしく無いのか。
初めて必要とされた、等々。
「実社会の経験が貧相だからか、こんな事あるかよと思うのだが。ココでは」
『無い無い、一応のテンプレートだから気にしないで』
「キャラが対応失敗してんのよ、好感度低下イベントを何故いれる」
ですよね、この意見も書いて送信。
ですよねー、と一言返って来ただけだった。
「桜木さん、そろそろお昼寝の時間ですが」
「えー、んー、寝ます」
「はい」
一瞬ゴネようとして諦めた、それは多分さっきの話を思い出しての事。
何が有るか分からないからこそ、休養を取っただけ。
まだ完全には、桜木さんが休まる事が出来無い。
またも起きるとアレク狼が腕の中に、もふもふ。
もふもふを堪能してからオヤツ、蜜仍君はまだなので、オヤツを食べつつゲーム。
蒸しパン、種類が豊富で実質無限に食える気がする。
怒涛の恋愛イベントを全て素通りし、無事卒業。
専門学校でも同じ様にすり抜け、無事に就職しエンディングへ。
『もー、自分育成ゲームじゃ無いんだから』
「すまん、つい」
「キャラが嫌だったんですか?」
「まぁ、賢人君はもう兄弟だし、他のは好感度低下イベント起こすし。大して接して無いのに、こんなイケメンがコッチに来るのが解せないし。だってさ、あんなイベント如きで親密になるかっての」
『自分から行かないからでしょ』
「ワシはデバッカーなんでしょ?スループレイがまかり通る方が悪い」
『恋愛シミュレーションゲームだからね?』
「奥手はこんな感じでは、ショナもこんな感じでは?」
「まぁ、はい」
『もー、分かった。改善するから待ってて』
「ただいま帰りましたー」
「おかえりー、遅かったけど大丈夫?」
「はい!勝ってきました!」
何でも、傘を無くした女生徒と相合い傘で家まで送り、帰る途中で横恋慕した男子に彼女の傘を賭けて勝負を挑まれたそう。
勝負の内容は任せられたので、傘を奪い駆けっこ勝負へ持ち込んだ。
当然そのまま女生徒の家に向かい、勝負にも勝ち傘も返すと男子生徒は居らず、そのまま帰って来たらしい。
「完璧、えらい、良い子。ご褒美は何が良い?」
「桜木様のごはん!」
この事を鈴木さんに送ると、GJと一言。
ただ、桜木さんには通用しないだろうと返事を送ると、確かに、と。
寧ろ、逆ならしっくり来るんですが、と送信。
ハナの為の恋愛シミュレーションゲームのイベントで悩んでいると、ショナ君から素晴らしい情報が。
来たと思ったけど、そうなのよね、実際は逆なのよ。
ハナが攻略対象なのよね。
「はぁ」
「そんな行き詰まってるんすか?」
「ハナが攻略するって言うか、ハナが攻略対象なのよねぇ」
「もう極秘でそれ出せば良いんじゃ無いっすかね、そこから良さそうな解答とか拾って試すとか」
「攻略出来無いかもなのに?」
「絶対攻略出来無いワケじゃ無いんすよね?」
「まぁ、そうだけどぉ」
「何が引っ掛かるんすか」
「ヒントにされるのが嫌」
「あー、スーちゃんも桜木様マニアですもんね」
「な、マニア、しかも、も、って」
「ショナさんとかもう桜木様マニアにクラスチェンジしてるじゃ無いっすか」
「あぁ、クラスチェンジねぇ」
「もう社会人編で今に近づけちゃいましょうよ、神々や精霊に召し上げられるって追い込まれたら選ぶかもですし」
「それはココの通常じゃ無いでしょ、異世界編に取っときたいの」
「先取りする位は良いんじゃ無いっすか?妖精とか」
「妖精のお世話で終わっちゃうからダメ、独り暮らしの猫と一緒」
「あー」
「って言うか、もし出たら、やる?」
「興味本位では、外見は好みには変えますけど。ダメっすか?」
「ううん、攻略しようとされ無かったら可哀想って言うか、私なら嫌だし」
「確かに、流石に桜木様でも凹みそうっすよね」
「それか、ハナが言うAPPに沿った外見での攻略だけにするか、とか。言い訳は成立するじゃない?でもそれだけを求めてるワケじゃ無いし」
「外見の上限は普通までで良いんじゃ、あ、同じAPPだと難易度低くて、高いと難易度上がって」
「低いと、低くてもそんなに難易度下がらないわねハナは。有り、よね?」
「勿論、つか隠しっすよね?内緒の攻略情報」
「そうね、うん、そうしましょう。シナリオパックはまだ有るんだし、今回は情報収集、次こそは恋愛イベント起こさせるわ」
桜木さんがゲームを終えたので、夕飯作りへ。
蜜仍君が盛り合わせをリクエストしたので、最終的な味付けは桜木さん、皆で料理となった。
筍の炊き込みご飯、たらの芽の天ぷら、アスパラの肉巻き、ニラとキクラゲの中華風厚焼き玉子、シラスと大根おろし、長芋の梅和え、三つ葉とアサリの潮汁。
健康的。
夕飯を終えた後も盛り合わせ作り。
アサリの炊き込みご飯と筍の味噌汁、追加で桜木さんからリクエストされたタラのマヨチーズ焼きを足し、先程のおかずを盛り合わせる。
「ショナ、ハイカロリーバージョンは任せた」
「ご相談させて頂いても?」
「良かろう」
どうしても洋食や中華になってしまうのだが、特に気にしてはいなさそう。
「桜木様って食べるの好きなのに拘り無いですよね」
「そうか?」
「フィンランドで和食を食べたがる感じも無さそうでしたし」
「イクラの時期なら発狂してた可能性が有る、そしたら意地でも大量の醤油を探してたが。それとケバブな、偏食なんじゃね」
「その割りにチャレンジしますよね?」
「シュールストレミングは食って無いぞ、ドリアンもまだだし」
「クサヤはどうです?」
「下水系は無理、試すなよ、マジでゲロっちゃうかもだから」
「しないですよー」
「話を戻しますね」
戻そうとしたのだが、旬を使ったハイカロリーメニューが思い付かず、鯛とイカと山菜の天丼という結論になってしまった。
今回は桜木さんが気にしているのでは無く、純粋に旬の料理を作っただけの可能性も有る。
「もう楽しみだわ」
「すみません、レパートリーが思い付かず」
「いや、同じ飯を飽きるまで食うし、飽きたらアレンジで。あ、あれよ、パンならクロックマダム」
「筍のペペロンチーノ合わせましょうよ、サラダはタラモサラダで」
「あぁ、ホワイトソースやべぇなぁ、ハイカロリーが好き過ぎる」
「そこはキノコ入れてプラマイ0にしましょ」
「0にはなんないけどな」
「気持ちの問題ですから、ね」
「ですね、ゆっくりやっていきましょう」
「お手数おかけしますが、宜しくお願いします」
「いえいえ、お風呂どうします?」
「温泉もやめられないのよなぁ」
桜木さんがミーシャさんと温泉に行っている間にドリア用のピラフ作り、アレクが呼び出されたが直ぐに帰って来た。
そして渡されたのはタブレットなのだが。
「コレってまさか」
「うん、サクラ攻略ゲームだって」
「わぁ、僕のも有るぅ」
「もうやって良い?」
『うん』
「やった」
「蜜仍は時間どうすんの」
「そこなんですよねぇ、もう定時になったら上に。でもなぁ、もふもふされたいし」
「分かる、良いよな、もふもふされんの」
「甘えられるってあんな感じなんですかね?」
「いや、僕は少し撫でられただけですし」
「あー、ふーん」
「あ、アレクさん、交互にしましょうかゲーム」
「だな。で、寝るのも交互か」
「お昼寝も一緒なのにですか?」
「仕方無いなぁ、3日分で1回は譲る」
「じゃあそれで」
僕の、毛並みが気に食わないんだろうか。
「ショナはどうすんだ?」
「このタブレットなら仕事でも問題無いので、普通にしようかと」
「目の前でですか?ドキドキしちゃいそう」
「あ」
「なん、どう落ちるか安全確認の目線かよ」
「はい」
「真面目ですよねぇ」
「な、凄いよな。どうしたらそうなんの?言葉遣いとか」
「割と子供の頃からだったので、どうしてか聞かれても」
「お兄さんはどうなんですか?」
「普通に砕けた感じですね、親も。あ、ニュースを凄い見聞きしてたんですよ、それで親に聞いたら大人はみんなこう話すんだって」
「やっぱり親かぁ」
「大丈夫ですよ、アレクさんの前の言語は英語だったんですし」
「凄い綺麗で丁寧で良いと思いますよ」
「魔王っぽくて何か嫌、この外見だけど重ねられたくない」
「我儘ですね」
「ね」
「ふぅ、次の方達どうぞー」
「はーい」
白雨さんの毛布は使い倒しているのに、僕の渡した寝間着は未だに着て貰えないまま。
何が気に入らなかったのだろう。
サクラが初めて夜ふかししたいと言い出した、ゲームを独りでしたいから、と。
ミーシャを説得してる、どんだけ。
「ダメです、事情は話しておきますから朝からやって下さい」
「えー、暗い中でやりたぃ」
「ならロキ神の浮島ではどうですか、昼夜の時間も変えられるそうですし」
「あぁ、天才か」
「俺が言ってくるよ」
その事をショナに伝えようと部屋を出ると、交代で蜜仍が狼になり入って来た、そのままマジで布団へ。
「良いのか、アレ」
「まぁ、ミーシャさんも居ますし」
「明日はゲームをしにロキの浮島に行きたいって」
《ふむ、真剣にやるようじゃな》
『良い機会だしそのまま居て貰おう、長期戦になってもロキが誤魔化せるだろうし』
「エナさんは行かれないんですか」
『うん、クエビコだけで大丈夫だとおもう』
『あぁ、見守るだけだがな』
「マジで良いの?」
「僕は別に、桜木さんが安全ならそれで良いですけど」
「そう」
サクラは蜜仍狼を抱え、もうスヤスヤと眠っている。
明日も、平和に終わると良いんだけど。




