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【1】ドラゴンナイト『暗雲』  作者: 生丸八光


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31話 面倒な・・

サラが目を覚ますと、辺りはすっかり明るくなっていた。

サラは体を小さく丸めたまま、ボーっと、目の前の景色を見つめる・・昨日と同じ場所とは思えぬ程、見える景色と体に感じる違和感を感じていると武装した兵士達が頭によぎった・・・


『よし!頑張るぞ!』

っと自分を元気付け、気力を奮い立たせて重い体を持ち上げる。


馬の様子を見に行くと、サラが来て喜んでいたが、前日の疲れが残っているのが分かった・・・


馬に林檎を与えながら考える・・・

『昨日と同じ道だと、またゲートを通らなければならないし、途中で騎兵とバッタリ出会うかも・・』


サラは山の中を行く事にした。


馬を引いてトボトボ山道を歩いて行く・・・


道を外れ、山奥に入って不安を感じながらも、西に行けばドランゴン王国があると言う思いで方向感覚を便りに、更に奥へと入って行った。


馬を引き、険しい道を進み、小川の畔で休憩を取る事にしたサラ。

岩の上に腰掛け、山の景色を見渡すサラに、生温い風が吹き込んで来た・・・嫌な感覚・・馬も(おび)えているのを感じた時!

突然、目の前に男が現れた!


男は、鋭い目付きで目の前に立ち、黒い湯気が立ち上る不気味な剣を突き立て

「ここで、何をしている」

男の一言は、サラの答え方次第で殺すつもりだと思わせた・・・


「わ・・私は、ドランゴン王国に向かっていて・・今は、休憩している所です・・・」


「1人でか?」


「はい・・」

サラは、素直に応えた・・・男は、さっと周りを見渡し

「何故、丘の道を使わずに山に入って来た」

と聞いた。

「そ・それは・・谷底の道を進んでいた時にゲートがありまして、そこにいた大勢の兵士に馬が怖がり逆に戻ってしまったら、騎馬兵に矢を放たれ追われる事に・・・」


男は、サラの瞳に正直で誠実な心を感じ取った・・剣をしまい

「お前の名前は?」

と聞く。

「サラです」


「サラ!お前は、ナルル王国の王女と思われたんだ」

「わ・私が王女様にですか!こんな格好をしているのに!」

サラが自分の汚れた服を広げて見せると、男は微笑みを浮かべ

「そうだな・・ゲートは、ナルル王国王女を捕らえるために造られたモノだ」

と応えて

「ここで引き返せ!この先、道はもっと険しくなるぞ。熊や狼も出るし、馬を連れて行くのは厳しいだろう。もう一度ゲートに向かい、お前が王女でない事がわかれば通してもらえる」


男の忠告を素直に受け入れ、来た道を戻る事にした。と言うより、この男に逆らうのが恐かった・・



辺りは暗くなっていたが、サラは、まだ山の中にいた。空腹で疲れを感じながらも、焚き火をおこして座り

『はぁ・・また1日無駄にしてしまった・・・』


溜め息を付き、落ち込んでいた。そこに、暗闇の中から人影が近付いて来る・・・


「よぉ!また会ったな!」

あの大柄の男だった・・・焚き火の明かりを見付けて、偶然に来たらしい・・・


男は、悪びれもせず笑顔でサラの正面にドカっと座ると

「お前、よく生きてたな!どうやって海賊から逃げて来たんだ?」

興味深そうな目を向ける。


「海賊の中に私を逃がしてくれた人がいたんです」

「へぇーっそうかい!そいつは助かったな!お前はツイてる」

と笑顔で応えると

「何か食いもんあるか?俺、腹がへって死にそうでよぉ!」

サラを睨み付けた!


袋の中から林檎を1つとパンとハムを取り出し男に手渡す。男は手にした林檎をポケットに入れ、パンとハムにかぶり付き

「これで全部か?」


サラは、袋から占いのカードを取り出し、空になった袋をパタパタ波立たせ

「全部です・・」


「フン!」

男は、不満気に鼻から息を吐いた・・・


サラの目の前でパンとハムを平らげ、林檎をかじりながら男は、占いのカードに目をやり

「なぁ!また俺の未来を占ってくれよ!」


サラは、溜め息混じりに持っているカードを見る・・・

『この男に逆らっても、面倒な事になるだけ・・』


心を落ち着かせ、集中してカードをシャッフルし始めると、馬の足音が近付いて来た。


馬に乗った人影が、こっちに向かって来て、焚き火の明かりで姿が見えると知ってる顔・・・ボコボコに殴られ、腫れ上がった顔をした憲兵だった・・・


「よぉ!また会ったな!」


憲兵も焚き火の明かりに引き寄せられ、この場に来たようで、馬から降りてサラの隣に腰掛けると、大柄の男は、ばつが悪そうに顔を背ける。


「お前、よく海賊から逃げれたな!」

憲兵がサラに言うと

「そうですね・・・」

サラは、素っ気なく応えた・・・

「何か食いモン持ってるか?」


サラは、無言で空の袋をバタつかせる・・・


「・・・そうか」

そう応えると憲兵は、サラの手にしているカードを見て

「何だ?ポーカーでもしてるのか?」

と尋ねた。

「違います。これは占いのカードで、今から、この人の未来を占う所だったんです」

「へぇーっそうかい!占いか・・」

憲兵は、そう言いながら大柄の男を見詰め・・・


「未来を占うとは、おもしれぇ!俺も見てみぇな!俺の金を盗んだ男の未来が、どうなるのかをよぉーっ!」

男を睨み付けていた!


「あなたも私から盗んだんでしょ!」

サラも憲兵を睨み付けていた!


男は『面倒な事になってきた・・』と溜め息を付く・・・















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