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【1】ドラゴンナイト『暗雲』  作者: 生丸八光
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27話 決着の後

憲兵は、指をポキポキ鳴らしながらナパに近付き、ニッコリ笑ったかと思ったら鬼の形相で殴り掛かった!


憲兵のブンブン振り回す拳が空を切る!


どうやら、殴り合いはナパに分があるようで、余裕の笑みを浮かべて()け続けると、隙だらけの憲兵に一発お見舞いした!


「グェッ!」


ナパの強烈な一撃が脇腹に食い込み、よろけた憲兵の顔面に回し蹴りを食らわす!


「ガツン!」

鼻血を吹き出す憲兵だか、ナパの足を両手で掴んで踏ん張る!

左腕でナパの足を抱え込み、思いっきり、右の拳を顔面に食らわした!


鼻血を出してブッ飛ぶナパ!


憲兵は、してやったりとニヤケ顔を見せたが、その後は殴られっぱなしだった・・・


ナパの出すパンチを食らい続け、フラフラになりながらも闘志をみなぎらし倒れても倒れても立ち上がる。周りの海賊と頭は大喜びで盛り上がっていた!


サラは応援する気にはなれないが、何度倒れても立ち上がる憲兵から目が離せない・・・


その目の前にいる大柄の男は落ち込んでいた・・・憲兵の次は自分の番・・海賊と闘っても勝てる気がしないし・・金は銅貨が3枚だけ・・・気力を無くして、闘っている2人に目もくれず、背中を向け(うつむ)いていた・・


その背中に、殴られてブッ飛ばされた憲兵がぶつかって来る!


大柄の男に覆い被さる憲兵。その顔は、腫れ上がりボコボコで意識もぶっ飛び、ほんの僅かに残る気力で立ち上がろうとしていた。


大柄の男が憲兵を払い除けようと、体の下に縛られた手を潜り込ませた時!

手に伝わった感触に『ハッ』ッとした!


『金だ!』


憲兵の懐に金があるのを瞬時に感じた・・・しかもズッシリと重い感覚・・

誰にも気付かれない様に素早く抜き取り懐へ入れ、憲兵を払い除けると力無く床に倒れ込んだ・・・


『この憲兵・・俺を捕まえに来たのか知らねぇが、おかげで助かった・・・成仏しろよ・・・」

グッタリした憲兵を見てそう思ってるのと、ナパが来て憲兵の髪の毛を掴み頭を持ち上げる。まだ呼吸をしている事を確認すると牛刀を持って来た。


サラと大柄男の目の前で、ナパは笑みを浮かべて、2人に見せつける様に憲兵の喉をカッ切ろうとしたその時!


「そこまでだ!」


お頭の一声に手を止めるナパ・・・お頭は、憲兵の闘いっぷりが気に入り『殺すにはおしい男だから()かしといてやれ!』と言い、憲兵は船室のベッドに運ばれて行く・・・



雨と風の勢いが増す中で、大柄の男は(かしら)の前に連れ出されていた。金を出すように言われると、直ぐに憲兵から奪った袋を差し出す。

その袋を目にしたサラ『あの袋・・』


ズッシっと重い・・・中を見た海賊の手下が


「お頭!金貨ですぜ!30枚はありやス!」

と大声を上げ、笑顔を見せた。

「ほーっ!金貨30枚なら助けてやる!次の港で下ろしてやれ!」

「ヘイッ!」

両手を縛られ船室に連れて行かれた大柄の男はホッとしてベッドに腰掛けだが・・


『金貨30枚・・そんな大金だったのか・・』


金貨30枚なんて一生手にすることのない金額・・・一か八か闘っても・・・・勿体なかった様な後悔を感じていた・・・




その隣の船室で、気を失っていた憲兵が目を覚ました・・・


『俺は・・・生きてたのか・・』


起き上がろうとするが痛みで動かせない。おまけに両手は縛られていた・・・縛られた手で(ふところ)を探り


『やっぱり・・あのヤローやりやがった!』


憲兵は薄れ行く意識の中で、金を抜き取られた瞬間をハッキリと覚えていた・・・



「お頭!どうやら、コイツで最後です・・」



お頭の前に連れ出されたサラは、1枚の銀貨を床に置く。

「これだけか・・・」

「はい・・」

返事をして恐る恐るお(かしら)の顔を見た・・・


「お前、女だな!フードを取ってみろ!」

雨の中フードを取るサラ・・・


「女で命拾いしたな!まだガキだが、売れば金になる!」


船室に入れられ座り込むサラ・・・命は助かったが寒さに(こご)える中で、おばばの言葉を思い出していた・・


『人々の心に増悪の念が満ちている証・・・動乱の時代・・・』


あの赤い龍を見たのを(さかい)に、世の中が変わってしまった様な感覚に恐怖を感じ、更に寒さが増して来るように感じた・・・


ずぶ濡れのコートを脱ぎたいが、縛られていて脱げない・・と思っていたが、目の前に見える結び目をくわえて引っ張ったら簡単にほどけた!


『海賊はいい加減で大雑把(おおざっぱ)だって聞いた事があったけど、本当だったのね・・・』


サラはコートを脱ぎ椅子に掛けると、ドアに手を伸ばす


『鍵が掛かってない・・・』


ドアを開け廊下を覗き込むと、見張りの海賊が椅子に座り眠っていた・・・サラはドアを閉め・・


『こんなに揺れてる中で、よく寝れるわね・・』


感心したのか呆れてるのか、そう呟くとベッドに入り、ここから逃げ出す方法を考え始めた・・・が、サラもすぐに眠ってしまった・・・



雨が上がり、波も穏やかになっていた。


コツコツ足音が近付いて来るのを感じてサラは目を覚ます。


ドアが開き、サラは慌てて両手首をくっ付け、縛られている振りをした。


海賊の少年がスープとパンをテーブルの上に置き

「腹が減ったら食べろ!」

そう言って、出て行こうとしたのでサラは


「あの、すみません。ちょっといいですか?」


海賊の少年に話し掛けた・・・









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