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【1】ドラゴンナイト『暗雲』  作者: 生丸八光


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22話未来への恐れ

床に散らばった料理は綺麗に片付けられて、新しい料理が次々と運び込まれて行く・・給仕係の顔にも笑顔が戻っていた・・


料理が揃い、皆が席につくと使者の男が手紙を読み上げる。


『ワシは行かねばならぬ所が出来た故、手紙を残して置く。お前は字が読めぬので、誰かに読んでもらっている事であろう・・ワシは、(さき)の王に強い王子を育てて欲しいと頼まれ、生まれて間もないお前を預かる事となった。

当然、ワシが教えれるのは剣術だけじゃ!礼儀や読み書きなんぞ、他の者から学べばいいと思いお前を育てた。そのお陰で、お前は自分勝手でわがまま、礼儀知らずのバカに育ってしまったが、人の心に寄り添える男になったとワシは喜んでおる!

お前と姫が顔を合わせた時の、2人の間抜けな顔を見れぬのは残念であったが、次はお前が王子として成長した姿を見るのを楽しみにしておるぞ!

それと、報酬の件じゃ!お前は1人で立派に姫を守った。よって、お前の取り分は100じゃ!しかし金貨100枚は、お前を17年間育てた代金としてワシが貰うことにした。

では、先を急ぐ。ザンキ。』


手紙を読み終えると、使者の男はオルファに渡し、受け取ったオルファは

「結局・・全部、持って行きやがった」

(つぶや)き、手紙を投げ捨てた・・・



その頃ザンキは、山の中を走っていた。魔剣を手にして!心の中には、嫌な胸騒ぎが渦巻いている・・17年()りに城に着いたその日に、ジルバからの使い・・・魔剣・・・ドラゴンナイトに赤い龍と(いや)なワードの連鎖に、これから起こる未来を予見していると(おも)わせた・・・赤い龍の恐ろしさを知っているザンキの足が速まる!



ドランゴンの城では食事を終え、静かな夜を迎えていた・・・


オルファは、この数時間の出来事が今でも信じられず、ベッドの上で、ぼーっと天井を眺めている・・姫達も似たような感覚で、静かな夜を過ごしていた・・・


その隣の部屋で、静かに眠りに付く少女・・・その(かたわ)らには、王と医師・・・


「サラの具合はどうかね・・・」


王が尋ねると医師は

「・・・かなり衰弱していて危険です・・・2,3日が山かと・・」

深刻な表情を見せた・・王は心配してサラを見詰め


「何としても助けてやらねば・・・とにかく、必要な物は何でも言ってくれ!最善を尽くすんだ!」


「はい・・出来る限り、やってみます・・」


時折、苦しそうな表情を見せるサラ・・・サラは、夢を見ていた・・暗闇の中を必死に走っている・・おばばと別れ1番近い町に向かって・・・


息を切らせ、必死に走るサラ・・・遠くに1つだけ明かりが見える・・・その明かりを目指した・・・


明かりは、小さな酒場だった。サラは迷わず中へと入って行く。


そこはカウンターだけの店で客が2人。1人は大柄な男で、かなり酔っぱらっていた・・店主がサラに気づき


「ここは子供の来る所じゃねぇ、帰りな!」


「まぁ、いいじゃねぇか!せっかく来たんだ!」

大柄の客がサラの腕を引っ張り、隣に座らせる。

「ほれ!一杯飲みな!」

「お客さん!子供に飲ますのは、よして下さいな」


サラの目の前に置かれたグラス・・・喉はカラカラだけど・・・

「すみません・・お水を一杯(いただ)けますか?お代は、お支払いします・・」

「金はいらねぇから、さっさと飲んで帰りな!」


店主が目の前に水を出した。サラは、軽く会釈すると一気に飲み干し

「この辺りで、馬を売って(いただ)ける所を知りませんか?」

店主に尋ねた。


「馬なら、そこの橋を渡って真っ直ぐ行くと、小さな牧場がある。安くはないが、そこで手に入るぞ」


「ありがとうございます」

サラが立ち上がろうとすると、隣の男が

「俺の出した酒を飲まねぇつもりか!」

肩に手を掛けた・・・


「すみません・・お酒は飲めないんです・・」


「じゃあ!歌でも歌うか、踊りでも踊って俺を楽しませてから行くんだな!」


店主が男を(なだ)めるのを、サラが止め

「歌や踊りは出来ませんけど、占いなら出来ます」

と言った。

「占い!?面白(おもしれ)ぇじゃねぇか!俺を占ってみろよ!」


サラはカードを取り出し、目を閉じ集中してカードをシャッフルすると2つの山に分ける・・・


「こちらが、あなたの過去です」

と言って、右の山から3枚のカードを抜き、伏せて並べると

「こちらは、未来です」

左の山からも同じようにカードを抜いた。


「今から、あなたの過去を見ます。いいですか?」

「あぁ!いいぜ!」

カードを(めく)りながら

「これは旅人のカードです。これは罪人・・そして逃走・・」

サラは男をチラッと見て・・・


「あなたは、(つみ)を犯して逃げてるんじゃないですか?」


「何ぃ!俺が逃げてるだとぉ!」

サラは男の剣幕に動ずる事なく、更に過去の山から3枚のカードを取り、(めく)り始める・・・


「老人・・・お金・・殺人・・あなた、お金の為に人を殺しましたね!」


サラの言葉に、男はじっとサラを睨み付ける・・・店主は、その様子に静かに後退りして、引き出しの短刀を(ふところ)に忍ばせた・・・男が酒を一口飲むと


「俺の未来はどうなってる・・・言って見な!」


サラは、未来のカードに手を伸ばす・・・




















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