異世界の力、名の判明
小説を書いてる瞬間は、余計なことを考えなくていいので好きです。
「で、俺は今ここにいるってわけ、分かった?」
俺は恐らく死んだと思われる日のことを1から目の前の少女に説明した。何故かって?疑われないためだ。ここで疑われてしまえば生きる術を失うかもかれない。それから友達になれるチャンスも。
「なるほど…嘘を言ってないようですね…本当に、転生者が存在するなんて…」
信じられないものを見たという目でこちらを見てくる少女。しかしそこに不信感や不安はなく、むしろ初めて見るものに対する好奇心のようなものがあった。
「まるで嘘が分かるって口ぶりだな…」
何気なく、そう言ってみたのだが。
「分かりますよ?私は生まれながら、人の嘘を見破る力を持っていますから。普段は知らなくていい事まで知ってしまうし、何でもかんでも見破ってしまうので使ってはいませんが…こういういざと言う時は使うようにしています。なんなら何でも言ってみていいですよ?」
「……俺は実は悪いやつで、元いた世界では盗みばっかしてたん」
「嘘ですね」
「だ…って、まじかよほんとにわかんの…?」
これが異世界の力だとでも言うのか…異世界まじパネェ……本当に俺の知る世界ではないみたいだ。
「信じてもらえたようでなによりです。私も、見知らぬ人間に嘘をつかず正直に話したあなたを、とりあえずは信じましょう…」
素直に話したかいがあったのか、信じてもらえたようだ。よかった。
「当面ここで生活したいのだけど…君の名前を、聞いても?」
「私の名前はリア。家名はありません。生まれつき、教会に仕えて育ちましたから。」
「リア、ね…いい名前だな。俺の名前は…」
そこまで言って、思った。俺は自分の名前は好きではない。親も嫌いだ。だから、普段俺はネットで使っていた名前を名乗っている。
「名前は…葵…だ。本名や家名は理由あって名乗りたくない。葵って呼んでくれた方が嬉しい。」
「…わかりました、詮索はしません。そういう人もいますから。…葵さん、ですね。これからよろしくお願いします。」
丁寧にお辞儀され、思わず胸元が見えてしまう。それを見て見ぬふりしようと、こちらもお辞儀を返す。…決して、少し大きいから自制しようとしていたのではない。
「こちらこそ、これからよろしく頼む、リアさん。」
良ければ感想など頂ければと思います