初めての出会い。
声も顔も可愛い少女です。
「起きて下さい、起きて下さい!」
「あと5分……」
声が聞こえた気がして、そう返す。何せ疲れているのだ、寝かせて欲しい。
「痛った!?なにすん…だ……」
ほっぺたを思いっきりつねられ、思わず飛び起きる。睡眠を妨害された罪は重い、文句ぐらい言ってやろうと声のする方を振り返ると…そこには、白髪の美少女が居た。
「……誰?」
「こちらのセリフです。何故ここにいるのですか、というか何故ここに入れたのですか?ここに来れるのは、神に認められたものだけなはずですが…貴方が神官とは思えません。
「神官…確かゲームだと、神に仕える人…だっけ」
「そのゲームとやらがなにか分かりませんが、その神官です。ここは並の神官では入れないほどの場所。何故ここにあなたがいるのです」
いかにも不審者を見るような目で見られ、悪いことをしていないのに気まずくなってしまう。いかんいかん、このままじゃ仲良くなる…げふん、無実の罪を着せられてしまう。
「こっちが聞きてぇよ、こちとら電車に引かれて死んだと思って、目が覚めてみたらこの場所だ。夢かもしれんと思っていたけど…こうして人と話してるんだから、夢じゃなくて現実だろうな」
「何を言って…電車とは何ですか?死んだ…とは?」
……もしかして本当に異世界なのだろうか。確かめるために、もう少し会話を続けてみよう。
「電車を知らないのか?普通に走ってるだろ?決められたレールの上を電気の力で走って、大人数を乗せて移動出来る公共交通機関の事だよ。」
「そんなもの、この世界のどこにもありませんよ?嘘を言って騙そうとしてるんですか?」
完全に怪しいものを見る目だ、やばい、これ確実に異世界だ。
「ほんとに…異世界転生したのかよ……」
若干虚ろな目になりながら空を見て、思わずそう呟く少年、一体これから先どうなるのだろうか、と憂鬱な気持ちを抑えられなかった。
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