やっと会えたね
[Yuusa]
あたしだってこんなに傷つきたくない。
「塾、変えたってお前馬鹿なんだから。」
「うざいんだよ、お前。」
またあたしはほおを膨らませる。
無駄に足音を響かせて、あたしは真っ白い高いビルの前に立った。
そして…教室の場所を確認する。
「ここ…かな?」
あたしは教室のドアノブに手をかけた
[Takuya]
おそるおそる教室をのぞく、二つの大きな目と焦点が合った。
…見慣れない顔。
誰…だろ?
僕は何にも気づいてないフリをして目をそらした。
しかし、ほんの数秒後、またその子は僕の視界に入った。
僕の二つ前の席に、ゆっくりと、ヒラヒラとしたスカートを揺らしながらその子は座った。
この子は…いじめとか経験したことないんだろうな。
のほほんとした雰囲気に思わずため息が出る。
僕は顔を伏せた。
[Yuusa]
あたしは教室のドアをゆっくりと開けた。
もしかしてかっこいい人とかいないかな?とか期待する余裕は少ししかなかった。
その前にいじめられないかなっ…?ていう不安のほうがあった。
学校でも、前の塾でもいじめられてきたあたし。
今回は…今回だけはいじめられたくないよ!
…そんな不安は三秒後消えた。
真面目そうな人しかいなかった。
いじめなんて…する暇なさそうな人ばっかり!
少しずつほおが緩んでいく。
教室を影から見ると、そのうちの一人…もっとも真面目そうな男子と目があった。
ぴき…っと体が固まっていく。
すると、その男子は「お前になんか興味ない。」という風に、あたしから目をそらす。
「ホウッ…。」
よかった。いじめられる要素、〇.一%もないじゃん。
あたしは鼻歌交じりで、ふんわりと自分の席に座った。