1 殺されちゃった☆
短い人生だった。
規模も人材もそこそこのホストクラブの、No.1ホストだった俺。
俺の周りにはメイクとって髪黒くしたらそこら辺の男同然のような奴ばっかりな中で。
俺は自分で言うのもアレだけど、かなりカッコよかった。
幼い頃の環境がその後の人格形成に大きな影響があるとかなんとか、誰かが言っていたけど、俺はその典型例。
母親は水商売で、俺と同じ、No.1ホステス。父親の顔は知らない。同伴出勤やらアフターやらで俺はほぼコンビニ弁当で育ったし、祖母も(昔はパンパンといったらしい)戦後貧乏な中で在日米兵に体を売って稼いだ娼婦。血筋を遡ればかの吉原(江戸時代の歌舞伎町みたいなところらしい)の花魁に辿り着くというから、俺の一族はある意味伝統がある。
皆んな顔立ちは整った、華やかな人生の持ち主で、水商売で生きてきた。
俺も例に漏れずホストとなり…元々イケメンだったし、気遣いも小さい頃から母親を見てきたから、女の扱いには慣れている自信がある。
今から思うとクズだったな、俺。
そして彼女の1人がいわゆるヤンデレで、「碧君を殺して私も死ぬ!」なんとかかんとか言い出して、俺は死んだ。
死ぬ間際に、思ったんだ。
せめて来世では、本当に人を好きになってみたい。
学校にもちゃんと通って、大学も出て、普通に会社員になって、人並みの幸せを掴んでみたいって。
もう女を泣かせる職業は嫌だって。
そんなささやかな願いすらも神様は叶えてくれなかったらしい。
どうやら俺は転生したようだ。
それも剣と魔法の異世界に。