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1日のはじまり
ジリリリリリッ!
「もう!うるさいなぁ~」
けたたましく鳴る目覚ましに悪態をつきながら、スイッチをOFFにすると、もそもそと布団の中から這い出して準備に取りかかる。
朝食もそこそこにガレージに続く階段を降り、未だ眠りについている愛機のカバーを剥ぐと、朝日を反射するエンブレムをはじめとする磨きあげられたメッキパーツ達、続いてそのマシンの全体像が明らかになった。
「今日も綺麗ね。」
ガソリンコックをON、ティクラーでオーバーフローさせるとキックを一気に踏み込む。
沈黙
再度キックをすると…
「ドロンドロン…」
今にも止まりそうな様子ながらちゃんとアイドリングを始めるエンジン。
様子を見ながら2千回転キープでスロットルを固定。
はっきり言って爆音だ。
だけど優しいご近所さんからはクレームは無い。せめてもの気遣いで早くこの場から去ろうとした事もあったけど、ギクシャクして走らない相棒に懲り懲りしたのでもう諦めた。
そうこうしている内にアイドリングも安定。
「よし、今日も楽しもうか♪」
右足でギアを1速に入れると私と相棒の1日が始まる。