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最強魔導師は異世界で冒険者になります。  作者: 狂った機械仕掛け
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第6話  初めての護衛任務

イリアル王国の兵士や騎士は無能なのかな?(´・ω・`)

 朝日に照らされ、まぶしさを感じる。意識が少しずつ覚醒していき、ゆっくりと目を開けると、出雲とバッチリ目が合った。


「あ、えっと」

「おはよう、出雲」

「お、おはようございます」


 出雲は少し頬を染めながら挨拶を返した。あれかな、寝顔を見ていたら丁度俺が起きてしまって~って感じなのだろうか。まあ俺が先に起きてたら絶対に見てたし、撫でてたわ。

 俺は出雲の頭を軽く撫でてからベッドから起き上がり、身支度をする。昨日は黒猫姿ではしゃいだから同じようなのは目立つだろう、なので今日は白兎パーカーとキュロットパンツ、靴は二―ハイブーツ。アクセサリーはブラックハーツロザリオ、星屑の腕輪。そして精神系対策に琥珀勾玉、ちなみに勾玉は出雲にも渡してある。まあなくても俺がいるからなんとかなるんだけど一応ね。

 その後身支度が終わり、出雲と宿の食堂に行き朝食をとりながら話をする。


「それで買ってきてもらうものなんだけど、出雲の衣服とかあとは日用品とか。キャンプ用品とかあればいいかな」

「え、私の服ならこれと寝るときのあれだけで十分なんですが」

「いやいや、数着はあった方がいいから、それに女の子なんだからさ」

「あ、はい・・・わかりました」

「で、予算だけど金貨10枚ほど渡しとくから、出雲が必要だと思ったもの買っておいで」

「えっと、金貨1枚あれば十分すぎると思うんですが」

「少しくらい多めに持ってた方がいいしょ。あ、おつりはあげるから」

「えっ!?」


 俺はそういって金貨10枚を適当な小袋に入れて渡す。なぜか出雲が驚いていたが自分で好きに使えるお金はあった方がいいだろう、いろいろと。

 そして朝食を済ませ、宿をチェックアウトし外に出る。


「それじゃあ買い物お願いね、荷物持ちとしてリビングデッド二体ほど造るから連れてって」

「はい、任せてください」


 俺はうなずき、<死霊術:リビングデッド>を使うと、目の前の地面に魔方陣が二つ浮かびそこから腰に剣を携えた赤黒い鎧を着た黒い煙が現れる。


「リビングデッドって鎧なんですね、ゾンビみたいなものだと思ってました」

「んー解釈の仕方かな。リビングデッドって一応生ける屍って意味だったからゾンビも間違いではないけど、ゾンビを呼び出す死霊術もあるからここでは違うんだろうね」

「そうなんですね」

「んじゃまあ、リビングデッドよ、出雲に付き従え。それじゃあ出雲、あとでね」

「はい、あとでまた」


 そういって俺は出雲と別れ、ギルドに向かう。道中国の兵士がいつもより多く見えたのは昨日の出来事があったからだろう。そういえば勇者新藤とその仲間はどうなったのだろうか、まあどうでもいいか。

 そんなことを考えているうちにギルドへと着いたので、中に入り掲示板を見る。


「えっと・・・護衛系で方向が同じのは・・・」


 俺はマップを開いてエルドラシル王国の方向とその近くの国や街を調べ、依頼を探す。


「・・・これだな」


 見つけた依頼内容はエルドラシル王国から少し離れたところにある都市、コメリシアというところへ行く商人キャラバンの護衛だ。日程は約三、四日。ランク制限とかは特になく、定員は特に決まってない。


「よし、これにするか」


 俺は依頼を受け付けに持っていき、説明を受ける。正午にイリアル王国東正門前に行き、ゴルドフと言うキャラバンのリーダーである商人と会えばいいらしい。話はギルドが通して伝わるらしいから冒険者の証であるプレートを見せればいいらしい。

キャラバンは馬車が四台で護衛メンバーは男3人女1人の4人パーティーが一組いるらしい。まあ説明を聞いた限りじゃ変なことはないし問題ないな。なんか最後に受付のお姉さんに心配されたけど。


「さてと、依頼も受けたことだし出雲と合流して早めの昼食にするか」


 俺はギルドを出て、マップを確認する。昨日のうちに出雲の場所がわかるようにマップの機能であるマーキングを使っておいたから居場所がすぐに知ることができた。ゲームの時は全く使わなかった機能が今では便利な機能になるとは思ってもいなかったな。さて、行くか。


 午前10時ごろ、俺は出雲のいる冒険者御用達の百貨店に到着した。丁度出雲も買い物が終わったらしく百貨店を出てきたところだった。


「あ、シエルさん。依頼の方はどうでしたか?」

「ああ、丁度いいやつがあったよ」

「そうですか、よかったです」

「それで依頼が正午に東正門前に集合らしいから、今から早めに昼食を食べないか?」

「そうですね、わかりました」


 俺と出雲はそこから少し離れたところにあるレストランに行き、昼食をとる。ちなみに出雲に頼んでおいた荷物はすでに俺のストレージに収納済みだし、リビングデッドは送還してある。


「そういえばシエルさん、昨日街の外にも大量の魔物がいたらしいですよ」

「ん、そうだね」

「その所為かいつもよりもお客さんが多いって店員さんが言ってましたね」

「武器が壊れたとか、魔物討伐の臨時収入が入ったからとかだろうな。俺もさっき言ったときにもらえばよかった。デーモン二体とグレートドラゴンだから結構もらえただろうし」

「この後行きますか?」

「いや、めんどいし、それに待ち合わせに遅れたら困る。あと面倒事に巻き込まれそうだからもらうなら他の国でだな」

「そ、そうですね。この国の危機を救ったんですし騒ぎになりそうですね」

「ああ。そういえば勇者はどうなったんだ?」

「えっと、新藤君については全く聞きませんでしたね。でもその代わりお城の兵士がシエルさんのこと探しているらしいですね」

「ん、そっか、だから多くいたのか」


 まあ、あれだけ派手なこともしたからな当たり前だ、国としては放置できないだろう。それを考えて昨日とは全く違う服装にしたんだし・・・でも勇者新藤だったらわかりそうだな、どっちもけも耳パーカーだし。


「てか、俺の名前ばれてるんならすぐに見つけられそうなものだが」

「あ、えっとですね。昨日の黒猫パーカーで聖剣と杖を持った人を探しているそうです」

「なるほど、杖は持っているとしても聖剣はいつもストレージだからな。わかりにくいか」

「ええ、あ、でも新藤君と会ったらばれそうですね」

「そうだろうな・・・でもまあ問題ないな、もうそろそろ出国するし」

「そうですね」


 そんな話をしながら昼食を食べ終え、そのまま東正門へと向かう。道中ではやっぱり兵士とすれ違う時が何回かあったが何も起きなかったな。やっぱりこの世界の人はけも耳パーカーというジャンルでくくれないのだろうか・・・もしくは気づかないふりをしているだけか。後者だったらめんどうだな。

 東正門が見える大通りに出ると、門の前に馬車が5台並んでいることに気付く。近くに行くとそのうち四つは依頼にあった商人のものだとわかるが、残り一つは家紋が馬車の帆に書かれているからどっかの貴族のものだろう。並び方は貴族が真ん中で前後に商人が二台ずつなことから依頼内容に変更があったのだろうか。


「出雲はこの貴族の家紋ってどこのかとかって」

「すみません、あまり貴族とかと関わったことがないのでわからないです」

「ん、まあそうだよね。とりあえず依頼主のところにでも行きますか」

「そうですね」


 馬車の近くでそんな話をしていると先頭の馬車の方から恰幅のいいというか、小太りの男性がこっちへやってきた。服装は普通の街商人の服に明らかにサイズの合っていない小さい赤いベストを着ていて、頭にはハンチング帽に似た帽子を乗せている。


「いや~君たちだろ、今日ギルドで護衛の依頼を受けた女性二人組ってのは」

「ええ、たぶんそうです」

「そうか、では改めて自己紹介を。俺はダグラス・ベベンだ。それでお前さんたちは」

「シエルです。でこっちが出雲です」

「よ、よろしくお願いします」

「おうおう、こちらこそよろしく。それじゃあそろそろ出発だからな、打ち合わせがしたいからこっちに来てくれ」


 と言ってダグラスさんは先頭の馬車の方へとついて来るよう言ってきたのでついていく。先頭の馬車のそばへ行くと他の護衛と思われる冒険者が男三人、女一人の四人パーティーと騎士が四人。騎士のうち一人はサーコートを付けているから隊長なのだろう。そしておそらく騎士は真ん中の貴族の私兵なのだろう、鎧にある家紋が同じだし。俺がそんなことを思っているとダグラスさんが話始める。


「では冒険者の皆様には前と後ろで索敵、魔物や野盗が出た場合は撃退を主とした護衛をお願いします。それでエンニュー伯爵様の騎士様方は」

「我々は伯爵様の護衛だ、貴様らは知らん。邪魔だけはするな」

「ええ、ええ、わかっておりますとも。それではあと10分後に出発しましょう」


 ダグラスさんがそういって、打ち合わせは解散となりその場には俺と出雲、ダグラスさんの三人になった。周りには積み荷の確認をしている商人たちが数名いるぐらいだろう。


「あー、ところでシエルと出雲、お前たち馬とかはいるのか?もしいないならそこの馬舎で借りても大丈夫だぞ」

「馬ではないですが、ちゃんと足はありますので」

「そうか、んじゃまあ出発するまで後ろの方で待機しててくれ。よろしくな」

「わかりました。じゃあ行こうか出雲」

「あ、はい」


 俺と出雲はダグラスさんと別れ、商人キャラバンの最後尾の馬車近くに向かう。貴族の馬車の横を通りすぎるとき騎士がこちらをにらんできたけど触らぬ神に祟りなしってことで無視無視。そのまま最後尾の馬車へ向かうと他の護衛の冒険者パーティーがいて、リーダーと思わしき腰に剣、左腕にバックラーを持った男性が一歩前へ出る。


「お、来た来た」

「えっと、みなさんは前方のはずでは」

「ああ、そうだがな、仕事仲間だからな一応自己紹介はしておいた方がいいだろう」

「そうですね」

「そういうことだ。俺はチーム:アトラスのリーダーをしているジョセフだ。でこいつらが」

「アンドレだ、見ての通りチームの盾役で在り近距離火力担当だ」

「レンジャーのルーカスだ、役割としては索敵とメリアを守るが主だな」

「メリアよ、Lv2の魔法使いよ。ちなみに使える呪文は初級のものしかまだ使えないわ」


 えっと、リーダーがジョセフで、両手斧を持った金属鎧の男性がアンドレ、弓矢を背中に背負って腰にショートソードを帯剣している男性がルーカス。動きやすさ重視の装備でスタッフを腰に差している女性がメリアと。


「ではこちらも、俺は魔導師のシエルです。索敵から守護、殲滅までなんでもできます」

「えっと、東雲 出雲です。一応勇者です。よろしくお願いします」

「おう、よろしくな。あともう少し気楽に話してくれ、さすがに息苦しくなる」

「わかった、普通に話すことにするよ」

「ああ、そうしてくれ。それで出雲はどこの国の勇者なんだ?」

「あ、えっと」


 出雲がジョセフに聞かれた質問に戸惑い、俺の方に視線を移してくる。まあそうだよね、死んだはずのイリアル王国三人目の勇者とかだし。


「あー、一応出雲は元この国の勇者なんだ。一応な」

「え?この国の勇者と言うと新藤光輝ってやつと田中佐俊の二人だったはずだが」

「いや、別に気にしないでくれ、今は俺だけの勇者だし」

「お、おう。そうするわ。んじゃまあしばらくの間よろしくな」

「こちらこそ、よろしく」


 そういって俺はジョセフと握手をする。その後チーム:アトラスの四人は前方に戻っていった。


「さて、あと五分ほどあるから今のうちに乗り物を召喚しようと思うけど、出雲は何がいい?」

「あ、えっと、安全で飛ばないのでお願いします」

「ん、了解・・・<召喚(サモン):ユニコーン、ケリュネイア>」


 俺が呪文を唱えると目の前に魔方陣が現れ、そこからケリュネイアが現れゆっくりと俺の目の前で伏せる。そしてユニコーンの方は俺の方に突っ込んできた。


「ちょっ!危なっ!」

「シエルさん大丈夫ですか?」

「なんとかね、あと少し反応が遅れたら喰らってたけど」


 俺は近づいてきたユニコーンをなだめながら話を続ける。てか角あるから刺さったら痛いで済まなかったな。


「それで出雲にはそっちのケリュネイアに乗ってもらおうと思う、たぶん馬に乗ったことなくても乗れると思う」

「わかりました。よろしくお願いしますね、ケリュネイアさん」

「さてと、そろそろ出発の時間だし鞍をつけようか」

「はい」


 俺はさっき出雲から受け取った鞍をストレージから取り出し出雲に渡し、ユニコーンに着けようとするが。


「ちょっ、暴れるな。・・・なに、もしかして鞍なしの方がいいの?」

「あの、シエルさん、私の方も嫌がるんですけど」

「えー」


 あれか馬と違うからか、でも操縦とかがな・・・まあ大丈夫か。


「ちゃんと言うこと聞くだろうから操縦は大丈夫だと思うからそのまま乗っちゃっていいか」

「そうですね、わかりました」

「まあ鞍はどっかで使い道あるだろうししまっておくか」

「そうですね、でも途中でお尻痛くなりそうですね」

「まあそれはその時考えればいいし、回復使ったら治りそうだから問題ないな」

「そ、そうですか」


 そんなことをしているうちに出発の時間になったらしく、馬車がゆっくりと動き始める。


「さてと、出発みたいだから俺たちも行こうか」

「は、はい」


 俺と出雲はそれぞれ騎乗して最後尾についていく。そして門の近くに来ると、兵士が冒険証の確認をしに来て、何事もなくそのまま門の外へと出ることができた。なんか門を出るまでずっと好奇の視線を浴びてたけど気にしないでおこう。目立つのは仕方ないことだからね。

設定ではこの世界の魔法職の人の平均はメリルぐらいです。というよりもいくつもの職業を持っているの人が珍しかったりする。一応この世界の魔法職には少し秘密もとい設定があるのはまた別の話。


ケリュネイア・・・女神アルテミスの聖獣でヘラクレスの試練にも出てくる伝説の鹿。

このことを出雲は知らず、ただの強そうな鹿とかしか思っていなかったりする。ユニコーンの方が有名だからだろうか。

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