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最強魔導師は異世界で冒険者になります。  作者: 狂った機械仕掛け
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第5話  これからのこと

あけましておめでとうございます。(遅いですけど・・・)


シエルは強い。

出雲はかわいい。

「それは氷の世界。生者も死者も嘆き凍れ。我はすべてを迎え入れる死の番人。さあ、眠れ。<コキュートス>」


 たった一つの魔導、<上級魔導:コキュートス>その一手でグレートドラゴンを炎を、そして街を凍らす。残念なことに範囲外だったデーモンには当たらなかったが、まあいい。


「な、なんですか!?あなたは!」

「え!」

「よく頑張ったな、あとは任せとけ」


 俺が声をかけると出雲は安心した表情を浮かべた。ああ、安心してくれ、もう大丈夫だから。

 さて、相手はデーモン一体。魔法は効きにくい、しかも危機を感じたら逃げる可能性がある。まあ十中八九逃げるだろう、俺なら逃げる。だから一撃必殺の技を使うのみ。そう考え、俺はストレージを操作し俺専用の聖剣を取り出す。


「そ、その聖剣は一体!?まさか三人目の勇者か!?」

「いや、違うとだけ言っておこうか、な、っと」

「なっ!・・・がっ、ぐはっ!」


 俺は一瞬のうちに間合いを詰め、聖剣を振り下ろしデーモンを真っ二つに切ると同時にデーモンは光に包まれ、消滅する。なんか余波でグレートドラゴンの氷像も砕け散ったけど、まあいっか。俺は聖剣を納刀し出雲の元へ向かう。


「さて、これで街の外の敵は逃げるだろう。たぶん」

「あの、シエルさん。その聖剣って」

「ん?ああ、これのことか。これはだな、俺専用の聖剣、正確な名称は神魔聖剣ヘブンリールーラーって名前。性能とかはめんどいから省くけど、俺が作った中でも、ゲーム時代でも一番強い聖剣。世界に一本しかないオリジナルだ」

「そ、そうなんですか」


 とまあ、得意げに俺専用の聖剣自慢をしていると、勇者新藤が話しかけて来た。


「お、おい!その聖剣は勇者である俺が使うべきだ!よこせ!」

「はぁ?え、何コイツ。出雲に守ってもらってた有象無象の一人でしょ」

「なんだと!」

「まあ、そんなことよりも、出雲」

「は、はい」

「無視するな!いいからよこせ!」

「よく頑張ったね」

「はい!」


 うん、何か迷いがなくなったからか明るい表情をするようになったな。だからか前よりかわいく見えてつい撫でてしまった。まあ出雲が気持ちよさそうだからいいか。少し撫でた後に話を始める。


「さてと、じゃあ宿に戻ろうか。そろそろ日も暮れそうだし」

「あ・・・そうですね、戻りましょうか。今日は話したいことがあるので聞いてくれますか?」

「ああ、もちろん」

「ありがとうございます」


 出雲はにっこりとほほ笑む。何このかわいい生き物、なんか小動物みたいで保護欲が~、みたいなことを思ってしまう。まあ事実かわいいけど。とりあえず周りの野次馬もとい、国民はみんな歓声を上げて喜んでいる。街が凍っているのに喜べるのは今だけだろうからさっさとこの場から離れよう。その前に、勇者新藤はと言うと、


「おい、そこの猫耳パーカー聞いているのか!さっさとその聖剣を」

「うるさいよ、量産聖剣エクソカリバーでも十分この程度なら戦えたはずなんだけど。実際出雲は戦えただろ」

「なんだと!これは偽物の聖剣だっていうのか!」

「あ~いやそういう意味じゃなくて、聖剣ブームの時に鍛冶職の人がめっちゃエクスカリバー量産してて、しかもどのエクスカリバーもそこまで強くないからその呼び方が定着したってことで」

「聖剣ブームなんてあったんですね・・・」


 なぜか出雲が納得したような、呆れたような顔をしている。まあ50本もストレージに聖剣があればそんな顔もするか、今は49本だけど。


「そういえば出雲にあげた聖剣だけど」

「あ、えっと、ごめんなさい」

「いや、中古品だったからね。まあまだたくさんあるし使い捨てぐらいが丁度いいさ」

「聖剣って国宝なんですけどね・・・」

「だから俺を無視して話をするな!」


 何かもうめんどうだから無視して戻ろうかな・・・あ、でもストーカーされたらやだな。とりあえず、


「勇者新藤よ、強くなりたいなら鍛錬を積むのです。はいおしまい」

「そんなんで納得できるか!いいからその聖剣を」

「・・・ねえ、あんまりうるさくわめくならさ、死ぬよ」

「っ!」


 脅しとして、音もなく勇者新藤ののど元に剣を突きつける。てかこれくらいは勇者の補正とか無しでできないとだめだと思う。まあゲームが現実になったから俺もできるわけだけど。


「さて、話は終わりだね。じゃあ帰ろうか、出雲」

「あ、はい。そうですね」

「・・・なっ、ま、待て!」


 そして俺と出雲はその場を後にし宿へと向かう。帰り際、勇者新藤が何か言っていたが無視してやった。


 日が沈み空が暗くなるころに宿に戻り、体を清めてから夕食を食べ、一息つく。道が混んでたり、兵士が駆け回ってたりして時間が思ったよりかかってしまった。さっきマップを確認したところ外にいた魔物は大方片付いたか逃げたみたいだから安心していいだろう。それにしてもこの一週間何もないと思ったら最後にイベントがあるとは。


「まあ、というわけで明日にはこの国を出て次の国に向かうわけだけど、どこか希望はある?」

「私はシエルさんと一緒に入れればそれでいいのでお任せします」

「あ、はい。ありがとうございます」


 何かかわいいな。さて、お任せすると言われても思いつく国なんて一つしか思いつかないな。俺のお気に入りの国しか。


「それじゃあ、エルドラシル王国にいこうか」

「はい」

「よし、行先も決まったことだし。明日からの移動手段を決めようか」

「アヴァロンさんじゃなければいいです」


 きっぱりとアヴァロン以外を指定したな、哀れアヴァロン。まあ仕方ないか、トラウマになっているみたいだし。


「じゃあ馬車だな。今って乗合馬車とかってあるの?」

「えっと、ありますけど二、三日前に予約して乗るって感じだったはずです。当日になると席があるかどうかわからないですね」

「ん、じゃあ護衛としてなら・・・と思ったけど歩くのだるいから馬車買うか」

「馬車ってそんな簡単に買えないと思うんですけど」

「あ、やっぱりか」


 じゃあどうしようか、材料があればたぶん作れるのだろうけども。そういえば召喚術に馬系いなかったかな、陸を走るある程度の大きさならいいが・・・あ、いるわたくさん。


「えっと、シエルさん。どうしても無理だったらアヴァロンさんでも私は大丈夫ですよ」

「いや、大丈夫、大丈夫。馬車じゃないけど足代わりになるヤツたくさんいたから」

「あ、よかった」


 出雲は如何にもホッとした様子で胸を撫で下ろした。そんなにいやなのかアヴァロンに乗るの。


「それで明日の移動手段ってなんですか?」

「ん、ああ例えば、ケリュネイア、ヒッポクリフ、麒麟、ペガサス、グリフォン、ユニコーンとかだな」

「あ、はい」


 何かこう考えると召喚術が一番役に立つ気がするのはなぜだろう。


「とまあたくさんいるわけだけど、途中でお尻とか痛くなりそうだな」

「そうですね、私も今まで移動は徒歩か馬車でしたし」

「じゃあ、まあ明日は午前中旅用品をそろえるとして、そのときに鞍も買うか」

「はい」

「出発は昼食を食べてからだな」

「わかりました」


 よし、とりあえず明日の予定は立てたし、買うものは基本的にキャンプ用品だな。食糧は大量にストレージにあるし。そういえば鞍ってどこで売ってるんだ?買い物の時聞いてみるか。


「あの、シエルさん」

「ん?」

「提案なんですけども、明日ギルドで護衛の依頼を見ていいのがあればそれも一緒にやるのってどうですか?」

「んー、徒歩じゃなくていいなら受けるか」

「たぶん大丈夫だと思いますよ。さっき聞いた動物たちなら」

「そういうものか」


 そうなると明日は二手に分かれたほうがいいのだろうか。買い物は出雲でも行けるだろうし。


「じゃあ明日の買い物は出雲にまかせてもいいか?」

「はい、任せて下さい」

「よし、じゃあ頼んだ」

「はい!」

「それじゃあ、そろそろ寝ますか。あ、その前にこれ明日からの装備な」


 俺はストレージから量産聖剣を一本と金属部分が少なく、露出度が低い女騎士風装備一式を出雲に渡す。ちなみに鎧は俺製で見た目はもちろん性能もそこらの重戦士の装備よりいい。あと壊れた出雲の装備はお風呂の時に回収してある、素材としてリサイクルできるからな。

 そして俺は灯りを消して自分のベッドに入る、すると出雲もなぜか同じベッドに入って来た。


「あの、出雲はなんでこっちに?」

「あ、えっと。一緒に寝たいと思って・・・ダメですか?」


 上目遣いで少しうるんだ瞳、あと照れているのか顔が少し赤い。さらに片手で俺の服を掴んでいるのとかかわいいんですが。しかもたぶん天然でやっているんだろうな~。


「あの、シエルさん?」

「ん、ああ、えっと。いやじゃないです」


 そういって俺は出雲をやさしく抱き寄せる。出雲は少し照れくさそうに笑って、胸に顔をうずめてくる。かわいいなぁ。


 それからしばらくの間静寂が続き、俺はその状態のまま寝れずにいた。時々出雲がもぞもぞ動くからたぶん出雲も寝れてないのだろう。さらに少し時間がたった後、


「シエルさん、私はシエルさんのことが好きです」


 出雲に唐突に告られた。えっと、こういう時どうすればいいんだっけ?いつも断ってたからな、とりあえず普通に返せばいいよな。そんなことを考えていると出雲が続きを言い始めた。


「私はシエルさんとずっと一緒に居たいです。それに抱きしめられたいし、撫でられたいし、その・・・キスとかもいずれは・・・。だからあの時あなたのために生きたいと思いました。結局は自分のためかもしれないですけど・・・。えっと、なんかうまく言葉が出てこないのですけれども。それでもあなたのことが好きです。シエルさん」


 静かでゆっくりと、戸惑いながらだけど好きだという思いを届けようとしている感じがする。

 愛おしい、初めてそう心から思った。出雲の本気の気持ちが伝わったような気がしたからだろうか。


「・・・まだ恥ずかしくて寝ているときにしか言えないですけど、いつか必ず伝えます。これが私の想いだって。なので待っていてくださいね」


 あれ?もしかしてもう寝ていると思われてる?それならこのまま寝たふりを・・・いやダメだな、聞いてしまった以上返事をしよう。今の俺の気持ちを。そう思い、俺は出雲を少し強く抱きしめる。


「っ!シエルさん!?」

「ありがとう、俺も出雲が好きだ」

「~っ!あ、ありがとうございます。私もす、好きです」


 出雲の言葉と比べたら単純な言葉だったと思う、それでも俺の想いも伝わったと思うからよかった。俺はゆっくりと出雲の頭を撫でる。出雲は少しくすぐったそうにしていたが、少ししたら寝息を立て始めた。俺はと言うとしばらくの間撫でたり、出雲の寝顔を見たりしていた。かわいいから仕方ないな。


 とまあそんなことがあり、さらに夜も更けていった。

ちゃんと書けてただろうか、出雲の告白の部分は特に失敗していなければいいな。


あ、お風呂は宿の大浴場で銭湯みたいな感じです。ちなみにシエルは誰もいない時間に女湯に行っています。紳士だからね。

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