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最強魔導師は異世界で冒険者になります。  作者: 狂った機械仕掛け
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第3話  イリアル王国①

徐々にシエルのゲーム時代(黒歴史)のことが明かされたらなぁ~と思ってます

 翌日、外から聞こえる人々の声で目が覚める。この世界は朝早くから活動するのが普通なのだろうか、てか夜行性の俺にとって苦でしかないのだが。


「おはようございます、シエルさん」

「ふぁ~、おはよう。てか出雲って朝強いんだな、すでに準備してるし」

「前は弱かったんですがこの世界に来てからはこれが普通になったんですよ」

「あ、そうなんだ」


 やっぱり周りが早起きが得意だと自分もそうなるのだろうか、どちらにせよ俺はしたくないな。そんなことを思いながら装備欄とストレージを開いて服を着替える。昨日は猫耳パーカーだったから今日はうさ耳にしておこう。色違いの猫耳っていうのもあるけどそれは今度にしよう。

 俺は着替えた後、朝食をストレージから取り出しテーブルに置く。本日の朝食はストレージにあったオムライスとサラダです。どちらも元の世界では聞いたことない食材を使っております。


「さてと、とりあえず朝食にしようか」

「はい」

「そういえば、アヴァロンは?」

「えっと、その辺を走ってくるそうです。なんでも朝の鍛錬らしいです」

「へぇ~」


 しばらくして朝食を食べ終わると丁度アヴァロンが帰ってくる。なぜか食べ物を両手で抱えながら。あと口がもぐもぐしてる。買い食いかな?


「おかえり、アヴァロン」

「んむ」

「とりあえず早くそれ食べちゃって。食べ終わったらすぐにイリアル王国に飛んでもらうからね」

「んむ」

「え?しばらくこの国にいる予定のはずでは?」

「だったけど、あの勇者と会いたくないからさっさとイリアル王国移動します。異論は認めません」

「いえ、その理由なら賛成です」

「んむ」


 その後宿のチェックアウトを済ませ、何事もなくアルネイド王国の外に出て、イリアル王国へ向けて空の旅を始めることができた。国を出るとき後ろの方から騒がしい声が聞こえた気がしたけど気のせいだろう。


「さてとアヴァロン、どのくらいでイリアル王国に着きそうだ?」

「そうだな、今の速度だと夕暮れ時だな」

「そうか、じゃあ飛ばしてくれ。できれば昼ぐらいに着くように」

「了解した」

「え!これ以上速くしないでっ」


 俺に抱きしめられている出雲が文句を口にしたが、構わず速度が上がる。一応アヴァロンが魔法で風とか大丈夫なようにしているらしいが、それでもジェットコースターの何倍もの負荷が来ていて話しづらい。出雲に関しては飛んだ時から余裕がなく、ただひたすら耐えているだけだったりする。

 

 俺たちは平原や村を越え、大きな川を越え、また平原や森を越える。

 そして太陽が上に来るころ、俺たちは大きな外壁に囲まれ中心に城がある街、イリアル王国に到着する。もちろんアルネイド王国と同じように魔法で姿とかを隠して着陸し、ちゃんとした手順で入国した。

イリアル王国でもステータス確認されたが、機械の故障として処理された。この世界の入国審査は緩いのだろう。たぶん自分の身は自分で守るって感じなのだろう。


「イリアル王国に着いたことですし、さっそく冒険者になるためにギルドに行きます」

「は、はい・・・」

「うむ」

「昼食はその後ね。あと出雲はそろそろこの移動になれた方がいいよ」

「慣れたくないです」


 さて、入国したときに衛兵から聞いたからギルドに迷わず辿りつくことができたが。


「出雲ってギルド内だとどういう状況になってるの?」

「えっと、除名ですね。再登録できるんですけど登録料が銀貨一枚かかるらしくて・・・」

「なんだそれくらいか。ほい、銀貨」

「え、あ、はい。ありがとうございます」

「さてと、入りますか」


 俺が両開きの扉を開け、中に入る。ギルド内は受付、掲示板、酒場の三つに大きく分けられていてたくさんの冒険者がいた。特に酒場に。


「うん、まさしく冒険者ギルドって感じがするな。登録は受付でいいんだよな?」

「えっと、右は買い取りなので左側ですね」

「じゃあ行こうか」

「はい」

「うむ」


 受付の左側にはギルド職員が三人いて俺たちはそれぞれ個別に対応されるみたいだ。ちなみに俺を担当したのは20代ぐらいのお姉さんだった。


「冒険者ギルドへようこそ」

「えっと、冒険者登録がしたいんですけど」

「登録ですね。登録料に銅貨一枚かかります」

「わかりました」


 俺は受付のお姉さんに銅貨を渡すと必要事項を書く紙を渡され書くように言われる。紙には氏名、出身地、年齢、種族、職業、得意なことを書き込む欄がある。とりあえず氏名とかはステータスに書かれている通りに書いたけど、出身地はどうしようか・・・不明でいいか、現実の住所は異世界だし。


「あの、なるべく嘘は書いていただかない方がいいのですが」

「嘘は書いてないですよ」

「わかりました。ではこの内容で登録しますね」

「お願いします」

「ではこちらに手を置いてください」


 お姉さんにそばにあった変な機械が付いた四角い水晶に手を置くように言われたので手を置く。すると水晶が輝き、銅のプレートが機械から出てくる。

プレートには先ほど書いた内容とレベル、パーティー欄、討伐欄が書かれていた。パーティー欄と討伐欄はタッチするとプレートに中身が表示されるようだ。今はどっちも空欄だったから登録してからのしか反映されないのだろう。


「はい、これで登録は完了しました」

「ありがとうございます」

「えっと、では注意事項などをご説明しますね」


 説明されたことを簡単にまとめると、冒険者にはEからSSまでのランクがあり、ランクに応じてギルドから支援を受けれたり、難易度の高い依頼を受けれたり、依頼の優先権があったりするらしい。銅プレートの俺は一番下のEランクだそうだ。ちなみにAランクはそこそこいて、Sランクは各国に一人いるかいないかだそうだ。SSになると世界で5人しかいないらしい。そのうち二人がイリアル王国騎士団長とギルドの最高権力者のギルドマスターらしい。

 あとは依頼を受けるときはプレートと一緒に掲示板からはがした依頼書を受け付けに持ってくることや禁則事項や罰則についての説明、プレートの機能についてだった。なんでもプレートには倒した魔物が自動で登録されるらしくそれで依頼の成否を見るらしい。


「他には魔物の素材や採取依頼の納品はあちらの買い取り受付に持って行ってください」

「わかりました」

「では冒険者としてこれから頑張ってくださいね」

「はい、ありがとうございます」


 俺はそう言って受付から離れ、二人を待つ間掲示板を眺めていよう。今はEランクだからEか1つ上のランクのDの難易度の依頼が受けれるはず、ほとんどが採取依頼か-。あってもゴブリン狩りだしなー。

 そんな風に掲示板で時間をつぶしていると二人がこっちに来る。


「おかえり、二人ともちゃんと登録できた?」

「はい、この通り」

「うむ」


 そう言いEランクの証の銅プレートを見せてくる。


「それでこの後は依頼をしに行くんですか?」

「いや、行くなら宿で明日からの予定を立ててからだね」

「そうですね、久しぶりでついはしゃいでしまいました」

「はははっ、それじゃあ、宿探しに行こうか」

「はい」

「うむ」


 その後俺たちはギルドの受付のお姉さんに街で一番いい宿を聞き、そこに1週間泊まることにした。ちなみに一泊銀貨5枚だったからか出雲が節約しましょうとか言っていたが、宿は妥協したくないので無視してやった。


「さて、この一週間は依頼を受けて冒険者ランクを上げることに専念します。何か意見はありますか?」

「えっと、できれば報酬がいいやつを優先してほしいです」

「んーまあそうだな。じゃあ報酬も気にして受けることにしようか」

「はい」

「ところでシエルよ。我はそろそろ里に戻らねばならないのだが」

「あ~忘れてた。えっと、今日の依頼は一緒にやってもらっていい?」

「うむ、了解した」

「それじゃあ、昼食食べたあとに行きますか」


予定を立てた後、俺たちは宿の食堂で昼食をとり、依頼を受けるため再びギルドに戻って来た。


「さてと、まずは出雲がどのくらい戦えるか見るためにも、ゴブリン狩りにしようか。報酬は出来高制だし」

「えっと、依頼はいいんですけど。今私の武器がなくて・・・」

「じゃああとで聖剣渡すわ、ストレージに50本ぐらいあるだろうし」

「え!なんでそんなにあるんですか」

「いや、ゲーム時代にちょっとね」

「そ、そうなんですか」

「とりあえず、受付に行こうか」


 俺たちは掲示板に張られているゴブリン狩りの依頼書をはがし、受付に持っていく。


「ゴブリン討伐の依頼ですね。えっと、みなさんはパーティーを組んでいるのでしょうか?」

「あ、まだ組んでないですね」

「では今パーティーを組んでもらってもいいでしょうか」

「わかりました。えっと・・・」


 確かパーティーを組みには互いのプレートを軽くぶつけるんだったな。・・・よし、プレートのパーティー欄に出雲とアヴァロンの名前と職業、レベルが追加されたな。てかアヴァロンのレベルが426Lvなのは大丈夫なのだろうか・・・まあいっか。


「組めましたね。では代表者一名のプレートをお預かりしてもよろしいでしょうか」

「あ、はい。どうぞ」

「ありがとうございます」


 受付のお姉さんは俺のプレートを受け取ると、レジみたいな形の機械にプレートを差し込み、カタカタと何かを打ちこんでいる。たぶんさっき説明された依頼前のプレートの確認と記録なのだろう。


「・・・はい、依頼の申し込みは完了しましたのでプレートをお返ししますね。では頑張って来てくださいね」


 俺たちはギルドをあとにし、ゴブリンの出る近くの森にやってきた。確かコポルの森と言うらしく、ゲーム時代の時にはなかった名前だ。まあ、ゲーム時代に名前の知っている森とかのほうが片手で数えれるほどしかないけど・・・


「では、ここに出るゴブリンを片っ端から駆逐します」

「うむ」

「えっと、それって全滅させるってことですか?」

「そうとも言う」

「・・・」


 出雲が何か困ったような苦笑いをしているけど、そんなこと考えていられるのも今のうちだろう。なんせこの後は休む間もなくゴブリン狩りする予定だし、俺の中では。


「とりあえず、出雲の武器だけども・・・」

「あ、そうですよね。一応魔法は少しなら使えますけど」

「いやいや、勇者なんだから聖剣使わすに決まってるじゃん」

「そうですよね・・・」

「で、どれがいい?」

「え!?」


 俺はストレージから聖剣を約50本ほどガシャンガシャンと地面に出す。


「あの、シエルさん。さっきのって冗談じゃなかったんですね。というかこの聖剣はどこで手に入れたんですか!?」

「えっと、確かゲーム時代に勇者から入手したやつだな。まあそんなことより早く一本選んで」

「そんなことって・・・」


 出雲はしぶしぶ聖剣の山から一本選び始める。何かぶつぶつと愚痴らしきことを言っている気がするけどまあ気にしなくていいだろう。


「じゃあ、これで」

「ん、おけ。じゃあそれあげるから、頑張って戦い続けようか。目標は50匹ぐらいで」

「え!?」

「それじゃあ、アヴァロンはゴブリン以外のやつを適当に狩ってもらえる?」

「うむ、了解した」

「あの、シエルさん。さすがに50匹はちょっと」

「出雲はひたすらゴブリン倒し続けてね。魔法で呼び寄せるから」

「え!?」

「じゃあ、森の中へ出発~」


 俺たちは森の中に入り奥へと進んでいると、途中ゴブリンやオーガが出てくるが、オーガはアヴァロンに瞬殺され、俺のストレージにドロップアイテムが入ってくる。経験値もゲームの時と変わらず入るみたいだ。でゴブリンの方はと言うと・・・


「ほら出雲、今度こそ倒してみて」

「え、あ、ああ・・・」


 うーん、やっぱり元の世界でのトラウマがあるのか、剣で攻撃するどころか、アヴァロンが倒したオーガの死体とか血とかも見ないようにしてるな・・・まあしょうがないか。俺もそこまで平気ってわけじゃないし。

 萎縮して動けない出雲に襲い掛かってくるゴブリンを<ファイヤーボール>とかの魔法で軽く倒しながらそんなことを考える。


「あ、あのシエルさん。やっぱり私・・・」

「いや、気持ちは分からなくもないけど・・・とりあえず今日は引き揚げようか」

「・・・はい」

「了解した」


 まあ、ゴブリンは予定より40匹ほど少ないけど、オーガ10体ほど倒してるから今日は終わりにしてもいいだろう。それに出雲が辛そうだし。

 

 街に戻った俺たちはギルドで依頼の報告をし、報酬の銅貨3枚と銭貨5枚を受け取る。ゴブリンとオーガ10体ずつでこれは少し少ない気がするが、ここでは普通らしい。

 その後俺はアヴァロンを龍の里へ送還し、出雲と宿に戻って来た。出雲はと言うと、森から帰って来るときからずっと暗いままで、今はお互い向き合うようにベッドに腰掛けているけど出雲はうつむいている。


「さてと、出雲」

「・・・はい」

「剣で戦うのは無理そうかい?」

「・・・」

「無理なら他の方法もあるけど、勇者だから聖剣による攻撃が一番なんだけども」

「・・・」

「・・・」


 う~ん、やっぱりこういうのは苦手だ。・・・よし。


「よし、出雲。じっとしてろよ」

「・・・ふぇ!?」


 俺は意を決して、出雲を抱きしめ、その勢いでベッドに押し倒す。当然出雲が驚きの声を上げ起き上がろうともがく。・・・俺の方が筋力低いから逃げられそうになる。


「んぅ、シエルさん除けてください」

「いやだ、もうこのまま抱きしめたまま寝るから」

「いや、何でですか!?」

「ん~俺がそうしたかったから?」

「なんですかその理由」

「あとこうした方が出雲は安心してくれると思ったからかな」

「・・・」

「なんか他の人の心音聞くと安心できるって聞いたことあったからやったんだけども。どう?」

「・・・」


 ・・・なんか勢いでやった感じがあるけど、結構恥ずかしいぞこれ。もうこのまま寝るしかないか。


「・・・シエルさん」

「ん?」

「しばらくこのままでいてもいいですか?」


 うーん、なんかさっきまで悩んでたことがうやむやになったけど、まあいいか。


「いいよ。もちろんそのまま寝てしまっても構わないから」

「・・・ありがとうございます」


 そう言って出雲は俺の胸に顔をうずめ眠り初めた。・・・やばい、かわいすぎるわ。俺は抱きしめる力を少し強め、眠ることにした。

「ところでシエルさん」

「ん?」

「シエルさんって少しですけど私より胸あるんですね」

「ふぇ!?」

「なんかずるいです」モミモミ

「あの、出雲さん。それ地味に痛いんでやめてくれませんかね」

「いやです」キッパリ

「そ、そうですか」

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