第1話 第一村人はわけあり勇者でした。
読みにくいかもしれませんが、がんばって進化していきますのでゆるしてください
( *・ω・)*_ _))ペコリン
「ひっ、ひっ、ふー。ひっ、ひっ、ふー」
よし、誰に突っ込まれるでもないけど、ラマーズ法という深呼吸で落ち着けたと思う。
うん、なんかむなしい。
「さてと、まずはこの荒地から出るとして。遠くに森らしきものが見えるから、とりあえずそっちに行くとするか。できれば人と出会えればいいな」
おれはとりあえずの目標をたて、立ち上がる。すると、ストンとズボンが落ちる。
「ふぇ?」
あれ?なんか声高くね?
恐る恐る自分の姿を確認してみる。まずは服装、白い生地に金の刺繍で龍が施されたローブ、中にはぶかぶかの黒いシャツ。先ほど落ちたズボンにブーツ、アクセサリー類はブレスレットや指輪が合計8つほど。近くにある杖に魔女っぽい帽子。
完全に”シエル”の装備と一致する。
そして、俺の体はと言うと、雪のように白い肌、細くすらりとした四肢、全体からみても華奢な感じがするだろう。髪型は触った感じ少し伸びて肩を過ぎるくらいまで来ている。あと前から白髪なはずなのに、なぜか前髪の一部が黒色になっている。
身長は以前の”シエル”が176㎝ぐらいのキャラでローブが足首より少し上だったけど、今は引きずってしまうからその分縮んだみたいだから160㎝ってとこかな。
「とりあえずズボンとローブは持つとして、彼シャツ状態だよな・・・見た目はかわいいと思うからいいか」
俺は森へ向けて荒地を歩きながらいくつかの疑問について考え始める。
何でロストしたはずの”シエル”の装備を持っているのか。
俺が目覚めたこの荒地は何なのか。
この二つについては答えが出ていると思う。それは”シエル”の自爆で辺り一面消滅したことで出来た荒地、そして噂のゲーム内転生を”シエル”がしたからこの姿がある。
そう考えると納得いく反面、いろんな疑問ができる。
たとえばこの姿でゲームの時と同じ魔法が使えるのかだけど、何故か使い方や効果が自然と思い浮かんで来ることから使えるのだと思う。
他にはなんで俺が”シエル”になっているのかとか、自分以外のプレイヤーがこの世界に来ているのかなど。まあいずれ解決するだろうから今は放置しておこう。
とりあえずは目先の問題を解決する方が先だろう。
「さてと、とりあえずは今の服装を何とかするのが先だから装備の手直しをしたいから、まずは安全地帯を見つけないと、ん?」
そういえば魔法が使えるんだから転移ができるんじゃないか?
「えっと、<転移>」
・・・できないか、まあこっちの世界でまだ町とか行ったことないもんね。仕方ない仕方ない。
さて、次はメニューにあった機能の確認をしよう。
「メニューオープン・・・開けメニュー・・・」
反応なし・・・じゃあ個別のステータスとかストレージとかでやってみよう。
「ステータスオープン」
=====================================
名前:シエル 職業:魔導師 性別:女 年齢:18才 種族:吸血姫
Lv:1 HP:120/120 MP:30150/30150
筋力:1 体力:40 知力:423 精神力:2
物理攻撃力:1 物理防御力:1(+720) 速度:30(+30)
魔法攻撃力:2833(+1650) 魔法防御力:1648(+1400) 幸運:53(+52)
称号:『最強と呼ばれし者』『収集家』『魔法マニア』『職人』『勇者(仮)』
=====================================
お、開けた。えっと・・・筋力、体力、知力、精神力、称号が変化してるな。てか筋力が低いから物理攻撃力も低いのはまだわかるけど、精神力が2って言うのはひどい。
というか噂と違うんだな、噂通りだと全部初期値に近いと思ってたけど。実際は一部だけが極端に低いだけなのか、てか装備なかったら紙防御以下になりそうだ。
あと称号については勇者(仮)ってのが引っかかる。他は当てはまってるからいいかな。
じゃあ次。
「ストレージオープン」
=====================================
検索:「 」
アイテム
【消費アイテム】【素材アイテム】【課金アイテム】【イベントアイテム】
装備
【武器・盾】【防具】【アクセアセサリー】【アバター】
所持金
「白金貨」×50「金貨」×6「銀貨」×2「大銅貨」×1
=====================================
おお、開けた。所持金が金貨とかに変わってるけど問題ないか。街に行ったときに価値を知る必要ができたけど。
とりあえずタッチできるのかな?とりあえず【消費アイテム】の欄を押してみよう。
=====================================
【消費アイテム】
「最上級HPポーション」×60
「フルポーション」×5
「エリクサー」×20
「世界樹の果実」×5
~~~~~~~~~~~
「カブ」×100
「みかん」×100
=====================================
やっぱり多いな、なんか最後の方のアイテムとか覚えてないものが多かった。
課金でストレージ最大にしたせいかな。素材の方が多い気がしてきた・・・
こういうのってアイテム検索できるから問題ないか。
あとメニューにあったやつは・・・スキル一覧とマップかな。
マップはメニュー以前に画面端にあったからなくなっていると思う、じゃあスキル一覧かな。
「スキル一覧オープン」
=====================================
職業
【魔導師Lv10】【魔法使い★】【魔術師★】【召喚術師★】【死霊術師★】【降霊術師★】【退魔術師★】【聖職者★】【錬金術師★】【勇者★】【使役術者★】【賢者★】【僧侶★】【妖術使い★】【奇術師★】【呪術師★】【占い師★】【軍師★】【精霊使い★】【鍛冶師★】【裁縫師★】【大工★】【採掘師★】【木こり★】【釣り人★】【仙人★】【巫・巫女★】【付与術師★】【結界術師★】【薬師★】【料理人★】【忍者★】【奇術師★】
=====================================
「うわっ、おれってこんなに極めてたんだ。しかも生産系まで」
なんか、詳細見たくなくなった。とりあえず後回しだ。
さて、そんなことをしているうちに森に到着。まずは安全に休める場所、もしくは人に会うこと。それも出来ないなら森を抜ける。てか森抜けた方が最初の二つが簡単に達成できる気がする。
「よし、森を抜けて街に行こう。ゲームの時と同じなら方向は分かるから問題ないな」
俺は森に入り、杖を振り回して草をかき分けながら進んでいく。
しばらく森を歩いていると近くで滝の音が聞こえてきた。
「水場が近くにあるのか、もしかしたら休んでる人がいるかもしれないし行ってみるか」
少し歩くと、森が開けていて滝が流れてくるぐらいの大きさの湖に着いた。ちなみに周りは人がいた形跡もない。
「人はいないか。まあこんな森の中にいるわけないか、ゲームの時でさえ来る人なんてもの好きぐらいだし。とりあえず休憩~」
俺は湖から少し離れた場所に座り、ストレージにある装備の確認をしていると、ドボンと大きな水音が聞こえた。
「きゃっ!びっくりしたー。てかきゃってなんだよ、きゃって」
音のせいで自分でもびくっりするほどの女っぽい声が・・・まあ今更か。
「そんなことより、何が落ちたんだ?丸太かな?」
気になって湖に近づくと、人が浮かんできた。しかもまったく動かない。
「・・・あれやばいよね。こんなゆっくりしている場合じゃない、早く助けないと」
俺は湖に入り、浮かんでいる人を岸まで引っ張り上げる。てかこの湖意外と深くて大変だった。
助けたのは灰茶髪のセミロングで身長150㎝ぐらいの美少女だった。
とりあえず呼びかけながら頬をぺちぺちしてみる。
「おーい、おーい。死んでるか?おーい」
反応なし、てか息している感じがしない。こういうときって人工呼吸と心臓マッサージだよな。だけど異世界で魔法があるんだから使ってみたいきもするが。
「美少女とキスするチャンスだ!とか思ってしまったので人工呼吸しますか」
「ごほっ、げほっ。ううっ、あれ?」
少女の顔に手を当てると、少女がせき込み目を開ける。もちろんバッチリ目があいましたとも。
とりあえずそっと離れる。
「お、おはようございます」
「えっ?えっと、おはようございます?」
「とりあえず、深呼吸して落ち着こうか」
「あ、はい」
少女の深呼吸は普通のやつでした。そりゃあひっひっふーとかやらないよね。
「落ち着いた?」
「は、はい」
「それでなんであんな高いとこから落ちたの?」
「え、えっと・・・」
なんで口ごもるのだろうか、普通に足滑らしたとかだと思うけど。もし自殺だったらマンガみたいなこと言ってみよう。
「その、飛び込み自殺を・・・」
「は?自殺?」
「はい・・・」
まさかの自殺でした。
「えっと・・・」
「あの、もういいでしょうか。失敗したのでもう一回自殺してこようと」
「はぁ?何言ってんの、ダメに決まってるでしょ」
「な、何でですか。あなたには関係のない話」
「いや、関係あるから。もうおまえ俺のものだから」
「は?」
い、言ってしまった・・・ええいもう自棄だ。完璧な演技してやるぜ。気分は主演だ。
「だって、おまえはもう自分の命を捨てたんだから。それを拾った俺のものでしょ」
「・・・」
「だから勝手に死ぬことは絶対に許さないから。あと俺のためとか言って死ぬのもなし」
「なら私はどうすれば、もう死ぬ以外何も」
「俺のためだけに生きればいい」
「っ!」
さあ、どうだ。普通なら「いや、ないわー」ってなるぞ。俺なら殴ってしまうね。てか言っててすごく恥ずかしいんだけど。もうこの場から立ち去りたいんだけど。
「じゃあ私の居場所になってください」
「えっ?」
「私のこと裏切らないでください」
「・・・」
あっれ~おかしいぞ~なんでこうなった?しかもつらそうな顔してるし。えっと、こういう時どうすればいいんだっけ?えっとーえっとー
「何でもします、だからっ!あっ!」
「もう俺のものなんだから、そんなこと言わなくていいよ。ちゃんとそばにいるから」
「・・・はいっ!」
抱きしめてしまいました。それもキザなせりふ付きで。完全にノリに流された気がする。
少女も俺を抱きしめ返してきて泣き始めてしまった。
「えっと~とりあえず、お互いびしょ濡れだから着替えようか。このままだと風邪ひきそうだし」
「・・・はい」
「あの~離してくれるないと着替えれないんだけど」
「・・・」
「どこもいかないから、ねっ」
「・・・はい」
「とりあえず俺は後ろ向いてるからこれに着替えちゃって」
しぶしぶ離してくれたのでストレージから着替えを取り出し、少女に手渡す。その後俺は後ろを向いて、来ていた衣服を脱ぐ。そこでふと気になることが思いつく。
「あ、これってステータスの装備欄で着替えれないのかな?」
すぐさま装備欄を開き実験してみる。
=====================================
装備
【全装備解除】【反映】
武器:なし(流星群の宝杖)
頭:なし(ブラックハーツのウィッチハット)
右腕:星屑の腕輪・法皇の腕章
左腕:ネビュラドラゴンの鱗片・精霊の腕輪
上半身:なし(ブラックハーツのTシャツ)(星と龍の法衣)
下半身:なし(ブラックハーツのチノパン)
脚:なし(ブラックハーツのブーツ)
アクセサリー:星の指輪・陰陽印・天の指輪・ブラックハーツロザリオ
=====================================
よし、開けた。たぶん()の中のやつは装備してるけど今裸だからだろう。とりあえず、全装備解除してからストレージの装備を装備欄に移動させる。
=====================================
装備
【全装備解除】【反映】
武器:流星群の宝杖
頭:シルフィ―ドの羽飾り
右腕:星屑の腕輪・法皇の腕章
左腕:ネビュラドラゴンの鱗片・精霊の腕輪
上半身:黒猫の姿隠し
下半身:ブラックハーツのホットパンツ&ニーソックス黒
脚:妖精のブーツ
アクセサリー:ブラックハーツロザリオ
=====================================
そして、反映させると、袖なし猫耳パーカーに長袖のボーダーシャツを着た姿になる。一応ボーイッシュな感じになるようにしたけど、ステータスの面ではほぼ紙装甲と言っていいぐらいだと思う。なんせ確認したら防御力の+値が物理魔法どっちも150くらいだし。
「あの、着替えました」
「わかった、じゃあそっち向くから」
「あの、どうですか?」
「うん、似合ってる似合ってる」
少女は俺がゲームの頃に遊び半分で作ったワンピース風ドレスアーマーを着ている。結構かわいいと思う。ちなみにブラックハーツシリーズもオーダーメイドだったりする。
「さてと、まずは軽い自己紹介でもしようか」
「はい」
「俺はシエル。最強の魔導師だ」
「えっと、私は東雲 出雲っていいます。約八か月前にこの世界に召喚された勇者でした」
「ん?この世界に召喚されたのか?」
「そうですね、なんでも勇者召喚で勇者になれる人を呼び出したらしいです」
「なるほど。それはどっかの国の王様とかがやったって感じでいいのかな?」
「はい、確かイリアル王国って場所だったはずです」
「イリアル王国か・・・」
国で勇者召喚なるものを行っているのか。たぶん他の国もやっているのだろう。
「あの、私からもいいですか?」
「ん?何?」
「えっと、さっき何もないところからこの服とか取り出してましたけどそれってなんですか?」
「え?もしかしてストレージって知らない?」
「はい」
「とりあえずストレージオープンって言ってみて」
「えっと、ストレージオープン」
「どう、何か出てきた?」
「いいえ、何も」
ふむふむ、召喚された子は開けないのか、それとも元々ないのか。
「とりあえずストレージってのはゲームとかにある持ち物欄とか、いつでもアイテムを取り出せる倉庫みたいなものかな」
「なるほど」
「ところでセカンドライフっていうゲーム知ってたりする?」
「ごめんなさい、知らないです」
「ん、おけ」
つまりゲームのプレイヤーだけの機能なのだろうか。他のプレイヤー見てないからわからないけど。
「じゃあ召喚されるまえから今に至るまでのことを教えてもらえるかな?」
「あ、えっと、どうしてもしないとだめですか」
「できれば話してほしい」
「・・・わかりました。話します」
出雲の話をまとめるとこうだ。召喚前は普通の高校生として生活していたが、父親がクズだったらしい。それである日突然、刃物を持った父親に襲われて、何度も殴られたり刺されたりして死んでしまったらしい。
それで気が付くとイリアル王国に魔王を倒すための勇者として召喚されていたらしい、しかも出雲も入れて勇者は三人召喚されたそうだ。しばらくはイリアル王国で剣などの基礎訓練や王国周辺でレベル上げをしていたそうだ。ちなみにステータスは見れるらしい。てか勇者になるために必要な聖剣がイリアル王国に三本あったのが驚きだ、ゲーム時代でさえプレイヤーが血眼になって探しても100本もなかったのに。
召喚から三か月後、王国が用意した冒険者三人とパーティを組んで魔王討伐を目指していたらしいが旅立って二か月後にパーティを組んでいた冒険者三人が突如、聖剣や旅道具を持ってどっかに行ってしまい、残されてたのは冒険者が旅立つときに王様から渡されたらしい手紙と冒険者からの書置きだけだったらしい。
書いてあった内容はどこか遠い地で出雲を処分しろと言うことだった。理由は訓練の時全然見込みどころか邪魔でしかなかったからだという。刃物や血、大柄の男に対して恐怖を抱いてたそうだ。だけど今は少し慣れてきたらしい。
その後三か月ほど、この世界にある冒険者に仕事を斡旋するギルドと言う場所で依頼を受けていたそうだ。またその時も騙されたり、寝ている間に金品盗まれたり。終いには詐欺師のせいでギルドから冒険者としての資格を剥奪されて働けなくなったらしい。
それから今いる森の調査を募集してたらしくて、それに参加して奥まで来たけど魔物に遭遇したときに囮にされて、何とか逃げ延びて今に至るらしい。
なんかもう不憫すぎて途中から抱きしめて頭撫でてたわ。
「あの、シエルさん。苦しいのでそろそろ離しくれませんか」
「敬語禁止。タメ口で話すまで抱きしめ続けるから」
「わ、わかったから。もう離して」
「よし、それじゃあ昼ごはんにしようか」
「は、はい」
さっきストレージを見たときにあった、料理を取り出す。取り出したときに温かくていい匂いがしたから問題なく食べれるだろう。
「いただきます」
「い、いただきます」
ちなみに献立はグレートミノタウロスのカツ丼だ。そのことを出雲に言ったとき微妙な顔をしてたけど、一口食べたらおいしいと言って完食してたのは言うまでもないだろう。
今は食後に不思議な味がするミックスオレを飲みながら今後について話している最中だ。
「さて、とりあえずは近くにあるはずのアルネイド王国に行くってことで」
「・・・ん」
「じゃあ飲み終わったら行きますか」
「・・・ん」
さてと、出雲がまだ飲んでいる間に移動の準備をする。具体的には召喚術で空を飛べるヤツを呼び出すことだ。
「とりあえず、一番強い龍でも呼ぶかな。えっとこうかな・・・<サモン:龍王アヴァロン>」
発動したのは<召喚:龍の長>だけど詠唱の部分は呼び出す相手の名前らしい。ちなみに呼び出したのは真っ赤な巨竜のはずだったのだが。
「久しいな、シエルよ」
現れたのは、神主のような和服を着た20代の青年だった。
出雲はかわいい(*´艸`*)