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白物魔家電 楓(しろものまかでん かえで)  作者: 菅康
第弐章 予備備品室の幽霊譚
17/115

新たなる旅立ち(その弐)

 楓のご主人との共同作業が遂に行われる、です。これが終われば次の作業は、ウエディングケーキ入刀、ですぅ。


**

 最強最悪の式神"千丈Bくん"が現れる、対処のできない先輩二人に対して、立ち向かうことが出来るのは、2人羽織り状態の主人公のみ。果たして...

**

 霧先先輩と五条先輩の再会が果たされた。


 霧先先輩の願いが叶ったことに喜び、俺は五条先輩が話す式神について聞いた。そして五条先輩は1体の式神を造り出した。


 その式神は、俺こと千丈蔭とそっくりの容貌をしていて、五条先輩の手を離れ暴走を始める。

 果たして我々は、生き残ることが出来るのだろうか。


 **

 新たなる旅立ち(その弐)

 017


 破壊された壁穴を手が掴んだ!? その後に千丈Bくんが顔を出す。その表情は先程と全く違って、大きく変わり果てていた。


 えっと...顔が崩れてます...ゾンビかよっ!?


 顔面は右半分の皮膚がずり落ちていて、頬から垂れ下がり首元に達している。左半分も表皮が無数の斑点におおわれており、土気色になった。




「ご主人さまが大変なことにぃ、ですぅ」


「おいっ! どう見ても、あれは俺じゃないだろぉ」


 また忘れてた、楓が後ろにくっついてたんだ。

 バイブレーションの振動も、慣れるとマッサージのようで気持ちよかった。しかしこいつは呼吸をしていないので、後ろにくっついていても違和感がない。


 肩コリに有効な家電だ!

 新たな楓の良いところを見つけた。




「お前をぉぉ、ぶぅぅっ殺しこぉして、おれさまぁが...入れぇ変わぁるぞぉぉぉ」


 おいおい!

 こんなの、俺と入れ変われる訳がないだろ⁉


 絶対にクラスに馴染めません。




「あれを...ご主人様と、呼べとですか、です!? いやあぁぁぁ」


「だーかーら‼ あんなのと一緒にするなっ!」


「ですよねっす、ですぅ! では、殺りますか。一心同体状態は無敵、ですよぉ」


「俺が危ないから、分離しない?」


「却下、でーす、力が出ないっす、です」



 午前は普通に戦ってたじゃん!

 だが背に腹は変えられないので、諦めよう。


 殺されたらおしまいだから。


 そんなやり取りを、2人羽織スタイルの俺達がしている間に正面から千丈Bくんは、向かってきた。




「よし! 楓来たぞ」


「ご主人っ!?」


「なんだ、どうかしたのか?」


「前が見えないっす、ですぅ~」



 背の低い楓が背中に張りつけば、完全に俺の影に入ってしまう。正面から姿は隠れて見えない。同時に楓も正面が見えない。


 見えないだけに盲点(・・)だった...




「魔家電なんだろ! 透視センサーとか無いのかよ‼」


「あるです、ですぅ。でも視覚が効かないのはつまんない、です」


「透視出来るならいいだろ! つまらないなら離れろぉ!?」


「ちっ、ですぅ」



 俺の脇の下から、楓が両腕を出した。


 (みじか)っ‼


 俺の背後から、脇の下を通して出た楓の腕は肘しか前に出ない。

 ついに、千丈Bくんは正面に立ち、覆い被さろうとしてきた。



「よこぉぉせえぇぇぇ」


「うっさい、ですぅ」


「おぶふぅ! ーおぉああぁぁーーー」




 左手の拳を握り、そのまま腕が伸びて千丈Bくんをぶん殴った。相変わらず滅茶苦茶だ。楓のパンチは相手の右腕を肩から粉砕して突き抜けた。



「騙しやがって許さん、です。ご主人密着するっす、です」


 楓の脚が腰に組み付いた!

 まるでジェットコースターの固定バーに挟まれたようで、上半身が全く動かない。



「楓百烈拳、でーすぅぅぅ」


 腕の伸縮が猛烈さを極めた!!


 それは、ガトリングガンのようだった。前に立つもの全てが、まるで紙くずのように吹き飛ぶ、消し飛び、弾けちった。


 目と鼻の先で、その光景を見せられる俺は、たまったものではない!


 気がつくと、俺は心の中で"笑っていた"

『あははははっははっぁああぁ』


「はははははっぁはっは...」


 実際に声に出して笑っていた!


 すでに、目の前から千丈Bだった物は消失している。

 壁に空いたひと1人分の穴だけが、そこに居た千丈Bくんが幻ではなかった事の証明だ。



「あースッキリっす、です」


「...それは良かったな、しかし見事に...なんにも残らんな」


「楓のパンチは、物理的で魔導的な破壊力を持つ、ですよぉ。あの手の存在は、お任せ下さいっす、です」


「ああ...任せた」



 関わらないのが一番だけどな。俺は結局、何一つしないで突っ立ってただけだな。


 でも、考えたところで出来ることなど何もない。


「さすがね、千丈くん」



 霧先先輩の目は節穴ですか?


「ああ、よくぞあれだけの式神を撃退できたな、なぜか俺の産み出した以上の式神に成り上がっていたぞ」


 うん! 全部あんたのせいだろ!?



()ったのは俺じゃないです、こいつですよ」


 くるりと背中を両先輩に向けた。

 しっかりと背面にくっついた楓を見せた。



「そうだな、だがお前がしたようなもんだろう、それにしてもすごい存在(・・)を持ってるな」


「存在、ですか? 」



 やっぱり楓のことを言ってるんだろうな。

 楓は、普通に同級生として紹介したけど...



「そりゃそうだろ、人間の構造上あんなことが出来るわけない。それに、おかしすぎるぞ」


「まあ、ごもっともです」



 あの状態を見て、普通の女子高校生と理解する方が異常だな。返答に困り、黙り込んでいると五条先輩は話し始めた。



「俺たちのように力の使い方を学んでくると、ある程度なら自分の力を制御すると同時に、身近の人間の力を多少なりとも読めるのだ、人ではない何かということは、始めからわかっていた」


「そんなのが、わかるものなんですか?」



 おかしすぎると言う意味は、人体の構造の話ではなく。

 楓の内部構造の事を指すようだ。



「ああ、幽体の今の方が、より力が感じやすい。肉体という枷が無いせいかも知れない、それに、千丈お前も普通ではあり得ないぐらいの力を内に持っているからな。これは、なんというか魔力と言ったり、法力と呼んだり、時と場所によって変わるが、本質的に同じものだと俺は考えてる。その力がお前には溢れている」


「俺は超能力者だったんですか?」


「そうは言ってないぞ。例えるなら、運搬積載量が満タンのタンクローリーの車両があるとする」


「...はあ」


「だが、運転手が居ない、そんな感じだ」



 この兄妹は、例えが上手いな。確かに、運搬が出来なければ、ただの積載車両だな。運転手が運んで初めて意味を持つ。


 要は使い方、運用方法が無いということか。




「俺にもその...魔法のようなものを使えるようになるんですか?」


「俺にそこは解らない、使えるかもしれないし、使えるないかもしれない、それに血族の秘伝を教える訳にはいかない。他の方法でも通信教育は無いだろう。たとえあっても詐欺だろう」


 確かに、そんな通信教育を受ける気ない。

 "誰でも簡単に魔術や魔法を30日で修得"なんて、たとえ本物だったとしても疑う。


「そうですね。まあ、聞いてみただけです。使えなくても困りませんし、どちらでもいいのが本音ですから」


「千丈、お前自身が使う必要ないだろう、その為の楓だろう」


「へ?」


 何だって、どういう事だ?

 五条先輩の発言で、俺の頭は混乱の一途をたどった。

**謝辞ぃ、です**


感想欄にコメントを頂けた"菱川あいず"さまぁ~楓達を全部お嫁さん、ですかぁ、欲張りさんですねぇ、生まれ故郷の製造メーカーにも、在庫僅少となっている、ですぅ。早めの購入で助けて下さい、ですよぉ。末永く大事にしてください、ですぅ。


本日もお越しくださった皆々様には感謝、感激の大漁旗ぃ、ですぅ。


**

なお、最新投稿はTwitterで投稿時期をお知らせいたします、です。http://twitter.com/yasusuga9

ご意見、ご感想は"楓"が責任を持ってご主人に良いことだけお伝えするっす、ですよぅ。

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