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白物魔家電 楓(しろものまかでん かえで)  作者: 菅康
第弐章 予備備品室の幽霊譚
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魔家電の実力(その弐)

 ついに楓の実力が発揮されたっすよぉ、です。だが、楓の貞操のピンチ、ですぅ。

読破するのは貴方様、ですぅぅ!!

 白物魔家電楓の能力が炸裂した。暴れまわる男子生徒の幽霊を攻撃した楓は、上半身を吹き飛ばした。


 勝ち誇る楓を男子生徒の下半身が襲う。油断した楓は攻撃を受けてしまい、その隙に逃げられてしまった。

 慌てて、後を追いかけようとした俺を引き止めたのは楓の叫び声だった。


 **

 魔家電の実力

 011



 なんだ、怪我をしたのか?


「どうした、楓っ…」


「せっかくのブルマーが、ですぅ」


「……ちっ!」


「裂けました、です。ここっす、ですぅ」


 振り返った俺にお尻を向け裂けてしまったブルマーを説明する楓がいた。下着は無事なようだ。ピンクの布地が裂けた所から覗いている。正直どうでもいい…ロボに欲情などはしない。


 楓の下着を見ても、ベランダに干されている洗濯物を見る程度の感覚だ。


 それにしても、さすがドンキのフェイクブルマーだな。見た目は完璧だが、生地が薄っすい。


 おっと、それどころじゃない。あんな下半身だけが校内を走り回ってたらパニックが起きてしまうだろう。考えるだけで恐ろしい。


「………なんでぇぇ!」


 霧先先輩の疑問の叫びが室内に響く。その横顔は悲しみの感情が溢れて今にも泣き出しそうだった。


「とりあえず、先輩追いかけましょう、捕まえてここに戻さないと」


「無理よ、もう気配が消えてしまった。私たちから離れて何処かの影に潜り込んでしまったみたいなの」


「わかるんですか?」


「だいたいの大まかな気配だけ。例えるなら、目に見えない右翼の街宣車みたいな感じかしら。だから、今は音源を切って路地裏に入った。みたいな……」


 すごく分かりやすい。そりゃ探せないっすね。


「じゃあどうしましょうか? 」


「また気配が復活するまでどうしようもないわ。とりあえず戻りましょう、後で必ず見つけるわ」


「何処に戻るのですか?」


「あなた達は、ここに何しに来たの? 本来の目的を終わらせてから、放課後またここで対策を考えましょう」


「本来の目的?……あっ! ヤバイぞ!?」


 俺はここに来た本来の目的を思い出した。


 花咲の机を取りに来たのだった…

 時刻はもう3時限目の半ばを過ぎている。


 だが過ぎたことは仕方がない。でも……どうすっかなぁ?


 そうだぁ!!花咲が机の下敷きになったことにして言い逃れをしよう。担任教師も俺達に取りに行かせる指示をしている以上、事故の責任はある筈だ。そう言い訳すればなんとかなる気がする。


 ちょうど失神してるしな。さて、もうひとつの問題、楓の裂けたブルマーをどうするか?


「なあ、楓はそのまま授業に途中参加できるか?」


「うえぇぇぇ、ですぅ! それはマジで恥ずかしい、ですよぉ」


 そりゃそうだな。

 ブルマーは残念ながら俺は持ち合わせていない。

 そこで、もうひとり女子生徒がいることを思い出す。


「霧先先輩ぃ、ブルマーを貸してください!」


「ええっ!! ブルマー? 持ってないわよ」


 霧先先輩はほんのりと頬を染めて返答を行う。


「ほら、楓からもお願いしろよ」


「ご主人がそれを望まれるなら、です。………おらぁぁぁ!!! ご主人がご所望だ、さっさとブルマーをだすがいいの、です」


 いきなり楓は先輩に掴みかかって、凄い勢いで恫喝を始める。

 それが先輩にお願いする態度だろうか?


 俺は慌てて止めに入った。


「きゃんっ、ですぅ」


 手刀を楓の脳天に炸裂させる。


 ん!?………いってぇぇ!?

 こいつ頭蓋骨がめちゃくちゃ固ってぇ。


「ご主人あんまり、です。楓はご主人のご指示に従ったまで、ですぅ」


「いや、それは先輩にするお願いの態度ではないぞ!」


「じゃあ、ご主人こちらで我慢なさってください、ですぅ」


 そう言って楓はお尻の部分が裂けたブルマーを脱ぎ出した!?


「なにしてんの? 止めろって! 何でお前が脱いでるの」


「楓のブルマーではご主人に満足頂けないと解っている、ですぅ。でも、これでなんとかお許し下さいっす、です」


 楓は脱ぎたての破れたブルマーを俺に押し付けてきた。


 こんなの要らないよ?

 ブルマー片手に固まる俺の視界の端に、無表情で立つ先輩が見えた。


 霧先先輩のさくらんぼのような紅い艶やかな唇がゆっくりと開いて、きつい言葉が紡がれる。


「ここまでの外道とは、私もかなり引いたわ」


 霧先先輩は、俺から数歩ぶんの距離を取った。


 手で口許を隠している。同じ空気を吸いたくないというジェスチャーでかなり傷ついた。


 誤解も甚だしい、なぜこうなった? 心に響くなぁ…


「楓の替え用体操着としてですよ!? 先輩から楓に貸し出して戴けないかとぅ…おもうぅ、…おもったんですよぉ」


 なんだか泣きそうです。と、言うか涙が少し出ています。


「なんだ、そう言えば良いのに。いきなりブルマーとか言うからビックリするわよ、そもそも体操着は女子も短パンでしょう」


 あっ、そうだった!?

 自分で楓に女子体操着の歴史を説明したんだった。


「すいません、短パンを楓に貸してあげれませんか?」


「そうならそうと言えばいいのに、じゃあ楓さん女子更衣室に移動しましょう」


「ハイ、です。行く、ですぅ」


 おいおいっ!?

 ピンクのパンツと体操着(上)だけで出ていこうとしている。


「とりあえずこれを履いて行けよ、パンツ丸出しだぞ」


「えーっめいんどいっす、ですよぉ。どうせ授業中で誰も歩いてないっす、ですぅ」


「そうね……うん! 今なら誰にも会わずに更衣室まで行けるわ」


 本人がそれで良いなら良しとしよう。


 楓も堂々としてれば、ピンクのブルマーを履いた感じにも見えなくもない。前面は無駄に花柄のデザインが刺繍されているのでバレバレだけど。


 霧先先輩は先程、目を瞑りちょっと間を置いてから誰にも会わないと断言してくれた。少し気になったが、先輩がそう言うならば、きっと平気なのだろう。


「霧先先輩すみませんが、よろしくお願いします」


「このぐらいならお安いご用よ。放課後またここで会いましょう」


「はい、放課後にまたここで」


 先輩女子と再会の約束をした。

 全然関係ないのだが少しドキドキした。


「楓は直ぐに着替えてご主人の元に戻る、ですよぉ」


「お前はどうでもいいや、なんなら先に帰ってもいいからな」


「ひどっす、ですぅ」


 正直に言うと、楓の戦闘力は唯一無二の対処方法なので居ないと困る。だが、あのような"うざったさ"が俺の本心を上回る。


 霧先先輩と楓は、女子更衣室に向けて廊下を歩いていった。


 俺は、倒れたまま動かない花咲を起こすべく行動を開始した。


「おい花咲ぃぃ! 大丈夫かしっかりしろ?」


「ううっ…」


 花咲の肩を強めに揺すると、すこしだけ呻いて薄目を開けた。


「俺は…誰だ?」


「しっかりしろ花咲いぃぃ!!」


「ああ冗談だ、なんだか顔と身体中痛いが、不思議と幸せな気持ちに包まれている…」


 こいつは、先輩の下着を見ながら顔面に蹴りを喰らい、そのまま下敷きになって意識を失なった。


 霧先先輩は、女性らしい立派な身体をしているので、きっとその柔らかい肉体に潰された感覚を覚えているのだろう。


 よかったな花咲。


「それで、どこまでのことを覚えているんだ」


「どこまで…そもそも、なんでここに俺はいるんだ?」


 朝からの出来事を含めて、記憶が飛んでいるようだ。霧先先輩の件や、男子生徒についての説明をしてしまうと、いざというとき先生の前でボロを出すだろう。


 覚えていないなら、いっそ好都合だ。


「ほら、転校生にお前の机を譲ったから、代わりの机を取りに来たんじゃないか! 机を引きずり出そうとしたら崩れてきて、お前が俺を庇って下敷きになってしまい。そのまま気を失ってたんだよ」


「そうか…覚えていないが心配をかけたな、今は……おおっ!? もう3時限目が終わる時間じゃないか!」


「それだけ大変な事態だった、とだけ伝えよう……さっさと目的を達成させて教室に戻ろうぜ」


「だが、凄いな机が崩れるというか爆発したみたいだな…あの辺とか粉々だぜ」


「ああ、それだけの大惨事だった、とだけ伝えよう…」


 確かに崩れたという感じではない。

 室内の惨状は酷いが、今は片付けをしている時間はないだろう。使える机と椅子を選んで、早く教室に戻らなくては。


 花咲と二人で、少し状態の良い机と椅子を選び、教室に運び込んだ。そして3時限目が終わり、4時限目が始まるまでの間、クラスメイトが誰もいない教室に待機し続けたのであった。

なお、最新投稿は、Twitterで投稿時期をお知らせして行きます、ですぅ。http://twitter.com/yasusuga9

ご意見、ご感想は"楓"が責任を持ってご主人に良いことだけお伝えするっす、ですよぅ。

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