【ソーセージ mari & mari】 〜#2 みずたの願い、ごみたの夢
【輝かしい未来日記 〜それぞれの憧れがある⁈】
みずたまりはウキウキ声のごみたまりに呼ばれ、ちょっと面倒くさげに部屋の外に出てみた。
「自転車買ったワ♡ イエイ!」
「うっわ、ちょっとこれレーサーじゃない。すごい〜」
確かにちょっとビックリ。自転車には違いないが明らかに高そうなロードタイプの自転車。
ヘルメットにレーサースーツもすでに着こなしたごみたはだれが見てもご満悦。
だが、
「え、これ補助輪?」
イタリア製のロードバイクの後輪にプラスチック製の明らかに子供用の補助輪が
装着されていた。
本来つけられない構造なのでおそらくカスタマイズされ無理くり装備された
であろうことは一目瞭然でみずたにも想像できた。
「あたし、今までサバイバルばっかで生き抜くだけで手一杯人生だったじゃない。
自転車に乗れるようになるのが子供の頃からの夢だったのよ」
「んんーー、初めて乗るんでしょ、こんなすごい自転車で大丈夫なの?
もっと乗りやすいのにしたら」
「やると決めたらトコトンいくのがあたしよ。徹底的にやらなきゃ気が済まないワ」
サムアップしたごみたの親指も力強くそう語っていた。
「でも、ちゃんと段階は踏むワ♡」
みずたに肩を借り、手を引いてもらいながらゆっくり一回一回ペダルを踏み続ける
ごみたは自分の夢に近づいていた。
でも、
「早く、いいひと見つけてね、あたし以外に。恥ずかしいし‥‥‥」
付き合わされたみずたの夢はどうやら違っていたみたいだ。