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ワイバーンと紅い軍勢 7
「やっぱり君一人で行ってくれ」
「なぜですか? 私も一人で捜索するより、会長が一緒の方が心強いです。あ、私の技術が不安ですか? ご安心ください、箒の運転免許は取っています」
「運転免許あんのか……」
まあ驚くのはさて置いて。
この後に及んでも、フェイはこちらの気遣いを悟ってくれない。直接口にするのは恥かしいんだが、こうなったら玉砕覚悟だ。
「なあ、これって俺が乗ったらどうなるんだ? ハンドル握る代わりに、フェイを支えにしなきゃならないだろ?」
「ええ、間違いなく」
「だったら、ほら」
「??」
ダメだこりゃ。
遠まわしに言う角利も悪いが、フェイは問題点を意に介していない。触れるぐらい何が問題なのかと、平静な顔が語っている。
こうなったら大人しく乗るしかなさそうだ。役得と言えば役得なのだし、前向きに行こう。
角利が座席へ座るのに合わせ、箒がとつぜん宙に浮く。
「うお……」
「安全運転は心掛けますが、暴れないでくださいね。あ、私の腰に手を回してください」
「りょ、了解」