残忍な荒療治 5
「そういえば、ヴィヴィアは?」
「今はぐっすり眠っています。先生からの話ですと、しばらくは大丈夫じゃないかと」
「――そうか」
素直に喜んだ方がいいんだろうが、難しい。
フェイも同じ心境のようだ。溜め息を零して、焼け焦げたコンクリートを見つめている。
「……私は一般人が好きではありません。集団を組むということが、自分の弱さを誤魔化しているようで嫌になります」
「まあ、非力だから協力するわけだしな。魔術師でもないんだし」
「ええ。――ですが、このような死を与えることにも反対です。彼らは抵抗する手段を、何一つ持っていなかったのに」
「……昼間に俺達を殺そうとしたやつが、よく言うねえ」
笑いながら角利は答えた。――刹那の間でフェイが睨んできたので、空気を読んで自重する。
気にしていることを改めて指摘されるのは、結構な負担だ。少なくとも、彼女の視線にはそんな意図が籠っていた。
甘いというか、中途半端というか。敵意を剥き出しにしたあの時、手加減は無かったろうに。彼女が信じる理想は、御法のような典型例と違っているんだろうか?
人々の死を悼んでいることだってそう。完全に無力な者へ、フェイは一定の配慮をしている。