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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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残忍な荒療治 5

「そういえば、ヴィヴィアは?」


「今はぐっすり眠っています。先生からの話ですと、しばらくは大丈夫じゃないかと」


「――そうか」


 素直に喜んだ方がいいんだろうが、難しい。

 フェイも同じ心境のようだ。溜め息を零して、焼け焦げたコンクリートを見つめている。


「……私は一般人が好きではありません。集団を組むということが、自分の弱さを誤魔化しているようで嫌になります」


「まあ、非力だから協力するわけだしな。魔術師でもないんだし」


「ええ。――ですが、このような死を与えることにも反対です。彼らは抵抗する手段を、何一つ持っていなかったのに」


「……昼間に俺達を殺そうとしたやつが、よく言うねえ」


 笑いながら角利は答えた。――刹那の間でフェイが睨んできたので、空気を読んで自重する。

 気にしていることを改めて指摘されるのは、結構な負担だ。少なくとも、彼女の視線にはそんな意図が籠っていた。

 甘いというか、中途半端というか。敵意を剥き出しにしたあの時、手加減は無かったろうに。彼女が信じる理想は、御法のような典型例と違っているんだろうか?

 人々の死を悼んでいることだってそう。完全に無力な者へ、フェイは一定の配慮をしている。

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