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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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残忍な荒療治 4

「ん……」


「あ、会長。大丈夫ですか?」


 重い頭を必死に動かして、角利は上半身を起こした。

 辺りにはやはり騒がしい空気が残っている。当然だろう。何十という人間が一人の魔術師によって焼死したのだ。お茶の間まで、その残虐行為は行き届いているだろう。

 視界を右に動かせば、彼らが受けた苦痛の名残が目に入った。

 それだけ気分が悪くなる。あんなにも生々しく人が死んだのだから、ごく自然の反応かもしれないが。


「……爺さんは?」


「すでに立ち去りました。ギルドが捜索に当たっていますが、手掛かりはまで掴めていないと」


「そうか……」


 力になってやりたいが、御法とは私生活での繋がりを持たない。家だってまったく違う場所にある。

 ギルドや政府の力を信じるしかあるまい。もちろん、協力を求められれば応じるが。


「……」


 にしても、あそこまで残忍な祖父は始めて見た。彼にすれば信念上の必然だったんだろうが、やり過ぎている。同じ社会に暮らす人間とは思えない。

 無論、その理由は御法に通用しないだろう。でなければ彼が、魔術を特権として扱う理由がなくなる。

 倫理観の決定的な断絶。極端な話が、違う時代の人間。あの青年が化石と称したのも同じ理由からだ。

 これで御法は社会的な地位を失う。犯罪者として、世間から追われる立場になる。

 しかし、そこに後悔はないのだろう。むしろ首を傾げるに違いない。自分はただ、当然のことをやっただけ、と。

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