残忍な荒療治 2
ヴィヴィアはもう動かなくなっていた。辛うじて呼吸はしているものの、風前の灯でしかない。こうしている間に限界を迎えても仕方ない状態だった。
「どうする?」
もう一度催促する。
肉親の死。それが目の前にあって、角利は直視するだけでも限界だ。病院の職員がもう少し余裕を持っていれば、横になれと言われただろう。
それでも視線は逸らさない。葛藤する少女へ、追い打ちをかけるように。
「時間がないぞ。運良く運んだって、その前に事切れる可能性もある」
「わ、私には決められません……! 会長が――」
「いいのか? 俺で」
フェイは再び沈黙する。
当然だが、角利は打開策の提案者だ。決断を委ねられれば、二つ返事で行動に移る。
ヴィヴィアに死んでほしくない――結論は一般的なものだ。自分の古傷もあって、横になっている少女の価値を客観的には測れない。
もういい、と。ヴィヴィアはかつて、姉にそう言ったらしい。
願いをどんな風に汲み取るか、それは聞いた当人の権利だ。角利には部外者としての役割しかなく、困難を解決することも諦めることも出来ない。
自然な流れの一つとして。生きるか死ぬかを決めることぐらい。
本当の決断ができるのはフェイ一人だ。ここで希望に縋る意味も、手を離す意味も彼女にしか分からない。
我を貫くのか。
あるいは、妹の意見を尊重するのか。
「私は――」