表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
82/168

残忍な荒療治 2

 ヴィヴィアはもう動かなくなっていた。辛うじて呼吸はしているものの、風前の灯でしかない。こうしている間に限界を迎えても仕方ない状態だった。


「どうする?」


 もう一度催促する。

 肉親の死。それが目の前にあって、角利は直視するだけでも限界だ。病院の職員がもう少し余裕を持っていれば、横になれと言われただろう。

 それでも視線は逸らさない。葛藤かっとうする少女へ、追い打ちをかけるように。


「時間がないぞ。運良く運んだって、その前に事切れる可能性もある」


「わ、私には決められません……! 会長が――」


「いいのか? 俺で」


 フェイは再び沈黙する。

 当然だが、角利は打開策の提案者だ。決断を委ねられれば、二つ返事で行動に移る。

 ヴィヴィアに死んでほしくない――結論は一般的なものだ。自分の古傷もあって、横になっている少女の価値を客観的には測れない。

 もういい、と。ヴィヴィアはかつて、姉にそう言ったらしい。

 願いをどんな風に汲み取るか、それは聞いた当人の権利だ。角利には部外者としての役割しかなく、困難を解決することも諦めることも出来ない。

 自然な流れの一つとして。生きるか死ぬかを決めることぐらい。

 本当の決断ができるのはフェイ一人だ。ここで希望にすがるる意味も、手を離す意味も彼女にしか分からない。

 我を貫くのか。

 あるいは、妹の意見を尊重するのか。


「私は――」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ