目覚め、そして美少女 1
「ん……!」
十分だったか、二十分だったか。
感覚だけで測るなら数時間は眠った気分だ。眠気も綺麗さっぱり消えている。これなら午後の授業は、万全の状態で挑めるだろう。
グッと背を伸ばして、ふと違和感を覚える。
明るい。気のせいでは済まない程度に、眠る前と比べて部屋は明るくなっている。
間違いなく、誰かが部屋の電気を点けたんだろう。……しかし誰が? 由利音はこの喫茶店に入ってこないし、数少ない友人にだってここは教えていない。
「……?」
一人疑問を深める中、真後ろから衣擦れの音が聞こえる。
振り向けば、女の子がいた。
「は?」
着替えてる。
彼女はこちらの視線に気付く様子もなく、テキパキと衣類を脱いでいった。露わになる白い肌と、細い線。雪を纏っているような純白で、何も考えず見惚れてしまう。
背丈から察するに、角利とそう年齢は変わらないだろう。いつの間にか着始めた制服は自分の物と同じで、追加の納得感を与えてくれる。
少女の動きは、早着替えが得意です、と言わんばかり。下着が見えたのは一瞬だけだった。
「……」
いやいやいや、待て。どう考えてもおかしい。
これは夢か? 思春期の少年が己の願望通りに作り上げた偽物か?
「あの……」
試しに、声を掛けてみる。