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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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乗り越えるために 4

 角利を喰うより、同胞の方が栄養満点だと思ったんだろう。こちらを狙っていたオークは、どちらも同族との格闘戦を行っていた。

 チャンスだ。這いつくばって進みながら、部屋の番号を示しているプレートを探す。

 あった。しかも、オーク達を上手く避けて通れる。

 肉が千切られる生々しい音へ耳を塞ぎ、角利は重い足を上げた。

最悪、地上へ降りる時は魔術を使おう。あるいは非常階段。再び中を通ったら、今度こそ精神が破裂する。

 ようやく見つけたベッドは、もう自分の方が入りたいぐらいで。


「ヴィヴィア!」


 入口に書かれている名前を呼んだ。

 中には、人影というものが一つもない。

 個室に置かれた一つのベッド。触れば微かな温もりを感じられるが、やはり肝心の本人はいなかった。どこかに隠れている雰囲気でもない。

 それ以前に、部屋は荒らされている。特にカーテン。爪か何かで引き裂いた痕跡があった。

 最悪の結果が脳裏を過る。血痕が一つも気当たらないのが、唯一すがれる希望だろうか。

 そうだ、もう脱出しているかもしれない。一先ずフェイの様子を確認しようと、角利は迷わずきびすを返した。


「あ、ああ……」


 タイムアップ。

 入口に立ち塞がるオークから、逃げる術などありはしない。

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