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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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乗り越えるために 3

 幸か不幸か、噛み付こうとするオークの脅威からは逃れられた。が、振り切ったわけではない。第一、敵が一体しかいないとは限らない。

 無人となったナースステーションに飛び込む。現在の精神状態にとっては、善し悪しをつけ難い孤独な環境。

 ズン、と重い足音が廊下に沈む。

 十中八九オークか、他の魔物だ。姿を確認する余裕はなく、角利はカウンターの下に身を隠した。

 足音は間隔が短く、そして徐々に大きくなる。こちらの存在に気付いたのだ。

 角利は息を潜めるばかり。泣き出す寸前の心を、必死に繋ぎ止めている。

 だが。


「あ、ああ……!?」


 上から伸びてきた手に、力尽くで外へと投げ出された。

 が、と打ちつけられた場所は、ヴィヴィアと話したばかりのホール。ここも既に手遅れで、テーブルが、自販機が、見るも無残に破壊されていた。

 来る。

 前後に一匹ずつ、牙を持った死神が近付いてくる。


「はっ、は、はっ――」


 まるで犬だと自嘲じちょうしても、戦う意思は根元から折れていた。

 助けなきゃいけないのに。約束したのに。

 やっぱり、無様じゃないか。


「ひっ――」


 現実から逃避しようと、何の変哲もなく目を瞑る。

 しかし痛みはやってこない。

 より凄惨な光景が、それぞれで繰り広げられているだけだった。


「と、共食い……!?」


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