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魔術師は現代社会に殺される  作者: 軌跡
第二章 弱者の居場所
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二つの病、二つの現実 13

 真一文字に切り裂かれたオークは、呻き声と共に地面へ沈んだ。

 それでもフェイに安心感はまったくない。濁流だくりゅうのように出てくる人々を一人一人確認している。中には入院患者らしき者もいるが――


「あの子、四階に……!」


 焦る気持ちは当然だった。オークは最上階から落ちてきたのだ。

 病院は全六階建て。中に魔物が残っているとすれば、ヴィヴィアがいつ襲われても不思議じゃない……!


「会長は退避を。私は魔物を撃破しつつ、ヴィヴィアの救出に向かいます」


「ま、待て、お前一人でか!? いくら何でも危ねえぞ! 直ぐにギルドの人達がすぐ来るし、ヴィヴィアだって逃げてる最中かもしれん! もう少し待って――」


「お気持ちは察しますが、事は一刻を争います。こうしている間にもあの子は危険にさらされているかもしれない」


「――」


 気持ちは察する、だなんて。……ああ、確かに自分は、魔物が怖くてフェイを止めた。

 力になんてなれないから、他の誰かに変わって欲しくて。自分が助けなくっても、心が痛まない他人に動いて欲しかった。

 ダメだ。

 いつまでもいつまでも、後ろ向きじゃいられない。


「なら俺も行く」


「……足手纏いです。敵の戦力も判明していない。万が一の場合、見捨てる場合にもなりますよ?」


「臆病者の逃げ足を舐めないでもらいたいな。いま出てきた人たちと同じように、ヤバイ時は一人で逃げる。――だから最低限、ヴィヴィアをおぶったりは出来るさ」


「……まったく。訂正します」


 二人で向いた病院の入口。出てくる人の数は減っていて、丁度いいタイミングを示していた。


「そういう頑固なところ、お爺さんとそっくりですよ」


「褒めてもらえて嬉しいね……!」


 突入する。


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